ブラック鎮守府で我が世の春を   作:破図弄

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艦娘たちへの懲罰は苛烈でした。

呼吸さえできなかったほどの苦痛。

彼を応援してくださいね。


第5話 いやがらせ

てーとくの<懲罰>は、もどかしい。

 

頭を撫でられて照れくさいのは序の口でした。

爪を立てて首筋や太腿を引っ掻く。

と書けば、痛そうです。

実際は、爪で撫でるようにされるので、恥ずかしいけど、だんだんより強い刺激を求めてしまいました。

 

テクニックというものでしょうか?

思わず声が洩れそうになったり、悶えるのを我慢したり、みんなも同じみたい。

 

熱い吐息が零れてしまいました。

それをみんなに見られて、ますます恥ずかしくなって、息を止めたり。

 

このことは、お互い秘密にしておこうとなりました。

 

「俺みたいなゲスの弄られて悔しいだろ、クヒヒ。

 これから、どんどん罰をくれてやるからな、キヒヒ」

てーとくの言葉にドキッとしてしまいました。

 

 = = = = =

 

「とうとう、ここの担当海域にも出現したか」

 

今回、遭遇戦を回避できたのは幸いだった。

 

眼鏡の判断も悪くはない。

悪くはないが、もし偵察艦隊に取り返しのつかない被害が出た時は、彼女が一番苦しむことになる。

 

そのための<懲罰(いやがらせ)>だったわけだが、生巡と駆逐艦も乱入してくるとは、仲間思いな奴らだ。

先任(くそ)の隷下で苦労を分かちあったからだろう。

 

懲罰(いやがらせ)>は、効果がある。

回数が重なると立場を忘れて、俺を恨むようになる。

顔を合わせるだけで【勝負だ、夜戦だ】と殺気立って挑んでくる艦娘も珍しくない。

 

少将のところで集団に襲いかかられるとは油断した。

殺せると思ったのか、全員笑っていたのは、正直怖かった。

 

今までと違って潜入ではなく、提督として着任したからには、艦娘たちに反逆を抑え込んで支配しなければ。

 

 = = = = =

 

夕食後の食堂で自由時間を過ごしていた戦艦たちが、あることを気にしていた。

「なんだ、偵察に出た子や大淀の様子がおかしい。

 間宮さん、何か知りませんか?」

「その、執務室で懲罰を受けたとか」

「そうですか。

 ・・・・それにしては、肌の色つやが良いような」

「長門もそう思った?」

「陸奥さん、みなさん、食事中になんていうか心ここにあらずって感じでしたよ。

 あと、思い出したようにニヨニヨしてみたり」

 

「大変!海岸に艦娘が倒れてるクマー!」

結構重大な事件を軽巡が叫んで飛び込んできたが、語尾のおかげで緊迫感が薄かった。

 

 = = = = =

 

「どこの艦娘でしょうか?」

眼鏡が同類を心配している。

 

海岸で倒れている艦娘を観察する。

「目立った被害はないな。

 大和型2番艦か、この周辺の鎮守府には、いなかったはずなんだが」

情報部時代の記憶を思い出す。

戦艦に触れてみる。

バイタルは安定しているようだ。

意識がないので、蹴りを入れてみる。

 

≪≪ひどい≫≫

野次馬もとい、艦娘を案じて集まってきた艦娘たちは、俺の蹴りを見て声を揃えて言った。

 

「俺に逆らってみろ、これくらいじゃ済まないからな、クヒヒ」

「うーん」

眼鏡戦艦が意識を取り戻す。

 

艦娘は睡眠と異なる休眠状態に陥ると自力では覚醒できず、外部からの衝撃で覚醒する。

休眠状態から覚醒しても、条件が揃ったままだと休眠を再開する。

 

生体兵器として、保管を考慮しての仕様だった。

一般的には薬剤を投与で、休眠、覚醒と切り替えるが、休眠に至った経緯が判らない場合、覚醒での投与の量を間違うと脳を損傷する。

 

この鎮守府に来て、休眠状態の艦娘たちを見て、ガキたちと同じ手加減(脚だが)で蹴って、うまくいったのは幸いだった。

そうでなければ担当技官の派遣を要請して、鎮守府の再開が大幅に遅れるところだった。

 

「武蔵だな。

 所属はどこだ?」

「むさし?」




武蔵が漂着しました。
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