新型の深海棲艦と関係あるのでしょうか?
彼を応援してくださいね。
「おかわり!」
(よく食うなぁ)
目の前で、どんどん食料を胃袋に収納していく眼鏡戦艦。
気持ちのいいほどの食いっぷりだ。
彼女は、自分の艦名まで忘れていた。
所属を示す所持品もなかった。
「てーとく、彼女はどうなります?」
「キヒヒ、知りたいか?
大本営の判断に委ねることになるが、概ね解体処分だよ」
眼鏡の顔から血の気が引いていく。
食堂の野次馬たちも同様だ。
「それは大本営といえども、横暴ではないか」
「戦艦、記憶もないような大食いを誰が飼うんだよ?
解体でお国の役に立つんだよ、キヒヒ」
(その気もないのに、意地悪な
「提督、お夕飯を召し上がってくださいね」
間宮は、提督の前に有無も言わせず焼肉定食(味噌汁、漬物付き)を置いた。
「間宮、俺は食券を出してないぞ。
勝手なことをするんじゃねえ」
「じゃあ、あのお客さんのお食事はどういう扱いなんですか?」
間宮は、引き下がらず、言い訳のできないところを突いていく。
「口答えするんじゃねえよ。
蹴りを入れるぞ」
「どうぞ、ご自由になさってください。
体調が戻ったので、人の力くらいじゃ、痣どころか赤くもなりませんよ」
「生意気なヤツめ、こんな飯が食えるか。
おい、眼鏡戦艦、お前が食え!」
提督は、定食を珍客に押し付けると食堂から出て行った。
「赤城さん、加賀さん、おむすびを作りましょうか?」
正規空母が、焼肉定食(味噌汁、漬物付き)を凝視していたのに気付いた間宮は、ささやかな提案をしたのだった。
= = = = =
≪コンコン≫
「入れ」
夜の執務室に訪問者が来たようだ。
「失礼します」
眼鏡が入ってきた。
後ろの眼鏡戦艦がついて来ていた。
「そうか、指示していなかったな」
「どうしましょう?」
「眼鏡、もう下がっていいぞ、クヒヒ」
「え?」
「クヒヒ、察しろよ。
彼女の歓迎するんだよ」
俺は、眼鏡を下がらせ、眼鏡戦艦とふたりきりになった。
「提督も同じだな」
「記憶が戻ったのか?」
「いや、この手の記憶は残っているみたいだな」
「そうか、じゃあ、ご期待に答えるとしようか、クヒヒ
まずは脱げ、じっくり見てやる、キヒヒ」
「・・・・はい」
「素直なのは、いいことだ、キヒヒ」
「アッン!」
= = = = =
私室の布団で目を覚ます。
「コホン、提督おはよう」
「おはようさん、よく眠れたか」
「あ、ああ。
・・・・色々見られてしまったな」
眼鏡戦艦が頬を染める。
「文字通り隅々までな、クヒヒ」
「ンフフ、ゲスな笑いだな」
俺が先に寝床を離れる。
「俺は偽善者だからな、クヒヒ
服を着ろ、朝飯を食いに行くぞ」
「提督よ、もう少し一緒にまどろむというのはどうだ?」
身を起こした眼鏡戦艦は布団で前を隠してはいるが、胸が零れそうになって存在を主張していた。
「俺を懐柔しようと無理をするもんじゃねえよ。
お前が役に立つなら、記憶が戻るまで、ここに置いてやってもいい」
(そういうつもりではないのだが)
眼鏡戦艦が服を着始める。
朝日の中、褐色の肌が映える。
「どうだ、押し倒してみるか?」
腰に手を当てポーズを決める眼鏡戦艦。
「近距離で主砲を食らう趣味はねえよ」
しばらくすると食堂に言い知れぬ空気が漂っていた。
それはそれで珍しいかもしれないが、もっと重大なことがあった。
武蔵が居た。
それも
いや、彼女の方から、一方的に腕に抱きつくように。
間宮は思い出したかのように包丁を研ぎ始めた。
私室で何があったのでしょう?