何かがあったのでしょうか?
彼を応援してくださいね。
「よし、斉射!」
マイクで沖の武蔵に指示を出す。
数秒後、洋上に9本の水柱が上がる。
「魚雷くるぞ、回避行動、合わせて次弾準備」
≪了解だ、次は当ててみせる≫
「頼もしいな。
訓練弾だ、直撃で構わんぞ」
≪直撃したら、褒めてくれ≫
= = = = =
「よく耐えたな。
さすがは、眼鏡戦艦」
ビショビショになった髪をガシガシ拭いてやる。
「それに比べて、お前ら、ダメ」
蹲る水雷戦隊を見下ろす。
「く、調子が出なかっただけだ」
生巡が悔しそうに言い返してくる。
俺は、生巡の髪を掴み睨む。
「それじゃ、調子が出るまで練兵場を走ってこい。
20周行ってこい。
駆逐艦もだ」
頭を投げ捨てるように突き飛ばす。
生巡は、悔しそうに顔をゆがめ、駆逐艦を連れて練兵場へ向かった。
「次、戦艦、正規空母 二手に分かれて訓練開始だ。
負けた方が、練兵場20周。
行ってこい」
訓練弾、爆弾、魚雷を使用する。
命中箇所によっては、中破まで引き起こす演習。
戦力が拮抗している組み合わせ、相性の悪い組み合わせで急編成の戦隊で訓練する。
負けた側に罰ゲームのおまけつき。
中破したままの
「眼鏡戦艦、補給後出発、優勢な方に加勢しろ、クヒヒ」
「ンフフ、弱いものいじめみたいだな。
じゃあ、行ってくる」
手をヒラヒラさせて出撃準備でドックに向かう眼鏡戦艦の後姿を見送る提督。
「てーとく、なぜいきなりこんな無茶を始めたんですか?」
「無茶?
俺のモノをどう扱うかは、裁量の範囲だぜ、クヒヒ
それより、どうだ、お前も眼鏡戦艦と一緒に」
「命令なら」
「じゃあ決まり、命令だ、演習に参加だ。
航空兵力を重点的に叩いてこい」
眼鏡は渋々出撃準備に向かって行った。
= = = = =
薄暮の中での締めの演習が始まった。
最後の組み合わせは、駆逐艦と潜水艦の対決となった。
朝からの演習で、無傷の艦娘は残っていなかった。
負けると
おのずと力が入る。
お互い攻撃されることでイラついてきていたところで、僅差で潜水艦チームが勝った。
水雷戦隊が罰ゲームをこなして練兵場からトボトボと歩いていた。
「クヒヒ、弱いからボロボロだな」
駆逐艦たちは黙って俺を睨んでくる。
「風呂に入ってこい。
後で、今日の成績の発表だ。
眼鏡戦艦ついてこい」
提督と武蔵の後姿を見ていた駆逐艦たちは扱いの違いに不満を感じた。
= = = = =
食堂に艦娘が全員集められていた。
「全員、そのままで傾注。
てーとくから今日の成績が発表されます」
眼鏡の声に艦娘たちが注目する。
「お前ら、よく頑張ったとは言わねえ。
ダメ。
話にならん。
首位は、長門。
最下位、磯風。
後は、順位表を見ろ」
俺は、テーブルに順位表を放りだす。
艦娘たちは順位表を覗き込む。
最悪だと中破までした演習の結果は、気にならないわけがなかった。
最下位を知らされた駆逐艦は、がっくりを肩を落としていた。
「じゃあ、最下位には、ご褒美をあげような、キヒヒ」
<ガシガシガシガシ>
俺は、駆逐艦の頭を鷲掴みし、髪をクシャクシャにする。
「僚艦を庇うようなバカをやらかすから、こんな目に遭うんだぜ。
実戦で轟沈なんかしやがったら承知しねえからな、その癖を直しとけ、ボケ」
俺は、軽く蹴りを入れた後、執務室に戻った。
= = = = =
≪コンコン≫
「入れ」
「お食事をお持ちしました」
「間宮、何の真似だ」
間宮が料理をトレーに乗せて入ってきた。
「お前たちは地味に強引だな」
「誉め言葉と思っておきますね」
間宮は、料理を応接セットのテーブルに配膳する。
後ろに眼鏡戦艦。
「どうした、入れ」
「提督、これからどうする」
入ってくるなり、俺より先にソファーに座る眼鏡戦艦。
なぜか間宮も座る。
≪ぐーーーーー≫
腹の虫が武蔵の問いに答えていた。
妬み、嫉みが燻り始めました。