ブラック鎮守府で我が世の春を   作:破図弄

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演習での武蔵の扱い方は、艦娘たちにどう映ったのか?

ご褒美という名のいやがらせは磯風の心を蝕んだのか?

彼を応援してくださいね。


第8話 不協和音の和音

「磯風、良いご褒美でしたね」

「・・・・」

「磯風?」

「あ、ああ。

 なんの話だったかな?」

浜風は、上の空の磯風を羨んだ。

 

駆逐艦を見る長門。

「どうしたの?

 ご褒美が欲しくなったの?」

茶化すように陸奥が話し掛ける。

「いや、褒美でなくてもいいかな」

「あら、珍しいこともあるのね」

「わたしにも感情があるからな。

 でも、自分でも不思議だと思う」

長門は、今の気持ちを言い表せなかった。

 

「そういえば、何もしなかったのよね」

「そうだ。

 第一印象と全く違う。

 中尉殿の話が裏付けている」

長門は、何かを確信しつつあった。

 

「今、間宮さんと武蔵ちゃんが一緒のはずよ。

 どうする?

 先を越されるかもよ」

「ふっ、それは致し方ないかもな。

 しかし、なぜだかわからないが、それは気にならない」

深慮の末の言葉には重みが感じられた。

 

「信頼?」

「いや、実物を知っていると少し気後れするのだ」

「気後れ?」

「あの人は【ねじ伏せて好き放題してやる】と言ってくれた」

「ちょ、ちょっと長門。

 あなたおかしいわよ」

「いや、おかしくはないぞ。

 相性が・・・・その正気を保てない気がするんだ」

陸奥は、いろんな意味で手遅れのような気がした。

 

「加賀さん、知っていましたか、長門さんは提督のと邂逅したそうですよ」

「赤城さん、なぜその話題になるの」

「だって、気になりませんか?」

「・・・・赤城さんがそういうなら、話し相手をします」

正規空母は、漢字が違う話を始めた。

 

今までの提督が粗末だったのか、大型艦は戦意が充実しつつあった。

 

そんな中、いらだつ巡洋艦が居た。

「長門さんたちは解っていないんです。

 てーとくはゲス野郎なんですよ。

 ねえ、天龍さん」

「そうだぜ、あいつ、オレをいつもおちょくりやがって。

 オレだって、普通に話したり、晩酌で一緒に飲みたいのによ」

 

「ですよね。

 あ、でも、わたし一緒に飲んだことありました」

「・・・・なんだよ、オレも誘いやがれってんだ。

 酔って夜戦になって朝まで勝負し・・・・」

 

「天龍さん、やっぱりあなたたち・・」

「な、何だよ。

 あなたたちって?」

「他の鎮守府の天龍さんは、てーとくと会いたいって泣いていましたし」

「な、ななな、オレはそんなじゃねえよ」

 

「あ、てーとく」

「にゃ、お、おいゲス野郎、今からオレとショー、ブ」

大淀の言葉に天龍は、後ろに提督が居ると思い振り返りながら立ち上がった。

提督はいなかった。

ひとり顔を紅潮させる天龍が固まっていた。

 

「勝負禁止です。

 特に夜戦はダメです」

「いいじゃねえか。

 大淀はいつも一緒に居るんだし、オレだって、たまには」

「ダメダメ、ダメです。

 わたしだって、一緒にいるだけなんですよ。

 何にもないんですよ」

「それは、大淀の押しが弱ぇーからだろ」

 

「天龍さん、最近ネクタイの緩め方が大きいですよね」

「しょしょ、しょんなことはないぞ」

「その胸が武器になると思っていますね」

大淀の眼鏡が光った。

 

「ダメかな」

いきなり、しぼむ生巡。

「長門さんや間宮さんもまだですからね。

 ただ武蔵さんを重用(ちょうよう)していますから、眼鏡ですかね」

眼鏡は、ニヨニヨを隠せなかった。

「眼帯は、ダメなのか。

 そうだ、片眼鏡(モノクル)

 この胸とで、ふたつ合わせりゃ武蔵にも引けは取らねえぜ。

 よっしゃーーー!

 待ってろよ、ゲス野郎。

 腰が抜けるまで、勝負してやらー」

そう言い残して、生巡は食堂から飛び出していった。

 

後に残った眼鏡。

『色と形で勝負ですよ』




波紋が広がりました。

仲たがいの絶えないブラックな鎮守府になるのでしょうか?
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