ご褒美という名のいやがらせは磯風の心を蝕んだのか?
彼を応援してくださいね。
「磯風、良いご褒美でしたね」
「・・・・」
「磯風?」
「あ、ああ。
なんの話だったかな?」
浜風は、上の空の磯風を羨んだ。
駆逐艦を見る長門。
「どうしたの?
ご褒美が欲しくなったの?」
茶化すように陸奥が話し掛ける。
「いや、褒美でなくてもいいかな」
「あら、珍しいこともあるのね」
「わたしにも感情があるからな。
でも、自分でも不思議だと思う」
長門は、今の気持ちを言い表せなかった。
「そういえば、何もしなかったのよね」
「そうだ。
第一印象と全く違う。
中尉殿の話が裏付けている」
長門は、何かを確信しつつあった。
「今、間宮さんと武蔵ちゃんが一緒のはずよ。
どうする?
先を越されるかもよ」
「ふっ、それは致し方ないかもな。
しかし、なぜだかわからないが、それは気にならない」
深慮の末の言葉には重みが感じられた。
「信頼?」
「いや、実物を知っていると少し気後れするのだ」
「気後れ?」
「あの人は【ねじ伏せて好き放題してやる】と言ってくれた」
「ちょ、ちょっと長門。
あなたおかしいわよ」
「いや、おかしくはないぞ。
相性が・・・・その正気を保てない気がするんだ」
陸奥は、いろんな意味で手遅れのような気がした。
「加賀さん、知っていましたか、長門さんは提督のと邂逅したそうですよ」
「赤城さん、なぜその話題になるの」
「だって、気になりませんか?」
「・・・・赤城さんがそういうなら、話し相手をします」
正規空母は、漢字が違う話を始めた。
今までの提督が粗末だったのか、大型艦は戦意が充実しつつあった。
そんな中、いらだつ巡洋艦が居た。
「長門さんたちは解っていないんです。
てーとくはゲス野郎なんですよ。
ねえ、天龍さん」
「そうだぜ、あいつ、オレをいつもおちょくりやがって。
オレだって、普通に話したり、晩酌で一緒に飲みたいのによ」
「ですよね。
あ、でも、わたし一緒に飲んだことありました」
「・・・・なんだよ、オレも誘いやがれってんだ。
酔って夜戦になって朝まで勝負し・・・・」
「天龍さん、やっぱりあなたたち・・」
「な、何だよ。
あなたたちって?」
「他の鎮守府の天龍さんは、てーとくと会いたいって泣いていましたし」
「な、ななな、オレはそんなじゃねえよ」
「あ、てーとく」
「にゃ、お、おいゲス野郎、今からオレとショー、ブ」
大淀の言葉に天龍は、後ろに提督が居ると思い振り返りながら立ち上がった。
提督はいなかった。
ひとり顔を紅潮させる天龍が固まっていた。
「勝負禁止です。
特に夜戦はダメです」
「いいじゃねえか。
大淀はいつも一緒に居るんだし、オレだって、たまには」
「ダメダメ、ダメです。
わたしだって、一緒にいるだけなんですよ。
何にもないんですよ」
「それは、大淀の押しが弱ぇーからだろ」
「天龍さん、最近ネクタイの緩め方が大きいですよね」
「しょしょ、しょんなことはないぞ」
「その胸が武器になると思っていますね」
大淀の眼鏡が光った。
「ダメかな」
いきなり、しぼむ生巡。
「長門さんや間宮さんもまだですからね。
ただ武蔵さんを
眼鏡は、ニヨニヨを隠せなかった。
「眼帯は、ダメなのか。
そうだ、
この胸とで、ふたつ合わせりゃ武蔵にも引けは取らねえぜ。
よっしゃーーー!
待ってろよ、ゲス野郎。
腰が抜けるまで、勝負してやらー」
そう言い残して、生巡は食堂から飛び出していった。
後に残った眼鏡。
『色と形で勝負ですよ』
波紋が広がりました。
仲たがいの絶えないブラックな鎮守府になるのでしょうか?