ブラック鎮守府で我が世の春を   作:破図弄

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因果応報

艦娘たちに狙われた提督

彼を応援してくださいね。


第13話 来訪とタリホー

俺は、基地の屋上で、リトルシガーをふかしている。

 

「大丈夫です。

 現在、帰投中。

 全員無事です」

加賀が、哨戒機からの電信を告げる。

 

「なんのことだ?

 俺は、天気がいいから、ヤニってるだけだが」

「そうですか。

 その双眼鏡は、覗きですか?」

加賀は、提督の首にかかる双眼鏡を指さした。

 

「バードウオッチングだよ。

 ちょうどいい、フェンスに手をつけ」

正規空母は、提督の指示通りフェンスに手をついた。

 

「騒ぐなよ、キヒヒ」

俺は後ろにまわりこみ正規空母の袴をめくる。

彼女は、一瞬ビクッとしたがそのまま動かなかった。

「ううーん、このままやっていいのか、ムッツリビッチ」

「・・・・」

加賀は、フェンスにしがみつくように姿勢を変える。

 

「嫌なら抵抗してもいいんだぞ、クヒヒ」

加賀の腰に手を当てる。

「・・・・」

 

≪ガチャ≫

「てーとく。

 そろそろ少将がお見えになりますよ・・・・」

眼鏡が出入りする塔屋のドアを開けた姿勢で固まった。

 

「もうそんな時間か。

 眼鏡もどうだ?キヒヒ」

どうにも気まずいので、正規空母に腰を押し付けながら、眼鏡を揶揄う。

 

「いいですよ。

 ついで扱いなら、容赦しませんよ」

眼鏡は、俺をビシッと指さし言い放った。

 

「おお怖いねぇ、クヒヒ。

 空母、興を削がれたな。

 気が向いたら、今晩私室に来い」

俺は正規空母の尻をポンポンと叩く。

 

スタスタ歩いて眼鏡とすれ違う瞬間に彼女の肩をポンと叩いて言い残す。

「眼鏡は、執務室で待機な」

 

「てーとくのゲスー!」

俺は、叫びに手をヒラヒラさせて応えた。

(お前は、どうして欲しいんだよ)

 

 = = = = =

 

「加賀さん、非常に残念そうにしていませんか?」

「・・・・戻りましょうか」

加賀は、大淀と視線を合わせないように階段を下りていく。

大淀は、その後ろ姿を注視していた。

(てーとくってば、お見えになる時間を確認してから屋上に上がったじゃないですか!)

 

 = = = = =

 

(そろそろパトロールも戻ってくる頃か)

俺は庁舎前で待っていた。

 

遠目に軍用車が見えた。

(お、来た来た)

 

しばらくして中型のコマンドカーが敷地内に乗り入れてきた。

 

敬礼をすると少将が敬礼をしながら降りてきた。

「邪魔をする」

「はっ、おくつろぎください!」

挨拶代わりの敬礼を交わして、確認するように握手をする。

 

「中佐、来ましたよー」

元気な声がした。

「中尉、またサボりか?」

「浮気をしていないか、見に来たんです」

「誰の浮気だよ」

相変わらず参謀本部次長の娘は面白いこと言う。

 

艦娘がふたり同行していた。

「お邪魔します、中佐」

「ああ、ゆっくりしていってくれ、クヒヒ」

この前と違って、落ち着いている眼鏡(ダッシュ)だった。

 

「しょ、勝負しろ!勝負だー」

生巡(ダッシュ)だ。

聞かなかったことにして、来客を案内する。

「執務室に案内しますよ、こっちです」

 

「てめぇー、無視すんじゃねー、オレと勝負しろー!」

生巡(ダッシュ)が拳を向けてくる。

 

俺は、無言で生巡(ダッシュ)近づく。

「な、何だよ、ひゃっ」

コイツが嫌がることは、良く知っている。

人間の娘のように手加減して抱きしめてやると、必ず嫌がる。

 

「バ、バカヤロー!」

彼女は、腕の中で力なく暴れる。

ゴキブリを嫌がるような感覚なのだろう。

 

腕を緩めるとペタンと座り込む生巡(ダッシュ)

彼女は、頬を紅潮させ、涙目だった。

 

追い打ちをかけるように、しゃがんで言葉で口撃する。

「相変わらず、表面は柔らかいな。

 今度は寝床で確かめてやろうか、クヒヒ」

『・・望むところだ、ぜ。

 ちょっとだけ、優しくしろよ』

小声で何か生巡(ダッシュ)はつぶやいていたが、俺は、眼鏡(ダッシュ)に腕を噛まれて余裕がなかった。

 

手加減(口だが)しているのか、あまり痛くない。

あまがみと見せかけて、油断したら肉を食いちぎられるかもしれない。

落ち着かせるために頭を撫でるようにした。

 

俺の腕は、まだつながったままだったが、制服の袖はベトベトになっていた。




着々と<敵>を増やす提督。

艦娘たちに災厄が降りかかる!

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