艦娘たちの蜂起なのか。
彼を応援してくださいね。
≪≪ダダダダダダダ≫≫
けたたましい複数の足音。
≪バタン!≫
乱暴に開かれるドア。
混成艦隊がなだれ込む。
艦隊の目標は、手に届くすぐそこ。
ベッドのように床と段差のある畳床、そして布団。
今まさにとある営みの最中。
前列の艦娘が暗闇の中、掛け布団内部に突入を敢行した。
「「「わたしたちも混ざりまーーす」」」
「ひゃあーーーーーーーーーーー」
人間の絶叫!
「あれ、柔らかい」
「こっちは中尉だ」
「ちょ、胸を掴まないで」
「あん、ついてないから、ついてないから、まさぐっちゃいやー」
暗闇の中、中尉を始め、艦娘たちは混乱した。
出遅れた眼鏡が私室の灯りを点ける。
「うん?提督がいない」
布団の上には、着衣のはだけた中尉と艦娘たちしかいなかった。
= = = = =
「隣りが騒がしいな」
私室の大騒ぎで提督は執務室で目を覚ました。
「中尉!俺の身代わりに!」
ソファから跳ね起き、クッションの下から拳銃を取り出す。
スライドを引くと同時に私室に繋がるドアのノブに手をかける。
私室に飛び込み拳銃を構える。
「お前ら、動くな!」
銃を構える手がかすかに震える。
こんな豆鉄砲は、反逆者どもに無力だ。
「中尉、まだ生きてるか?」
「ちゅうさー。
生きてるよぉ」
はっきりした声に安心した。
しかし、その姿はすでに乱暴され尊厳を失われたようでもあった。
反逆者の中に武蔵を見つけた。
「お前もか」
俺は、諦めた。
拳銃から弾倉を抜き、布団に放り投げた。
拳銃の薬室に装填された1発をスライドを引いて排莢して、拳銃も布団へ放る。
俺は手を挙げて、抵抗しないことを知らせる。
そして、最後の望みを訴える。
「中尉は、艦娘を信じている。
彼女とは、きっといい関係になれるはずだ。
解放してやってくれ、頼む」
「中佐?」
唖然とする中尉。
「中尉、後任には、信頼できる人材を中将に頼んでくれ。
怖い思いをさせてすまなかった」
俺は、なるべく平静を保って、ゆっくりと話した。
自分に言い聞かせるように。
生き延びてほしいと思いがあったにしても艦娘たちにはひどい仕打ちをしてきた。
横流しという悪事に手も染めた。
どこかで恨みも買っていただろう。
漠然と最期はこうなると理解していたかもしれない。
さっきから、膝の震えが止まらない。
基本、俺は臆病だ。
生巡ズ、眼鏡ズもいる。
俺は、どこかで彼女たちと上手くやれてたような錯覚をしていた。
間宮がいる。
勘違いに気が付いた。
彼女の演技に騙されていたんだ。
全く間抜けた話だ。
彼女は虎視眈々とこの機会を伺っていたということだ。
「提督!
わたし提督を尊敬しています!
だから、だから・・・・」
吹雪が前にいる艦娘かき分け前に出てきた。
「吹雪、お前が俺の処分係か。
ユニホーム、俺の汚ぇ血で穢さねえようにな」
「提督」
吹雪が抱きついてきた。
可愛そうに、人を殺したくはないんだ。
娘がいれば、こんな感じかと頭を撫でてやる。
いつもみたいな髪型を乱すのでなく、ゆっくりと。
「さあ、落ち着いたら、できれば一思いに頼む」
俺は、できるだけ見苦しくないように目を閉じる。
しかし、恐れおののいている。
深海棲艦と相対したときよりずっと怯えている。
護るものがないというのがこれほど空虚なモノとは思いもしなかった。
俺は、最期の時を静かに待った。
いよいよブラックな提督は覚悟を決めました。
壮大な勘違いですが。