その秘められた攻撃力とは。
彼を応援してくださいね。
「こらー、そんなところで変なことしないのー」
廊下の窓から叫ぶ中尉。
小用を済まして執務室に戻るときにたまたま目撃したのだったが、少しびっくりした。
(あの様子だと伊勢と日向から逃げ出したみたいだけど、どうして
= = = = =
体育館兼講堂で艦娘たちは正座させられていた。
その中には、中将護衛の伊勢と日向の姿もあった。
そのころ、提督は執務室で中将とコーヒーを嗜んでいた。
体育館では中尉が腰に手を当てて、ご立腹だった。
「もう、艦娘なんだから恥じらいを忘れちゃダメよ。
パパは直接見てなったから、あんまり怒っていなかったけど、ある意味反逆ですからね」
「伊勢、日向、美鳳会のことは知ってるわ。
でも、やり過ぎだとみんなのことを嫌いになるからね」
「「はい」」
2隻の航空戦艦が、しょんぼりした。
「わたしの相手は、わたしが決めるから、余計なことをしないでね」
中尉は念を押すと2隻は小さくなった。
「中尉殿、質問いいですか?」
「吹雪、何?」
「中尉殿は、その、提督とお付き合いしているんですか?」
吹雪の核心を突く質問に中尉は真っ赤になって黙っていた。
「それはないぞ。
何もなかったからな」
武蔵がはっきり言ってしまった。
そう、てっきり何かがあったと全員が思っていた渦中の艦娘の直球発言だった。
「ふむ、武蔵がそういうなら、間違いなさそうだな」
早速長門が納得した。
「長門、もうちょっと疑ってよ」
「申し訳ありません。
しかし、中尉殿、昨夜はその、中尉殿の羨ま、いえ悩ましい声がしませんでしたので」
「え、あなたの部屋は、私室から離れて・・・・」
私室は艦娘の営舎とは別棟にある。
よほど大声でなければ、会話さえ聞こえるわけがない。
「ひぇ、いえ違うんです、ちょっと眠れなくてですね、皆の様子を・・・・」
長門は、執務室前の廊下で聞き耳を立てていたことを図らずも白状してしまった。
長門は昨晩私室に突入を敢行した艦娘たちから睨まれた。
「だって、中尉だけだったら、その、混ぜてもらおうかなって」
「長門、あなた、抜け駆けは酷いんじゃない」
「だって、陸奥はぐっすり眠っていたのよ」
姉妹艦の間に気まずい空気が漂った。
「もうこの話題はおしまい。
あー、恥ずかしい」
中尉は、話題をぶち切った。
彼女は、まだまだ初心なのだった。
「はい、みんな解散。
伊勢、日向、パパと帰るわよ」
パンパンと手を鳴らして、反省会をお開きにした中尉は、護衛2隻を連れて執務室に向かった。
「お嬢さま、わたしはおクルマを用意してきます」
日向は、1人と1隻から離れて、駐車場に向かった。
= = = = =
「閣下、終わったようです」
ざわつきが、体育館から溢れてきたことに提督が気が付いた。
「じゃあ、今度こそ帰ることとしよう。
騒がせてすまなかったな」
「ご心配なさらず。
今度は、大本営でお会いすることになるかと」
「そうだな 過激派の牽制に利用させてもらう」
2人は、階下に降りていくと呼びに来た中尉達を見つけて、そのまま駐車場に向かった。
すでに日向がハンドル握って待っていた。
「あー、わたしが運転しよう」
「いいえ、お戻りの時は、わたくしの番です」
いうことを聞かない日向だった。
「仕方ないなぁ」
早々に諦めるニコニコしている中将。
「ちょうど良いではないですか。
ごゆっくりお嬢さまとお話しください」
伊勢は親子水入らずを提案した。
「それもそうだな。
そうだ、美鳳。
中佐にお礼を言っておきなさい」
「・・・・急に、何よ?」
中尉パパの言葉に意図した何かを感じた中尉だった。
「成り行きはともかく、孫ができるなら、めでたいことだ。
母さんには、お前から連絡するかい?」
中尉パパ、中尉のできちゃった婚を容認していた。
「な、な、なんてこと言うのよーーー!!」
恥じらう
中将、大人の対応でした。