ブラック鎮守府で我が世の春を   作:破図弄

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どうにもかみ合わない提督。

中尉の気持ちはどうなるのか。

彼女を応援してくださいね。


第34話 課題

黒塗りのセダンを見送る。

 

何だろう。

あの父娘の落胆は。

俺が何かでしゃばるような真似をしたのか?

・・・・

これは、アレか、中将の娘をどうこう採点するようなことを言ったからか。

結婚のけの字も縁のない中年風情が。

 

確かに落ち込まない道理はないな。

中尉にメールを打っておくか。

 

<美鳳 様 

 先ほどは失礼した。

 貴官は魅力的で、小官には眩しすぎる>

=送信=

おっと、途中で送ってしまった。

<位で、良い相手と巡り合い、幸せになれると想う>

=送信=

 

 = = = = =

 

≪ピコンピコン≫

中佐からメール。

珍しいな。

<美鳳 様 

 先ほどは失礼した。

 貴官は魅力的で、小官には眩しすぎる>

え!何々!これって、気のせいじゃないよね。

 

≪ピコンピコン≫

また来た。

<位で、良い相手と巡り合い、幸せになれると想う>

位?階級のことかな?

この【想う】って、異性として考えるときの字だよね。

中佐ってば、わたしが中尉くらいでちょうどいいって想って(・・・)くれてるんだ。

 

わざわざ美鳳なんて、一度も呼んでくれないのに。

クフ、クフフ、もう、魅力的っていつもは言ってくれないのにぃ、あー、ダメダメ、照れ笑いが止まらないよぉ。

 

 = = = = =

 

 

「あー、女の扱いは、やっぱり苦手だ」

「提督がそのようにおっしゃるのは、滑稽ですね」

 

「なんだと、最近てめえ、生意気だな。

 解体すんぞ」

「フフ、いいですよ。

 提督がご希望なら、本望です。

 その前に、味見してはいかがですか?」

少し頬を染め、微笑む間宮だった。

 

「提督、その味見、先にこの武蔵によろしく頼む」

武蔵は、元から居場所がないので、訓練と食事以外は、執務室に(たむろ)している。

間宮は、最近、執務室に出前に来るようになっていた。

俺が飯を食い終わるまでテコでも動かない。

明石の胃袋を掴んでいる間宮は敵に回せない。

 

「くっそー、お前らは、どうしたいんだよ。

 ブラックなんだぞ」

「フフ、そうですね。

 このまま鎮守府の全員、贔屓してください。

 ご指名で提督のお相手するかもしれませんよ。

 わたしは、泣きながら嫌がって差し上げますし」

提督を呷る間宮。

その表情は、どこまでも柔らかだった。

 

「提督!この武蔵は・・・・優しくしてもらえないか。

 その、甘えながら果ててみたいのだ」

今までみせた態度の中で、一番照れていた。

 

「あー、女の扱いは、やっぱり苦手だ」

愚痴をこぼしながら、お代わりの茶碗を間宮に突き出す。

間宮は、その手を包み込むように受け取り、お代わりをよそって、提督に渡す。

 

≪くーーーーー≫

その横で武蔵の身体の一部は、緊急事態を報せ、彼女の眼は潤んでいた。

 

「お前、さっき飯食ってただろ」

「わたしは卑しい女だ。

 罵ってくれていい・・・・ごはんチョーダイ」

最近、武蔵は甘えることを覚えていた。

 

 = = = = =

 

「うーーーーー」

「どうした?」

「そろそろ戻らないと」

「そうだな、そろそろ戻らないとな【ニヤニヤ】」

 

「ふーーーーー」

「どうかした?」

「そろそろ戻らないと」

「そうですね、提督がお待ちですよ【ニヤニヤ】」

 

同艦で基本的に意気投合したものの、競合艦(ライバル)は少ない方がいい。

別れが近づく(ダッシュ)たちを快く送り出そうとする艦娘は、ついついにやけていた。

 

「わぁーーーーー。

 このまま、帰ってたまるかー。

 中佐ぁーーーー、オレの×××をいじめてくれーーーーー」

天龍’が、我慢しきれず執務室に突撃を敢行した。

「ちょっと天龍。

 ・・・・、わたしもーーーーーー」

大淀’は一思案しながらも、自分の気持ちに嘘がつけなかった。

天龍’に遅れはとるまいと最大船速で執務室を目指した。

 

2隻の巡洋艦は、突撃したが、想いを遂げられなかった。

しかし、畳床の上で上気する姿が確認された。




畳の上で何があったのでしょう?

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