ブラック鎮守府で我が世の春を   作:破図弄

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提督のブラックさに翻弄される艦娘たち。

忍耐の限界に近づく状況。

彼を応援してくださいね。




第39話 戦力増強

「高雄以下8隻着任いたします♪」

「あ、ああ。

 遠路ご苦労だった。

 入渠と洗濯を済ませて待機してくれ」

(重巡と駆逐艦の配属なんか聞いていないぞ)

突然の来訪者に提督は、素が出てしまった。

 

「てーとく、なんか優しいお言葉ですね」

大淀のドスの効いた低い声だった。

 

提督ははっとする。

斜め後ろに控えていた大淀に目を向けた。

「なんだぁ?、眼鏡。

 嫉妬かぁ?

 いつからお前は俺の女になったんだぁ?」

慌ててブラックさを取り繕う。

併せて、眼鏡の細い首を鷲掴みにして、引き寄せ襟元の匂いを嗅いでみせた。

「相変わらずメス臭いヤツだ、クヒヒ」

 

ボディソープの微香が微かに混じって香る。

 

「ええ、そうですよ。

 わたしはメス臭いですぅ。

 お気に召さないなら、香水を支給してください」

大淀は、首を傾げ提督の頭に頬を任せる。

 

「うるせえよ、俺がお前の好みを知るわけねえだろうが。

 さっさと解散だ!」

提督は、捨て台詞を残し、あわただしく去って行った。

 

眼鏡は、提督を見送り、着任したばかりの艦娘たちへと振り返る。

「ようこそ、ブラック鎮守府へ」

言葉の意味と裏腹に表情は、嬉々としていた。

 

 = = = = =

 

「あ゛ーー、さっきのは失敗だったなぁ」

俺は、執務室で唸るような声を上げていた。

椅子に浅く座り、だらしなく背中を預け天井を見ている。

 

第一印象を悪くして、ダメ押しで反感を買うというのが基本戦略だ。

そうすれば、艦娘たちは俺を憎み、命令を無視して生き残ろうとする。

今までそれでうまくいっている。

 

再会した艦娘たちは、俺を狙っているのがよくわかる。

鋭い視線は、獲物を仕留めようとやる気満々いうことだ。

それでいい。

ゲスな俺を憎む分、ともに戦おうとする提督たちの戦力になる。

 

戦力の底上げをし、深海棲艦の戦力をはるかに上回ることで到達できる条件。

一日も早く達成すれば、犠牲は少なくて済む。

 

≪コンコン≫

「入れ」

不意にノックの音がする。

躊躇わず入室を許可する。

 

≪カチャ≫

「高雄、入ります」

着任したての重巡だった。

 

「どうした?」

「あ、あの・・、改めて着任のご挨拶をと考えまして」

「そうか。

 適当に座れ。

 あと、ドアを閉めろ」

「はい」

≪カチャ≫

 

重巡はスタスタと歩いてくる。

「失礼します」

提督のすぐわきで立ち止まり、提督の向きを自分に向けると膝に座る。

 

「あ、あの。

 これからお付き合いすることになるので、優しくしてくださいね」

視線は逸らしたまま上着を脱ぎ始める重巡は、どこか手馴れているようだった。

 

「なかなかいい心がけだ。

 かわいがってやろうか、キヒヒ」

提督は重巡を抱えて席から立ち上がる。

腰に回された腕に抱えられ、胸を押し付ける形になった重巡は、片手を口元に当て俯いた。

 

ボタンがはじき飛びそうなシャツの中には、豊満な二つの柔肉が詰まっている。

男女ともに、魅惑的に見える輪郭を形成する。

 

提督は重巡の手を引き、私室へのドアを開く。

 

「お前ら、そこで何をしている?」

俺の目の前には、そろそろ見慣れ始めた部屋が見えたはずだが、そうではなかった。

寝床、正確には布団が異様に盛り上がっている。

 

「えーと、これはだな。

 万が一、先を越されたりするとだな」

潜んでいた艦娘たちが仲良く布団から顔だけ出した。

「この武蔵が被害担当艦としてだな」

「ふたりともいい加減本音を言った方がいいんじゃない?」

「てめぇに戦艦の相手は早ぇーてんだ。

 先にオレの腰を砕いてからだぜ」

ビッグ7、眼鏡戦艦、生巡だった。

 

≪ダダダダ!バタンッ!≫

「いないと思ったら、やっぱり。

 もうみんな部屋から出てください!」

私室のドアを蹴破るがごとく開け放ったのは、肩で息をする眼鏡だった。

 

「アラ、高雄サント手ヲオ繋ギニナッテイルノハ提督ジャアリマセンカ?」

壊れかかった自動人形のように歩いてくる大淀。

 

「お、大淀さん、わたし、わたしぃー」

ビビる提督の手を振り払い大淀に駆け寄る高雄。

 

自分より少し大柄な高雄を包み込むように抱きしめる大淀。

「大丈夫ですよ。

 さあ、みなさんのいるところに行きましょうか。

 みんなもですよ!」

 

提督をひとり残して、ぞろぞろと私室から出ていく艦娘たち。

 

最後に出る大淀が立ち止まり、振り向かずに言った。

「赤城さん、加賀さん」

 

≪カタン≫

クローゼットの戸がひとりでに開く。

中から2隻がトボトボと出てきて、大淀のわきを通って廊下に出る。

 

「てーとく・・・・、メッ!ですからね」




もう提督にとって安全なところが無くなったかもしれません。
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