ブラック鎮守府で我が世の春を   作:破図弄

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羊羹に釣られた眼鏡。

早くも飴と鞭。

彼を応援してくださいね。


第9話 鎮守府支配宣言

岬の向こうに傾いていく夕日。

 

シーツを取り込みに上がった屋上で見とれて、一服することにした。

眺めてながら、リトルシガーをゆっくり嗜む。

揺るがしているとのんびりした気分になれる。

タバコは、習慣にならないおかげで、健康のことは気にしなくてすんでいる。

艦娘(あいつ)らが命がけだし、健康もクソもない。

 

シーツも無事乾いて、布団もふっくら。

今日の安眠は約束された。

 

いい感じだ。

 

提督着任1日目としては、上出来だろう。

 

化物の襲撃がなくてよかった。

先任(クソ)のせいだが、お隣さんに哨戒以上の迷惑をかけるのは、心苦しい。

 

「・・・・柄じゃねえな」

 

 = = = = =

 

私室の寝床を整えて、柱時計に目をやると18時45分。

 

「・・・・」

 

隣りの執務室には眼鏡が居る。

 

≪カチャッ≫

「おい、そろそろ」

「キャッ!」

 

眼鏡のヤツ、何に驚いたんだ?

おまけに両手を手刀にして、身構えている。

「?、何してんだ?」

「・・・・」

 

「来い」

「・・・・」

 

「早くしろよ、グズ」

俺は眼鏡の後ろに回り込み、蹴りを入れて、突き飛ばす。

眼鏡は、痛みを我慢したのか、呻きもせず、よろめいた先で、また身構えた。

 

「ふざけてる暇はねえんだよ、解体するぞ」

眼鏡の顔に何かを諦めたような表情が見えた。

 

ようやく仕事になる。

「ほら、早くしろ」

俺は、眼鏡の細い華奢な手首を掴む。

 

「あう」

明らかに眼鏡が抗ってくる。

 

「怒るぞ」

いうと同時に蹴りを入れると眼鏡が従順になった。

 

「ほら、もたついてんじゃねえよ」

執務室から連れ出し食堂に向かうと眼鏡が何かを言ったみたいだが無視する。

「早くしろ。

 てか、お前。

 先に行って、全員の点呼済ましとけ」

眼鏡を突き飛ばし先に行かせた。

 

(眼鏡連れて遅刻って、舐められるだろうが)

 

 = = = = =

 

眼鏡:

提督が、提督の部屋でお布団の用意をしてる!

それって、まずいんじゃ。

誰になるんだろ。

みんなお風呂入らされてるって。

 

≪カチャッ≫

「おい、そろそろ」

「キャッ!」

 

(ウソ、わたしなの。お菓子で釣ったくらいで身体まで許すと思ったの?)

(そんな、安い女じゃないわ)

「?、何してんだ?」

(ふふん、わたしが身構えるって予想していなかったのね)

「・・・・」

(諦めて、お願い)

 

「来い」

(やっぱり、敵わないかも)

「・・・・」

(えーん、怖いよー)

 

「早くしろよ、グズ」

(どうしよ、どうしよ。痛い)

 

「ふざけてる暇はねえんだよ、解体するぞ」

(やっぱり、ダメなのね)

 

「ほら、早くしろ」

(あ、提督の手、大きい。お願い、気持ちを整理させて)

「あう」

 

「怒るぞ」

(怖く言わないで、痛い)

 

「ほら、もたついてんじゃねえよ」

『え、提督のお部屋は、そっちじゃ』

 

「早くしろ。

 てか、お前。

 先に言って、全員の点呼済ましとけ」

(・・・・そりゃ、助かったのかもしれないけどぉ・・・・)

 

 = = = = =

 

「全員居るな。

 今日から俺が提督だ。

 言っておくことは一つ。

 ここでは、俺が責任者だ。

 俺の許可しないことは禁止する。

 反抗は許さん。

 お前らは俺のモノだ。

 以上。

 眼鏡、解散させろ」

食堂の雰囲気が微妙になったが、俺は気にしなかった。

 

「全員、解散!」

 

視線を感じた。

「大食いは、相変わらずだな」

粥の入った寸胴鍋の周りに陣取った戦艦たちが俺を睨んでいた。

 

手に持った柄杓が笑わせる。

「柄杓の扱いが上手くなったみたいだな。

 今度出撃の時に艤装してみたらどうだ、キヒヒ」

 

 




提督、初日に結構働いています。

ちょっと疲れて、ブラック成分が薄まってます。

今のところは【俺のモノ】宣言までです。



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