ブラック鎮守府で我が世の春を   作:破図弄

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単身、深海棲艦の呼び出しに応じる提督。

後を追う武蔵。

彼を応援してくださいね。




第42話 深海棲艦強襲<後編>

「なんだよ、こいつら。

 全然やる気がねえじゃねえか」

「姉御、そろそろ弾がなくなっちまいまさぁ」

「ダメ、こっちに合わせて包囲を変えてくる」

「どちくしょー、一思いにやりやがれー」

重巡4隻、駆逐艦4隻は、深海棲艦の圧倒的航空兵力に押されていた。

何機かの深()チビは、叩き落とせたが、艦娘たちは小破のまま消耗している。

 

 = = = = =

 

「コノカンムスタチハ、カレノカンムスジャナイ」

「ナゼ、ワカル?」

「ウゴキガニブイ。

 カレノハ、ニゲアシガ、ハヤイ」

「ソウ、ダッタラ、シトメル?」

「ソウスルト、カレト、ハナシガ、デキナクナル」

「・・・・モウスコシ、アソンデオク」

戦艦級と飛行場姫は、短い会話を交わした後、じり貧になっていく艦娘たちを眺めていた。

 

 = = = = =

 

「おー、まだ生きてたかってか、損傷少ねぇな」

 

外洋に出てチビたちが乗り込んでいることに気が付いた。

チビたちと握り飯を分けて、チビたちが食い終わるころ、包囲網が見えてきた。

 

深海棲艦と艦娘の間にボートを割り込ませる。

 

「やっぱり、お前だったか」

「ヒサシブリ、マタ、アエタ」

深海棲艦戦艦級は、微笑んだ。

前回は、恐怖が先に立っていたので見間違いかと思ったが、冷静に観察すると見覚えがあった。

「あいにく、今日は弁当を持ってきてねえんだ」

「ソレハ、ザンネンダ」

そう、戦艦級とは将校クラブのある街で逢った少女だった。

あの時は尻尾の頭は無かった。

アレが艤装なのだろう。

 

「ネェ、レキュウ。

 ワタシニ、ショウカイシテクレナイノ?」

もう一人の深海棲艦が会話に加わった。

「お前たちは、美人が多いな」

「フフフ、ニンゲン、コノヒコウジョウキガ、オダテニノルト、オモウカ」

そう言って見せたが、顔が引きつっていた。

 

(素直にうれしいのか?

 まあ感情はあるようだから、わからなくもない)

 

「ちょっと待てよ!

 お前ら、グルだったのか!?」

高雄が後ろで叫んだ。

 

提督が振り返る。

「そんなわけねぇよ。

 こいつらが酔狂で俺を揶揄ってんだよ」

「ほー、その割に、ずいぶん親しそうだな」

高雄は提督の言葉を信じなかった。

 

「信じなくていいさ。

 俺が身代わりだから、お前らは鎮守府に帰れ。

 後のことは大淀に任せた」

提督は、深海棲艦の方に向きかえる。

 

「ヤクソクダ。

 ダガ、アノ、カンタイハ、ゲイゲキスル」

飛行場姫の視線先には、駆逐艦たちが居た。

 

「あー、ちょっと待ってくれ。

 あいつらは、俺の迎えに来ただけだから、手は出さないように命令する」

「コノジョウキョウデ、シンジロト?」

 

「提督、うふふふふっ。

 あはははっ!

 このまま勝っちゃえばいいじゃない」

荒潮がボートの縁で海面に浮かぶ深()チビに照準を合わせる。

 

「やめろ、戦意の無いヤツを撃つんじゃない!」

「何をきれいごとを言っていらっしゃるのかしら。

 オレたちが命がけで戦ってきたんだよ。

 お前たち軍人の指図は受けねぇーの」

≪パーン≫

 

 = = = = =

 

深海棲艦の航空兵力を威嚇しながら、最初に駆け付けたのは初月だった。

 

しかし、それは彼女にとって不幸なことだった。

 

ほんの10m先で駆逐艦が発砲した。

その先に海面に浮かぶ深海棲艦の艦載機(たこやき)を撃ったのだ。

 

そして撃ち抜かれたのは、提督。

 

初月には艦載機(たこやき)を庇ったように見えた。

 

ボートに突っ込むように駆ける初月。

ボートの縁でぐったりする提督を抱き起す。

「提督、提督しっかり」

彼の顔を見て絶望した。

右のこめかみから右目にかけて顔がなかった。

 

「あううあうあうあう」

荒潮が気を失いそうになる。

 

「キサマラーーーーー!!」

レ級の尻尾の砲身が包囲している8隻に向けられる。

「コレハ、ユルセナイ」

飛行場姫が、滞空中の艦載機に合図を送ろうとしたその時だった。

 

「やめてくれ。

 お前たちが無駄に争うのは、み・・た・・く・・な・・ぃ」

一瞬意識の戻った提督は、手で深海棲艦に制止を促し、一言残して、またぐったりした。

 

血まみれの初月を見て、遅れて駆け付けた駆逐艦たちは立ちすくんでいた。

艦娘は、溢れるような出血はしない。

その見慣れない光景に未知への恐れを抱いてしまった。

 

「初月!提督はどうなった?」

「武蔵さーん、提督の、提督の顔が、顔が半分なくなってるー、僕、僕ーー」

武蔵が提督と狂わんばかりに叫ぶ初月ごと抱きかかえる。

初月の言わんとしたことは、すぐに理解できた。

俯いた提督の顔は見えないが、ドロドロと血糊が垂れてあっという間に血だらけになった。

 

武蔵は、ふたりを寝かせ、さらしを解いた。

提督の顔にさらしを巻く。

見る見るうちに赤黒く滲んでくる。




どうなる!提督!
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