とある画像を見たら脳に電流が走ったので、ササッと書きました。
ホントにワンシーンなので思いっきり短いです。
※pixivに同時掲載。
「はぁ……」
とある鎮守府の海岸近く。その鎮守府の提督である俺は、夕日の沈んでいく水平線を眺めながら、一つ溜息を吐いた。
侵攻されている海域の攻略も一段落し、艦娘達には次の作戦に備えて活動を休止させている。いくら艦娘といえど、人の体を持つ限りは、休みが無ければ実力を発揮できないのだ。
俺はというと、次に発動する作戦が上手くいくかどうかの不安感が拭えず、こうしてオレンジ色の海を眺めて心の中を整理していた。
「……これでいいのだろうか」
「提督? このようなところで、どうかされましたか?」
「……ん、海風か……」
俺の後ろにいたのは、白露型七番艦、海風。
彼女は和やかな笑みを浮かべつつ、後ろで手を組んでそこへ立っていた。今日の秘書艦は彼女だったので、恐らく俺のことを探しに来たのだろう。
「いや、少し考え事をしていてな……」
「そうでしたか……海風で良ければ、考え事についてお聞きしてもよろしいでしょうか?」
「……まあ、海風は口堅そうだし、一人くらいならいいか」
心の内を話すことに少し躊躇したが、話した方が気分が良くなると聞く。俺は海風に隣へ来るよう促した。
「では、隣、失礼しますね」
海風が隣へ来たのを確認すると、再び夕日へと視線を移した。
「それで、何を考えていたんですか?」
「……実は、この後の作戦が上手くいくか不安でな」
「不安、ですか」
「ああ。いや、決して皆の実力を疑っているわけではないんだ。ただ、この戦いで誰かが欠けるんじゃないか、とか考えてしまってな……」
「なるほど……」
海風はきちんと聞いてくれているらしく、きちんと相槌を打ってくれている。
「立場上、こういう話を誰かにするわけにもいかなくてな……」
「…………」
ふと海風がこちらへ向き直り、俺の顔を見つめてきた。
その視線が妙に恥ずかしく感じて目を下へ逸らすと、海風は顔を近づけてきた。
「大丈夫です、提督。海風の見てきた提督は、必ず作戦を成功させていました」
「…………」
「時には危ない橋を渡ることもありましたが……皆欠けずにここまで来たんです。だから、きっと……きっと、今回も大丈夫です」
「海風……」
ふと、夕日に照らされている海風の顔を見る。
──その顔に浮かぶものは彼女の決意。
やる気に満ち溢れている顔が、そこにはあった。
「なんて、海風の言葉が励ましになるかわからないですが……」
表情が一転二転するその姿は、まるで海を征く戦乙女のオンとオフのようで。
俺は、彼女のその姿に勇気と安らぎのようなものを貰ったのかもしれない。
「……そうだよな。俺は、頑張っているんだよな……」
──皆欠けずにここまで来たんです。だから、きっと……きっと、今回も大丈夫です。
俺は、その祈りに近い言葉によって心を動かされていた。
「何故かわからないが、俺なら出来る気がしてきた」
「……! 本当ですか! 良かったです……!」
俺は海風へと顔を向け、笑みを見せた。
「ありがとう、海風」
「は、はいっ!」
「さて、作戦の報告書でもまとめるか!」
「はい! 残りも少しなので、頑張りましょう!」
日が八割ほど沈み、日と反対の空は、もうすぐ夜が訪れることを告げていた。
俺はその夕日を背に、海岸を離れた。
「……提督はズルいです……本当に……」