オブリビオンゲート 異世界龍 彼の地にて 斯く集えし 作:ArAnEl
皆さんありがとうございます。
これも皆様のおかげ……
アルドゥイン「我のおかげだな」
あと誤字脱字報告ありがとうございます。
見て恥ずかしい間違いもありました……
遅かった。
別に僅差でもなんでもない。遅かった、という表現自体間違っていたかもしれない。
撃った弾はほぼ全て命中。64式の7.62mmとブローニング重機関銃の12.7mm。
炎龍も目などの弱点のある頭部はひるむ程度は効いた。
そしてこの漆黒の龍は、炎龍のように硬い鱗で弾丸が弾かれるようなことはあまりなかった。しかし貫通もしていない。つまり攻撃が無効化されているのだ。
「ちくしょう!なんで効いてねぇんだ!」
桑原曹長の怒りを込めた罵声聞こえた。あまりにも汚い言葉が続くので省略させていただく。
弾は当たっている。しかし効いていない。これは現在の科学では到底説明のつかない現象が起きていた。
さらに悪いことが起きた。それは漆黒の龍の目的を止めれなかったことである。
先ほど倒したはずの炎龍の身体輝くと同時にあちこち傷が塞がり始めたのだ。もちろん頭部の穴も。
「やべぇっすよ!復活の呪文じゃないっすか!」
「くそっ!これじゃあ持たない。総員撃ち方止め!撤退準備、および目標を炎龍とする!」
伊丹は漆黒の龍は勝てないと判断した。援護要請も可能だが、そんな悠長なことはしていられない。
せめて倒せる炎龍に的を絞り、後の被害を抑えることを優先したのかもしれない。
炎龍の残骸はみるみる生気を取り戻し、ついには生前同様二本足で立てるようにまでなった。
(ふむ……)
アルドゥインは炎龍の元の姿を見て様子を伺っていた。
自らと違い、腕が二本ある。
ちなみにアルドゥインはコウモリのように腕が翼である。
(骨格は我より少し大きめにしたところか。しかし翼が小さいので飛行は我の方が勝るであろう)
そして最大の特徴は、定命種のドラゴン。
自らとはまったくことなる、生物としてのドラゴンであった。
炎龍は得体の知れない漆黒の龍を見てから常に威嚇をしている。アルドゥイン別に威圧しているつもりはないが、存在自体が威圧的なので仕方がない。
「
アルドゥインの問いに返ってきたのは火炎放射であったが。
しかし言葉通り全く効かなかった。炎龍は驚きのあまり開いた口が塞がらなかった。
そりゃ生態系の頂点であった炎龍の得意技の炎が効かなかったのだ。さぞショックだったろう。
(ふむ、我の言葉の意味を知らぬと見える。我が偉大な龍語が通じぬとは誠に残念なものよ。だがしかし、これならどうだ)
「お主、我の言葉が分かるか?」
この言葉は伊丹たちにもコダ村の避難民たちにも分からなかった。むしろ言葉というより獣的な叫び声のようだった。
しかし、炎龍がさらに恐れたような態度をとった。恐らく理解したのだろう。
「ふむ、理解したようだな。我は父アカトッシュの最高傑作であり、世界を喰らう者であるアルドゥ……」
ボーン!
アルドゥインは左頬に何か当たってはじけた気がした。
「うぉい勝本ー!炎龍狙えって言ったろ!」
「すいません隊長!またはずしてしまいましたー!」
炎龍を仕留めるはずのパンツァーファウストは炎龍を飛び越えて上でホバリング中のアルドゥインの右頰に当たってしまった。
あるよね、こういうこと。当たって欲しくない時に限って何故かクリティカルヒットしちゃうとか。
「……」
「「……」」
皆息を呑んで伺っていた。反撃が来るか、それとも逃走するか?
実は過失であるものの、伊丹たちは大変大きな間違いを犯してしまったのだ。
アルドゥインは実は人間に興味はない。日本人が食べる米粒程度、つまり食料程度にしか思ってなかった。魂の補充や破壊衝動がなければ自らわざわざ面倒くさいことはしないのだ。
(破壊衝動や魂の補充の頻度は多いが)
しかも攻撃されようが効かないので気にもならない。実際、痛くも痒くもない。ただ一つ気に入らなかったことがある。
話を途中で遮られたこと。
それだけ。
「
『
「やべ!来るぞ、ブレ……ス?」
伊丹はブレスが来ると思ったが、何も出なかった、と思った。
この
名前の通り、これは言葉を純粋な衝撃力に変えることにより、放った方向なある人、物などを吹き飛ばすスームである。
かつて龍が初めて人間種に教えたシャウトとも言われている。
たかが基本、されど基本。
地味にして究極。
人がこれを使えば最大威力で10人ほど吹き飛ばせるという。
では彼が使った場合……
「「「ふぎゃーーー!?」」」
ご覧の通りである。
草むらに隠れていた伊丹たちは根こそぎ吹き飛ばされた。それとも流されたというべきか。
車両も比較的遠くに避難していた子ども、老人などが載っていたトラックを除き、物理法則を無視するが如く飛ばされた。
ちょっとした台風より強いかもしれない。いや、絶対強い。
伊丹たちはまだ良い方だ。避難民はなす術もなく吹き飛ばされ、木々にぶつかったり、頭部などを打って致命傷、はたまた命を落とす者さえいた。吹き飛ばされた荷車や車両の下敷きになるという二次災害も起きたようだ。
「ふむ、これで少しは静かになるだろう。ところでドヴァよ……ん?」
アルドゥインは振り向くといつの間にか炎龍が遠くへ飛び立ったのが見える。
「む!?意外と速いのだな。どれ、我も行くか、ん?」
「やっぱり貴方ねぇ!!」
ゴスロリ少女、もとい、今は陸自の迷彩シャツを着たエムロイの使徒、ロゥリィがハルバードを振りかざしながら高く跳躍した。
アルドゥインは驚愕した。まさか人間がこんな跳躍するわけがないからだ。しかしこの魂の大きさ、どこか見覚えがあった。確か数日前に感じたが、すぐ消失したものだ。
そしてもう一つ嫌な記憶が蘇った。
「ドヴァキンか!?」
しかしその予想も虚しく、ロゥリィはアルドゥインに一矢報いることもなく落下していった。本当にただ跳躍しただけである。
あと5メートル高く跳べば当たったかもしれない。まあ、当たったところで恐らくなんの効果もないが。
「あーれーーーーー!」
そのままロゥリィは荷車の一つに落下していった。
「…………」
「「…………」」
その場にいた者は唖然とした。もう本当に「なに、今の?」「なにがしたかったんだ?」状態である。
「むう、勘違いか。いや、しかしもしもの事もある。念には念だな、今回は前回のようにはいかないぞ!」
アルドゥインは止めを刺すべく急降下して荷車を目標に定める。
そしてその大きな口が荷車からやっと立ち上がったロゥリィに向かって襲いかかる。
「
ロゥリィはその真っ赤な口を見ると目をつぶった。
そのとき、遠くから魔法の氷と弾丸並みの速さの矢が飛んできた。
見事命中したが、ダメージはない。しかし気をそらすことはできた。
(ほう、変わったエルフとメイジだな)
アルドゥインは動きを止めると攻撃の主を見つける。
(なかなか良い魂を持っているではないか。こやつを食ったら次は貴様らだぁあ!?)
アルドゥインは何故今自分がひっくり返っているのかが理解できなかった。
目の前には逆さに映ったハルバードを振り切った少女が笑っていた。
「いいわぁ!あなたいいわぁ!その魂もらうわぁ!」
その少女の目は狂気的であった。というかイっちゃった目である。クレイジーな感じである。
そう言ってハルバードを高く振り上げた。
(
しかしアルドゥインは冷静であった。多少の予想外はあったものの、逆に情報を得ることもできた。
後は実際どうでもよかった。ちょうど怒りも収まったようである。
「天に召されなさい!」
「『
ハルバードが振り下ろされた。そして大きな音とともに砂煙が舞い上がった。
しかしアルドゥインのスームの方が早かった。別に間に合わなくても問題はないが、成功した方が優越感はあると感じたのだろう。
「ちっ!?」
ロゥリィの狂気の笑みは怒りの笑みへと変わった。
ハルバードは見事
アルドゥインは現在半透明であるが、目視できるほどであり、龍の幽霊のような感じである。
今の彼はありとあらゆる攻撃、魔法、物理法則が適用されず、干渉もされない。しかし、これは彼が世界に対しても同様である。
(やれやれ、我のスームは強力過ぎるのも考えものだな。この状態が3日も続くと考えると不便なものだ)
そして空に向かって浮き始めた。
「こら、卑怯者!降りてきなさーい!」
先ほどの少女が何やら叫んでいるが、無視することにした。
(あやつは要注意だな。対策でも立てるがよいだろう)
そしていつの間にか目視できない距離まで飛んで行ってしまった。
「いてて……何とか無事か、みんな?」
伊丹は隊員の身体、装具の異常を確認する。
隊員は軽傷で済んだが、装備、車両、避難民の状態は大変よろしくなかった。
「……こりゃ帰ったらどやされるかなあ……」
伊丹は大きくため息を吐いた。
アルドゥインは切れたりすると龍語が咄嗟に出てしまうという設定でお願いします。
各作品の龍の大きさって実際どれくらいなんだろうね。