オブリビオンゲート 異世界龍 彼の地にて 斯く集えし   作:ArAnEl

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アル様の出番少ないけど、特地のドラゴンが頑張ってくれる模様です。

デイドラ「最近私の出番ないわあ」

デイドラは心臓さえ提供していただければ良いのです。

デイドラ「え?」


ユーエイチ・ハンター・ダウン

イタリカでは伊丹たちは外壁の修復を支援したりと着々攻撃に向けて準備していた。

 

街の民兵も魔導師、エルフ、エムロイの使徒、そしてそして何より炎龍を倒したと言われる緑の人たちが味方してくれると聞き、士気が上がっていた。

 

伊丹たちも当初援軍が来るまでの全面的な支援をするかと思いきやピニャは最前線の一角である南門の防衛を求めた。

 

イタリカは街であるめ、東門と南門ではかなりの距離があり、これでは臨機応変の対応ができない、と伊丹たちは思うのであった。

 

これは伊丹は援軍か来るまでの間防衛ラインに戦力を集中して守りきれば良いという考えに対し、ピニャは相手を一度防衛線を突破させて自分たちが有利な状況にて消耗戦を強いるという戦術的な違いによって生じている。

 

別にピニャの戦術が悪いわけではない。むしろ今の状況を考えると結構理にかなっている。

 

見方は少ないが、敵も絶望的に多いわけではないので、イタリカを完全包囲はできない。となると敵も相手の弱点となる箇所に戦力を集中して突破する必要がある。そこでピニャは相手に弱いところと見せかけてそこに主戦力を投じるという戦法をとるつもりのようだ。

 

この姫実はできる、と作者は思う。これでも一応は日本では未成年なのだ。さすがは姫様。

 

まあ、伊丹とはそもそも世界が違うから仕方がないのだが。

 

 

というわけで、敵も見方も着々と準備が進んでいる。桑原曹長は隊員に位置取りを指示したり、栗林は個人用暗視装置を配っている。気がつけばもう辺りは暗くなっている。

 

そんな中、ロゥリィは伊丹に向かって尋ねた。

 

 

「ねえ、敵であるはずの帝国に、どうして味方しようとしているのかしらぁ?」

 

「街の人を守るためさ」

 

「本気で言ってるのぉ?」

 

 

どうやらロゥリィは伊丹たちの行動が理解できないようだ。

 

 

「理由が気になるのか?」

 

「エムロイは戦いの神。人を(あや)めることは否定しないわぁ。でもそれだけに動機がとても重視されるの。偽りや欺きは魂を汚すことになるわよぉ」

 

「ここの住民を守るため。それは嘘じゃない。ただ、もう一つ理由がある。俺たちと喧嘩するより、仲良くしたほうが得かも、とあのお姫様に理解して貰うためさ」

 

 

これを聞いたロゥリィは邪悪そうに微笑んだ。

 

 

「気に入った、気に入ったわぁ。それ。お姫様の魂魄に恐怖を植え付ける。自分はこんなものを敵に回している、と思わせ喧嘩するより仲良くしたいとおもわせるのねぇ」

 

 

まあ伊丹の認識とはずれるが、本質は間違っていない。うちらの世界にもそんな国たくさんあるもんね……

 

 

「そういうことなら、是非協力したいわぁ。私も久々に、狂えそうで楽しみぃ」

 

 

 

戦闘が開始したのは日の出の数時間前の真夜中であった。

 

余談だがさすがは元正規兵である。我々の世界の『孫子』にも日の出の前はもっとも人間が集中力が無くなるため、攻めるのにもっとも良い時間帯とされている。異世界でも常識のようである。

 

というわけであちこちで阿鼻叫喚の地獄絵図が繰り広げられる。でも暗いのであまり見えない、はず。というかほとんどの者はそんなこと気にしている場合ではないが。

 

元正規兵の多い盗賊団は何かに取り憑かれたかのように進軍する。

 

そして互いの弓戦によってまず火蓋は切られる。

 

現代戦のように暗視装置や照明弾は無い彼らは松明の僅かな明かりなどで戦う。

 

弓で、剣で、槍で、騎馬で、溶けた鉛で、熱湯で、石で、攻城槌で、そしてときには素手で人々は殺しあった。

 

一応ベテランの兵士の多い敵は先ほどの失敗を基により慎重に来るものかと思われたが、もうまるで溢れた洪水の如く勢いで攻めてきた。

 

殺して殺されてまるで死に場所を見つけたかのように。事実、アルヌス戦で自衛隊に一方的に戦闘とも言えないような戦闘によって肉体的にも精神的にも完膚なきまで叩きのめされた彼らは戦いに飢えていた。

 

そう、これこそ戦いなり。我は死に場所を見つけたなり。

 

と思っている者も実は至りする。

ホント戦争って地獄だね。

 

予想外の勢いにピニャを始めとするイタリカ側の人間は急速に士気を落としていくのであった。

 

しかもどうもこちらの矢が当たらないと思ったら矢が避けていくのだ。ノーマは敵に精霊魔法使いがいると判断した。

 

一方、南門では一人すごく機嫌が悪そうな者がいた。何やらすごく怖い顔して仁王立ちし、右手に巨大なハルバートを構えている。話しかけようものならその右手にあるものでぶっ叩きるぞ、という表情である。

 

 

「なんでよぉ!ここに攻めてくるんじゃなかったのぉ!?」

 

 

なんでイライラしてるんだろ。伊丹は恐る恐るレレイに聞いてみるが、原因は分からないと。

 

ただ、レレイの説明によると、戦場で倒れてゆく兵士の魂はロゥリィの肉体を通してエムロイの元へ召される。その際、多少の差はあるものの彼女に対して魔薬のような作用が起るので、快楽を得ることがある。

 

はずなのだが今の彼女を見るに快楽とは程遠い表情をしている。これもその作用の一つなの?それともなんか欲求不満なの?と聞きたくなるがレレイは原因は分からないと。

 

 

「きーー!このままじゃおかしくなっちゃう!」

 

 

腹の奥からの怒鳴り。彼女の声を聞いていた隊員の戸津はびくっと震えた。

 

 

「やべーよ、こえーよ……」

 

「いうな、俺もだ……」

 

 

別に怖いというわけではなく、何か男の本能が告げるのだ。この少女はやばい。

 

 

「栗林、ロゥリィに付いてやってくれ。男だと色々まずいかもしれないから」

 

 

あとなんかあっても多分お前なら死なないし、と伊丹は心の中でつぶやくのであった。

 

しかしロゥリィはとうとう自分の中何かが切れたらしく、3階ほどの高さのある城壁を飛び降りると、「やろう、ぶっ殺してやるぅ!」とか言いながら東門へと走って行った。

 

 

「富田陸曹と俺、そしてロゥリィと栗林の4人で東門に行く。桑原曹長、あとは頼む」

 

 

伊丹たちも近くにあった73式トラックに乗り込んで東門へと向かった。

 

 

 

この状況を遥か上空から見物していた者がいた。世界を喰らう者(ワールドイーター)、アルドゥイン。ロゥリィが欲求不満になる原因を作った(?)張本人である。

 

 

(見ているだけ、というのもいささか面白いものだな。これを見るとやはり定命者(ジョール)は愚かな生物だ。未だ我がやられたのも疑問におもう)

 

 

アルドゥインは身体に吸収されてゆく魂を堪能しながら様子を見ていた。

 

アルドゥインは自己や他の龍の魂を原動力としている他、人間など定命者の魂も利用している。

 

かつては下界(スカイリム)あの世(ソブンガルデ)をわざわざ行き来して英雄の魂を喰らっていたが、今自分に直接入ってゆく。便利な世の中になったものだ、としみじみ思うのであった。

 

まあかつての彼ならともかく、今やそこら辺の雑兵の魂などスズメの涙にすらならないが。

 

ちなみに、彼が好んで人の魂を喰らうのにも実は理由がある。あちら(スカイリム)の世界ではドラゴン、デイドラ(ドレモラ)などを除いて最も強く、量もある魂は人間なのだ。

 

あちらでは魂縛(ソウルトラップ)という魔法技術があるが、他の動物魂が普通の魂石(ソウルジェム)に魂縛できるのに対し、人の魂は黒魂石(ブラックソウルジェム)という特殊なものでしかできないのだ。

 

例えマンモスより弱いそこら辺の盗賊でもマンモスより魂は大きいらしい。あちら(スカイリム)では。

 

アルドゥインはそろそろ飽きたらしく、移動するかと思った矢先に何か奇妙なものを発見した。

 

イタリカに向かう空飛ぶ鉄の箱のようなもの。中には人間がいる模様。

 

はて、なんだあれはと素直に思った。自然界どころか天界でも一応(スカイリムでは)トップのドラゴンの彼でも、見たことがないものは無いのだ。

 

 

(なんだあれは?鉄の箱の上に何かが高速で回転して鳥のように飛んでおる。魔法具か?)

 

 

否、魔力は感じないと自分で否定する。そして記憶の中に思い当たる節が無いか模索する。

 

あった。

 

見たわけでは無いが部下がかつてDwemer(ドワーフ)の遺跡にあるカラクリについて話しているのを聞いたことがある。どうも水を気化したエネルギーを原動力とし、それに魔法を組み合わせてゴーレムなどを動かす技術らしい。

 

そういえばこの鉄の箱もカラクリっぽい。

 

そうしてもう一つは、炎龍との出会いで見つけた緑の兵士。魔法ではないが魔法っぽい何かで攻撃していた。これにこやつらも同じような色をしている。

 

もしこやつらが奴らの仲間なら、今後の展開が予想できてしまう。一方的な殺戮による勝利。どう見ても技術の差がありすぎるとアルドゥインは判断した。

 

 

(つまらん。真につまらん。殺して殺されることによって魂がより良いものとなり、さらに量も増える。我が霊体化してなければさらに喰らってやるのだが)

 

 

こやつらのせいで街側の人間は多くいきのこるだろうなと舌打ちするアルドゥインであった。

 

と思った矢先、周りの翼竜が一気に急降下していった。

 

何事か。と一瞬おもったが、彼らの意図に気づき、心の奥でうすら笑みをうかべるのであった。

 

 

***

 

 

日の出約15分前

 

AH-1 コブラの3機編隊を先頭にして、UH-1J 等のヘリコプター集団が全速力でイタリカへと飛んでいた。

 

 

「健軍1佐!あと5分で現地到着です!」

 

 

副操縦士からの報告を指揮官は頷いて受けた。

 

指揮官ヘリの中で再度段取りを確認していた。武器装備の確認も行われる。

 

他にも、どっかの誰かが持ってきた巨大スピーカーの準備にかかるどっかの誰かさんもいる。

 

 

「あと、3ふ……」

「敵襲!」

 

 

副操縦士の言葉が終わらない内に機内の誰かが叫んだ。

 

その叫びにパイロットは反射的に回避運動をとった。

 

健軍1佐は急激に回転する機内から僅かに敵を目視するチャンスがあった。

 

翼竜(ワイバーン)の群れ。

 

高いG(重力)のかかる中、帝国のワイバーン竜騎兵かと思ったが、背中に人間はいない。

 

自分たちだけではない。他の機体も予想外の攻撃に驚きつつも回避運動を行っていた。

 

自衛隊の練度はさすがであった。あの不意打ち、しかも急降下からの攻撃を見事かわしたのだ。今のところ損害はない。ただUH-1内部は悲惨なことになってるが。

 

このまま行けば問題ないと健軍は思った。資料によればワイバーンはヘリほど速くない。ならこのまま行けばよい。

 

もし先程の攻撃だけならばの話だが。

 

 

「第2波、来ます!」

 

「全員しっかりとつかまっておけ!」

 

 

波状攻撃。

 

まさかここまで知能があると誰も思わなかった。

 

 

「畜生!やつらヘリのローターに当たって死ぬつもりか!?」

 

 

確かに、翼竜とはいえヘリのローターに当たれば最悪ミキサーのように細切れになることもある。

 

しかし、危険性はヘリも同じで、ローターがやられば、少しでも曲がるようなことがあれば揚力や操縦に多大な影響を与える。

 

最悪墜落する。

 

第2波は予想できたものの、最初より危険であった。

 

回避運動のためにスピードを落としたり後方へ下がれば後方からついてくる第1波の翼竜の餌食になってしまう。

 

それでも各パイロット、コ・パイロットはそれこそ生死をかけて努力した。

 

そして第2波も乗り越えた。もう上空にはいない。第3波の危険性はない。

 

誰もが安堵したそのとき、()()が起きた。

 

最後の攻撃の回避運動でバランスを崩したコブラが、健軍の乗るUH-1に急接近してしまった。

 

 

(まずい!)

 

 

パイロットもそう判断し、急遽回避運動をとる。

 

空中衝突という最悪のケースは免れた。

 

しかし健軍たちは自らの機体の後方でがりっ、と何か嫌な音がすると機体のの振動が激しくなった。

 

衝突は避けたが接触は避けられなかった。

 

 

「おい、何か接触したようだが大丈夫か!?」

 

 

健軍は各隊員に確認をとる。正直、少なくとも自分機体は大丈夫ではない。振動がさらに大きくなっているからだ。

 

 

『こちらコブラ2。こちらのメインローターがハンター1のテールローターに接触した模様。こちらに異常はない』

 

 

接触したコブラのパイロットから無線が入る。ただ、次の報告は悪いニュースであった。

 

 

『しかしこちらから確認できる範囲でも、そちらのテールローターの状況はかなり悪いと思われる』

 

 

予想通り……健軍は口を噛み締める。ここは諦めるしかない。まさかこんな結果になるとは思わなかった。しかし特地を見誤っていた自分に全責任がある。そう決断した。

 

 

『本部、こちら健軍1佐』

 

『こちら本部』

 

『不慮の事故が発生した。速やかに帰投する』

 

『了解、直ちに帰投せよ』

 

 

健軍は本部と短い連絡済ますと、すぐに全隊員に命令する。

 

 

「作戦中止。全隊員帰投する!コブラは後方の翼竜を威嚇、排除しつつ、他はゆっくりと針路を変更して帰投せよ!」

 

 

まずコブラがゆっくりと後方に下がり向きを変えるとバックしながら翼竜を威嚇射撃する。そして排除できるものからすこしずつ排除していく。

 

しかし健軍たちのハンター1もすこしずつスピードが落ちてきた。

 

 

「パイロット、どうだ。正直でいい、行けそうか?」

 

「……正直に申し上げますと、かなり厳しいです」

 

 

それを聞いた機内の隊員の表情が固くなる。

 

 

『各隊員に告げる。万一、ハンター1が離脱した場合でも、他の隊員は速やかに帰投すること。これは命令である』

 

 

健軍の命令に他のパイロットたちは少し時間をあけて了承する。つまり、これは見捨てろという意味だ。

 

援軍が来るまで警戒させる方法もあるが、燃料の問題やまたワイバーンが奇襲した場合被害が大きくなる可能性があると考えたからだ。それなら被害を最小限に抑え、態勢を整えさせる必要があると冷静に判断する。

 

 

***

 

 

桑原曹長は双眼鏡でこの様子をしっかり見ていた。点にしか見えないが、辛うじてヘリであることはわかった。

 

ハンター1が急激に揚力を失って墜落するまでを。

 

 

「嘘だろ……?」

 

 

手に握っていた双眼鏡を落とすのに気付いたのは数秒後だった。

 

 




某魔法少女アニメ見てソウルジェムと聞いて私はスカイリムを思い出してしまった。

あと題名や内容の一部は某映画からです。わかるかな?
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