オブリビオンゲート 異世界龍 彼の地にて 斯く集えし   作:ArAnEl

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誤字修正ありがとうございます。ただ、魔薬は原作でもこのようでしたので、恐らく特地には麻薬はないのでしょう。同じ効果の魔法の薬なんですよきっと。

あちらの亜人猫「猫は思う、ムーンシャインで作るスクーマみたいなことなのか」



猊下はヘリなくても勝てると思うの(原作なら)

「狭間陸将、お休みのところ失礼します」

 

「おう、かまわん。何かあったのか?」

 

 

柳田2尉が狭間陸将の寝室に入室した頃には既に陸将は起きていた。まだ出勤にはかなり早い時間帯だが。

 

 

「単刀直入に申し上げます。健軍1佐の率いる第4戦闘団が……」

 

 

単刀直入とは言ったものの、やはり口が重く感じる。狭間陸将はすぐにそれが悪い知らせと察した。

 

 

「何かの事故に巻き込まれたと考えられます」

 

 

 

***

 

 

『メーデー、メーデー。こちらハンター1、墜落する。テールローターが破損した模様。繰り返す、こちらハンター1、墜……』

 

 

録音された音源から大きな衝撃音と共にプツリと切れてしまった。

 

その場にいた誰もが言葉を発せなかった。

 

 

「これが全てか?」

 

 

最初に口を開いたのは狭間陸将。これだけではなく、今までの第4戦闘団と管制塔の全てのやり取りを聞いた。

 

 

「はい。これまでで全てです」

 

 

狭間の隣にいる柳田が答える。

 

 

「これでは生存者がいるのかどうかもわからんな……」

 

 

狭間はぐっと拳に力が入る。特地における多少のリスクの可能性は承知していた。しかし早期に本国でもなかなか無いような事故に見舞われるとは予想しなかった。そもそもこれを事故と見て良いのかも怪しい。これは戦闘なのか、動物による事故なのか、それともやはりヒューマンエラーなのか。

 

 

「このままではまずい。第3偵察隊の支援は延期となるが、まずはこちらの救助を優先する。すぐに救援隊を向かわせ、全員収容しろ!」

 

「狭間陸将、お待ちください!」

 

 

そこにいた者が各々の作業にかかろうとしたとか、柳田が止めた。

 

 

「私の予想では、航空優勢が確立されていません……」

 

 

航空優勢。現代戦における作戦遂行における鉄則である。これがあるか無いかで戦闘に勝敗の有無に関わる。もちろん、非正規戦などの例外はある。

 

現に航空優勢の無い自衛隊はさらなる損害を恐れてヘリコプターを出すことができない。さらに万一ということもあり、航空自衛隊の戦闘機を出すかどうかも躊躇ってしまう。かと言って陸上部隊を送れば時間がかかり過ぎてしまう。

 

 

「私に案があります」

 

 

ふと声の主に目を向けると、青い迷彩服を着た男がいる。一人だけ緑の迷彩に囲まれている姿は何となく異彩を放っている。

 

 

「草加、その案とは?」

 

「私の部隊をお使いください」

 

 

その言葉に他の幹部はざわめく。「海上(よそ)に任せられるか!」と怒鳴る幹部もいる。

 

 

「彼らは特殊な訓練を受けています。現に、定期的に特戦群と訓練、情報交換も行っています。救助後、第3偵察隊への支援も可能です。少なくとも、第3偵察隊の救出は可能です」

 

 

つまり、最悪の場合でも伊丹たちの命は保証はするということだ。

さらに隠密性、現在地が近いなどのその他の合理性についても説いた。

 

 

説明を聞いた幹部は皆黙ってしまった。冷静に聞いてみるとかなり合理的だとわかる。ただ一つ腑に落ちない所がある。それは狭間も例外ではなかった。

 

万一任せた場合、()()()()()がどうなるか、ということである。

 

結果がどうであれ、陸自の仕事を海自が横取りしたと感じたり、何か劣等感のようなものを感じるかもしれない。

 

統合運用の重要性が問われる今日においても、やはり日本社会は面子や立場と言うものを気にしているところはなかなか治るものではない。

 

 

(論理的に考えれば、今のところベストなのは彼の案だ。しかし、そうした場合陸自の各幹部の面子は丸潰れだ。私は構わんが、周りがどう判断するか……)

 

 

狭間陸将は最終決断に迫っていた。草加は海自だが、今は狭間の指揮下にいるため彼の行動権は狭間に委ねられている。彼がノーと言えば草加は承知するだろう。例え他の道が無くても。

 

 

「あともう一つ……」

 

 

その葛藤を草加は察したのか、それとも既に予想していたのか、新たに提案する。

 

 

「既に陸自に配慮して、彼ら全員陸自の迷彩服を装備しています。まだ我々がこちらにいることを知らない部隊もいると聞いてますので。それに伴い、今回の件は徹底して我々の素性を隠します。特戦群がやったことにすれば良いかと。そうすれば真相はここにいる我々しか知りません」

 

 

これを聞き、一部の幹部は「それなら仕方ない」といった感じで是認し始めた。しかし狭間や柳田はなぜかまだ険しい顔をしている。

 

 

「やれるのか?」

 

 

狭間は何か決断したのか、重い口を開く。

 

 

「はい、ご命令して頂ければ」

 

「分かった。なら第4戦闘団及び第3偵察隊の救助、支援の任務を君に任せる」

 

「了解。すぐに下達します。あと、衛生隊の準備をよろしくお願いします」

 

 

そういって一礼すると草加は作戦室を後にした。廊下を歩いていると後ろから誰かが近づいてくる、というか追いかけてきた。

 

 

「草加3佐。貴方は一体何がしたいのですか?」

 

 

柳田2尉はゆっくりかつ力強く尋ねた。しかし草加は振り向きもせず、その場で足を止める。

 

 

「ふむ、何がしたいかと問われても困るのだが。強いて言えば、私はあくまでも論理的に出した答えに過ぎない、と答えておこうか」

 

「そうですか、私には貴方のやり方が我々(陸自)の都合に良すぎて逆に何かあるのではないかと思ってしまいましてね」

 

「そうか、なら付け加えよう。私は日本のためにやっているだけと。それ以外何もない。陸自や海自のこだわりすら持ってないと言っておこう。それでは、時間が押しているので失敬」

 

 

草加の姿が見えなくなると、柳田は小さく舌打ちをする。

 

 

「くそ……一体あいつは何がしたいんだ……」

 

 

***

 

 

「……という訳で、これから救出作戦及び支援作戦を行う」

 

「「「え?」」」

 

 

加藤1尉は部下に宣言するが、何やら負の反応が返ってくる。

 

 

「しょうがねぇだろ、命令なんだから」

 

「あの、隊長……本当にこの装備でやるんですか?」

 

 

隊員の一人が恐る恐る質問する。

 

 

「……可及的速やかに行え、とのことなので帰って準備とか出来るわけないだろ、この装備で行う。不可能ではないでしょ?おい、お前らそんな目で俺を見るな!」

 

 

この装備、至って普通の装備である。つまり普通の装備で翼竜がいる場所、攻城戦中の軍隊に突撃しろということである。

 

 

「ちゃんと考えてあるから、勝てるから!」

 

「……隊長のこと信じますよ」

 

 

と皆準備にかかる。本当にこんな幹部で大丈夫かと聞きたくなるが、それは第3偵察隊も似たようなもんかもしれないので黙っておこう。

 

されど彼らは自衛官、なんだかんだ言ってちゃんと上官の命令には従い、支えてくれるのはやはり日頃の信頼関係おかげなのかもしれない。

 

彼らはそこら辺では売ってないような自転車に乗るとその場を後にした。

 

 

***

 

 

少しほど時間をさかのぼって

 

 

「ああ、くそ!支援隊はいつ来るんだ!」

 

 

案の定、ロゥリィと栗林は無双している。これ、特地無双ていうゲームですか?と普段の伊丹なら思いかねないが、来るはずの支援がまだこない。予定より30分過ぎている。

 

つまりロゥリィと栗林は30間格闘戦しているのだ。

 

剣道や柔道など格闘技している人ならわかりやすいかもしれないが、30分本気で格闘し続けることは相当厳しい。亜神(ロゥリィ)ならともかく、栗林は人間の女性である。

 

 

「なんだこの(あま)ぁぁあ!?」

 

 

敵がどっかの雑魚キャラみたいな断末魔を上げながら栗林に顔面を陥没させられる。

 

格闘徽章持ちがすごいのかそれとも彼女がすごいのかそれとも双方なのか。とにかく彼女はすんごい頑張ってる。いや、彼女は楽しんでいるといった方が正しいかもしれない。なぜ彼女を自衛隊のオリンピック候補にならなかったかが甚だ疑問である。

 

ぶっちゃけ伊丹は思った。支援来なくてもこいつらでよくね?と。

 

しかしそれは最初のほうだけであって、絶対数が足りない。この一角だけ勝てても全体としては負けてる気がすると伊丹の勘が言っていた。こういう嫌な勘はなぜか良く当たる。

 

現に、栗林は64式小銃1丁ダメにしたあげく伊丹から借りた(強奪した)小銃もそろそろダメになりそうである。伊丹は拳銃で応戦してるが、どちらかと言えば栗林の倒し損ねた敵を排除するといった支援だけだ。弾薬も残り少ない。

 

 

エムロイの下へ召されなさぁぁああい!(死になさぁぁああい!)

 

 

ロゥリィは相変わらずだが、効率が悪くなっている。これは決して彼女が疲れたり手を抜いてるわけではなくて、敵が慣れたのだ。

 

某格闘漫画によれば、人は多くても同時に4人しか相手にできないらしい。逆を言えば、同時な4人までしか倒せない。ロゥリィは例外としても、同時に倒せる人数に限りはある。

 

なので敵は密集して同時に襲いかかれば同時になぎ倒されるのを理解したらしく、彼女の攻撃範囲にぎりぎりはいるかはいらないかイライラするポイントで戦うことを学んだ。その結果、よりイライラさせただけだが、頭に血が上ってより効率が悪くなった模様。

 

 

『伊丹2尉!今よろしいですか!?』

 

 

無線で桑原曹長からだ。声からして緊急なのが分かった。

 

 

「何?今こっちもヤバイけど、そっちなんかあったの?」

 

『いえ、我々ではないのですが……支援に来るはずのヘリが撤退しました』

 

「へ?」

 

 

撤退?そもそも戦闘区域にすら来てないんですけど、と伊丹は思ったが口には出なかった。

 

 

『どうやら何かトラブルがあったのかと。実を言いますと先ほどヘリのようなものが急降下、もとい墜落していると思われるところを目撃しました』

 

 

正直伊丹は何かの聞き間違いであってほしいと思った。しかし現に支援ヘリが来てない。

 

 

『隊長、あと何やらこちらの門も怪しくなってきたので切ります。アウト』

 

 

この最後の言葉に伊丹は我に返った。今まで自分たちの周りしか見てなかったがよく全体を見ると敵が増えているのだ。

 

今までイタリカが相手していたのはほんの一部であったという事実を突き出され、伊丹は背筋が凍るような感覚がした。しかも何やら城壁内も騒がしい。

 

 

「各人撤退!城壁内へ戻れ!」

 

 

伊丹は最悪の事態に備えて、否、最悪事態を想定して撤退命令を出す。

 

 

「ちょっと!放しなさいよ!」

 

「もっとやらせろ!」

 

 

ロゥリィを俵を担ぐように抱え、栗林の首根っこ捕まえて伊丹と富田は73式トラックに戻り、南門へと撤退するのであった。

 

 

 

そんな彼らをアルドゥインは何か滑稽な物をみるかのように心の中で嘲笑っていた。




作者「我が主、アルドゥイン。この小説のキャッチコピーはなんでしょうか?」

アルドゥイン「全ジョール(生物)が(絶望で)泣いた」

作者「ふぇ?」
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