オブリビオンゲート 異世界龍 彼の地にて 斯く集えし 作:ArAnEl
ごめんなさい。もうちょい待ってね。
???「ガルルル…(早くしろ)」
「これでよし」
重傷者の手当ても終え、最低限の野営可能なテントなども建てた。これで救援隊が来るまで凌げるだろう。
「それでは我々は先を急ぎますので」
「イタリカか?」
準備を整え、出発しようとする加藤に健軍が尋ねる。黙って頷く加藤。
「ならばまだ動ける俺の部下を連れて行ってくれ。きっと役立ってみせる」
健軍の後ろにはまだ動ける隊員5名がこちらを見ていた。疲れはあるものの、士気は高そうだ。
「まあいいでしょう。戦力は多いことに越したことはないでしょう。ただし、健軍1佐、あなたも来てもらいます」
「俺もか。しかしなぜだ」
「貴方は第4戦闘団の指揮官です。貴方の部下は貴方が一番理解しているはずです」
部隊の力を発揮させるためにもその部隊に慣れ親しんだ指揮官をつけるのが効果的であるという判断だろう。
「怪我人は私の部下を2名護衛に任せるので問題ないでしょう」
「そうか、感謝する」
***
イタリカはかつてないほど泥沼化していた。
予期せぬ敵の増援、来るはずの見方増援の撤退、物資の不足、双方の多数の損害が戦闘を膠着状態にさせてしまった。
圧倒的数的有利な敵があまり攻めてこないのも
ただ、それが原因で敵は迂回、ゲリラ攻撃など非正規戦のような展開をしてきた。結果、一部城壁内に進入してパニックになったがなんとか鎮圧できた模様。
「どうしてみんな私を避けるのよぉ!」
いつも以上にご機嫌斜めなロゥリィはいつも以上に殺意のオーラを出していた。正直伊丹たちも一歩引いてる。
弾薬も残り僅かになり、伊丹たちもかなり体力を消耗してる。一人を除いて。
「皆さんも銃が使えなくなったら近接武器使えばいいんですよ!」
なんでだろう。この
とそこにいる隊員らはなんとも言えない目で見ていた。
「そ、そんな目で見ないでくださいよ!私だって64式があんなすぐ壊れると思わなかったんですよ。隊長のも壊したのは謝りますから!」
別にそんな意味で見てたわけじゃないんだけど。と伊丹は思った。しかし栗林は謝って済むかもしれないが、伊丹は報告書やら始末書やら書かないといけないことを想像して泣きたくなった。組織ってホントやだ……
「おい伊丹殿!」
振り向くとピニャがすごい勢いで伊丹に迫ってきた。
「援軍はどうしたのだ!?来ないではないか!」
「ピニャ殿下、それが援軍がドラゴンに遭遇して少し遅れるそうで……」
撤退と言葉は使わなかったが、一応嘘ではない。一応援軍は来る予定である。別のだけど。
ドラゴンと聞いてピニャの頭に一瞬例の漆黒の龍が過ぎったが、どうやら翼竜らしく、一瞬ホッと息をついた。もし漆黒の龍がいたらこんな街更地にされるかもしれん、と思ったからだ。
「しかし伊丹殿、もう我々には猶予がないのだ。早くしてもらわなければ
不味いのだ……」
「そりゃ十分承知してるのですけど……」
「姫様!また城門が突破されました!」
「あぁっ!もう!」
部下の報告に苛立ちを見せるピニャ。
しかし誰よりもまだ諦めていないのは流石である。
「よし、俺たちも行くぞ」
伊丹たちも支援すべく各々の装備を手に取る。一人だけなぜか槍を持っているが……
「隊長!発光信号です!」
桑原曹長の報告にすぐにその場所に双眼鏡を向ける。
人工的な光がゆっくりと規則的に点滅していた。
「隊長、読めますか?」
「ああ、一応通信隊で勉強したことある」
ト、ク、ム、タ、イ、ヨ、リ
ダ、イ、サ、ン、テ、イ、へ
コ、レ、ヨ、リ、シ、エ、ン、ス、ル
1、フ、ン、デ、ナ、イ、ブ、へ
ヒ、ナ、ン、セ、ヨ
オ、シ、マ、イ
特務隊より第3偵察隊へ
これより支援を行う、1分で内部へ避難せよ。伝達終わり
と伊丹は捉えた。
「ちょっとまて、避難しないといけないぐらいやばいもんなの?マジかよ……」
特務隊など聞いたことないが今はそんな悠長なこと言ってられない。伊丹はすぐに部下に城壁内に待機するように命じ、ピニャの方にもその旨を伝えた。
「やっとか!で、その援軍はどこにいるのだ?」
「まだ隠れていて……」
「何!?一体何をやっておるのだ、こんな時に!」
「ピニャ殿下、少々危険が予想されますので全員城壁内に退避するよう命じてください」
「うむ、もう少し待て。今ちょうど良いところなのだ」
「今命じてください」
「どうしても今か?」
「はい、無駄な犠牲を出したくなければ」
「ううむ……それなら仕方がない。全員門内へ退避せよ!」
それを聞いた民兵は急いで撤退し、門を閉じる。途中敵が追ってきたりしたがなんとか間に合った模様。
とそのとき、そらから何か風を切るような音がその場にいる全員に聞こえた。
ヒュルルルルルーー
***
「おお、やってるやってる」
「この音は……迫撃砲か?」
「まあ、そんなもんです」
健軍1佐率いる第4戦闘団の一部と加藤1尉率いる特務隊一部が特務隊の本隊に遅れて合流してきた。
「班長、状況報告せよ」
「はい。指示通り試験型軽迫撃砲による鎮圧を行っております。まだ進行中であるためまだ結果は出ておりません!」
「試験弾だな。風向きが変わるかもしれないから十分に注意するように。その際はガスマスクの着用を徹底せよ」
「了解」
班長は報告を終えるとまた指揮に戻る。
「加藤1尉、これは一体……?」
健軍1佐は次々と迫撃砲弾が撃ち込まれるイタリカ周辺、そして使用している迫撃砲そのものに驚きを隠せないでいた。
まず迫撃砲。外見は明らかに一般的な迫撃砲とは異なる。
なぜか自転車の部品のようなものがあちこち見られる。台座は車輪、調整器はペダル、などなど。誰がどう見ても自転車の部品である。
「あ、詳しいことは答えられないので聞かないでください」
加藤は健軍に釘を刺すように言う。どっち道、聞かれてもまともに取り合ってくれないだろう。
もう一つ、明らかにイタリカが異常なほどに煙が蔓延していた。火災による黒い煙ではなく、かなり濃い白色の煙である。よく見えないが、中にいる敵は何か転げまわっている模様。事情を説明してもらおうと加藤の方を向くと……
「詳しいことは答えられないので聞かないでください」
この男、背中に目でもついてるのか、と思う健軍であった。
***
「ギャァァァアア!」
「何だこれはー!?」
「これは天罰なのか!?それとも何だ!?」
「魔法なのか!?これは魔法なのか!?」
「目が、目がー!!」
イタリカ城壁外の盗賊団は全員転げ回っていた。目から涙、鼻水、涎とあらゆるものを垂らしながら、顔を押さえて転げる者、咳き込む者、縮こまる者、と様々であった。
「コー、ホー……隊長、これって……」
顔はよく見えないが、体格、女声から栗林らしい。
「催涙弾かな……コー、ホー」
「何でこんなものが、コー、ホー」
「うん、俺もそう思うよ……シュー」
しかし伊丹は何故か心当たりがあるような気がした。
「俺たちは防毒マスクしてるから大丈夫ですが、他の人は大丈夫っすかね?」
「一応口と鼻に厚い布当ててあまり顔を露出させないようには言ってあるけど……」
「ギャー!妾の目が!目が!」
「イッタいぃ!何よぉ、これぇ!」
あちらで姫様の悲鳴が、そちらで亜神の絶叫が聞こえた。
「やっぱこうなるよね……」
なんかジ○リキャラ混じってると思っても、それはきっと気のせいですから。