オブリビオンゲート 異世界龍 彼の地にて 斯く集えし   作:ArAnEl

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アルドゥインはストーリー設定上は強いんですよ。ゲーム設定上はLegendary にしないと……まあ察してください。



再会

誠につまらん

 

 

アルドゥインの頭にはただそれだけであった。

 

別に何もできなかったからつまらないというわけではなくて、面白味がないからつまらないと感じていた。まあ実際破壊衝動が無かっただけで、破壊願望はあったが。

 

 

(なんだあの緑のジョール(人間)どもは。いつもいつも我の邪魔ばかりしおって!)

 

 

アルドゥインは怒り隠せきれなかった。もし霊体化が解けていたら周りの空間は歪んでいたかもしれない。

 

 

(おかげで配下となった翼竜も大半が死におったし、当初予定していた戦士の魂も予想外に少なかった。しかも翼竜を蘇らせるために無駄な浪費をさせおって……これではまるで……まるで……)

 

 

アルドゥインはそれから先の言葉が出なかった。なぜなら、彼の頭を過ぎったのは、

 

 

ドヴァキン(ドラゴンボーン)

 

 

ドラゴンボーン。スカイリムにおけるノルド人の伝承に残る伝説的英雄の存在。人の形をしていながら龍の魂を持ち、龍の力の源である龍語(スゥーム)も操れる者。ドラゴンの同族と考える者いれば、ドラゴンの天敵とも考える者もいる。

 

何を隠そう、彼もドラゴンボーンに敗れてこの世界に再誕したのだから。彼の計画を幾度も妨害し、最後は彼の命も奪い取ろうとした。幸いなことに、魂を吸収されなかったことがせめての救いだったのかもしれない。

 

 

(……いやいや、そんなことはあるまい。第一ドヴァキンのような魂を持つ者は一人もいなかったではないか。イレギュラーはいたが。それに万一ドヴァキンだとしても、ドヴァキンだから我を倒せるわけではない。前のドヴァキン(主人公)あの時の我(ラスボスという名やられ役)に対して強すぎたのだ)

 

 

うんうん、とアルドゥインは自分に言い聞かせる。

 

 

(しかも遥か昔に我々ドヴァ(ドラゴン)に仕えていた初代ドヴァキンなど、裏切ってどっかのデイドラロードに支えて我々の何匹を殺したが、最後はあっけなく死んだな。我を倒す、などど豪語しておったが、瞬殺だったな。うむ、きっと大丈夫だ)

 

 

などと自問自答して納得(現実逃避)するアルドゥインであった。

 

と気がつけば霊体化が解けていた。

 

 

「…………」

 

 

うむ、タイミングが悪すぎる。

なぜこうも物事はうまくいかないのだろうとつくづく思うアルドゥインであった。

 

戻って暴れてやろうか?

 

いやいや、そうすれば何か悔しくて戻って八つ当たりしてるみたいではないか。あらゆる種族の頂点たる者がそんなのではいけない。

 

とよくわからないプライドのようなものは一応あるようである。龍とは人間には分からない思考をしてるようである。

 

仕方がないので争いの起きそうなところに行くか、新たな発見をするために探索するか迷ってると、配下の翼竜の一匹が猛スピードでこちらへ向かってきた。

 

 

「うぬ?何かあったのか?」

 

 

と思ってるとただならぬ気配を感じた。

 

その気配を感じたアルドゥインはニヤリと微笑んだような気がした。

 

 

***

 

 

腹減った

 

 

だから目の前の翼竜を全力で追いかけていた。

 

最近は万が一あの緑の人間がいるかもしれないということで人の目に触れないよう行動してきた。そのため、食料としての人間に接触する機会もなく、手当たり次第食べられる物は食べた。

 

しかしどうも量が少ない。人間の家畜にも手を出さないようにすると野生の動物しかいないのだが、どうも遭遇率が悪い。もう何でもいいので出てこいと思ったら翼竜が出てきた。

 

近種の翼竜はあまり好みではないがこの際どうでも良い。何でもいいから食わせろ!と追いかけていたのが周囲の警戒を怠らせていたらしい。

 

奴が目の前に現れるまで気づかないなんて……

 

 

「見つけたぞ!ヨロス・ドヴァ(炎の龍)!」

 

「んあ!?」

 

 

そのせいで緑の人間と同じくらい会いたくなかった存在に遭遇してしまった。得体の知れない龍(アルドゥイン)に。

 

食事中に出くわすなど最悪のタイミング。もう腹が減って泣きそうなほどだが命が惜しいので退散することにした。龍は互いに互角なら無駄な争いは好まないはず。恐らく彼のテリトリーなので出れば問題ないだr……

 

 

「なぜ貴様逃げるのだぁぁああ!」

 

「貴様はなぜ追いかけてくるのだぁぁああ!?」

 

 

と咆哮に咆哮で返す2頭の龍。

 

炎龍はおもった。

なぜだ。なぜこんなことに……

 

この前初めて会った新参者だと思ったが何か違う。新参者にしても常識がなさ過ぎる!てか貴様何竜だ!?

 

炎龍、水龍などファルマートにも幾つかの種類がいるが、彼はどれにも該当しない。何なのだ。一体何なのだ!

 

と思いながら逃走する。もう飢えのことなど忘れた。

 

全力で急降下滑空しながら逃げる。

 

急降下によって位置エネルギーをそのまま運動エネルギーに変えて低空飛行に移行させ、高速度を維持しながら

グライダーのように飛び出す。

 

その速度、巨大に似合わずかなりのものである。近づこうものなら風圧でことごとく吹っ飛ばされるだろう。それはもう船が高速で空を飛んでいるようなものであるから当たり前と言えば当たり前だが。

 

後ろを見ると奴の姿は見えない。しめた、これなら逃げ切れると思い、速度を維持しつつ自分の住処へと帰投する。

 

食事を見逃したことは非常に残念だが、奴がいなくなるまでしばらくじっとしておいた方が良いだろう。別に勝てないから、というわけではないと自分に言い聞かせる。あくまでも合理的な判断でそうなったのだ、と思考を巡らせながら山頂付近の洞窟へと進んで行く。

 

 

「遅かったな、待ちくたびれたぞ」

 

 

はい?と炎龍は一瞬耳を疑った。

目の前には先ほど自分を追いかけていた例の漆黒の龍が闇に紛れてこちらを見ていた。

 

何でと言われても目の前にいるのだからそいつはいるのだ。炎龍はかなり困惑した様子であるのが分かる。

 

そして炎龍は予備動作も行わず全力でその不審龍に対して火炎放射を叩きつける。それが怒りのためか、それとも恐怖なのか、はたまた反射的に攻撃したのかは定かではない。

 

 

「貴様は本当に学ばんな。この世界の龍の実力はその程度か?」

 

 

アルドゥインは特に防御も行わずその炎をありのままに受けるが、予想通り無傷というか気にしてすらいない。

 

 

「貴様に手本を見せてやろう。Yol() Toor(業火) Shul(太陽) (ファイヤブレス)!」

 

 

アルドゥインは普段はこのような基本シャウトは無音でも行える。しかし格の違いを見せつけるためにもある程度強化するためにわざと発声した。

 

基本といえど異世界の龍王である彼のファイヤブレスは格の違いを見せつけた。そもそも、ブレスと言うが彼の場合は息吹というより光線のようである。よく漫画やアニメで見る感じの炎の光線。収束された炎は炎龍の拡散型の炎とは性質が違うようだ。

 

炎龍のブレスが生物種としてのドラゴンの自然の炎に対し、アルドゥインは生物を超越した概念であるが故、むしろ魔法攻撃に近い。

 

炎の光線が炎龍に直撃し、炎龍は咆哮を上げる。しかし腐っても炎龍、ファルマートにおける炎を操るドラゴンの中では最強クラスである。なんとアルドゥインの炎を耐え切ったのだ。

 

 

「……お前は強いな」

 

 

アルドゥインはどこか満足そうであった。それに対して、炎龍は酷く動揺している。

 

 

「お前は……何なのだ!?」

 

 

アルドゥインを見た目で判断するなら漆黒の龍である。しかし炎龍はそれが自らとは明らかに異なる別の何かだと直感が告げていた。

 

見た目はドラゴン、しかしドラゴンではない何か。例えるならそう、人から見た人の形をした悪魔や超人、または神のような存在。

 

 

「先に自らのことを名乗りもせず、先に我に名乗れとはな。とんだ命知らずだな、貴様」

 

 

その言葉に炎龍はカチンと来たようだ。ここの奥では明らかに格上の相手であることは分かっていた。しかし龍としてのプライドか何かがそれを覆してしまったらしく、炎龍は一気に距離を詰めると漆黒の龍の首に牙を立てる。そして腕でしっかりと掴み、逃げないように抑え込もうとする。

 

ブレスが効かないなら一回り小柄の相手に対して肉弾戦なら一矢報いることができると考えたのだろう。しかしそれは最大の間違いであった。

 

 

「ほう、腕というものがあればそのように使えるのか。参考になるな。どうだ、気が済んだか?」

 

 

炎龍は本気で食らいついたが、まず手ごたえがない。しっかり咥えている。触れている。しかしそんな感じがしないのだ。さらに力を入れても入れてもまるで水を噛んでいるような感覚だ。しかし鋼鉄のように硬いようでもある。

 

そして自らが最大の間違いをしたことに気づいたころには既に遅かった。

 

 

Joor Zah Frul(ドラゴンレンド)!」

 

 

3つ目の単語を唱え終えると同時に炎龍は地面に叩きつけられ、まるで何かに押さえつけられているか、それとも縛られているかの如く一切の動きが出来なくなってしまった。

 

 

「ぐおぉぉぉおお!!?」

 

「我がジョール(定命の者)が編み出した忌むべきスゥームを使うとはな……しかし便利なものだ。初めてだが思ったより簡単だな」

 

 

ドラゴンレンド

 

 

かつて人間がこの世界を喰らいし者(アルドゥイン)を葬り去るために編み出した人間由来の龍語(スゥーム)

 

アルドゥイン自身が受けた際は、飛行能力を奪われ、死の概念を与えられしまい彼の敗北の決定要因となったのだ。

 

ドラゴンレンドは日本語に訳すなら『龍殺し』辺りが妥当だろうか。他の龍に用いても飛行能力を奪うなど大いに弱体化させることが可能である。

 

対龍兵器としてのドラゴンレンドは人間が生み出したゆえ、本来はドラゴンは使うことはおろか習得すら出来ない。主な理由としては、不老不死の存在であるあちら(スカイリム)のドラゴンは『死』という概念を理解出来ないため、その『死』の概念を与える効果のドラゴンレンドを理解出来ないためとされている。

 

しかし、その張本人がなぜかそれを使いこなしている。

 

 

「その状態なら何も答えれんな。よかろう、特別に我から名乗るするか。

我は世界を喰らいし者(ワールド・イーター)、アルドゥイン。エイドラの主神アカトッシュの最高傑作である」

 

 

アルドゥインは身動きのできない炎龍の頭を踏みつけると、静かに語った。

 

 

「貴様に選択肢を与えよう。

 

1.我に従い、我の配下となれ

2.死ね

 

どちらを選んでもよいぞ」

 

 

これはあんまりにも理不尽である。人間でいう奴隷になるか死ぬか、2択以外はないと宣言されてしまった。

 

 

炎龍馬鹿ではなかった。多少の龍としてのプライドはあるものの、命を捨てるほどのものではない。第一、死んでしまったらそんなプライドは消滅してしまう。

 

 

「お前の……配下になる……しかし、条件がある……」

 

 

炎龍は全身から絞り出すように声を上げる。この悪魔のような龍に条件を出すなど命知らずなのか馬鹿なのか、それともそれほどまでも追い詰められているのだろうか。

 

 

「ふむ、続けろ」

 

「見ての通り、私は死にかけている……何も食っていないんでね。お前の配下なり下僕なり奴隷なり何でもなってやる。その代わり、私を保護してくれ」

 

「……よかろう。しかし、それはお前次第だ。我に忠を尽くせ。我に尽くす限り貴様は龍としての栄誉と喜びを得るだろう」

 

 

どうやらドラゴンレンド(拘束)が解けたらしく、炎龍はゆっくりと起き上がると、その頭を地面につける。この世界の龍の服従の意味のようだ。

 

 

「これは賢明な判断への褒美だ。受け取れ」

 

 

すると炎龍は身体に何かが流れるような感覚がした。空腹も無くなり、逆に力がみなぎってきた。

 

 

「我が主アルドゥイン、大変恐縮ではあるがお願いがある……」

 

「わかっておる」

 

 

アルドゥインは岩影に近づくと、そこには2頭の小さな龍が怯えて小さくなっていた。アルドゥインはその2頭にもエネルギーを分け与える。すると小さな龍たちは少し安心したような素振りを見せる。

 

 

(ふむ、龍のこどもとはな。この世界の龍と我の世界の龍は根本的に何か異なるようで興味深い。色々と調べる必要があるかもな)

 

 

そう、アルドゥインは子供の龍を見るのは初めてである。何故なら彼の世界の龍は仔龍を産む必要がないのだから。

 

 

「ところで、我はお主の名前をまだ聞いてないな」

 

「我が主殿、私には名前というものがない。人間は私を古代龍や炎龍とよぶのだがな」

 

 

アルドゥインは一瞬考える。名前を持たないというのも初めての文化である。ヨロス・ドヴァ(炎龍)と呼ぶのもありだが、それでは芸がない。自分の配下たるものそれに相応しい名前が必要である。

 

 

「ではこれよりこう名乗るがよい。

『ヨルイナール 』(Yol() In(極めし者) Aar(従者))」

 




アルドゥイン
Al(破壊者) - Du(貪り食う) - In(主)

パーザナックス
Paar(野心) - Thur(大君主) - Nax(残酷)

オダハヴィーング
Od(雪) - Ah(狩人) - Viing(羽)

などがあります。ヨルイナールはアルドゥイン様の名前の一部を頂けたことに光栄に思うべき。これで炎龍も名前持ち(ネームド)ドラゴンになれたね☆
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