オブリビオンゲート 異世界龍 彼の地にて 斯く集えし   作:ArAnEl

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亀更新ではないけど、亀進行なんですね、私の傾向は。もっと要領よくしなければ。


イッツ・ア・パーリィ・タイム

「「すみませんでしたーー!!」」

 

 

一体何が起きているのだ……

 

 

ボーゼスは予測不能な事態に困惑(ドン引き)していた。

 

そりゃあ誰だって驚くわけである。特に彼女はピニャに伊丹に暴力を振るった責任を取るよう、籠絡(ハニートラップ)して来いと言われたのだ。

 

決して間違いの無いよう、彼女は別にハニートラップ要員でも身体を売る職業の者でもなく、正真正銘の貴族の娘である。お嬢様様である。

 

なのにまさかの指令。女の武器を使って自分が行った行いへの償いも兼ねて自分が痛めつけた男と○○○(ピー)をして来いと。なんという屈辱。

 

格下と思っていた男にあんなこと、こんなこと、一杯されると思うと反吐がでる。というか泣きたい、泣いても良いか。という心境で消えかかっている勇気を奮い起こして部屋の前まで来たのだ。

 

プライド?そんなもの夢と一緒に置いてきてしまった。せめて最初はどっかの青年将校と、と嘆いても後には引けない。無音の扉をやっとのことで開けた。

 

 

なのにそこには異様な光景である。

 

部屋を間違えたか?

 

本当に異様過ぎて夢かと思ったほどである。

 

 

それはもうみごとな集団土下座であった。日本人の必殺技『DOGEZA』。

 

やってるのは覆面を被った自衛隊員たち。大の兵士約20名が土下座など、もうなんだかシュールを超えて恐怖すら覚える。

 

何があったか少し時間を遡り説明しよう。

 

 

***

 

 

「各班配置ついたならば知らせ」

A(アルファ)班配置よし』

B(ブラボー)班配置よし』

C(チャーリー)班配置よし』

D(デルタ)班配置よし』

 

 

指揮官の号令の下、全員が配置に着く。

 

 

「A班は2分後に突入準備、その各班は先に示した合図とともに同時に突入せよ」

 

『『『了解』』』

 

 

A班は対象が在室しているとされる部屋の外の窓に、B班はは正面の鎧戸での陽動、C班はAの反対側に配置する。D班は不測の事態に備えての後方で待機。

 

 

「なあ、隊長はどっちでもいいて言ってたけど、どっちがいいかな?」

 

 

と窓の下にいる隊員がスプレー缶のような物を2つ出す。

 

 

「ティアで行くかフラッシュで行くか……」

 

「狭い室内で暗いし、フラッシュでいいんじゃない?ティアだとこちらもやられる可能性あるし」

 

 

そうだな、と片方しまうともうそろそろ時間なようだ。一人が窓の枠にはんまーのようなものを当て、一人は投函準備をし、一人は時間を計る。

 

 

5、4、3、2、1……今!

 

 

「フラッシュバン!」

 

 

と窓の縁をハンマーで壊し穴を開けると同時にスプレー缶のようなものを放り込んだ。

 

時間にして約2秒。

 

室内から銃声に似たような大きな音がするとともに太陽のような閃光が弾けた。

 

中から悲鳴のようなものが聞こえた。女声だが観察していた女騎士なのだろうと勝手に予想する。

 

そして間髪入れず次々と突入する。そう、爆発音が先に示した合図。

 

 

「ゴーゴーゴーゴー!」

 

 

まるでどっかの特殊部隊映画みたいである。正面玄関で陽動していたB班、反対側にいたC班も同時に突入する。

 

 

多方向同時突入

 

 

これは警察や軍の特殊部隊等が立て篭りに対する戦術の一つである。正式名称ではない。

 

相手の意表を突くため、同時に複数箇所から突入することでパニックを起こしたり、対応力を削ぐ効果があるとされている。過去には地下からトンネルを掘って突入した例もあるという。

 

実際に銃などを扱ったことのある人なら分かるかもしれない。指向性武器である銃ならば多方向からの敵に対応するには相当な修練が必要である。

 

 

「ターゲットの安全確認!」

 

 

数名がスタングレネードによってうずくまっている中、ベットで比較的軽症状の伊丹が耳を押さえているところを発見する。やはり何が投げられたかを知っていた伊丹は最低限の防御姿勢を取れていたことが幸いしたようだ。

 

 

「よし、急いで対象を外に出せ」

 

「ちょ、お前ら一旦落ち着こうな」

 

「伊丹2尉大丈夫ですか?」

 

「急げ急げ」

 

「君たち人の話聞こうか!?」

 

 

伊丹は必死に誤解を解こうとするがどうやらまだ勘違いしているようだ。というか人の話聞いてない。

 

 

「待て!ご主人様に何をするにゃ!」

 

 

と最初に回復したのはキャットピープルのペルシア。動物系なので視覚聴覚が敏感だと思ったが、思ったより効果が無かったのか、それとも回復が早かったのか。

 

 

「なんということだ。拉致されたあげくこちらのご主人様に祭り上げられるとは。もしかして政略結婚でもされたか。くっ、ここは北と同じ思考だったか!そして生まれた子供とともに人質にした挙句、スパイに養成するつよりだな!?」

 

「だから落ち着けぇぇええ!」

 

 

誤解が誤解を招く。よくあることだ。だから人の話はちゃんと聞こうか。

 

 

「シャーッ!!」

 

「ぐあっ!?」

 

 

さすがキャットピープル。猫のようなしなやかなな動きと、豹のような俊敏さ、そして虎のような勢いと力で隊員の一人を投げ飛ばした。というよりもどちらかと言えば押して叩きつけられたと言った方が正確かもしれない。

 

 

「衛生兵来てくれー!」

「だめだ!」

 

 

と負傷した隊員の隣の隊員が言いつつも負傷隊員を引きずる。ちなみに負傷兵隊員は応答がない。気絶したようだ。

 

それをペルシアは見逃すわけもなく追撃を加えようとする。

 

 

ぱん、と何かが弾ける音がした。

 

 

「んにゃ?ぎにゃぁ゛ぁ゛ぁ゛あ゛あ゛あ゛!!!!??」

 

 

風船が割れるような音がしたと思うと全身に強烈な痛みが走り、脚に全く力が入らなくなってしまった。

 

 

「さすがメイドインアメリカ」

 

 

加藤が何か口走ってはいけないような言葉を発する。いや、気のせいだ、きっと。

 

 

彼が使ったのはテーザーガン。

 

海外ではスタンガンともいうが、日本の某ほぼ毎回殺人事件が起きる少年探偵漫画に出てくるようなものではない。

 

ちなみに、スタンガンは広義的に言えば電気だけではなく、相手を気絶させる類のものの総称であることを補足しておく。

 

見た目はプラスチックのおもちゃの銃みたいだが、その見た目とは想像のできない威力を有している(5万ボルト以上)。そして軍用仕様であるコードレスでありながらこの威力。

 

さらに、誤解されがちだがスタンガンは電気で直接痺れさせて気絶させるのではない。強力な電撃によって運動神経にショックを与えることによって身体そのものが動けなくする、らしい。

 

ちなみに、別の異世界(スカイリム)で電撃で相手が気絶したり麻痺したりせずに死ぬのは恐らく雷と一緒で、電気で身体の中枢器官を焼いているからだと考えられる。なので異世界に行く予定のない者は決して真似しないよう。

 

 

「にゃあ……」

 

 

猫メイドは身体に自由がきかなくなり、その場でピクッ、ピクッと痙攣していた。

 

 

「よし、全員制圧した。早く対象を護送し……」

 

 

と指示が終わらないうちに部下の何人かが後ろから吹き飛ばされた。

 

振り向くとそれはそれは異様な光景が広がっていた。

 

 

「ふむ、少々油断したとはいえ、これではフォルマル伯爵家のメイドとしての名が廃りますね」

 

「なんだこのBBA(ババア)!?」

 

 

周りの隊員が警戒して囲む。

 

 

「この私、フォルマル伯爵家メイド長こと、カイネがメイドとしてのお務めを果たさせて頂きます」

 

 

そこにいるのはただの老婆ではない。ましてはただのメイド長でもない。明らかにその年相応らしくない修羅場と屍を超えてきた何か(メイド長)であった。雰囲気がそう語っていた。

というかおまえのようなババア(メイド長)がいるか!

 

そこにいる者(主に隊長格2人)は後にこう語る。

『あれはメイド長ではない、未来から来た殺人ロボットだ』と。

 

 

ドアが蹴破られて何者かが乱入してきた。

 

 

「伊丹2尉、助けにきましたよ!」

 

 

なぜか目を輝かせて小銃に銃剣を着剣している栗林。

 

 

「私もよぉ!」

 

 

そして(流血的な意味で)ヤル気満々のロゥリィ。

 

 

「ああ、猫メイドがピクピクしてる!」

 

 

ついでにケモナー(倉田)

 

夜はまだまだ長い。

 

 

***

 

 

というわけで、ボーゼスが部屋に入ってきたタイミングは最悪であった。

 

どうやら何かの手違いについて謝罪しているようだが、そんな状況をボーゼスは理解できるわけがない。

 

さらに最悪なことに、皆の視点がボーゼスに向かってしまった。

 

 

なぜ最悪だって?そりゃ誰だって恥ずかしいではないか。自分の下着姿を30人ぐらいに見られるのだから。

 

 

「「「…………」」」

 

 

しばらくの嫌な沈黙が生じる。

 

 

「私をそんな目で見るなー!!」

 

 

そしてパン!と乾いた音が響いた。

 

 

***

 

 

「なんてことを……」

 

 

ピニャはさらに頭を抱えた。

 

籠絡どころか、傷口に塩どころか唐辛子で擦ったように事態は悪化したと感じた。

 

伊丹のほっぺに赤い紅葉ができ、引っ掻き傷のようなものもある。

 

後方で待機している覆面ジエイタイの中には頭から血を流している気がする者もいる。きっと気のせいだ、とピニャ切実に信じたかった。

 

 

ところで覆面ジエイタイは誰なんだ、とピニャは思うが、この妄想姫様はまた良からぬことを考えていた。

 

 

(覆面……それに伊丹たちと異なる武装装備……つまり隠密隊か暗殺隊か!?という事は本体が既に伊丹殿の件にちいて掌握済みということか……そして妾たちの排除しに来たと。間違いない。あの頭から血を流している男が隊長格だろう。温和な雰囲気だがその後ろにいる配下が異様に殺気立っている。やる気だ。きっと妾たちを殺る気だ!それとも別のヤル気か!?ええいどっちも同じだ。いっそ ry...)

 

 

と全身を冷や汗まみれにしながら思考(妄想)していた。

 

ちなみに覆面自衛官たちが殺気立ってるのは意外としょうもない理由だったりする。

 

 

(ちっ、ノーアラート達成できなかったぜ)

(全くだ、これでおごりは無しになっちまった)

(つぎこそ隊長に奢らさせる、絶対)

(何だか後ろからすごい視線と殺意感じるわー……)

 

 

と聞こえないように各々は愚痴を心の中でこぼすのであった。

 

 

「この始末、どうつけよう……」

 

「あのぉ、自分たちは隊長格さを連れて帰りますので。それについてはどうぞそちらで決めてください」

 

 

と富田が言う。

 

 

「あ、気にしないでください。今回こちらのミスですから。ホントすみませんでした」

 

 

と覆面ジエイタイの隊長格。

 

二人は善意のつもりで言ったのだが、姫殿下はまたこじれた方に解釈する。

 

 

「そちらで勝手に決めて。俺たちは知らん」

 

「俺たちのミスで生き延びたな、あとそんなこと気にするな。潔く○ね」

 

 

一体どうしたらこんな脳内変換できるのやら。それとももしかしてレレイの通訳が間違ってたのか、そう解釈したのか、謎である。

 

まあレレイの言葉に抑揚がなく機械翻訳みたいな感じで逆に恐怖を煽ったのかもしれない。

 

 

「そ、それは困る!」

 

「と言われましても、伊丹隊長は国会から参考人招致がかかっていまして、今日にでも帰らないとまずいんです」

 

 

これをレレイが訳した結果。

 

 

「伊丹隊長は元老院から報告を求められている。なので今日までに帰らなければならない」

 

 

それを聞いたピニャはもう言葉では表せないような驚きの表情をする。

 

この世界では元老院と関係のあるものは超エリートの出世コースなのだ。つまり伊丹は予想以上のエリート。そんな人に狼藉を働いたのか、とピニャは内心涙目である。

 

言葉の壁とはホント恐ろしい。誤解がさらに誤解を生む。読者の皆様もせめて敵性言語(英語)は理解できるよう努力していただきたい。特に異世界(英語圏)へ行かれる勇者たちは。

 

 

ということでこのまま行かせば何が起きるか分かったものではない。このままでは取り繕うことま弁明も何もできない。

 

 

「では妾も同道させて貰う!」

 

 

どうしてこうなった。

 

 

***

 

 

「ホントすまんね、伊丹2尉」

 

「もう、気をつけてくれよ……」

 

「では俺たち先行くから。健軍1佐と一緒にトラックで帰るからこちらで返納しとくから」

 

「へいへい、よろしくお願いします」

 

 

と言って覆面自衛官たちは何だかすごい自転車らしきもので先に帰隊する。

 

 

「隊長、あの人たち誰ですか?」

 

 

となぜかって目を輝かせてしかも満足そうな脳筋(栗林)。なんだか新しい玩具でストレス発散して最高にテンションの高い犬みたいであった。

 

 

「私も気になるわぁ」

 

 

とこちらも何だか新しいお人形さんを見つけて喜ぶオカルトちっくな少女の雰囲気を出す亜神(ロゥリィ)

 

 

「あ、うん……一応知り合い」

 

「ホントですか!?今度紹介してください」

 

「私もぉ」

 

 

これはどう捉えたら良いかと伊丹は考えた。いい人紹介してください?いや、とちらかといえばイケニエを紹介してくださいと言ってるのだろう、と解釈する。

 

 

「うん……そのうちな……考えておく」

 

 

栗林はやったあ、と喜ぶがロゥリィはニヤリ、と不気味な笑みを浮かべるのであった。何これ、怖い。

 

 

「隊長、もう準備できたっす。ペルシアさん、また今度〜」

 

「またにゃー」

 

 

いつの間に倉田とペルシアは仲良くなったんだろう。まあケモナーの彼からしたら至高の喜びだろう。

 

 

「よし、みんな帰るぞ」

 

 

と全員が乗車しようとすると突如後ろから声が聞こえた。

 

 

「ずっとお前さんを探していたよ!」

 

 

振り向くとそこには、犬がいた。

うん、普通の犬。

少なくとも見た目だけは。




やとこいつを出せたよ。予想以上に遅めだった。
あと倉田はペルシアさんを看病してる時に仲良くなりました。よかったな、倉田。

あとメイド長がめちゃ強いというオリジナル設定は色々ところが元ネタです。分かればおそらく私と趣味が合う人。
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