オブリビオンゲート 異世界龍 彼の地にて 斯く集えし   作:ArAnEl

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いつからギャグ路線になったんだろ。
こんなはずではなかった……


異世界のお友達

 

「異世界はどうだった?」

 

 

草加は報告書に目を通し終えると、目の前の部下に問いかけた。

 

 

「もうファンタジーはゲームやアニメで十分ですね」

 

「はは、だろうな。正直、防衛省や国連の中では未だ信じられないと言ってる輩もいるからな。で、今回一番良かったことは?」

 

「伊丹2尉は予想以上にタフで頭が回りますね。今回彼のおかげで相手側に余計な犠牲を出さずにすんだかと思います」

 

「というと?」

 

「騎士団に捕らえられている間、強行手段による奪還作戦も考えましたが、伊丹は事を荒げるなと我々に伝えましてね。ばれないようまばたきでこちらに合図を送り続けましたからね」

 

「流石特戦だけはあるな。彼に限らずお前の交友には変わり者が多いが」

 

「そうですかねー」

 

 

と軽く笑って流す。

 

 

「で、何か良からぬことは無かったか?」

 

 

加藤は少し考えると、特に大きな問題はないと答える。ヘリの件は既に報告済みである。

 

 

「ただ、今後我々も展開力の強化の可能性を考えたら、火力、機動力双方で物足りないと思いますね。翼竜も2頭だったから良かったものの、それより強力になると厳しいかと」

 

「陸は現在新装備を検討してるから我々も検討する必要があるな。何か案はあるか?」

 

「装備自体は我々は問題はありません。最新装備にしてもこの不安定な地域では多少旧式でも信頼性の高いもののほうが良いでしょう。できればこちらもヘリかAPC(装甲兵員輸送車)またはIFV(歩兵戦闘車)に類似するものがあれば嬉しいのですが」

 

 

「ヘリ輸送は陸自に頼むしかないな。だがAPCかIFVか……何が良い?」

 

「まあ現状ではM2ブラッドレーのようなものがあれば十分かと。しかしそうなれば我々はもはや特殊部隊ではなく歩兵になってしまいますが」

 

「まあ、参考程度だ。今後の開発や運用の参考だ。もういいぞ」

 

「では失礼します」

 

「あ、言い忘れたが今日お前は当直にはいってるからな」

 

 

加藤はこの言葉を聞くと表情が固まった。

 

 

「はい、ヨロコンデー」

 

 

目は笑ってない。

 

 

***

 

 

「犬が喋った!?」

 

 

そりゃ誰だって犬が喋ったら驚く。なんせ異世界と言えど今のところ動物が喋ったことはない。

 

 

「この世界は二本足のメスウサギやネコに、空飛ぶトカゲの巣窟だって言うのに、お前さんは何を何を言っているだ。ああ、喋ったよ。黙るつもりはないがな」

 

「あ、うん……」

 

 

言われてみればそうである。元の世界で万一喋る犬とドラゴンとケモナー歓喜の亜人が現れたらまだ喋る犬の方がまだありうるというか、現実的である。まあ、現に既にドラゴンやら亜人やらはいるのだが。

 

 

「隊長、この犬なんだかうざいんですけど。特に喋り方が。ぶちのめしていいですか?」

 

「私も加勢するわぁ」

 

 

栗林は指をポキポキと鳴らし、ロゥリィはハルバートを構えると獲物を見つめるが如く妖艶な笑みを浮かべる。

 

 

「ちょーっと待った、早まるな!そこの牛女、まず落ち着いて人の話聞こうな?そしてそこのドス黒い嬢ちゃん、その斧のようなもの置こうな?俺は斧が大っ嫌いなんだ」

 

「牛……女?」

 

「へぇー、嬢ちゃんねぇ……あなた斧が嫌いなんだぁ」

 

 

栗林の頭には漫画のように額には血管が浮き出てる。ロゥリィに至ってはハルバートを置くどころかもう戦闘態勢である。

 

 

「おい、そこの兄ちゃん!俺と取引きしねぇか?悪い話じゃねえんだ。まずそこにいる化け物娘をどうにかしてくれ!」

 

 

伊丹はまず2人を落ちたかせることにする。一旦緊張は和らぐ。

 

 

「ありがとよ。またオブリビオンに強制的に還されるところだったぜ」

 

 

どうやら相当ビビってたらしい。

伊丹からしたら何を言ってるのか良く分からなかったが。

 

 

「紹介がまだだったな。俺はバルバスってんだ」

 

「犬、バルバス」

 

 

と今まで無口だったレレイが口を開く。表情こそいつも通り無表情ではあるが、目はキラキラと好奇心に満ちていた。まあ相手が喋る犬だからだろう。

 

 

「そうだ、形は犬だ。でもただの犬ではないんだぜ。デイドラ・プリンスの相棒のバルバスとは俺様のことだ」

 

 

伊丹は未知の単語を幾つか聞き取ったが、恐らく何らかの特地の固有名詞とかだと認識し、特に気にしてなかったがロゥリィやレレイは少し何か気になるような表情だった。

 

 

「実はなあ、ご主人様にまたまた追い出されちまったんだよ。この前(スカイリム)は仲直りさせる誰かを連れて来いということで、まあ何とか色々あったが収まったんだ。色々(斧とか)あったけど……

で、今回は気が向いたら仲直りしてやる、ってんだ。それまで情報収集趣味のある友人(触手と目がたくさんのアイツ)のために情報収集しとけと言われたのさ」

 

「でも俺たちもそんな暇じゃないけど……」

 

「いやいや、別に情報収集してくれって言ってんじゃねーんだ。それは俺自身でやるから同行させて欲しいんだよ」

 

 

伊丹は少し考えた。喋る犬という面で上に報告をすれば何かの参考として保護は可能かもしれない。ただの犬なら警備犬にしてくれるかどうかすら怪しいが。

 

 

「こんな五月蝿そうな犬、私は嫌ですよ」

 

 

と栗林。

 

 

「私は興味ある」

 

 

とレレイはポツリと呟く。もう少し「この犬飼っちゃだめ?」とみたいに上目遣いで言ってくれたら即答でOKなのだが。

 

 

「うーん、私も興味あるかな」

 

 

テュカも賛成派なようだ。どうやら長寿のエルフにとっても珍しいらしい。

 

 

「決まりね、多数決でその犬も同行しても良いみたいよぉ」

 

「まだ許可したわけじゃ……」

 

「あら伊丹はみんなが連れて行きたいと言ってるのに反対なのぉ?」

 

「う……」

 

 

***

 

 

「ひゃっはー!最高だぜー!」

 

 

海外映画のように犬がジープの窓から頭を出して喜んでいた。しかもどっかの終末荒廃世界のモヒカン共が叫んでいそうな台詞を吐いているのもこの犬、バルバスである。

 

 

「隊長!やはりこの犬うるさいです!」

 

 

と無線から栗林の声が聞こえる。やはり犬や猫は言葉を発すると可愛気が無くなるみたいだ。伊丹は犬は嫌いな方ではないが、どうもバルバスは好きになれない。原因は色々あるが、現時点で一番の要因はうるさい。

 

 

「いいじゃねえか。お前ら喋る犬は珍しいんだろ?存分に聞いておけよ」

 

 

そしてこの喋り方である。しかもおしゃべりなのが更にその騒がしさに拍車をかけている。ホント普通の犬は人語を話せないことを感謝しなければなるまい。

 

 

「おお、あれか。ありゃもう城みてーだな」

 

 

バルバスはどうやら犬と違い目は相当いいようだ。遥か遠くのアルヌス駐屯地が姿を現す。

 

 

「な、なんなのだあれは……!?」

 

 

若干驚愕で言葉を失った騎士団員と姫様であった。

 

 

そしてさらにしばらく進むと、そこはピニャが知るアルヌスとは全く異なっていた。

 

丘の上は要塞が、そしてその上空には得体の知れない鉄製の箱のようなもの、そして周辺には多くの緑の兵などが軍事演習を行っているのが見える。とは言うものの、彼女の知っている軍事演習とは全く異なるが。

 

もちろん、巷で噂されている自衛隊の銃剣突撃や鉄砲の発射音を口で「パン、パン」と言ったりしているものではないのでご安心を。ちゃんと実戦重視の訓練である。

 

 

「彼らが持っているあの奇妙な筒は一体?」

 

 

自衛官たちその筒のようなものをあちこちに向けていた。

 

 

「うむ、おそらく魔道具のようなものだろう。魔法の杖のようなものだと思う」

 

 

伊丹たちを見てきたピニャがボーゼスの問いに答える。他にも、帝国でもそのような報告を受けているのでそう解釈したのだろう。

 

 

「なるほど。魔導師は貴重な存在ですが、ジエイタイたちはそれを大量に養成する能力があるのかもしれませんね」

 

「魔道具ではない。あれはショウジュウという武器。筒状の中に炸薬魔法で鉛玉を発射する仕組み」

 

 

レレイがピニャたちの間違いをしれっと訂正する。というかショウジュウ教えたやつ誰だ。秘密保全どこにいった。

あくまでも名前だけを教えてもらっただけであって、構造、仕組みや結果は撃たれた翼竜の死体などから推測しただけであったが。この天才魔法少女がいる限り自衛隊には情報保全が脅かされ続ける日々になるかもしれない……

 

 

「なんと、あれが剣や弓などの武器なのか!?ならばあれを大量生産すれば妾たちでも扱えるというのか」

 

「そう、ジエイタイはそれを行い、各個人に携行させている」

 

 

ピニャ願わくば一つを譲ってもらうか購入かいっそ強奪すれば帝国でも生産できるかも知れないと考えた。しかしそんな考えを察したのか、レレイはピニャに絶望的な現状を示すだけであった。

 

 

「無謀。ショウジュウの『ショウ』とは小さいという意味。その対になる言葉を示すものがあちらにある」

 

 

と車の反対側にある105ミリライフル砲を主砲に持つ74式戦車を指す。

 

 

「あ、あれが火を吹くというのですか!?」

 

 

その、すごく……大きいです、と言いたくなるような長くて硬くて大きな主砲(もちろん戦車の)を見てボーゼスをは驚愕する。しかしピニャは心当たりがあったのでボーゼスほど驚きはない。

 

 

(うむ、他鉄の逸物と噂される武器があると聞くからな。あれぐらい普通かもしれない)

 

 

一体どうしたらこんな発想になるのだろう。文章だけでもはやセクハラである。なぜ主砲を見て逸物を思い出すのやら。

 

 

「こんなもの持っているジエイタイをなぜ敵に回したでしょうか……」

 

「帝国はグリフォンの尾を踏んだ、と言われている」

 

「あなた!それでも帝国臣民ですか!?」

 

 

レレイの言葉にボーゼスは激しく反応するが、レレイは冷めたような表情のままだ。

 

 

「私はルルドの民。国や定住の概念がない」

 

 

これを聞いたピニャは少し複雑な気分になった。所詮民の帝国への忠誠は心からではなく、恐怖によるものだと改めて感じたようだ。

 

 

「しかしすげーな。ドゥーマ(ドワーフ)の技術もなかなかだが、こいつらには敵わないかな。いや、一部ドゥーマの方が優れているかもな」

 

 

それを聞いたレレイ、ピニャ、ボーゼスはバルバスに詰め寄る。

 

 

「な、なんだお前ら……てか顔近えぞ!」

 

「さっき何と言いました!?」

「そのなんとかの技術に!」

「興味ある」

 

「やめろ!ゆさぶるな!落ち着けぇぇえええ!」

 

 

そんな様子を栗林はニヤニヤしながら聞いているのであった。

 

 

「ねぇ、わんちゃん?」

 

 

ロゥリィが唐突にバルバスに話しかける。自然とピニャたちの手も止まる。

 

 

「あ?誰がわんちゃんだ、ドス黒嬢ちゃん」

 

「それよぉ、それぇ。本当に私は嬢ちゃんかなぁ?」

 

「ああ?嬢ちゃんじゃなかったら何だ?ババァと呼ぶか?あん?」

 

「その首刎ね飛ばそうかしらぁ?」

 

「すまん」

 

「それは冗談としてぇ、もしかしてあんた本気で私を嬢ちゃんと思ってるぅ?」

 

「冗談には聞こえなかったが……そうだよ。俺は本気だ。別にお世辞や嘘ついても何のメリットもねえ」

 

「へー、それは私がこんな見た目だから?」

 

「何だ、もったいぶらないでさっさと言えよ」

 

「私はぁ、人間じゃなくて亜神なのよぉ?」

 

「へぇー」

 

 

この返答に逆にロゥリィが驚いた。

 

 

「へぇー、って何よぉ!へぇーって!?」

 

「そう言われても、なあ……」

 

 

バルバスはもはや興味がないようである。あくびすらしてる。

 

 

「私は戦いの神、エムロイの使徒、ロゥリィ・マーキュリーよぉ!1000歳近く生きているのよぉ!」

 

「ふーん……で?『お嬢ちゃん』?」

 

 

ここでロゥリィはようやく悟った。目の前の犬が実は自分より年上だという驚愕の事実を。下手したら自分どころか主神よりも年上かもしれない。

 

 

「この世界の亜神は人間の年齢のようなどーでも良いことをきにするんだな」

 

「この世界って……あなた何者よぉ!」

 

「俺か?さっき自己紹介したぜ。それ以上でも以下でもないがな」

 

 

バルバスはふんと鼻で笑う。

 

 

「こ〜い〜つ〜!!」

 

「猊下!落ち着いてくだされ!こんな狭い中でそんなものを振り回すと妾たちも!猊下ー!」

 

(絶対化けの皮剥がしてやるんだからぁ!)

 

 

と涙目で誓うのであった。

 

 

「いやー、やっぱ特地語は難しいわ。無線の向こう側が騒がしいな、倉田」

 

「そうっすねー。なんだか楽しそうですね」

 

「今日も平和だなー」

 

 

と状況を読めてない者が若干名。

 

 

***

 

 

さて、いろいろあったがなんとか無事に着いた。

 

健軍1佐たちも無事な模様で、73式トラックもしっかりと返納してあった。

 

ピニャとボーゼスは柳田とその他自衛官たちが「任せろ」と言って連れて行ってしまった。ニヤニヤしてるところ、どうせよからぬこと考えてるのだろう。

 

 

「あとはうちらのの整備だな……ん?」

 

 

大型のトラックが伊丹たちの側を通っていく。

 

 

(本当にヘリ落ちたんだな……)

 

 

伊丹は大型トラックの上をシートで隠している隙間から見える残骸がチラッと見えたのを横目で確認する。

 

正直伊丹はあまり驚いていない。龍などいなくても事故で墜落することはある。中世レベルとはいえ異世界で戦闘中で一度も被害が無かったかこと自体奇跡だと考えていた。

 

 

(これからどうなるんだろうな)

 

 

伊丹はふと空を見上げる。

 




バルバスは特地語で話してます。実は……

でもバルバス何歳なんだろ……
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