オブリビオンゲート 異世界龍 彼の地にて 斯く集えし 作:ArAnEl
今主人殿に日本に来てもらっては困りますので、ストーリー的にも伊丹たちのためにも。
「伊丹ぃ、貴方の後半の発言、意外と良かったわよぉ。見直したわぁ」
「いやぁ、それほどでも(ホントはあいつの攻略ノートのおかげなんだよな。マジで当たって怖いくらいだけど)」
と国会議事堂に向かうマイクロバス内で皆はしゃいでる中、伊丹は攻略ノートをパラパラとめくる。
「ん?」
そして最後のページより少し手前に色んな文章に紛れてある文章を見つけた。
『猫が来た』
***
「隣、ヨロシイデスカ?」
金髪の白人の男が某有名コーヒーチェーン店の隅で新聞を読んでいる男に尋ねた。
「
「あちゃーばれてたか」
と白人の男は流暢な日本語で話す。
しかし2人の男は今度は英語で話し合う。
「久しぶりだな、ソーヤ」
「そうだな、カール」
「予想はつくが、何してたんだ?」
「仕事だ、それ以上は言えないなあ」
「でも今回俺を呼んだのはそれに関することでしょう?」
「まあ、そうだな。日本に『
「
「当たり前だ、ここは日本だ。
カールという男は微笑する。
「高くつくぜ。そもそもそれなりの資料が必要だ」
「……」
ソーヤはUSBを取り出すとカールの手にしっかりと握らせた。
「まいど……」
「無くすなよ」
「そうそう、もうそろそろ大会が開催されるから是非参加してくれよ。できればうちのチームで」
「そうだな。仕事入ってなかったら考えておくわ」
そう言ってソーヤは席を外し、店を後にする。そして今時珍しいガラケーを取り出して連絡する。
「駒門さん、ネズミ駆除は準備できました。あとは
そして次にスマホで連絡する。
「草加さん、準備は整いました」
***
マイクロバスに乗っていた伊丹たちは、周りを公安の車で固めていたにも関わらず、不審な車に尾行されたりしたので急遽バスから地下鉄移動に変更していた。
「ホテルから、バスで移動すると思っていたら急に地下鉄に乗れって言われてびっくりしましたよ」
と伊丹たちと合流した富田が言う。ちなみに、何かに怯えているボーゼスが富田の腕をしっかりと組んでいた。
「どうもピニャ殿下とボーゼスさんは、やはり電車に慣れていないのか、それとも暗がりが怖いのか、ずっとこんな調子なんです」
と富田が説明する。
怯えているのはピニャとボーゼスだけではない。ロゥリィもビクビクと怯えて、その震える手で伊丹にしがみつく。
「ど、どうしたんだ?」
「じ、地面の下はハーディの領域なのよぉ」
「ハーディ?知り合いか?」
「あいつヤバイのよぉ。こんなところにいるのを見つかったら、無理やりお嫁さんにされかねないのぉ。200年くらい前に会った時もぉ、しつこくて、しつこくって、しつこくって、しつこくって……」
「それで、何で俺に?」
「ハーディ除けよぉ。あいつ男嫌いだから、見つかってももしかしたら近寄ってこないかもしれないでしょぉ」
このとき、伊丹は密かに「か、勘違いしないでよねぇ。ただの虫除けぇ、カモフラージュなんだからぁ!」と盛大にツンデレで言って欲しかったが現実は甘くなかったようだ。なのでこれは教育の必要があるかもしれないと密かに思うのであった。まさに紳士。
次の駅では駒門が乗り込んできた。
「よっ」
「どうでした?」
と伊丹が尋ねる。
「見事引っかかりました。これで機密漏洩の容疑者を2人にまで絞りこめた。ほどなく素性が割れるでしょう」
「その2人、どうするんで?」
「置いておく予定です。捕まえなくともそこで情報が漏れていることをこっちが承知していればよいのです。敵さんもガセネタ掴まされたとわかった段階で、切り捨ててるよ。どうせ特定の主義思想団体と関わっているか、ハニートラップにはまっただけのどっちかだし」
「ハニートラップねぇ……」
「まあ、ハニートラップの対処方法さえしっかりと知っていれば美味しい思いをできるのですがねぇ。それがやはり日本人の特質なのか、周りに相談できない、だから結局どんどん悪い方に行ってしまうわけですよ。まあ貴方や友人はハニートラップには引っかかりそうもないですから」
はて友人とは誰のことやら。
「俺って引っかかりそうにないの?」
もしかして俺って優秀に見られてる?とか少し期待して言ってみる。
「そりゃあ、だって、ねえ?」
と伊丹を囲んでいる
これ暗に伊丹さんがオタクで
「いくら某国でも、
と駒門はブツブツと小声で独りでつぶやき始める。どうしたのかと伺ったところ、最近とーっても若い女の子とムフフなことをさせる組織があるらしく、そういう女の子たちとムフフなことしてしまうと本当に言い逃れできないから政治家や一流のエリート層がそれに引っかかればもうどうしようもなくなってハニートラップと分かっても対処不能であること、などなど。
これを読んでいる紳士淑女半龍の皆様も決してエロ同人みたいなことは現実ではしないように。イェスロリータノータッチ。
「まさか、そんな年頃の女の子をどうやって」
「それができるのが独裁国家なんですよ」
子供は教育次第では何でもなる。スパイ、ハニートラップ要員、兵士、テロリスト……どこぞの世界のように全員が不死身でいい子ちゃんな訳ではないのだ。はて、どこの世界なのだろう……
「ねぇ、すぐここをでたいのぉ」
とロゥリィ。亜神の面影はなく、もう怯えた子猫のようだ。
「どうした。乗り物酔いか?」
「どうにも、気になるのよぉ。落ち着かない」
伊丹は目で他の者に合図を送る。次で降りると。ちなみに、駒門だけよく分かってもない状態だ。
そして次の駅で扉が開き、降りる人が降り、乗り込む人が乗り込もうとしたときに伊丹はたちは降りる。
「ということで駒門さん。俺らこかで降りるわ」
「ちょっと待てって、あんた、こっちにも段取りというものが」
なんとかギリギリ駒門も降りることに成功する。
そして地下鉄を出て地上に戻る。ちょうどこの頃、先ほど乗っていた電車が架線事故で停止したことが、分かった。どう考えてもタイミング的に敵さんの仕業である。
「敵さん、何が目的だと思う?」
「こっちを威圧してるんでしょう。ついでにこっちの力量を測ろうとしている気配もあるな。威力偵察ってやつだ」
と駒門は伊丹の問いに答える。
マイクロバスの追跡も駒門の囮で回避し、架線事故による足止めもロゥリィの勘によって回避できた。
「敵さんもかなり焦ってるだろうし、次はもっと分かりやすい方法でアプローチするだろうな。直接的な方法、例えば……」
と駒門が言い終わらないうちにチンピラ風の男が人混みの中から現れ、瞬時にロゥリィの布で包まれた大きな棒状のものを奪った……つもりであった。
「荷物をひったくって後を追跡させて、罠に誘い込む、ってのは古典的な手口ですが、何やってんだぁこいつ」
そのチンピラ風の男はロゥリィの荷物に押し倒されて動けなくなってしまった。伊丹たちはその中身を知ってるから、あーあ、という感じであったが駒門はそんなこと知る由もない。
そしてそれを拾おうとして腰から枝が折れるような音がしてチンピラと同じ末路を辿ったのは言うまでもない。
「なんてぇ重さだ。バーベル並みだぜ」
と迷言を残して駒門は救急車へ、チンピラはパトカーに乗せられていくのであった。
「おい、そろそろ出してくれや。苦しくてしょうがねえや」
何やらレレイの大きめのバッグから声がした。
***
暗い部屋の中、牛乳瓶の底のような眼鏡をかけた女性がパソコンを前にして何やら作業をしていた。冬なのに暖房もつけずに。
「最後に食べたのはいつだったかな……昨日?一昨日?」
といろいろつぶやきながら作業をしている。作業内容は……あまり見ないほうが良いだろう。特にこの手の趣味のない人たちは。
部屋のドアが何者かによって開けられ、そこには見たことのある顔が浮かんだ。
「なんだ起きていたのか梨紗?部屋を真っ暗にして何してんだ?もう寝てるかと思ったぞ。それになんだか寒くないか、エアコンぐらいつけろよな」
「うはー、狭い家だー」
伊丹耀司、この梨紗という女性の先輩にあたる人物だ。そして口うるさい犬。
「ご、ごはん!」
久しぶりに先輩に会って最初の言葉がこれとは酷い。決して犬を見てこんなこと言ったわけではないのでご安心を。
***
「せ、先輩が女を連れてる!?」
伊丹はさぞ自分の家かのようにどんどん客人を入れていく。
「うわぁぁぁぁっ!黒ゴス少女に、金髪エルフ、銀髪少女と紅髪のお姫様っぽい美人に、縦巻きロールのお嬢様っぽい美人と、巨乳チビ女はどうでもいいか……国際的なコスプレの催しってあったけ?」
色々と勘違いしている梨紗に伊丹は外から誰も聞かれてないことを確認すると事情を説明した。火事で宿泊していた市ヶ谷園からでなければいけなかったこと、彼女らが例の有名人であること、などなど。
「へー、そうなんだ。本物なんだ。それにしてもかぁいいよー!」
お持ち帰りぃ!とでも言いそうな勢いで黒ゴス少女に飛びつくが、かわされて豪快に床に突っ込んでしまう。
それでもなぜか笑っていて、「ふふフふふフふふフ腐腐腐」と意味不明な笑い方になっている。これ、どんな笑い方なんだろう。
「ここにも、ハーディがいたぁ」
とロゥリィは半泣き状態で伊丹にしがみつく。
「あの、ところでこの女性は誰ですか?」
「これは俺の『元』奥さんだ」
「「「えっっっっっっっっ!?」」」
栗林の問いに対する伊丹の答えは文字通り全員の口が塞がらなくなった。
「2尉結婚できたんですか?っと言うか、こんな男と結婚するような物好きが居たってこと自体が、驚き!だけど実物見たら、非常に納得できる組み合わせっ」
つくづく失礼なことを言う脳筋童顔巨乳である。
結局、民間人の梨紗を巻き込むことなどに議論はあったが、現状これしかないと皆納得したので梨紗宅で泊まることにした。
***
翌朝、伊丹は早めに起きると朝食の準備をする。別に手の込んだものではないが、朝食としては悪くない感じである。
そして、寝てる奴らは起こし、起きてる者も呼ぼうとしたがどうしても声がかけにくい者がいた。
それは
「で、殿下、こ、これは」
「う〜む。これほどの芸術が、この世にあったとは」
「殿下。ここは異世界です」
「そうだった」
はて、芸術とはその絵柄のことなのか内容なのか。まあ、古代ギリシャを代表するように、男同士の熱い芸術は一応世界各地にあるし……
「文字が読めないのが恨めしい」
「殿下。語学研修の件ですが、是非わたくしを」
「狡いぞ」
「わたくしがこれらを翻訳して、殿下の元に……」
という感じで会話をして何やら熱心に研究中であった。
「朝食。出来たけど、食べる?」
***
そして朝食を食べ始める。人数も多いので2回に分けて食べることにした。
「あ、梨紗。言い忘れていたけど加藤からよろしくって伝えられてたわ」
「ふふフふふフ、やはり私の信者は忠誠心が高いわ」
「ひぃぃぅ、やっぱりハーディだぁ」
こんなカオスな朝食はレンジャー訓練や特戦にもなかったわと伊丹は思うのであった。
「梨紗殿、一つ質問が……」
とピニャがレレイを通じて問いかける。
「貴女は、このような芸術を手掛けるとは、一体何者なのか?」
それを聞いた梨紗ニヤァ、と笑みを浮かべる。それを見たロゥリィはビクッと警戒する。
「私は、世の女の真の喜びとは何かを研究し、それを世にのこすことを生業としてるわ」
「なんと、
「私もまだまだ真理からは遠いけどね」
もうなんだか厨二病も発動している気がしたが伊丹は敢えて何も言わない。
「貴女にも、
と今度はボーゼスが質問する。
「むふふフ、知りたいかね?きっかけは色々とあるが、一つは彼だね」
とその方向を見ると伊丹がいる。
え、俺?という顔をしているが。
「そして彼の友人兼信者……」
これを聞いて伊丹はハッと思い出す。
「待て、それだけは……!」
「そしてその末に至った最初の真理はこれよ!」
と古びたノートを出す。「らふすけっち」と書いてある。
ピニャたちはそれに手を出し、ゆっくりとページを開く。
なぜか他のみんなも囲んでいる。
「やめろー!」
***
ピニャが最後のページを閉じると、なぜか鼻から血がつー、と垂れてきた。ボーゼスも同様である。他は瞳から光が消えていた。
「なんということだ、まさに雷に打たれた気分だ」
「芸術とは爆発なのですね、姫様」
「モデルがいなかったからって俺をそんな風に使うなー!」
「イイノヨー、伊丹。私たちは別に気にしてないカラー」
とロゥリィ。目はもう死んでいる。
「理解不能」
ロボットのような返答のレレイ。
「え、ここじゃ普通じゃねーの?」
とバルバスが爆弾発言をする。
今日も日本は平和である。
なぜか多くの異世界(スカイリム、フォールアウト、その他)では子供は不死身か死ぬと主人公も破滅してしまう模様。さらにまた別の異世界では女の子がたくさん魔法少女になったり……どうりで国連が子供の戦争利用を禁止しようとするわけである。
そういや、伊丹陣営は髪の色だけなら魔法少女ものが、できそうですね。巨乳チビ女を除いて。