オブリビオンゲート 異世界龍 彼の地にて 斯く集えし 作:ArAnEl
最近忙しくて駄作者にさらに駄目っぷりが磨きがかかってしまっております。
必ずこの作品は完成させるつもりですので、ご安心ください。
「なになに、空母型護衛艦いぶき、就役か……」
なぜか顔のあちこちにアザや絆創膏がはってある加藤が新聞の見出しにでかでかと掲載される内容を読んでいた。
休憩室なのだが、周りの幹部は「一体何が起きたんだ……」と思いながらも敢えて触れなかった。事情は神と伊丹のみぞ知る。
『全幹部は至急作戦室に集合せよ』
そこにいた幹部たちはやれやれと思いながら作戦室に向かう。
「加藤……昨晩は大変だったな」
途中で遭遇した伊丹が同情の目で、片目はパンダみたいに黒くなり、あちこち絆創膏を貼っている加藤を見た。
「全くだよ。目覚めたら道場の天井だったからな。でも、少し楽しかったかな」
「へ?」
「腕十字を極められそうになった時の腕でがパフパフされるところとか。窒息しかけたけど押さえ込みで何か柔らかいものに潰されたときは、何故か安心感があってだな。そのまま意識がすぅーっと……」
「……ただのマゾじゃねえか。何なら楽しかったって伝えといてやるけど」
「やめて、次は死ぬから、ほぼ確実に」
「そりゃそうと、幹部たちが集められているけどどうしたかわかるか?」
「大方、また
そうして作戦室に入ったが、いつもより雰囲気がすごく重かった。
通夜モードどころではなかった。
そして全員が揃い、狭間陸将が重い雰囲気で口を開いた。
「諸君、緊急事態だ……」
***
緊急会議が終わり、虚ろな目の幹部自衛官たちが、ゾロゾロと出てきた。無論、伊丹たちの目からも光が消えていた。
そして二人は更衣室で戦闘服に変える。
「とうとうこの日が来たな……」
「ああ、まさか特地だとな。戦闘地域だから薬莢は拾わなくてもいいし、武器が壊れても仕方がないで済んだのに……」
「よりによって官品捜索を行うこととなるとは……」
「一体誰だ巨龍の骨を官品に登録した奴は!?」
原因は展示してあった巨龍の頭骨が忽然と姿を消したことだ。
警備していなかったわけではない。
しかし陸自のヘリ数機で吊るしてやっと運べる代物を、陸自以外が運び出す可能性は皆無と考えていた。
だから、ちょっとだけ油断していたといえば油断したわけである。
しかも追い打ちをかけるように、官品登録してしまったがために捜索をせざるを得なくなったわけだ。
そんなわけでこの日一日中皆捜索に駆り出されたわけだが、見つかることはなかった。
***
「あれは……何なんでしょうね」
目の前の青年がふと呟く。そして軽く溜息をつくと、話を続けた。
「あれは僕が渓谷でいつも通り仕事をしようとしていたときです。ええ、ホント偶然だと思うんですけどね」
青年はどこが年相応らしからぬ落ち着きがあった。
「妙に落ち着きすぎじゃないかって?そりゃ貴方、
何をだって?
信じて貰えるかわからないですけど……そうですね、あれは超巨大なヤドカリ、ですかね」
そしてこちらからいくつか質問すると、青年は鼻で笑った。
「……いや、失敬。貴方たち緑の人の質問からも、私の言ってることが信じられないことが丸わかりですよ。貴方たちは理解していない。
超巨大って、せいぜい1、2メートルぐらいのヤドカリと思ってるでしょう?
常識にとらわれちゃいけませんよ。
……そうですね、20mぐらいですかね」
そして青年はこちらの反応を見て薄ら笑いをわずかに浮かべた。
「そしてそれが立ち上がった時は30mぐらいになりましたかね。ホントびっくりしましたよ。
え?肝心な巨龍の頭骨はいつ話してくれるって?
そう言えばいい忘れましたね。先ほどヤドカリと言いましたよね。そう、そいつがその頭骨を宿にしていたんですよ。あんなの被るくらいですから、大きさ想像できますよね?」
青年はそこまで言うとどこか満足気味であった。
「そして、肝心なその後の行方何ですが……」
突如笑みが消える。
「消えたんです」
青年はまた溜息をつく。
「ええ、ここまで話してですが……本当に消えたんです」
しかし青年は何か隠しているのか、それとも怯えているのか、目が泳いでおり、冷や汗もじんわりと肌から滲み出て来た。
「正確には、大きな衝撃と共に、消えたんですけどね……気づいたら私は気を失っていて、そのヤドカリは消えていたんです……これで、話は全てです」
これが、後ほど行われた巨龍の頭骨の行方に関する最も有効な情報の聞き取りであった。
***
正確には、以下のような現象が起きたのだ。
「うむ、勢力拡大のため飛び出したのはよいが、計画はしておらんな。まずは巨龍の骸の行方を探すとするか」
あれほどの巨体だからすぐに見つかるだろうと 楽観視していたアルドゥインだが、思ったほどすぐには見つからなかった。
おまけに魂が消えてしまってるので龍の気配も感じられない。
「おのれドヴァキンらしき奴め、巨龍の魂も喰らいおったか……」
そうでも考えないと説明がつかない。あれほど大きな魂が消えたのだ。自らが蘇生させる前ですら魂の痕跡があったというのに。
そして数日後、そろそろ諦めようかと思ったところにそやつは現れた、かなり変わった形になったが。
「なんなのだ、あれは!?」
アルドゥインは驚いた。空高くからやっと見つけたと思ったら頭骨が動いたのだ。頭骨だけで。
というのは見間違いで、よくよく観察したらでかい生物が背負って運んでいただけであった。
「……なんだあのどでかい
所詮見た目は蟹なのでアルドゥインは冷静さを取り戻した。
「しかしなんたる不届きもの。我の同胞の骸を身に纏うとはな。我が成敗してくれよう」
そう奮い立ったアルドゥインは急降下して近づいた。
しかし、その巨大蟹に先に感づかれると共に、背負ってる頭骨を向けられる。
「ふん、所詮は蟹の知能よ!その程度で我の攻撃が耐えられるとでも……」
そして頭骨の口を開くと、少しの間を開けて巨大な何かを噴射した。
「!?」
その大きさはもし巨龍が火球やブレスを放ったら、程の大きさである。
アルドゥインは間一髪でそれを躱す。
当たっても死にはしないだろうが、得体の知れないものは極力触れたくないというのが本音であった。それになんかばっちい気がしたので。
しかしギリギリで躱したため、空中で大きくバランスを崩し、渾身のシャウトによって加速された突進は的を外すことになった。
「ちっ、外したか……ん?」
近場の崖に激突し、もう一度飛ぼうと立ち上がったとき、それは目の前にいた。
「む?」
記憶が正しければ、そいつの体高はもっと低かったはず。しかし先ほど見たときと比べ、約2倍の高さになっている。証拠に、そいつの顔が崖上にも関わらず目の前にある。
そしてそれは大きな二つの鎌をアルドゥインに向けて叩きつけた。
「ぬ!?なんという威力!」
幸い、不死というか攻撃を受け付けないアルドゥインにとってはなんともなかった。
しかし、叩きつけられた鎌は地面に食い込むようにアルドゥインの翼を貼り付けていた。
分かりやすい例えとしたら昆虫の標本のようなものか。
「不覚。これほどの力とは……」
いくらダメージを喰らわないといえど、物理的に無理やり押さえつけられてしまい、身動きが取れなかった。
「ふむ、よく見れば単に脚を伸ばしただけなのか。驚いたわい」
アルドゥインは自身が押さえつけられているにも関わらず相手を冷静に観察する。
「うむ、ヤドカリというより、この大きさ、威力、動く砦と行った方がしっくりくるな。貴様がその背中に我が同胞の頭骨を担いでいなければジョールどもとの戦いを静観したものを」
アルドゥインは間違えていない。別世界でもこの生物はこう呼ばれている。
砦蟹、
そしてしばらく観察すると、砦蟹がより一層鎌に力を入れる。
アルドゥインの翼が千切れるようなことはなかったが、余りにも力が加わってしまい、その下の岩が陥没し始めた。
それでもなお、アルドゥインは余裕であった。
「……非常に面白い奴だ。しかしな、貴様に勝ち目はない。なぜなら、我は貴様のような下等生物とはできが違うのだよ。
かつてカオスドラゴン相手と同様、無言で砦蟹をロックオンし、メテオの集中砲火を食らわせる。
さすがは巨龍の頭骨と言うべきか。
いくつかメテオを弾くが、それでも直接身に当たったり、跳弾したものが身に当たるなどして砦蟹に瞬く間に木っ端微塵、本当に跡形もなく消し去ってしまった。
無論ごく稀にアルドゥイン自身にも跳弾が当たったが、特に問題はなかった。流石は最強と謳われた龍である。
そして身軽になったアルドゥインはその強大な魂を吸収すると、また飛び上がった。
「ふむ、悪くない量だ。さて、また探索を続けるか。それにしても、
アルドゥインは仕方ないと諦めると夜空へと消えていった。
この後、帝都では大きな騒ぎが2つほど起きた。
一つは、真夜中に非常に大きな龍の頭骨が空から落ちてきて城壁を叩き壊したのだとか。幸い、少数の怪我人で済んだのだが。
そしてもう一つ、公表はされてないものの、帰還したピニャの騎士団の団員の多くがほぼ裸だったこと。
その多くが口揃えて言うには、空から何やら大きな液体の塊が降ってきて瞬く間に鎧や衣服を溶かしてしまったとのこと。こちらも幸い、怪我人はいなかった。
世の中不思議なこともあるようだ。
最後に騎士団たちが怪我人もいなかったのは作者によるご都合主義。鎧や衣服が消え去るなんて最高ですな。
ピニャ「くっ、殺せ!」
あとあれです、頭骨が空高く舞い上がるのはスカイリムにおける巨人の一撃と同じ物理エンジン理由。