オブリビオンゲート 異世界龍 彼の地にて 斯く集えし   作:ArAnEl

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ヴァイルの力の残り半分は誰が持ってるって?
ヒント、主要キャラの誰か。

あとセラーナ様の容姿は各々の脳内再生に依存しております。



キマシタワー

「ああ、また息ができるなんて素晴らしいですわ」

 

眠っている間息していないのか?と伊丹は思ったがここは異世界、彼女は吸血鬼なので細かいことは聞かないことにした。きっと仮死状態とかだったんだろうと解釈する。

 

 

「急ぎましょう。太陽はお肌の天敵ですのよ、分かっていると思いますが」

 

 

そう言ってフードを被る。

 

 

「やはりそうなのか」

 

 

伊丹の予想通り、太陽光を浴びると石化したり、溶けたり、消えたりするタイプの吸血鬼ではないようだ。

 

王道の、太陽に少し弱い吸血鬼。

 

いきなり「WRYYYYYYYY」と奇声を上げたり、ロードローラーで潰しにかかったりしないことを願うばかりであった。

 

それとも、どっかの吸血鬼殲滅機関みたいに、周りのもの全てを飲み込もうとすることもしないよう願うのであった。

 

 

「あ……」

 

 

暗闇から出て最初に見た光景に伊丹は絶句した。

 

迷宮の外だったのは良いのだが、周りがゾンビ(美女)に埋め尽くされていた。ざっと100は超えていると思われる。

 

 

「あー、忘れてたわ。でも迷宮の中と比べたらましかな。とほほ……」

 

 

吸血鬼お嬢様(セラーナ)を除いて全員が戦闘態勢に入る。

 

 

「はわぁ、素晴らしい光景ですわ」

 

 

どごが!?とそこにいる全員がツッコミを入れたそうな表情をした。やはり吸血鬼は思考が人間とは違うのだろうか。

 

 

「しかし、少し邪魔でございますわね。アンデッドはアンデッドで対処するのが一番楽ですわ」

 

 

そう言って手から怪しげなオーラが出ると、倒れていた死体が起き上がる。

 

 

「ひっ!?」

 

 

アルペジオは隣の死体がいきなり動いたので大いに驚く。

 

 

「なっ!?」

 

 

伊丹は一瞬銃口をセラーナに向けそうになった。もしかしてゾンビの親玉なのかと疑ったからだ。

 

しかしそれは杞憂に終わる。

 

青いオーラを纏ったゾンビたちが元々のゾンビたちを攻撃し始めたのだ。

 

 

「あとは皆様でお楽しませくださいまし」

 

 

あっと言う間にゾンビの共食いによって敵は全滅した。

 

そして用が済んだゾンビたちも灰となって崩れた。

 

 

「さあ、行きましょう。早く日光がないところに」

 

「え、あ、はい」

 

 

伊丹は今の光景が信じられん、という顔をしていた。

 

 

(こいつ……何者?)

 

 

ロゥリィは唇を噛み締めると同時にハルバートを強く握る。

 

 

そうして伊丹たちはほぼ何も成果ないまま、レレイたちの元へ車で帰って行く。

 

 

その様子を誰かが木の上から見守っていた。

 

 

「フフフ、面白いことになったにゃ。まさかお嬢様が出てくるとはね」

 

 

そしてスコープを放り投げる。

 

 

「正直、銃は個人的には好かないにゃ。でも、君たちはまだ使いどころがあるにゃ。それにしても、黒魂石(ブラック・ソウル・ジェム)はやはり綺麗だにゃ」

 

 

そい言いながらいくつかの黒い石を太陽にかざして見つめる。

 

 

***

 

 

「お帰りなさい。結果はどうですか?」

 

 

レレイの看病をしていたミモザが伊丹たちを出迎えた。

 

しかし彼女の期待に対し、伊丹は首を横に振った。

 

 

「一応、拾った薬、書物などはあるけど、多分どれも期待できそうにない」

 

「そうですか……」

 

 

実のところ、今病気で意識を失っているのはレレイだけだった。街の患者は全員完治したようだ。

 

 

「不幸か幸か、レレイの容態は変わってないわ。ただ、眠り姫のように眠っているわ。死体かと思うほど静かですけど」

 

「そうか。一応安心したよ。でも発表会は諦めるしかないか」

 

「ええ、残念だけど……」

 

 

伊丹はレレイをアルヌスに連れて帰ることを決意する。

 

 

「ところで伊丹さん、後ろにいらっしゃる方は?」

 

「ん、ああ、先程お会いした……」

 

「セラーナですわ。どうぞよしなに」

 

「……変わったお方ですね」

 

「あー、お父さんまた女の人連れて来てる!」

 

「テュカ、誤解を生むような発言やめろぉ!」

 

「まあ、ノルドか帝国人かブレトンかわかりませんが顔の平たい人間からエルフが生まれますの?」

 

「いや、本当の娘じゃないから」

 

 

とにかくややこしくなりそうなので伊丹は全員を集めて家族会議事情説明と紹介を行うことにした。

 

これで色々と誤解は解けた。案の定セラーナが吸血鬼と判明するや否やミモザとテュカが驚嘆したが。

 

 

「なんですの?この時代はそんなに吸血鬼が珍しいですの?」

 

 

一応念のため、セラーナにも身の上話をある程度してもらった。

 

その結果……

 

 

「セラーナさん。非常に言いづらいが、多分この世界は貴女のいた世界とはまた別だ」

 

「……薄々感じておりましたが、本当にそのようですね。何か色々と常識がずれているように感じますわ」

 

(え、吸血鬼だからしゃなくて?)

 

 

一応セラーナの故郷(スカイリム)の名誉のために言うが、決してそこの民はゾンビや死体の山を見てはわぁ、などとは言わない。ドラゴン相手に素手で戦おうとしたり、別の意味でずれているかもしれないが。

 

 

「おそらく、私が所持している『星霜の書(エルダースクロール)』のせいでしょうね」

 

「星霜の書?」

 

「星霜の書をご存知でないのですか?」

 

「1000年近く生きてるけど、聞いたことないわぁ」

 

 

この中で一番年長者(であろう)ロゥリィが言う。

 

 

「あら、貴女見た目と違って随分お年ですのね」

 

「そうよぉ、私は亜神だからねぇ」

 

 

ロゥリィは得意そうに言う。

 

 

「現人神といったところですのね。そちらのエルフのお嬢様方もそれほどですの?」

 

「失礼ね、私はそこまでいってないわよ!」

 

「こ、この身もそこまで年をとってはいない」

 

 

そして各々の年齢を告げる。

 

 

「まあ、若い!」

 

100〜300歳を若いと言っていいのか伊丹は戸惑った。そしてなんだか少し嫌な予感がした。

 

 

「そう言うセラーナは何歳なのよぉ!」

 

 

ロゥリィが口を膨らませていう。

 

 

「レディに歳を聞くものではございませんでしてよ」

 

「私たちもレディよぉ!」

 

「仕方がないですわね。私は……」

 

 

次の数字を聞いてその場の全員が絶句する。

 

 

「そ、そんな……」

 

 

ロゥリィが膝と手をついて orz のポーズになる。

 

 

「げ、猊下がまた敗北しただと……?」

 

 

ヤオの言葉を聞いて伊丹は思い出した。バルバスもそんな感じだったなと。

 

 

(ところでどうしてこんな話になったんだ?)

 

 

伊丹は冷静に突っ込むのであった。

 

 

***

 

 

これは夢か、記憶か、幻想か。

 

 

アルドゥインは静かに周りを見渡す。

 

少なくとも現実の世界ではない。

 

 

夢だろうか?

 

 

否、彼は眠りというものを知らないから多分違うだろう。そもそも眠ることを必要としないから。

 

自分はおそらく世界のノドの山頂にて世界を見渡している。

 

周りには自然が溢れており、地上や空には龍たちが多くいた。

 

なぜ自分はこんなところにいるのだろうか。

 

先程まで瞑想していたのは覚えている。

 

 

ではこれは記憶か?

 

 

それも少し違うようだ。

 

確かに、彼の元いた世界のかつての時代、それも竜戦争よりも遥か前の世界に似ていた。

 

龍が頂点の世界。

 

しかしまだまとまっておらず、龍同士のスゥームによる議論(殺し合い)が盛んに行われていた弱肉強食の世界。

 

それにすごく良く似ていた。

 

しかしこれもまた記憶とは違うようだ。

 

 

それぞれの龍を良く見るとアルドゥインが一度でも関係したドラゴンたち、つまり全員知り合いか何らかで面識のあるものたちだ。

 

ある者は殺し合い、服従させ、友となった者、敵となったもの、ジョール()に殺されたもの、竜戦争時の部下、戦友、裏切り者と色々いた。異世界で出会ったものたちもいる。

 

具体的に名を挙げるなら、パーサナックス、ミルムルニル、サーロクニル、オダハヴィーング、ダーネヴィール、サーロタールなどなど。挙げるとキリがない。

 

こちらの世界で出会ったものならヨルイナール、アンヘル、ワイバーン、声のデカいドヴァなど。他にも面識がないか覚えていない奴もいる。

 

 

……そしてこの世界はやはりなんだろうか。

 

 

夢でも記憶でもない。幻想か?理想か?

 

それとも、未来か?

 

 

しかしそれはあり得ぬと否定する。

 

第一、この中の多くは元の世界でドヴァキン(宿敵)に殺され、魂を奪われたものもいる。つまり我の力では復活させられない。

 

おそらくこれは我の願望を世界にした幻想なのだろう。

 

 

(願望、か……)

 

 

幻想かよくわからないが、アルドゥインはため息をつく。

 

自らは全てを手に入れたと思っていた。

 

欲しいものは何もないくらいに。

 

そもそも、自分は傲慢な定命の者(人間)と違い、造物の頂点に君臨するドヴァ(ドラゴン)である。なので人間共と違い、何かを欲するという感情は無いものと信じていた。

 

 

(所詮我も奴らと変わらぬのものなのか……?)

 

 

そう想いに落胆していると、頭の中に声が微かに響いた。

 

 

『……ケテ……助ケテ……』

 

「誰だ我に直接語りかける不届者は?」

 

『……ケテ……助ケテ……』

 

 

しかし声の主は答えない。

 

アルドゥインは少々苛立ちながら周りを見渡す。

 

相変わらずドラゴンたちが呑気に生活している風景が広がっていただけだ。

 

しかし声は向く方向によって大きくなったり小さくなったりした。

 

 

「この方向か?」

 

 

南の方角から声が聞こえる。そしてその方向に飛行する。

 

声は少しずつ大きくなるものの、まだ距離は相当あった。

 

さらに加速させる。

 

それでもまだ遠くいる。

 

かなり長い時間、距離を飛行した。

 

そして、声が大きくなるに連れて風景も変わった。

 

先程まで緑が多い地から砂漠となり、それが今度は荒野となる。

 

最終的には海にたどり着いた。

 

 

『助ケテ……助ケテ……』

 

 

声は真下から聞こえる。

 

しかし海は深く、そこは暗闇で見えない。

 

さてどうしたものか、も考えていると、声がさらに響いてきた。

 

否、多くの声が重なって聞こえた。

 

 

『『『助ケテ』』』

 

 

そして突如海から触手のようなものが複数現れ襲いかかってきた。

 

 

「!?」

 

 

予想外の出来事にアルドゥインは容易く捕まってしまう。逃れようにも翼、足、首、とあらゆる場所に触手のようなものが絡み付いて来る。

 

 

「おのれ、貴様!」

 

 

しかしそれでも『助ケテ』の声は止まない。

 

 

FUS RO DAH(ゆるぎなき力)!」

 

 

スゥームで無理やり引き離す。しかし触手はまた掴みかかろうとする。

 

一旦陸に戻って態勢を立て直すべく振り返った。

 

そしたら奇妙な鉄やら岩やらでできた巨大な四つ足の獣のようなものが見えた。

 

 

「なんだこいつは!?」

 

 

しかし次の瞬間アルドゥインはさらに恐ろしい物を見つける。

 

あまりのものに声すら出ないほどに。

 

その背後にいた山と思われるほどの大きさの()()()がいた。

 

デカい。

 

本当に山のようにデカい。

 

デカすぎて何なのかよくわからないほどに。

 

そしてそいつの目のようなものが細く、赤く光った。

 

 

そして何が起きているのかわからないまま、アルドゥインは自身の理想郷としていた地が文字通り消し葬られた。

 

 

 

「ガァァァァアアアア!!!!??」

 

「アルドゥイン殿、どうしたのだ!?」

 

 

気づけば元の今いる世界に戻っていた。

アンヘルがアルドゥインの咆哮に驚いていた。

 

 

「主人殿も眠るのですね。それとも悪夢というべきですか。相当うなされていましたよ」

 

 

ヨルイナールも心配そうに覗き込む。

 

 

「何でもない。我が悪夢を見るなど……笑止!」

 

「でもうなされていたぜ」

 

「だからなんでもないと言っておるだろう!!」

 

「「「ひい!?」」」

 

 

ジゼルの一言に苛立ちを感じたアルドゥインに2頭と、1人は恐怖を感じた。

 

 

(くそっ……なんだこの落ち着かない気分は!?)

 

 

どうもあの悪夢か幻想かよくわからぬ世界のことで気になっていた。

 

そして最悪のことを想定した。

 

 

未来予知

 

 

彼は占いなど信じるたちではない。しかしあれがただの悪夢や幻想などではないということが直感と本能が告げる。

 

仮に完全な未来予知でないにしても、なんらかのお告げのような感じもする。

 

 

(……早急にに手を打つ必要があるな)

 

 

アルドゥインは次の行動を決する。

 

 

「ヨルイナール、貴様は引き続き他の龍の調査を行え。アンヘル、お前はジョール供の監視をしろ。何か変な企みでもあればすぐ報告しろ。そしてジゼルは……スゥームの練習でもしとけ」

 

「心得た」

「分かりました」

「まじか」

 

「そして我はこれから南に向かう」

 

 

***

 

 

「目が、目があ!」

 

 

ロゥリィが転げ回っていた。

 

ようやく話が元に戻り、星霜の書(エルダースクロール)の話になった。

 

どうやらアーティファクト(神器)のようなもので、紙のようなものであるが決して滅せられないらしい。ということまで分かった。

 

伊丹が物欲しそうな顔をしていると、これはセラーナのものであると先に釘を刺されてしまった。

 

しかしロゥリィの提案により、どんなものか見てみたいということになり、セラーナは渋々承諾した。

 

 

「どうなっても知りませんわよ?」

 

 

という言葉を残して。

 

そして今ここ。

 

 

「やはりこうなりましたか。見るべく人が見るべく時以外ですと目がやられてしまうとお聞きになりましたわ」

 

「それを先に言って欲しかった」

 

 

ロゥリィ以外は嫌な予感したので部屋の隅に退避していたのが幸いだった。

 

 

「ひどいわぁ……」

 

「まあそんなこともあるさ。目は大丈夫か?」

 

 

伊丹がロゥリィの目を確認するとき、ロゥリィはドキッとしてしまう。

 

 

「いいわよぉ……すぐ治るし」

 

「ならいいけど」

 

 

こんな感じだが、自己紹介、素性の説明などが終わる。セラーナはそこまで詳しく話してくれなかったが。

 

 

「ところで貴方、私を元の世界に戻すのに手伝ってくれませんこと?」

 

 

セラーナが伊丹に尋ねる。

 

 

「生憎、自分も多忙の身でしてね。なかなかそんな余裕はないのですよ」

 

「まあ、レディを見つけておいて無責任な方ですわね」

 

「……すみません」

 

「では、取引きしません?私が何か手伝えることを致しますので、そちらも手助けをするなど」

 

「うーん、そう言われても……」

 

「先ほど誰かが病気で困っていらっしゃったように見えましたが?」

 

「……ああ、仲間の一人が病に倒れて意識不明だ。今のところ良くも悪くもない」

 

「でしたら、もし私が治療、または改善させることができた場合、どうでしょう?」

 

「そんなことできるのか!?」

 

 

伊丹は椅子を吹き飛ばして立ち上がる。

 

 

「まあ、まずは診てみないと分かりませんが」

 

 

伊丹は最悪アルヌスに連れ帰ることを考えた。しかしそれで治るという保証もない。もしかしたら未知の病かもしれない。

 

しかしここで治るのであれば、そのような手間もかからないし、レレイも無事発表会に間に合うかもしれない。

 

 

「もし、できるのであればお願いします」

 

 

伊丹が深々と頭を下げる。

 

 

「では、もし成功すれば、私を元の世界に戻すお手伝いお願いしますね」

 

 

そして二人は握手する。

 

 

そしてすぐにレレイの症状を確認する。

 

 

「「……」」

 

 

セラーナが診る間、皆が息を呑んで見守った。

 

 

「……診終わりましたわ」

 

 

皆がセラーナの次の言葉を期待する。

 

 

「正直のところ、初めて見る症状ですわ」

 

 

それを聞いて全員が落胆する。

 

 

「しかしながら、これと近い症状を知っています」

 

「……!?」

 

「血流の弱い肌、瞳孔の変色、弱いくて遅い脈拍……これは、サングイネア吸血症に似てますわ」

 

「サングイネア吸血症?」

 

「ええ、通称吸血病(ヴァンピルズム)ですわ」

 

「レレイが吸血鬼になるのか!?」

 

「いいえ、それはまだわかりかねますわ。それに、全く症状が同じというわけではありませんので、まだ判断しかねますわ」

 

「治す方法は!?」

 

「元の世界には無いことはないのですが……ここでは無いかもしれません」

 

「くそっ!」

 

 

吸血症なんて病気は伊丹の世界にはない。

 

つまり治療もできない。

 

これではアルヌスに戻っても意味はない。

 

 

「ただ、対処療法ならありますが」

 

「どうすれば良い?」

 

「彼女を半吸血鬼にするのですわ」

 

「それじゃあダメだろう!」

 

「そう言うと思いましたわ。しかし、なぜ吸血鬼はダメですの?」

 

「だってそれは……」

 

 

言葉が出ない。そういえばなんで吸血鬼はダメだと咄嗟に言葉から出たのだろう。

 

 

「やはり、この世界でも貴方の世界でも、吸血鬼は嫌われていますのね」

 

 

セラーナは静かに笑う。

 

 

「ご安心あそばせ、半吸血鬼ですわ。条件を満たせば基本的に吸血鬼になることはありませんわ」

 

 

そしてセラーナは説明する。

 

冷耐性には少し強くなるが火には弱くなること。太陽は少しだるくなる程度のこと。

 

そして症状が悪化する前に生き血を飲ませればその段階を維持できることを。

 

 

「分かった……ただいくつか聞きたい。その、何というか……処女じゃないと吸血鬼ではなく、ゾンビになってしまうとか、そういう設定ないよな?」

 

 

伊丹は自分の吸血鬼知識(2次元)を駆使して確認する。

 

その時、温和な表情をしていたセラーナの瞳が突如殺意に満たされたような気がした。

 

苦笑いしていたが、目は明らかに「何を聞いてますの?この虫けら野郎、殺しますわよ?」とでも語っていた。

 

 

「ご安心くださいませ。私自身、既に経験済みですので、問題ありませんわ。最も、真祖になると同時に純潔を失いましたが」

 

「そ、そうか。ごめんなさい、変なこと聞いて……ってええ!?真祖!?」

 

 

伊丹の頭の中には某英霊(サーヴァント)がバトルロワイヤルを行うノベルゲームの製作者がそれの前に作った吸血鬼たち(+α)のバトルロワイヤルノベルゲームを思い出す。

 

 

「私のことは詮索しないでくださる?特に純潔に関して」

 

 

もう雰囲気から完全に月●のヒロイン(やばいモード)じゃねーかと伊丹は内心ガクブル状態だった。一体どんだけひどい初体験だったんだ?と思ったら聞いたら消されると判断し、素直に謝った。

 

 

そんなことありつつも、ちゃんと仮にレレイが非処女(そんなことは無いと思うが)でも某作品のようにゾンビやグールにならないのでひとまず安心した。

 

後でレレイが起きたら事情を話そう。例えどんな結末になっても。せめて彼女の命を守らなければと伊丹は最終判断を下す。

 

 

「分かりましたわ、では早速始めましょう。ふふ、若くて綺麗な肌ですわ」

 

 

セラーナは眠るレレイの顎を優しく持ち上げると首筋を愛撫する。

 

 

「ではいただきますわ」

 

 

そう言うとその赤い唇をレレイの白い肌にそっと近づけ、優しく触れる。

 

なんだか妙に官能的であるので、特に女性陣が顔をほんのり赤らめてドキドキしてしまってる。テュカなんか目が惚けている。

 

 

(うーん、なんだか雰囲気がピニャ達と逆な気が……)

 

 

伊丹はな何かを危惧する。

 

 

レレイは一瞬身体をピクンと動かした以外特に変化は無かった。

 

 

「終わりましたわ」

 

「え、もう?」

 

「今夜いっぱい様子を見ましょう。特に悪化しなければ大丈夫ですわ」

 

「そうか……」

 

「今日は遅いですし、皆様もお疲れでしょう。今日は眠りにつきましょう。もっとも、私は夜の方が元気ですが」

 

 

ということで、その夜はそれで解散した。

 

 

「ああ、私もあんな雰囲気味わいたい」

 

 

どっかの両刀ハイエルフがぼそっと変なことをつぶやく。

 

 

***

 

 

取り敢えず、レレイの様子を交代で見ることになったが、伊丹は自分の番でも無いのにずっと起きていた。

 

 

「レレイのことが心配なのねぇ」

 

「ああ、そうだな。ロゥリィは別に寝てもいいぞ?代わりに俺が診るから」

 

「いいのよぉ。それに伊丹が変なことしないように見張ってるんだからぁ」

 

「俺ってそんな信用ないかあ」

 

「ふふ、本当に信用してなかったら眷属にしないわぁ」

 

 

ロゥリィは微笑む。

 

 

「それに……彼女のことがきになるからねぇ」

 

「セラーナか」

 

「そうよぉ。今この世界なイレギュラーなことが起きすぎてるのぉ。彼女も何か関係してるかもしれないからぁ」

 

「そうか」

 

「ヨウジも気をつけなさいよぉ。美女に弱いんだからぁ」

 

「たはは……」

 

「う……ん……」

 

「「レレイ!?」」

 

 

無反応だったレレイが一瞬意識を取り戻した。

 

 

「ヨウジ……どうしたの?」

 

 

レレイがゆっくりと瞼を開ける。

 

瞳が暗いのによく見えた。

 

 

「レレイ、大丈夫か?無理はするな」

 

「少し身体が重い。あと喉がすごく渇いた」

 

「分かった。すぐに水を……」

 

「違いますわ。生き血ですわよ」

 

「わっ!?いつの間に!?」

 

 

いつの間にかセラーナが伊丹の隣にいた。

 

ロゥリィも驚いた様子で、全く気配を感じられなかったようだ。

 

 

「あ、生き血ね。症状抑えないといけないもんね。もしかして、やはり俺の?」

 

「別にぃ、私はヨウジ以外でもいいけどぉ、きっとレレイは嫌がるでしょうねぇ」

 

 

なんだかロゥリィは嫉妬した様子である。他女性陣数人も同様。

 

セラーナはそれを見て微笑ましいと笑う。

 

 

「どれくらいの量が必要なんだ?」

 

「小さじ程度で良いかと」

 

 

伊丹はナイフで指先を切るつけるとその血を器に移そうとする。

 

 

「そのままでいい」

 

 

そういうとレレイは伊丹の人差し指を口に入れる。

 

 

(ええ!?レレイ、いつからそんな悪い子になったの!?)

 

 

伊丹は困惑する。嫌か嬉しいかで言えば嬉しい方だが、どこか複雑である。なんか恥ずかしい。

 

いつも無表情のレレイが妙に色っぽく見える。

 

例えるなら、ロゥリィの妖艶さが少し加わったような。

 

伊丹とレレイは気づいてはいないが、実はレレイは無意識に『吸血鬼の魅惑』を発動していた。

 

 

「……ごめん、どうにかしていた」

 

 

レレイは吸い終わると恥ずかしそうにそっぽを向いた。

 

 

「いや、気にするな。病みあがりだから仕方がない。今日はしっかり休め」

 

「……うん」

 

 

後に、ずっと後のになってわかったことだが、レレイはとある病気に非常に近い症状であったことが検査で判明することとなる。

 

『白血病』




※設定解釈

白血病は漫画「ブラックジャック」に吸血鬼と白血病の会をヒントにしました。実は勘の良い人なら、なぜレレイが白血病にかあかったかわかるかも。

あと伊丹が吸血鬼のネタを言っているのは「ヘル●ング」と「●姫」
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