オブリビオンゲート 異世界龍 彼の地にて 斯く集えし   作:ArAnEl

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ストーリが進まない……駄作者も星霜の書で時の狭間に閉じ込められたのですかね。

時たまモンハン勢とスカイリム勢のドラゴンではどちらが強いかなど考えますが、ベクトルが違うから比較することが難しいのですよね。


エロくない触手プレイ

 

アルドゥインは南にひたすら進んだ。

 

幻とは異なって景色が急激に変わるようなことはなかった。

 

時たま下の村のジョールどもが騒いでいたが、特に気にしなかった。

 

そして海岸にたどり着いた。

 

しかし特に何もなく、平凡な普通の海が見えるだけだ。

 

 

「……無駄足だったか?」

 

 

イラつきと同時に安堵もした。

 

 

「杞憂だったか。ならば帰ってひと暴れでも……」

 

 

そのとき、少し遠くで微かな悲鳴が聞こえた。

 

 

「ふむ、ジョールが近くにいるのか。腹(魂)ごしらえでもするか」

 

 

と近くの港町に近づく。

 

 

しかしその港は異常事態であることに気づく。

 

 

「きゃーー!」

「ぐわあ!?」

「やめてーー!」

「助けてくれー!」

「いやーー!」

「この子だけは、この子だけはー!」

 

 

(な、なんだこれは……?)

 

 

町全体が邪悪な雰囲気を漂わせており、所々で海から伸びた異形のものに襲われていた。

 

 

(スケルタルドラゴン?いや、何かが違う……)

 

 

骸骨状の細長い首を持つ龍のような何かが7体、町の住民を蹂躙し、建造物を破壊する。

 

 

(龍の気を感じるが、龍ではない……なんたる不届き者、成敗してくれる!)

 

 

アルドゥインは高高度から急降下を開始した。

 

それに気づいた住民はさらにパニックに陥る。諦めてしまう者がいるほど。

 

 

Stran Bah Qo(ストーム・コール)!」

 

 

アルドゥインの放ったシャウトにより、雷撃が降り注ぐ。

 

見事スケルタルドラゴンのような奴らに命中し、動きが止まる。

 

まあ、もちろん住民も何人か巻き込まれたが、そんなことアルドゥインは気にもしなかった。

 

雷撃が直撃した異形のもののいくつかは、骨が少し禿げた。

 

 

「まさか……」

 

 

アルドゥインは幻惑を思い出す。

 

あのとき見た触手と似ていた。

 

 

「貴様か!?」

 

 

海に戻って撤退を始めたので急いでおいかける。

 

 

「ぬ!?意外と速いな!」

 

 

水中深くに潜り、影しかないがそれを追いかけた。

 

 

残された住民は一瞬何が起きたのか理解できなかったが、遅れて歓喜の声が上がった。後にこの土地では黒龍を神として奉る習慣が根付くこととなる。

 

 

***

 

 

「ふん、こんな島に隠れようと、我には通じないがな」

 

 

アルドゥインはある孤島に舞い降りる。

 

深く潜られて視界では見失ったが、『オーラー・ウィスパー(生命探知シャウト)』によっていとも簡単に居場所を突き止めた。

 

しかし、島の穴から舞い降りたアルドゥインは驚愕した。

 

 

「な、なんだこれは!?」

 

 

島の底が空洞であった。

 

それに驚いた訳ではない。

 

その底が、種々の生物の骨で埋め尽くされていた。それは龍も例外ではない。

 

 

(何ということだ……奴はこの世界の食物連鎖の頂点なのか?)

 

 

そう思っていると、声が頭に響いた。

 

 

『タス……ケテ……』

 

「うぬぅ、またあの声だ。幻惑と一緒ではない…」

 

 

その時、突如骨の島から例の異形の触手が襲いかかった。

 

 

「うんぬ!?」

 

 

複数の骨まみれの触手に自由を奪われた。

 

しかしアルドゥインは待っていたと言わんばかりの笑みを浮かべる。

 

 

Fus Ro Dah(揺るぎなき力)!」

 

 

触手に付いていた骨が全て引き剥がされる。

同時にシャウトによって本体が露わになった。

 

巨大なイカとアンモナイトを掛け合わせたような生物であった。

 

 

「ふん、貴様が定命の者(ジョール)であることも知っておるし、正体も既に見抜いておったわ!」

 

 

アルドゥインはメテオ・ストーム(ロックオン)を放つと、圧倒的理不尽な暴力により怪物は力尽きた。

 

最後の力を振り絞って口に赤いオーラを纏ったが、不発に終わる。

 

 

「ふん、貴様らジョールとはちがうのだよ」

 

 

そう言ってアルドゥインは声の謎を解き明かそうとしたが、また触手がアルドゥインの足に絡みついた。

 

 

「なんだ、しつこいやつだな……っ!?」

 

 

アルドゥインは振り向いた。

 

そして見てはいけないような物を見た。

 

確実に息の根を止めたはずの怪物が、息を吹き返したのだ。異なる姿によって。

 

 

「き、貴様……まさかっ!?」

 

『会うのは初めてだな、アルドゥインよ?』

 

 

その黒いオーラを纏い、触手に無数の目を発生させ、変わり果てた怪物が言った。

 

 

***

 

 

(もうホントに)色々とあったが、伊丹たちは学都ロンデルに戻った。

 

相変わらずあちこちで爆発とか起きているが。

 

 

「はわぁ、素晴らしい光景ですわ」

 

 

またお嬢様が木っ端微塵になった建物を見て何か仰っていた。もう伊丹たちは突っ込むことも諦めた。

 

レレイが半吸血鬼化したことについては伊丹が説明をしっかりとした。

 

しかし予想に反して、レレイはそこまで気にしていなかったようだ。

 

 

「私を救うためにしてくれたこと。むしろ感謝している」

 

 

という言葉が伊丹たちを救った。

 

 

ロンデルでグレイ騎士補とシャンディーと合流した。

 

伊丹たちが留守の間、懸命に笛吹き男(黒幕)について調査していたらしい。

 

そしてシャンディーによる追跡のおかげで、現在1人の実行犯役と思しきワイルドウーマンと、1人のそれを指揮していると思われる初老の男性を特定したらしい。

 

 

「奴らを捕らえることも考えましたが、もしそれがまた傀儡であれば我々の行動がバレると思いましてね、敢えて泳がせることと致しました」

 

 

グレイが説明する。

 

 

「ところで伊丹殿……」

 

「何?」

 

「レレイ殿の雰囲気が、なんだか少し違うようで……何というか、少し大人びた感じというか、より女性的魅力を帯びたというか……何かありましたかな?」

 

「え、あ……いや、そういうことは起きてないよ」

 

「そういうこととは……ははーん、伊丹殿も罪な男ですな。こんな成人(特地基準)なりたての少女を手篭めにするとは」

 

「だからそんなこと起きてないってば!」

 

 

こんなやりとりや、セラーナ嬢をまた紹介したりと(吸血鬼であることは伏せた)、レレイの導士号のための発表会までゆったりと時間を過ごした。

 

 

***

 

 

「ぐおぉ!?」

 

 

アルドゥインは壁に叩きつけられた。ダメージはないが、体に衝撃が走る。

 

まさかこんなところに奴がいるとは思いもしなかった。

 

 

『アルドゥインよ、お前はデイドラの手から抜け出そうとしているな。我がお前の目的を知らぬとでも思っていたか?』

 

「心外だな、我はいまのところデイドラに言われるように、この世界で暴れているだけだがな。ぐあっ!?」

 

 

今度は変な青い粘液をかけられたと思ったら骨の山に叩きつけられる。

 

唐揚げのコロモのように骨まみれになってしまう。

 

 

『それが我々デイドラの総意ではないのだがな。どれ、アルドゥインよ。我の眷属につくつもりはないか?』

 

「ふん、貴様は我の目的など知っておるのだろう?ならばその答えは知っているはずだ」

 

『であろうな。このイカのような生物は我の眷属となることを選んだのだがな。よかろう、ならば力づくで貴様の知識を頂こうか。まあ、もし我の眷属に勝つようなことがあれば、今回は見逃してやろう。精々死なぬことだな』

 

「ハルメアス・モラ!貴様逃げるつもりか!?」

 

『逃げる?逃げるとは弱者がするものだ。ここにおいて私は少なくともお前よりは優位であると思うがね』

 

 

そう言い残すとハルメアス・モラは去ったらしい。声は聞こえなくなった。

 

しかし目の前の怪物が消えた訳ではなかった。

 

 

「キョェェエ!」

 

「おのれぇ!」

 

 

怪物との戦いがまた始まる。

 

アルドゥインはシャウトを駆使して雷撃、火炎、氷結や物理攻撃などで攻撃する。

 

対して怪物は7つの触手を用いて巧みに攻撃してくる。

 

ただのスケルタルドラゴンと思ったら鉄槌のような頭部で叩きつけてくるわ、雷撃はくるわ、爆発する粘液はあるわ、泡は出るわ、黒いブレス、赤いビーム、青い粘液は吐いてくるわで非常に鬱陶しい。

 

 

「おのれぇ!ぐわぁ!?」

 

 

これで何度気持ち悪い粘液に覆われて、骨のやまに叩きつけられて唐揚げのコロモのように骨まみれになり、とダメーシはなくとも非常にうざったい。

 

自身にシャウトを当てて骨を振り払ってもまた繰り返しになる。

 

かといってアルドゥインも押されてばかりではない。

 

Fus()』の連発で触手に着いた骨を破壊し、火炎、雷撃、氷結で触手にダメージを与える。

 

実際効果はあるようで、目玉だらけの触手が千切れたりする。

 

 

「うぬう、何ということだ!」

 

 

しかし元からの能力か、それともデイドラの加護か、千切れた触手が再生する。

 

もう何十と切り刻んだが、一向に力尽きる気配はない。

 

メテオを集中砲火したが、外殻が桁違いに強化され、有効なダメージを与えられない。

 

 

(違う、単に硬くなった訳ではない!)

 

 

アルドゥインは気づいた。単なる物理的に強化されたなら、ダメージの蓄積でいずれ決壊する。

 

しかし、その気配は一向にない。再生するまでもなく、ダメージが入っていない。

 

つまり、物理作用を跳ね除ける魔法的な加護を受けている。

 

 

(くそ、認めん、認めんぞ!なぜこやつの龍の力が増えている!?)

 

 

そう、最初遭遇した時に感じた微弱な龍の力は、今やあの巨龍を凌駕している。

 

 

「こやつの身体を守っているこの透明な龍の外殻は何だ!?」

 

 

アルドゥインは知らない。

 

なぜなら、これも『ドラゴン・レンド(不死殺し)』同様、ドヴァ()が考えたシャウトではないから。

 

かつてのジョール(人間)である初代ドラゴン・ボーン兼ドラゴン・プリーストが、ドヴァ()と同等の力を得るべくして編み出されたシャウト、

 

 

Mul Qah Diiv(ドラゴン・アスペクト)

 

 

***

 

 

帝国では、とうとうどっかのバカゾルザルが皇帝宣言を行う。もちろん日本はそれを承認しないが。

 

今までは皇帝亡き帝国で、あくまでもゾルザルを臨時皇帝代行者として帝国の最高責任者としていた。

 

皇帝が亡くなり、急にゾルザルを皇帝としても、法整備も必要になり、混乱を招くと帝国側が判断したからだ。

 

なので一応代表はゾルザル、法的な問題は前皇帝が存命の時の案などをしばらくは使用する、ということで穏健派(主にピニャ)が日本とも合意したのだ。

 

そのはずだったが、事態が急変してしまった。

 

 

「俺は皇帝になる!」

 

 

と高らかに宣言したと思えば同時に軍事クーデターを起こし穏健派ほぼ全員を捕らえ、収容してしまう。妙に出番がない静かにしていたかと思えば、ちゃっかり準備していたようだ。

 

この時に結成した帝国兵とは異なる組織、コボルト部隊(掃除夫)、正式名称『帝権擁護委員部(オプリーチニナ)』はこちらの世界でいうヒトラーの武装親衛隊(SS)、ゲシュタポ、ロシアのKGBを足して凶暴化させたような組織であった。

 

コボルトの頭のような兜を被り、逆らう者は駆逐するという意味で手に持つ箒は帝国民を大いに恐れさせた。

 

こちらも問題だが、困ったのはピニャ殿下の率いる騎士団たちである。

 

 

「どうしましょう……」

 

 

ピニャの代わりを務めるボーゼスがつぶやく。

 

 

「俺には政治とか難しいことはわからないけどよ、やっぱりマズイのか?」

 

 

男勝りな女騎士、ヴィフィータが尋ねる。

 

 

「マズイも何も、私たちは前皇帝の命で日本からの特使をお守りしてますのよ。それがあの新皇帝がどう出るか……」

 

「つまり、奴が命令したら奴の下につかないといけないのか?」

 

「まだ分からないの。あくまでも私たちはピニャ殿下直属の騎士団。正式な帝国兵ではないのよ。帝国に従う義務はあるのだけど……」

 

「しばらくは様子見、ということか」

 

「そうね……」

 

 

こんな話をしている中、彼女らは自らに降り注ぐ悲劇が少し遅れたことに誰も知る由はない。

 

既に帝国からコボルト部隊が騎士団が守る日本特使がいる翡翠宮制圧のため送られたのだが、とある理由により第一部隊は壊滅した。

 

 

「のう、ヨルイナールよ。人間はそんなうまいのか?」

 

 

アンヘルが死体の山に鎮座しながら尋ねる。

 

 

「意外といけるものよ。時々鎧とかで食べづらい時もあるけど。慣れれば牛や羊並みにいけるわ」

 

 

そう言ってヨルイナールは獲物を頬張る。

 

 

「うーん、最初は獣人だと思ったが、よく見ると人間が被り物してただけだったな……」

 

「アンヘル、貴女も食べてみれば?」

 

「いや、いい。遠慮する。ところで、あやつは何をしておるのだ?」

 

 

ブツブツ何か言いながら槍を回収するジゼルを見て言う。

 

 

「ああ……槍がこんなにいっぱい。磨かなきゃ……」

 

 

もう目が死んでる。

 

 

「……壊れたわね」

 

 

アンヘルとヨルイナールは溜息をつく。

 

 

***

 

 

ありとあらゆる方法を試した。

 

しかし全てが徒労に終わった。

 

『動物の忠誠』、『服従』、『サイクロン』、『武装解除』、『不安』、『生命力低下』、『激しき力』、『カイネの安らぎ』、『死の標的』、『揺るぎなき力』、そして『ドラゴン・レンド』

 

全て無駄だった。

 

流星雨(メテオ)』で島の屋根を壊してそれを叩きつけてやったが、効くわけもなかった。

 

終いには超超高度からの『疾風の疾走』を駆使した体当たり(ソニックブーム付き)など水面を跳ねる小石のように跳ね返されるという失態。

 

このような激闘によって島は見るも無残に姿を変えてしまった。

 

それでも、『時間減速』、『霊体化』などによってやられるようなことはなかった。

 

しかしながら、同じことをくりかえしていると思考が鈍ってくる。

 

そんな時に、一瞬の油断が大失敗を引き起こす。

 

 

「しまっ……ゴボォ!」

 

 

突進先が僅かにずれて水中に突入してしまう。

 

急いで水面に上がろうとも、触手に絡まれてしまう。

 

 

(おのれぇ!離せ!)

 

 

初めての水中戦でアルドゥインは困惑する。

 

スゥームもうまく発することができない。

 

呼吸の問題はないものの、かなりの自由を奪われてしまう。

 

対して怪物の土俵は水中。

 

暴れるアルドゥインを押さえ込んでしまう。

 

そしてアルドゥインはどんどん海底へと引きずりこまれる。

 

 

(ぐっ……なんということだ)

 

 

初めて海底を見たが、真っ暗闇であった。

 

分かるのは身体中に絡みつく触手の感触、水中を伝わる泡の音、怪物の声だけ。

 

そして怪物はガッチリとアルドゥインを固定する。

 

そしてアルドゥインは頭が何かに包みこまれる感触がした。

 

 

(こやつ、我を喰らうつもりか!?)

 

 

皮肉にも、世界を喰らいし者(ワールド・イーター)と呼ばれた彼はイカのような怪物に飲み込まれようとしていた。

 

仮に飲み込まれたとしても、アルドゥインは消滅することはないだろう。

 

しかし、それでも怪物の中で至極長い時間を過ごすことになるかもしれない。

 

星霜の書(エルダー・スクロール)によって時の狭間に封印された時よりマシかもしれないが、この怪物が滅びるまでかなりの時間を要するかもしれない。

 

それともデイドラの加護を受けたのだから寿命がないのかもしれない。

 

そうなればアルドゥインは永久に怪物の中に封印されることとなる。

 

身が滅ばずとも、高度な知能を持つ彼なら精神が崩壊するかもしれない。

 

 

(おのれぇ!おのれぇ!ジョールの分際でぇ!)

 

 

彼がどんなに叫ぼうと、喚こうとも、怪物の口の中では泡が発するだけだった。

 

 

(モラめ、笑っているだろうな。チクショウ!呪ってやる!)

 

 

もう半分どうでも良くなった。

 

考えれば考えるほど絶望的に感じた。

 

人間から絶望、悪魔、と比喩された彼が、絶望に陥ってる。なんたる皮肉。

 

いっそのこと、考えるのを辞めれたらどれだけ楽か。

 

思考が低下する。

 

目の前は真っ暗だが、音も遠くなる気がした。

 

食われている感触がもう翼の付け根まで来た。

 

もう終わりか……

 

…………

 

……

 

 

 

そんな中、またもや幻惑を見た。

 

 

前回見たような世界ではない。

 

 

この激闘繰り広げている、孤島のような場所だ。

 

 

この怪物が、戦っている。

 

否、捕食していた。

 

顎が鉄槌のように発達した竜のような者が水中に引きずり込まれ、溺死した。

 

独特の形をした頭部に、緑の粘液を付けた生物は骨まみれにされ、同じく水中に引きずり込まれる。

 

水中で電気を放つ生物もあっという間に触手に絡まれて餌食になる。

 

尻尾が刃のような生物も赤いビームによって八つ裂きにされる。

 

 

他にも、たくさんの生物がもはや戦いとは言えないような一方的な蹂躙を受けた。

 

圧倒的な力でねじ伏せられた。

 

これが自然の掟。

 

 

そして最後に、4人のジョール(人間)との戦いを見た。

 

これまで一方的だった怪物は初めて劣勢に陥る。

 

一見ひ弱そうなジョールたちは、互いに助け合い、怪物を少しづつ押して行く。もちろん、傷つきながらも、彼らは戦う。

 

 

ああ、知っている。

 

 

このような光景を。

 

 

我もかつて同じ境遇だった。

 

 

世界のノドで、死後の世界(ソブンガルデ)で。

 

 

ジョールは強い。

 

 

一人一人は弱くとも、彼らは結束してかかってくる。

 

 

そして、ついに怪物が倒される。

 

最後の最後に、力を振り絞るが、会心の一撃も空に向かって放たれただけに終わる。

 

同じだ。我と同じだ。

 

最後の最後で、ジョールにやられる。

 

そして無慈悲にもジョールは怪物の体を剥ぎ取ってゆく。

 

どの世界でも、ジョールは同じだ。

 

自分たちが頂点でなければ気が済まない。

 

そしてジョールが過ぎ去った後も、怪物は生きていた。

 

命の灯火が辛うじて残っているだけで、時間の問題だ。

 

しかしそれで終わらなかった。

 

怪物のみが取り残された空間に、()が現れた。

 

 

『オストガロアとやら、我の眷属になるなら、命を救ってやろう』

 

 

触手と目玉だらけの黒い存在が言った。

 

怪物からは返事はない。

 

しかし、わずかに、触手が黒い触手を握った。

 

それを見た黒い触手は、怪物を自分の領域へ引きずりこんだ。

 

 

そこで幻惑は終わる。

 

気がつけば、我は既に腰のあたりまで飲み込まれていた。

 

 

(我と、貴様は、同じ7日もな……)

 

 

同じ境遇ならば、飲み込まれても悪くないかもな。

 

そう思った。

 

 

そのとき、大きな衝撃が身体に走った。

 

水中の至近距離で何かが爆発したようだ。

 

半分飲み込まれた状態ですらかなりの衝撃であった。

 

つまり怪物はさらに大きな衝撃を受けたことになる。

 

 

怪物も予想外の出来事に驚いたようだ。

 

 

ドラゴン・アスペクトにより、ダメージはないものの、驚きを隠せない様子だった。

 

同時に、口の中の海水を飲み込んだため、水の無い空間が少しだけできた。

 

 

(……空気?)

 

 

アルドゥインは口先が水中でないことに気づく。

 

 

そして同時に頭にまた声が響いた。

 

 

『『タスケテ……タスケテクレ……』』

 

 

モラの声ではない。あの幻惑で聞いたような声。複数の声が合体して響いた声。

 

そして理解した。

 

誰の声なのか。

 

あの骨の山の声だと言うことを。

 

そしてこの怪物の声でもあると言うことを。

 

 

アルドゥインは目を開く。

 

暗闇だが、まっすぐと意を決して見開く。

 

口先の空気も、徐々に無くなり始めている。

 

 

(……すまんな、貴様にやられることのできぬ理由ができた)

 

 

そしてアルドゥインは渾身の一撃を叫ぶ。

 

 

Yol Toor Shul(ファイヤ・ブレス)!」

 

 

侮るなかれ。彼の火炎放射は人知を超える威力である。水中の生物すら灰にする威力を持つ。

 

ましてや怪物といえど、消化器官に直接溶岩の如き炎を流し込まれては無事なわけがなかった。

 

さらに、ドラゴン・アスペクトの効果は体内は影響しなかったことも幸いした。

 

体内を焼かれた怪物はアルドゥインを吐き出す。

 

 

アルドゥインは不慣れながらも水中を掻いて水面へと上がってゆく。

 

怪物も重傷を負いながらもアルドゥインを逃すまいと追いかける。しかし消化器官とともに呼吸器官もやられたため、水中でうまく動けなかった。

 

それが幸いして、アルドゥインは水面から脱することができた。

 

 

「ぷはー!なかなか危なかったぞ」

 

 

そして骨の島に辿りつくと、翼を広げてホバリングをした。

 

 

遅れて怪物も水面から顔を出す。

 

さかし先ほどと違い、かなり衰弱していた。ドラゴン・アスペクトの効果はまだ消えていない。

 

 

「どうやら、これが最後の戦いとなりそうだな」

 

 

アルドゥインは戦闘態勢に入る。

 

怪物も口に赤いエネルギーを溜める。

 

 

「む、幻惑の中で見た渾身の一撃か。よし、貴様の最後の一撃、受けてやろう」

 

 

アルドゥインは目の前にホバリングする。

 

小細工も無し、そこにいるだけ。

 

 

そして怪物はそのエネルギーを放った。

 

 

「うごぉぉお!?これほどの威力かっ!?」

 

 

アルドゥインは吹き飛ばされないようビームの中を泳ぐように飛行する。

 

彼でなければ今頃塵になっていたが。

 

 

しかし、怪物は長くは持たなかった。

 

自らのエネルギーが暴発し、大きな爆発を起こして力尽きてしまった。

 

 

そして、遺骸は砂のように崩れてゆくと同時に、アルドゥインは自身に魂が、それも強大でいくつもの魂が流れこんでくるのを感じた。

 

恐らく怪物が今まで屠ってきた分の魂だろう。

 

 

「なるほど、『ドラゴン・アスペクト』か。そして先ほどの最後の攻撃、しかと受け止めたぞ」

 

 

そして頭から僅かに響いていた助けの声は、ピタリと止んだ。

 

人間の言葉に置き換えるなら、成仏したと言うことだろうか。

 

 

「まずは、一つ目の問題は超えたか」

 

 

アルドゥインはそう思うと、その場を立ち去ろうととした。

 

 

「……ものは試しか。Slen Tiid Vo(肉体よ甦れ)!」

 

 

骨の山に向けて復活のシャウトを放ったが、何も起きなかった。

 

 

「まあ、期待はしておらんが……」

 

 

しかし瞬きをした次の瞬間妙なものが見えた。

 

骨の山の上に、白いドレスの少女がいた。

 

こちらを見て微笑んでいた。

 

 

「貴様、定命の者(ジョール)ではないな?」

 

 

***

 

 

アルヌス駐屯地。作戦室。

 

 

弾着(だんちゃーく)、今!」

 

「目標、無事到達しました」

 

「本当か?あんな遠くの目視もできないような場所に本当に当たったか?」

 

 

陸自の幹部が尋ねる。周りは高度なパソコンのようなものでいっぱいだった。一応画面上は目標にたどり着いたようだ。

 

 

「はい、多分大丈夫です。途中まではコンピュータの誘導によって、そして最後はレーザー誘導によって行われたので、かなりの精度かと思います」

 

「まあ、簡易イージス・アショアの初試験発射だからこんなもんか。ところで、今回の目標どうやって決めたんだ?」

 

「はあ、海自の加藤3佐と言う方が事前に調べてくれたものを選んだそうです。程よい距離で、かつ無人の島を選んだとか。これでうまくいけば、弾道ミサイル対処も可能だとか」

 

「そうか?にしてもなんで実弾なんだろうな」

 

「一応成果を確認するためだそうです。と加藤3佐が言ってました」

 

「そうか。まあ別にいいけどさ。にしても海自は金あるねー」

 

 

***




オストガロア(モラ様仕様)は強化されてます。触手なんて7つもホントはないですが。モンハン的にいうなら獰猛化させて狂竜ウイルスに感染させたぐらい強くしております。あとサイズは2倍くらい(笑)
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