オブリビオンゲート 異世界龍 彼の地にて 斯く集えし   作:ArAnEl

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今回も短いかもしれない。

あと評価などをして頂いた皆様、閲覧して頂いた皆様、ありがとうございます。まだ頑張れそうです。




ある夢を見た。

 

最後夢を見たのはいつだろうか。正確には睡眠すら取る必要のない我らの種族がこれを夢と言ってよいか分からぬが、まあ夢と定義しよう。

 

あの肉体が滅びて眠っていた時ですら夢を見ることはなかったか、一体なぜなのか……

 

ただ、夢と呼ぶにはあまりにも鮮明で印象が強かった。

 

 

***

 

 

目の前には血まみれでボロボロの砂のような色をした龍がいた。

 

翼はボロボロにされ、身体のあちこちの牙や角が折られ、体中から血を吹き出し、目も死にかけの魚のようであった。

 

 

「失望したよ。我の意見に逆らうなど、まさかお前がすると思わなかったな」

 

 

低音の龍語(スーム)でそう言ってそばにいた漆黒の龍はその瀕死の龍の首を踏みつけた。

 

もうその龍は悲鳴を上げる気力も残っていないらしく、頭を僅かに振るだけであった。

 

 

「ち、違うのだ……誤解だ。そんなことを意図したわけでは……グア!?」

 

 

漆黒の龍は足に力をさらに加えた。

 

 

「何が違うのだ?お前は我の次に年長であり、お前は自分の名の通り残虐の限りを尽くしてきた、そのお前が、今になって定命者(人間)共と和解しろだと?」

 

 

漆黒の龍は空いている方の足で瀕死の龍の頭を踏みつけた。

 

 

「この我ら、不死なる者の中のさらに上位の存在の我らが、たかが虫ケラごときに対等の地位まで堕ちろと言うのか!?」

 

 

周囲の取り巻きの龍たちは、決して弱いわけではないが、彼の怒りのこもった声にビクビクと震えていた。

 

 

「違う……違うのだ……

彼らは強い。一人ひとりは弱いかもしれないが、彼らが集まれば、そして世代を重ねれば、どんどん進化してゆく……いずれは……我々を圧倒するかもしれないのだ」

 

 

その弱々しい声を聞いた漆黒の龍は、鼻で笑った。

 

 

「強い?やつらが?ハハハ!何を言う、奴らが我の一匹でも殺したか?いや、そんなことはない。我々は何千も殺してきたが、奴らは一匹として我々を殺せてない。どこが強いのだ!?」

 

 

漆黒の龍は今にも食い殺そうとする勢いで瀕死の龍の迫った。

 

その弱々しく、痛々しい姿はなんとも言えなかった。しかし、彼の目だけはまっすぐ、力強く漆黒の龍の目を捉えていた。

 

 

「兄弟よ……我々はなんのために奴らはと戦っているのだ……私にはわからないのだよ……そしてそれがいつか我々を滅ぼすきっかけになるのではないかと思うのだよ。私の命はくれてやる。ただ、お願いだ……奴らを滅ぼす前に……せめて一度、一度でよいから……奴らと話してくれ……」

 

 

最後の言葉かと思われるほど弱々しく訴えた。

 

すると、首と頭を踏んでいた足に力が抜けているのを感じた。

 

少しは心に届いたか。

 

しかし、そんな希望も虚しかった。

 

漆黒の龍は静かに黙っていたが、それはさっきの怒りが、本当の失望に変わったからだと感じた。

 

彼の目は、悲しみ、失望、怒り、色々なものが混ざったような感じであった。

 

ただ確かに感じるのは、彼が瀕死の龍を本当にどうしようもないものとして見下していることだけは明確であった。

 

 

「もういい。お前はこのまま死ね。そしてその崇高な身体を無様に定命者の餌になるがよい」

 

 

そしてゆっくりと離れると同時に翼を広げ、ゆっくりと羽ばたいた。

 

 

「もし、万一生きていたら虫ケラどもに味方するなり好きにするがよい。それまでに虫ケラどもが生きていたら、だがな」

 

 

そしてより一層高く飛び、他の龍たちもそれに続いた。

 

 

「さらばだ、パーサナックス」

 

 

そして漆黒の龍は他の龍を従えて飛び立った。

 

残された瀕死の龍は、それを見送ることしかでもかなかった。

 

 

「待ってくれ……アルドゥイン……私を一人に……私を置いて行かないてくれ……」

 

 

彼が気を失う前に視界に映ったのは、フードを被った人間の姿だった。

 

 

***

 

 

「……」

 

まあなんとも奇妙な夢だ。過去の出来事なのは理解しているが、第3者視点で見るとまた違って見えるところがあると感じた。

 

この出来事の全てが事実なら、前回とその前の敗因は我にあると言えよう。

あのときパーサナックスを殺しておけば我々のスームが定命者(人間)に伝わることもなく、我々の種族が滅ぼされることもなかったかわけである。

 

やはり、今まで爪が甘かったのかもしれない。それとも傲慢だったか。

いずれにせよ、同じ失敗を繰り返すつもりはない。

 

 

「ワールドイーター、ちょっといいかしら?」

 

 

どこからもなくふと頭の中に誰かの声が入ってきた。

 

 

「デイドラか、勝手に我に入り込むとは、失礼極まりないな。不快だがどうせ今更やめる気はないだろうな」

 

 

アルドゥインはかなりうんざりしたようだ。ただでさせ気持ちのよくない夢を見た直後だというのに。

 

 

「あと、デイドラって呼ぶのも止めてくれない?私にもちゃんと名前あるのよぉ」

 

 

何か色っぽい口調だが、残念ながらアルドゥインにはそのような感性を持っていないため、なんともすんとも思わなかった。

 

 

「なぜだ?デイドラはデイドラだろう?なぜ我がお前を名前で呼ぶ必要がある?」

 

「だって、デイドラは私たちのような存在を表す言葉なのよ。動物の種族みたいな」

 

「では不死の者と呼んでやろうか?」

 

 

しばし沈黙が流れた。デイドラはアルドゥインは何を言ってもダメなやつだと理解した。あー言ったら余計複雑化するタイプ。

 

そう、好き嫌い言ったら逆にバケツ一杯食わせる親みたいに。

 

 

「分かったわ。もう好きに呼んで」

 

「元からそうし続けるつもりだ。で、お前は何用で来たのだ?まさか自己紹介するためだけに来たのではあるまいな」

 

 

アルドゥインはかなり苛立ってきたようだ。せっかく復活させた部下をドヴァキンに瞬殺されるくらいに。

 

 

「あー、そうそう。伝えることがあったんだ。ところであなた、今気分はどう?」

 

「お前が話しかけてきてから実に最悪な気分だ。龍語(スーム)でもシャウトして(放って)世界をすぐにでも滅ぼしたい気分だ」

 

「そんなに不快にしたのなら謝るわよ。そうじゃなくて!魔力とか、能力とかの調子や気分よ!」

 

 

うむ、デイドラがこのような反応するのは初めて知った。案外定命の者の似たところがあるかもしれない。まあ、一応死ぬ存在であるからな。

 

確かに、言われてみれば能力は通常より高く維持できている。魔力を相当消費したが、余り減っていない……否、むしろ増えている。

 

「ふむ、確かに能力、魔力、全てに置いて向上しているのは確かだ、しかし、消費したはずの魔力が戻っている。これはなぜだ?」

 

 

それを聞いたデイドラはやっぱり、と小さく呟くと理由を説明し始めた。

 

 

「あなたは前の世界(タムリエル)では普段は血と肉によって蓄え、緊急時はあの世(ソブンガルデ)で英雄の魂を喰らうことで力を維持、強化してきた。

しかし、そのようなシステムはこちらの世界にはない、なので私が少し効率化したのよ。

あなたが屠った魂は直接貴方の体内に吸収されるようにね」

 

 

それを聞いたアルドゥインは驚きと同時になんとも言えない高揚感が生じた。

 

 

「ハハハ、なるほど。ドヴァキンがかつて我らにやったように、我も同じことができるのだな。最高に気分が良い。

しかしデイドラ、なぜ我にここまで協力する?」

 

「何を言ってるのよ、貴方は私の主の手伝いをしてもらってるから、その効率化をしただけよ」

 

「そうか、しかし今まで聞き忘れたが、我は一体何の手伝いをしているのだ?」

 

 

その問いに対しデイドラは軽く笑うと、意地悪そうに言った。

 

 

「それはおたのしみよ」

 

「ふん、食えないやつだな。まあデイドラの企みなどロクなことでないだろう」

 

「あらぁ、そんなこと言ったら貴方がやっていることは何よ、破壊と殺戮だけじゃない」

 

「だがそれは我々の使命だ」

 

「へー、知らなかった」

 

 

完全に棒読みである。

 

 

「ん?」

 

 

アルドゥインはふと別の気配のようなものを感じた。

 

 

「デイドラ、我は用事ができたのでもう征く。しばらく話しかけるな」

 

「はいはい、じゃあ龍のお勤めがんばりなさいね」

 

 

そしてデイドラの声と気配が途切れた。

 

アルドゥインは方向を変えると一気に急降下した。

 

そう、彼は休み中も夢を見ている間もずっと飛んでいたのだ。さすがチートキャラ。

 

ドゴォォォォォォオオオーーーン!

 

そして音速を超える勢いで雲の中を急降下していった。いや、本当に超えてしまったようだ。ソニックブームと傘状の雲を生成しながら。

 

 

「感じるぞ、近くに感じるぞ!同胞の血を!」

 

 

 

 

 

 

 




なかなかストーリー進みませんね。

でも次はまた伊丹サイドです。
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