オブリビオンゲート 異世界龍 彼の地にて 斯く集えし   作:ArAnEl

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アルドゥイン「ほう、日本とかいう国では我の幼女擬人化などがあるそうだな……
一段落したら焼き払ってやろう」

たまたま見つけてしまっただけなんですよ。決してそんな趣味ありま……いや、これはこれで……ぐはっ


しかしそれにしてもコロナは収まらんわ、烏克蘭と露西亜も大変なことになっておりますね……



大惨事世界大戦

「おい、マジかよ……」

「門閉じちゃったよ」

「カトォってやつ、来てなくない?」

 

 

帝都に帰還した兵士たちに何やら不穏な空気が流れていた。

 

 

「あれ、カトウさんは?」

 

 

魔法科学技術局長のアルペジオが彼を探していた。

 

 

「ねえねえ兵隊さんたち、カトウさんは?弾道弾のデータが欲しいから現地はどんな感じだったか知りたいのだけど」

 

「ええ、彼はちょっと所用で身を隠してます。後で行かせますので」

 

「そう、ではよろしくお願いします」

 

 

J はなんとか誤魔化したが、嫌な予感しかしなかった。

 

 

「まずいな……確かこの場合は死亡した前提で動けと言われたな」

 

「……よし、緊急フェーズに移行しよう」

 

 

ALT 隊員は他の人目を忍んでどこかに消え去った。

 

 

***

 

 

一方、元の世界の東シナ海周辺でも駆け引きが繰り出されていた。

 

 

「総司令、間もなく日本領海です。恐らく敵との会敵率がかなり上がります」

 

日本海軍(海上自衛隊)は恐るべき相手だが、必要以上に恐れる必要はないだろう」

 

「総司令、近くに恐らく敵と思しき潜水艦を探知しました」

 

「早速お出ましか。まあ、奴らは何もできんよ、この艦隊相手だからな」

 

「そしてさらに遠方からも潜水艦と思しきものを探知」

 

「位置は?」

 

「こちらです」

 

「ふむ、手筈の通りだな。米海軍だ、既に何もしないと言質(げんち)は取ってある」

 

「しかし、日米は同盟ですが本当に中立保ってくれますかね」

 

「まあ、その時はその時だ。外交なんぞそんなもんよ」

 

 

遼寧を旗艦とした中国海軍は侵攻を止めなかった。

 

 

 

「艦長、どうしますか?」

 

 

潜水艦『おうりゅう』の中で作戦会議が開かれていた。

 

音響員によれば、大規模の艦隊の感ありとのこと。

到底本艦及び近場の僚艦で太刀打ちできる規模ではない。それどころか日本中の艦隊集めてやっと勝てるか。

 

 

「この状況や動きから見て、日本に圧力をかけているのは明白だな。しかし我々から攻撃するわけには行くまい」

 

「圧力?奴らはやり合うつもりだと思いますけど。しかし、後出しで勝てるわけない。確実にやられますよ」

 

「ああ、そうだ。10年前の彼らならともかく、今の奴らには後出しで勝てるわけがない。しかし、それでも専守防衛の原則を守らにゃいかん」

 

「米国の原潜は?一体全体どこで何してんですかね」

 

「近くにおるよ。だが射程外だがな……最近の情勢からして、多分手は貸さんな。あちらの世界でも一悶着あったし」

 

「日米安保条約とは一体……」

 

 

副長と若手幹部が苦い顔をしながら会話を交わす。

 

皆冷静である。しかしそれでも決定打となる判断ができないでいた。それでも敵勢力は刻一刻と近づいてくる。

 

 

「艦長、敵方向とは反対から2つの感あり、とのことです」

 

「反対方向?本土からの味方か?まだ予定より随分早い気もするが」

 

「いえ、太平洋側からです。それに、音響が我が国の潜水艦、艦艇のどれにも一致しません」

 

「敵か?挟み撃ちにする気か」

 

「いえ、それが……今までのデータベースに全くないものです。スクリュー音、波浪音……どれも米露中、韓国や北朝鮮、その他の国の潜水艦、艦艇のものと一致しません」

 

「なんだと、他に特徴は?」

 

「かなりうるさいですね。まるで旧型の潜水艦を使っているのかと思うほど」

 

「は?」

 

 

それを聞いたある幹部が腕時計で時間を確かめると、艦長に小声で何かを打ち明けた。

 

艦長は何か驚いた様子だが、納得したように頷いた。

 

 

「正体不明の勢力は敵ではないとの情報あり。我々は速やかに離脱する」

 

 

艦長の命令に従い、おうりゅうはゆっくりと後進する。

 

 

「まさか君が例の組織の協力者だったとはな。分隊長、後でたっぷりと事情を聞かせてもらうぞ」

 

「ええ」

 

 

艦長は誰にも聞こえないように静かに呟いた。

 

 

「アンノウン1、アンノウン2からアクティブソナーです!」

 

「今どきアクティブソナー打つなんてな。まあ、あの雑音なら打たなくてももうバレてるだろうけど」

 

「連続で打ってます……これは、モールス信号です」

 

「何と言ってる?」

 

「『コールサイン、我、ゴジラ』、『同じく、ガメラ』です。日本語で打ってます」

 

 

それを聞いた幹部の一人が吹き出す。

 

 

「連中、ふざけてるな」

「ああ、ガメラなら飛んでこいよ」

「え……そっち?」

 

「まもなく、コールサイン、ゴジラ、ガメラの両艦が通過します!」

 

 

おうりゅうの両隣を挟み込むように謎の潜水艦が通り過ぎていった。スクリュー音やエンジン音が直で聞こえるほど近くを通り過ぎていったようだ。

 

 

「……やり合うつもりか?」

 

 

おうりゅうの艦長は見守るしかできなかった。

 

 

一方、中国海軍の方も既に謎の艦については補足していた。

 

 

「ふむ、アメリカや日本の潜水艦ではないな。だが、友軍の可能性も低い……まあ、悪く思うな。本国が現在よろしくない状態でな、予め危険な種は排除しなくてはならない」

 

 

空母遼寧の司令部にいた指揮官は冷静に分析する。

 

 

「日本が秘密裏に建造していたか、例のジパングとやらの仕業だろうな」

 

「総司令、敵の潜水艦よりモールスによる接触あり。『我、新帝国海軍潜水艦のゴジラ、ガメラなり。貴艦隊は早急に日本国領海から出られたい』とのこと」

 

「……無視しろ。潜水艦2隻で我々を止められるとでも思っているのか」

 

「続報です。『なお解答が得られず1分が経過した場合、貴殿を侵攻とみなす』」

 

「バカにしおって、奴らの領海じゃあるまいし。ならば攻撃してみるがいい、いい口実ができるな」

 

「総司令!魚雷発射管の注水音を探知しました!」

 

「ほう、日本と違って口だけではないか。案ずるな、たかだか2隻、我々の総兵力をもてば他愛もない!デコイ用意、対潜戦闘用意!」

 

「敵艦の注水音、止まりました!奴らいつでも撃てる状態です!」

 

「訓練通りやれ、なんの問題もない!」

 

「魚雷発射の感あり!」

 

「撃ってきたか。何本だ!?」

 

「……じゅ、十数本です!正確な数は不明!」

 

「な、何!?そんなにたくさんだと!?ええい、デコイ射出!」

 

「よーい、てい!……射出しました!」

 

「よーし、これで大半は無効に……」

 

「……魚雷がデコイに着いて行きません!妨害電波も出しましたが効きません!」

 

「何だと!?」

 

「この不規則な動き……旧式、しかも第二次世界大戦期の物と思われます!」

 

「今時の潜水艦で誘導なしの魚雷を使っているということか!?英国の原潜コンカラーの真似事か?回避行動を取れ!」

 

「回避行動を取ろうにも、扇状に魚雷が放たれてどこに回避すればいいんですか!?」

 

 

艦内も艦隊もパニックに陥る。不規則に航行する魚雷がより一層思考を混乱に陥れる。

 

 

「総員、衝撃に備え!」

 

 

乗員の各々が衝撃体勢を取る。

束の間の沈黙が訪れる。

 

そして衝撃と共に艦全体が震えた。

 

 

「被害状況知らせ!」

 

本艦(遼寧)への被弾、魚雷3本!内、一本は不発です。被害状況、小破!浸水、火災は小規模であり、制限はあるものの戦闘続行可能です!」

 

「応急処置を行え!僚艦の情報は!?」

 

「駆逐艦1隻大破、戦闘続行不可、沈没の可能性アリ。2隻中破、戦闘力大幅に低下。フリゲート艦1隻小破、戦闘続行可。潜水艦1隻、状況不明連絡取れません。艦隊の全体能力の約20%低下の見込みです!」

 

「ならば今度はこちらの反撃だな。思い知らせてやる。対潜ドローンを出せ!」

 

 

飛行甲板に大型のドローンが速やかに発進し、続々と潜水艦が潜んでいると思われる場所に突入してゆく。

 

 

「そこか……対潜ミサイル(アスロック)用意!」

 

「……総司令、ブロー音がします!」

 

「何、浮上するつもりか?」

 

 

ここにいる者は理解に苦しんだ。艦隊の前で潜水艦が浮上することは、即ち敗北を意味する。

 

しかし、例の潜水艦たちは浮上した。

 

 

「な、何だあれは……」

 

 

中国海軍総司令は双眼鏡に映っている物が信じられなかった。

 

 

「あれは、第二次世界大戦時代の潜水艦じゃあないか!?」

 

 

色々と手を加えられており、改修はされているものの、ミリオタやその手に詳しい者に見せたら大体こう答えてくれる。

 

 

伊四百型潜水艦、大日本帝国海軍が所持していた大型潜水艦である。

 

 

航空機3機を格納し、発艦できる能力は潜水空母などと称されることもあり、現代の戦略核潜水艦の発想に影響を与えたという都市伝説を持つ。

 

全て過去に破棄されたはずのものが、目の前にいるのだ。

 

 

「ぼ、亡霊船か!?」

 

 

乗員の一人がそう叫んだことをきっかけに、艦内の空気が恐怖に包まれた。

 

 

「バカモン、目の前にある艦は亡霊船などではない!現に存在してるではないか。今、こいつがそんなものでないことを証明して化けの皮を剥がしてやる……ドローンの攻撃を開始せよ!」

 

 

付近で待機していたドローンは一斉に突入を開始する。

 

 

「自爆ドローンの味を知るがいい!」

 

 

するとかつて航空機が格納されていたであろう格納筒が開く。

 

そこから現れたのは航空機(青嵐)ではなく、なんとM61 バルカン(CIWS)通称ファランクスである。

 

潜水艦にも関わらず、中から乾いた状態で出てきた高性能レーダーに追尾されたドローンは瞬く間に20mm バルカン砲によって撃ち落とされてゆく。

 

 

「は……はあぁぁぁあ!?」

 

 

一部近代化改修されていた。某擬人化艦娘ゲームもびっくりの旧式艦の近代化改修である。

 

 

(く……まさか格納庫にレーダー類を隠しているとは……考えたな)

 

 

総司令は悔しくも一瞬敵に敬意を表した。

 

 

「た、直ちに総戦力をもって破壊せよ!」

 

 

無人ドローンの数の暴力により潜水艦のバルカン砲の弾は切れた。無論、ドローンも8割ほど失ったが。

 

 

「しめた、対艦ミサイルを叩き込め!」

 

 

しかし詰めが甘かった。

潜水艦は弾切れのバルカン砲をいとも惜しげなく海に投棄すると、なんと後方からもう一つのバルカン砲が現れた。

 

 

「なん……だと?」

 

 

対艦ミサイルが撃ち出されるが、目視可能距離では打ち上がったミサイルは瞬く間に撃ち落とされる。さらに悪いことに打ち出し直後ということもあって発射した艦艇の至近距離で爆発してしまう。

結果、レーダーや電子機器をが損傷するという事態に陥る。

 

 

「バカな、CIWSでこんなことできるわけがない!しかも何だこいつら、まるで無駄や躊躇いがない……」

 

 

総司令は自分で言って違和感を感じた。

 

 

「総司令、やつらかなり接近して来ます!」

 

「くそ、目視で122mm連装砲を叩き込め!」

 

 

レーダー能力などを大きく失った現代戦闘艦の命中率は著しく低下した。

しかしそれでも数発は当たる。

 

だが奴らは当たっても、破損しても接近して来た。

 

 

(まさか……やはりこいつら、恐怖を感じていないのか……それともやはり誰も乗っていないのか?亡霊船なのか!?)

 

「このままだと衝突コースです!」

 

「か、構わん!潜水艦は脆い、衝突してもやられるのは奴らだ!」

 

 

総司令は賭けに出た。敵が人間なら最後の最後で進路を変えるはずである。所謂チキンレースである。その時に火力を叩き込んで倒すと決めた。

 

 

(さあ来い……どうせ避ける……例えカミカゼ(自爆)攻撃だとしても、そう被害は大きくない……きっと)

 

 

そう意気込んだが、妙に胸騒ぎがする。この選択肢が本当に合っているだろうか。何かが引っかかった。

 

なおも中国艦艇は射撃を続ける。

潜水艦はあちこちに穴を開けながら全速力で突っ込んで来る。

 

 

(な、なぜだ……なぜ避けぬ!?もう衝突回避できんぞ!死ぬ気か?本当にカミカゼか!?)

 

 

冷や汗が額から頬を伝って顎から落ちる。

首筋や胸元の汗はシャツに吸い込まれる。

 

 

「ぜ、全艦隊回避行動取れぇぇ!」

 

 

総司令の命令により艦隊が回避行動を取る。

しかし予定外の命令により僚艦でぶつけ合い、パニックになる。

 

そして旗艦と遼寧は例の潜水艦たちに挟まれるように接触する。

 

遼寧に衝撃が走るが、大きなダメージを受けるほどではなかった。

無論、潜水艦の方はもっと深刻なダメージを負ったが。

 

そして潜水艦はそのまま潜航し、消息を絶った。

 

 

「……被害状況知らせ」

 

「詳細は不明ですが、現在の戦力は元の50%程度です」

 

「……そうか。このままでは日本とは戦えんな。全艦、帰投せよ」

 

「元の軍港でよろしいですか?」

 

「……いや、自国領海でしばらく待機だ。軍港に戻ったところでまだ騒ぎが治まっていないしゾンビもどきがウヨウヨしてるからな」

 

「ところで総司令、一つお伺いしてもよろしいですか?」

 

「何だ?」

 

「最後の最後で、奴らとの接触を避けましたが、何か危機を感じとったのですか?」

 

「日本の怪獣、ゴジラを知ってるか?」

 

「ええ、まあ。今や世界でも人気ですし」

 

「あのコールサイン、そして近代化改修……もしあの潜水艦たちが、接触して来ることを望んでいたら?」

 

「……あ、もしかして奴らは原子力に換装してると?」

 

「絶対とはいえないが、もしそのようなカラクリを仕込んでいたら我々は今頃魚の餌だな」

 

 

そして艦隊はゆっくりと立て直し、来た方向へと進んで行った。

 

 

 

「……艦隊が離れて行きます」

 

 

おうりゅうの音響員が幹部に報告する。

 

 

「助かったな……」

 

 

幹部たちは胸を撫で下ろす。

 

 

「例のゴジラとガメラとかいう不審潜水艦たちは?」

 

「海溝の方に潜航後、追跡出来なくなりました」

 

「……ここの海溝は我々でも潜りたくない場所をか。無事だといいが」

 

「『あのゴジラが最後の一匹とは思えない。

人類が今後も核実験を続ける限り、

第二、第三のゴジラが現れるかもしれない』」

 

「艦長、いきなりどうしました?」

 

 

副長が驚いたように尋ねる。

 

 

「初代ゴジラの映画の終わりの言葉だよ。恐らく、今回の件で例の新帝国は海軍を有することが分かった。しかしその規模は未知数、あれだけかもしれないし、それ以上いるかもしれない。

例え先程の潜水艦が二度と浮上しなくても、第二、第三と来るかもな。それを相手と、我々(日本)に知らしめたのだろう」

 

 

そう呟くと電報が届く。

 

 

「……北方領土付近のロシアも引いたようだ。どうも我々同様、謎の潜水艦が追い払ったようだ」

 

「……コールサインは今度はモスラやギドラですかね」

 

「……ウルトラマンだそうだ」

 

「「ブフォ!?」」

 

 

幹部の何人かがエナジードリンクやコーヒー吹き出した。

 

 

そして少し離れた海域では、米海軍原潜のシーウルフではこんなやり取りがされていた。

 

 

「中国から何もするな、と牽制された時はどうなると思ったが、命拾いしたな」

 

「ああ、全くだ副長。もし中国に加勢していたら我々もやられていたな」

 

「……国防省から何があっても加勢は絶対するな、と言われたがこういうことだったとは」

 

「国防省にも協力者がいる、ということか」

 

 

彼らはコーヒーを(すす)ると、報告が上がる。

 

 

「……どうやら我々のすぐ後ろで待機していた謎の潜水艦も立ち去ったようだ」

 

「新帝国か、日本か?」

 

「さあな。これ以上首突っ込んで死にたくないからな、今日は帰るぞ」

 

 

***

 

 

かつてベルナーゴ神殿があった中心部で大規模な爆発が起きた。

 

そこはかつてベルナーゴ神殿の最深部であったが、そこが膨大なエネルギーの膨張に耐えられずまるで隕石が落ちたかのようにクレーターとなっていた。

 

そしてそこの中心には漆黒の龍が浮いていた。

 

 

 

「アルドゥイン、また君か。しかし私はもう飽き飽きしてね、世界を滅ぼすことにしたよ。どうせ君では私に勝てないしね」

 

「ふむ、それは困るな。非常に困るな……我の世界を壊すとは、気に入らないな」

 

「で、気に入らないならどうするんだい?」

 

「そうだな、まずは貴様を止めるとしようか」

 

「ほう、どうやって?僕の方が圧倒的に強いのに。そこらへんの雑魚(怪異)でも食って強化しするつもりかい?」

 

「はっ!そんな食べかすのような魂食ったところで腹の足しにもならんわ。その雑魚がジョールを殺すことの方が我にとって魂の補給となるわい!」

 

「それを聞いて安心したよ。やはり君はドヴァだね。てっきりジョールの味方になったかと思ったじゃないか。かつての我が師、お人好しのパーサナックスのようにね」

 

 

嘲笑うかのような表情だが、一瞬哀しそうな目をしたのは気のせいだろうか。

 

 

「我も無策で貴様に挑むわねではないぞ」

 

 

するとアルドゥインは自身とドヴァキンを転移させた。

 

 

「ここは……オブリビオンでもエセリウスでもない……何だこの空間は?」

 

 

ドヴァキンはあたりを見渡す。地球やニルンの大自然のような感じだが、(せい)を感じなかった。まるでバーチャルの空間であった。

 

 

「さあな、我も見当つかぬ。まあ、我が造ったのだが、名も無き世界(Vomindok Lein )、とでも呼ぼうか」

 

「ふーん、それで?君の有利な領域(フィールド)なら勝てると言うことかい?」

 

「我の領域(フィールド)?くく……そんな単純なものではないぞ。それに我が有利になったところでそれに何の価値がある?」

 

 

アルドゥインは笑みを浮かべる。

 

 

「この空間はありとあらゆる、Tiid(時間)Suleyksejun(空間)に関する能力を失効させる」

 

「ほう?」

 

「つまりだ、貴様の()()()()は出来なくなる。まあ、我についても同様だがな」

 

「なるほど、一度きりと言うわけか」

 

 

ドヴァキンは少し思考を巡らせる。

 

 

「くくく……つまりお互いに小細工なしの実力勝負というわけか。乗ったよ、その手に乗ってやるよ」

 

 

ドヴァキンは全く怯んでいなかった。

 

 

「さんざん考えてこれか。少々ガッカリだな」

 

「なにぃ?」

 

「君は無策ではない、と言ったね。実は僕も無策ではないんでねえ」

 

 

ドヴァキンは剣を抜いてポーションを飲み干す。

 

 

「空間の制約受けるから無限ポーチが使えないのは痛いね……異次元に結構面白いオモチャを用意していたのに、残念だな。

でも、それくらいのハンデがあってもいいね」

 

 

(おかしい……なぜ此奴は全く余裕なのだ?)

 

 

アルドゥインは理解できなかった。しかし、分かったことが一つある。

 

 

「行くぞ龍の王(アルドゥイン)……魂の保有は十分か?」

 

 

こいつ、廃人だ。

 

 

***

 

 

ファァァァァッ●(クソがー)!!」

 

*チュドーン*

 

 

アメリカのとある施設が大爆発を起こした。

幸い、人的被害はない。まさに奇跡だが。

 

 

アメリカに限らず、各国の軍事拠点やら生産工場がゲリラ的に故障やら事故やらが相次いだ。人為的に起こされてるのでは、と思うほどに。

事実、人為的に起こされているのだが。

 

規模は大きくないものの、中枢やら重要拠点が狙われ、復旧に手間取っていた。

 

しかし防犯カメラや、その他調査では誰も侵入した痕跡はなかった。

ただ、噂では銀座の(ゲート)のようなワームホールの小型版から手榴弾や即席爆弾が投げられたような噂が飛び交っていた。

 

各国政府は緘口令やらで情報統制を試みたが、情報社会の現在では実質不可能だった。しかも情報統制したせいで政府は何か隠している、これは政府の自演だ、などと陰謀論まで出る始末。

 

加えて、外交カードとしてあらぬ容疑で拘束されていた日本邦人やらがいつのまにか釈放されていて本国にいつの間にか送還されている事案も多発していた。

そして彼らは口を揃えてこう言う。

『現地警察に拘束されたと思ったら、某猫型ロボット漫画の通り抜け●ープみたいなのが現れて黒ずくめの何者かに拉致されて気づいたら日本にいた』

 

……という怪奇現象をテレビで伊丹たちは見ていた。

 

 

「これ絶対門と同じ技術だよ。ワープしてないと無理じゃね?」

 

「多分そうだと思う」

 

「マジかよ。レレイ、同じ世界に門は一つしか開通できないんじゃなかったのか?」

 

「そのはず……」

 

 

ポーカフェイスのレレイも困惑を隠せなかった。

 

 

「ああん、もぉう!世界をめちゃくちゃにして、野郎(加藤)ぶっ●してやる!」

 

 

ロゥリィはいつもより荒ぶっている。

 

どうも出動命令停止によりご褒美(戦闘)がお預けになっていることがさらに追い討ちをかけている模様。

 

 

「しかし、恐ろしいことになったな。これでは奴らは神出鬼没だぞ。下手すれば我々のすぐ隣にも来れるぞ」

 

「ええー、それ日本で見たゴキ●リっていう気持ち悪い虫みたいで嫌よ!」

 

 

ヤオが不安そうに呟くとテュカが例の虫を思い出して身震いする。

 

 

「……あいつが門の技術を持っていたことはブラフじゃなかったということか」

 

「それにしてはおかしいわねぇ、持っていたらさっさと使えば良いものを。なんで今更かしらぁ」

 

「……何か使えなかった理由(わけ)があったとしか思いませんわ」

 

「セラーナもそう思う?」

 

「もしかして持っていなかった技術をなんらかの形で手に入れた、だから今使っていると思う」

 

 

レレイが思考を巡らせて答えを出す。

 

 

「そもそも門は同じ世界同士を繋げれるのはひとつだけ。二つ以上になると世界への負荷がとんでもないことになる」

 

「レレイの言う通りよぉ、ただでさえ今世界がずれているのに2個も3個も門を繋げれば地震どころが星が崩壊するわよぉ」

 

「ええー、マジか。嫌だよそれ、来年のコミケ行けなくなるじゃねえか」

 

「……まったく耀司ったら」

 

「ただ、仮説だが不可能ではない」

 

 

レレイがまたぽつりと会話を続ける。

 

 

「まずそもそも門の生成技術が異なる可能性。これが一番可能性が高い。そしてもう一つ、別の世界を経由して門を開いていること」

 

「「は?」」

 

 

一同はレレイが言ってることに一瞬戸惑う。

 

 

「本当にあくまでも仮説や推測の域ではあるけど、こちらの世界→第三の関係ない世界→耀司の世界、と間接的に行えば私たちの門の技術でも不可能じゃないと思う」

 

「そ、そんなことしたら第三の世界も巻き込んじゃうじゃない!」

 

 

ロゥリィが机を強く叩きながら怒り驚く。

 

 

「世界の関係がよりおかしくなるか、分散されるか、それは分からない……あくまでも仮説だから」

 

「うへぇ……本当にまずいことになったな。いつもみたいにこっそり抜け出して……」

 

「伊丹2尉、その必要はないぞ」

 

「げっ、……じゃなくて狭間陸将」

 

 

伊丹は急いで敬礼する。

 

 

「安心しなさい、今のは聞かなかったことにする。それどころか、むしろお願いしようか迷っていたところだ」

 

「え、俺が抜け出すことをですか?」

 

「言い方は悪いが、半分間違ってはいない。まあ、要するに命令なき命令、ブラックオプス(非正規作戦)というやつだ」

 

「ええ……要するにまた私が勝手にやったと」

 

「まあそういう体で動いてほしいわけだ」

 

「……詳しくは聞きませんけど、狭間陸将が直接いうくらいですから今かなりやばい状況という認識でよろしいですか?」

 

「……ああ。北方領土及び東シナ海での事案は取り敢えず終了した。しかし今度はまた国内外での例の摩訶不思議な怪奇現象が起きている。まだ被害はないが、いつ日本にもそのようなことが起きるか分からん。なので戦力の半分は本国に戻さなければならない」

 

「半分も!?」

 

「警察だけでは既に対応が一杯だ。万一のためにも我々も警備しなければならんことになった。なので君たちはには先遣隊として動き、敵の情報を得ること。そして残された部隊で任務遂行可能な方法を模索してくれ」

 

「しかし、なぜそんな急いでいるんですか?本国の件が安定してからこちらに本腰入れても……」

 

「時間がないのだ……これは公安ととある情報からだが、(加藤)は新帝国に対してクーデターを起こすつもりらしい」

 

「え?何で、自分が支援していた国を?」

 

「そう、合理的に考えてなぜそんなことをするかわからんが、証拠もある。公安の協力者が盗聴したものだ」

 

 

そして狭間はボイスレコーダーを起動する。

 

 

『必要あらば……ピニャを消し……ここの覇権を得る……問題な……』

 

 

所々切れて聞きづらいが、確かに加藤の声である。

 

 

「これを一体どこで……?」

 

 

伊丹は空いた口が閉じなかった。

 

 

「つい先程、イタリカの領主のミュイという少女が従者と共に保護された。彼女が現地で偵察活動をしていた者から避難の際に託されたのだとか」

 

「ええ、ミュイさん大丈夫ですか?」

 

「うむ、少しやつれていたが健康状態等異常ない。しばらくは日本で保護するそうだ。確か外務省の菅原某のところで保護されているシェリー嬢が言って聞かなかったらしいぞ」

 

(そうか、無事だったか……良かった)

 

 

伊丹はミュイの無事に安堵した。

 

 

「ハザマ!私たちはぁ、いつ出発すればいいのぉ!?」

 

 

ロゥリィが何だがヤル気満々で聞いてくる。

 

 

「できればすぐにでも……」

 

「耀司、聞いた!?今すぐよ、今すぐ!さっさと準備してあの野郎(加藤)ぶっ●してついでにピニャを救うわよぉ!」

 

「ついでって、ピニャの扱い酷くない!?」

 

「今まで多めに見たけど流石に我慢の限界よぉ。ぶっ●して魂をハーディのところに送ってやるわ!」

 

 

***

 

 

菅原邸にて

 

 

「ミュイ様、いい加減お泣きになるのはおやめくださいまし。花のように可愛らしいお顔が台無しですわ」

 

 

シェリーはミュイに寄り添うように話しかける。

 

 

「私、聞いてしまいました……彼が、この国はまもなく俺たちのものになる、って……そうしたら、ピニャは用済みだって……」

 

「ええ、辛かったですね。大丈夫ですよ、もう怖くないですよ」

 

 

壊れたラジカセのように同じことを繰り返し嗚咽を漏らしながら呟くミュイの背中を優しくさすった。

 

 

「……じゃないとイタリカが……」

 

「イタリカがどうしましたの?」

 

 

ミュイはしまった、と言わんばかりの表情をして口元を抑える。周りに聞こえていたたは思っていなかったようだ。

 

 

「ミュイ様、落ち着いてくださいまし。ここには貴方の味方しかおりませんわ。何かあったのか、教えてくれませんか?」

 

「い、いやあ……いつも見ていると言われた……」

 

「ミュイ様」

 

 

シェリーはミュイの顔を両手で捉えて瞳を真っ直ぐと見つめる。

 

 

「怖いのは分かります。でも真実を話さなければ、もっと悪いことが起きることもありますのよ?」

 

 

ミュイはそれを聞いて安心したのか、それとも観念したのか、断片的に話し始めた。

 

 

「さっきの言葉をひたすら話すように、言われましたの」

 

「さっきの、って例の陰謀のことですの?」

 

 

ミュイはシェリーの問いに無言で頷く。

 

 

「さもなくば……イタリカを破壊すると言われました」

 

 

ミュイの声は再び鼻声になり、嗚咽を漏らす。

 

 

「まあ、酷い!一体誰に……?」

 

「例の、加藤(なにがし)……」

 

「え……?つまり、加藤某に、自分は国を乗っ取り、ピニャ様を消すつもりだ、と言いふらせと?」

 

 

ミュイは小さく頷く。

 

 

「じゃあ、ボイスレコーダーを渡したのも……」

 

 

ミュイ躊躇いながらも、無言で頷いた。

 

シェリーは頭に雷を受けたような衝撃と、背筋にツララが刺さったような寒気がした。

 

 

(い、意味が分かりませんわ……ただ、これはすぐにでも報告しなければ……!)

 

 

この内容を菅原にでも伝えようと立ち上がった途端、後ろから気配を感じた。

 

ミュイと共に保護されたヴォーリアバニーのフォルマル家専属メイド、マミーナだった。

 

 

「シェリーお嬢様……!」

 

 

マミーナは土下座をするが如くシェリーの足に縋り付く。

 

 

「お願いです!まだこの話は内密に……どうかご内密に!」

 

「し、しかし……」

 

「ミュイ様は、脅されているのです……これを口外すれば、イタリカを消し去り、ミュイ様を亡き者にすると……!」

 

「え……」

 

 

マミーナの肩は震えていた。

 

 

「あの男は……やります!本気でやります!イタリカを、フォルマル家を、そしてミュイ様も消し去ってしまいます。どうか、ミュイ様のためにも、この件はご内密に……どうかお慈悲を!」

 

 

シェリーはただならぬ雰囲気に飲み込まれてしまい、どうしたら良いのか分からなくなってしまった。

 

 

***

 

 

「妾は……無事なのか」

 

 

ピニャは呼吸停止までいったが、命に別状はないとの診断を受け、現在安静にしていた。

 

 

「ここは、新帝都か」

 

「ええ、ご安心ください。敵はここにはおりません」

 

 

グレイが隣で声をかけた。彼も全身に怪我を負っているらしく、包帯がない場所の方が少ないほどだ。

 

 

「……撤退は、成功したのか?」

 

「はい、非戦闘員の8割、戦闘員の2割ほどが無事脱出に成功しました」

 

「……ということは残りは……」

 

「残念ながら……」

 

 

それ以上は聞かなくても分かった。戦闘で八割を失うことは壊滅したも同様。残りの帰還した二割も傷病者がほとんどである。

 

 

「だが、ここで止まるわけにはいかんだろう。敵はこちらを攻めてくるはずだ……くっ!?」

 

 

ピニャは立ち上がろうとするが足どころか全身に力が入らない。

 

 

「陛下、ここはこのグレイにお任せを。陛下はしばしご休憩あそばせ」

 

「しかし……」

 

「ハミルトン殿、ピニャ陛下が安静するよう頼みましたぞ」

 

 

そしてグレイは将兵の指示に動き出した。

 

 

「流石だ、グレイ」

 

 

ピニャは安堵したように微笑む。

 

 

「しかしハミルトンよ、なんだかよそよそしいが何かあったか?」

 

「ええ!?え?その……何というか」

 

 

「ぬうぁにぃ!?妾の唇が奪われた?あの(加藤)に!?」

 

「ピニャ様、落ち着いて!ちょっと違うのです……」

 

「違う?何が違うのだ!?もしかしてあれか、唇どころか妾の(みさお)をも奪われたのか!?妾が気を失っている間にか!?これはいくら彼奴でも大逆罪だ、死刑だ!こんなことが許されていいのはあの薄い芸術品だけだぞ!もっとことの経緯を詳しく申せ!」

 

 

なんだが違う意味でも興奮していらしている模様。

 

 

「あ、うん……救命措置として例の王子の接吻(人工呼吸)したのだな……それも薄い膜越しに……」

 

 

ことの経緯を聞いたピニャは幾許(いくばく)か冷静さを取り戻した。そして先ほどの自分の発言と行動を思い出しては顔を赤らめた。

 

 

「という事は、妾はまだ純潔なのだな?」

 

「ええ、おそらくきっと……」

 

「そうか……」

 

 

ピニャは咳払いをする。

 

 

「しかしだ……膜越しとは言え……やはり何か思うどころがあるな」

 

「ピニャ様も、そう思いますか?」

 

「うむ、一線を越えないギリギリという、いわゆる焦らしというやつか」

 

「ええ、これは焦らしかと……」

 

「皇帝たる妾の純潔が守られたのは良しとしやう。だが無意識のため貴重な経験の機会を失したのは歯がゆいな。ハミルトン、再現してもらうぞ!」

 

「ええ!?ピニャ様、私はそのような趣味は……」

 

「ハミルトン、許せ!妾にもそのような気はないが、知らなければならないのだ」

 

 

ピニャは強引にハミルトンの唇に膜状の人工呼吸器をつける。

 

 

「い、いくぞ!」

 

「ピ、ピニャ様!?」

 

 

とこのようにうらやまけしからん関係に発展しそうになったが、誠に遺憾ながらも警報によって中断を余儀なくされる。

 

 

『緊急!戦闘員は手に武器を持て!』

 

 

***

 

 

銀座事件から約3年前、太平洋のどっかの無人島

 

 

「いやはや、やっと見つけましたよ」

 

「日本人か。お前さんのような若造がこんな辺鄙な無人島に来るとはどういうことかのう」

 

「ご老人、貴方も日本人じゃあないですか」

 

「ふん、ワシはお前さんの日本とは違う日本じゃ。んで、なぜこんなところに?」

 

「祖国の土を踏めなかった名もなき英霊たちの供養、とでも言いましょうか」

 

「……なんのことだ?」

 

「お爺さん、とぼけちゃいけませんよ。表には出ないが太平洋のど真ん中で不審船や幽霊船の話が出てくる。いきなり出ては消える、不思議とは思いませんか?」

 

「ワシはしらんぞ、何も知らんぞ」

 

「私は独自で調べましてね、大日本帝国海軍の潜水艦じゃあないか、仮説を立てて調べたら色々と辻褄が合うんですよ。ねえ、島本大佐」

 

「……なぜその名を」

 

「士官名簿、乗員名簿などで確認したまでですよ」

 

「んな馬鹿な」

 

「では、もっと率直に言いましょうか。草加拓海少佐をご存知ですか?」

 

「ああ、知っているだけだが」

 

「彼からの伝言があります」

 

「何を馬鹿なことを。彼は死んでいる筈だ、大戦でな」

 

 

しかし男は老人の手を優しく取ると、手のひらにトン、と指を軽く叩く。

 

 

「……なぜ知っている」

 

「なぜって、本人から聞いたからですよ」

 

「ありえん……」

 

「まあ、世の中不思議が多いですからね」

 

「あれは、渡さん」

 

「どうしてもですか?報酬は相応払いますよ」

 

「金の問題ではない!」

 

「知ってますよ。貴方が欲しいもの……果たせなかった任務でしょう?」

 

「お主ら、戦争でもおっ始めるつもりか?」

 

「……戦争は、始めるものじゃない。起きるものですよ」

 

「……ついて来い」

 

 

老人は男を洞窟まで案内する。

 

 

「お主が欲しいものは、これじゃろ」

 

「……素晴らしい。予想以上に保存状態がいい」

 

 

洞窟にはイ四〇〇型潜水艦が2隻、保管されていた。

 

 

「整備もしてある。最後の整備から20年ほどだが、保存状態は維持しておる。満ち潮になれば動かせるだろう。もっとも、今の平和な世のたるんだ若造たちに乗りこなせるか分からんが」

 

「先輩、心配ご無用。愛が有れば大丈夫ですよ」

 

「そこは大和魂じゃろがい。しかしまあなんでこんな古臭いものなんぞ……」

 

「新旧の問題じゃない。とにかく絶対に足がつかない潜水艦が早急に必要でしてね」

 

「ふーん。まあワシには関係ないことよ」

 

「今日のところはお(いとま)します。一緒に帰ります?」

 

「心配なさるな。ワシはここで骨を埋める、帰っても惨めな思いするだけじゃ」

 

「左様ですか、ではごきげんよう」

 

「ところで若いの、名は何という?」

 

「……元海軍大尉、加藤蒼一郎の孫の加藤蒼也、ということになっております」

 

「そうか……頼んだぞ。先人たちの大和魂見せつけてやれ」

 

「……」

 

 

しかし加藤は返さなかった。そしてポツリとつぶやいた。

 

 

「いや、大和魂では無理だな。必要なのはAI(人工知能)だ」

 

 

***

 

 

加藤はよくあるアニメよろしく、目覚めると病院の天井のようなものを見上げていた。

 

病院ではないが、間違いでもない。

 

目覚めた場所が霊安室みたいなものだが。

 

 

「おいそこのマスター、やっと目が覚めたか」

 

 

オクトパスこと、カールが顔を覗き込んできた。

 

 

「よく眠れたか?」

 

「最悪だ。最近よく昔の夢を見る。身体が重いな」

 

「そりゃ馴染むまでしばらくかかるだろう。まあ忌むべき方法だからなあ……」

 

「全身が痛い……鏡貸せ……」

 

 

加藤は手鏡で自らの顔を見る。

 

 

「んー、悪くないけど、もうちょいカッコよくしても良かったんじゃねえの」

 

「文句言うな。それでも大成功だ、こんな器具しかないところではな」

 

「もうちょい傷は隠して欲しかったな」

 

「へいへい、次はそうしますよ」

 

「ところで、状況は?」

 

 

加藤は戦闘服に着替えながら尋ねる。

 

 

「オペレーション・ドコデモドアは既に遂行中だ。しばらく時間稼ぎできるぞ」

 

「そうだな、最終仕上げといくか。その前に、一本寄越せ」

 

 

オクトパスはタバコを加藤に咥えさせると、火をつける。

 

 

「……禁煙家のあんたがタバコを吸い続ける必要がおるとは、なんとも皮肉なもんだね」

 

「ああ、だがこれがないと発狂するな、きっと。保存状態はいいとはいえ、僅かな死臭が常に付き纏うんだからな」

 

「同情するよ、そんな身体にされて」

 

「半分望んでやってるもんだからな……」

 

「しかし、背中の傷跡というか、獣に引っ掻いたような跡が痕があるのだが……その身体にそんなものあったか?」

 

「……あー……、新しい身体になっても主との契約というか呪いというか祝福というか……残るだな……」

 

「??」

 

「あ、気にし出さないでくれ。独り言だ、こっちの話だ」

 

 

そして吸い始めて間もないころ、警報(サイレン)が唸った。

 

 

『緊急!戦闘員は手に武器を持て!』

 

 

***

 

 

「くっ……これでもだめか!?」

 

「アルドゥイン、まあ楽しかったよ。でも終わりにしようじゃないか」

 

 

アルドゥインの身体が崩壊し始めた。初めてドヴァキンに倒された時のように外殻が崩壊し、本体の漆黒の影が(あら)わとなる。

 

 

「くくく、こんなこともあろうかと逃走経路は既に確保しておるわ!」

 

「ほう、負けることを想定していたと。アルドゥイン、君は何だが小物臭がしてきたぞ」

 

「勝てば良いのだ、最終的に我が勝てば良いのだ!ではさらば!」

 

「……残念だけど、その最終が今回なんだわ。そして、その最終で君は敗北するのだよ」

 

 

ドヴァキンはそう呟くとアルドゥインの魂は見えない大きな力で拘束された。

 

 

「な、何なのだこれは!?一体何をしたのだ!」

 

 

そしてアルドゥインはドヴァキンの方を見ると、驚愕した。

 

 

「き、貴様……なぜそれを……なぜ()()がここにあるのだっーー!?」

 

 

ドヴァキンの両手には大きな巻物が広げられていた。

 

 

「この星霜の書(ジ・エルダー・スクロール)のことかい?」

 

 

ドヴァキンは不敵の笑みを浮かべる。

 

 

「この世界にないからね、僕が作ったのさ……さしずめ、『名もなき書』と言ったところかな」

 

「作った、だと!?」

 

「まあ厳密には違うけど、同じようなもんさ。先程は僕も無策ではないと言ったよね?これのことさ。勝っても君の魂を頂けないのはちょっと癪でね……だから、強制的に僕のご馳走になってもらうよ」

 

「やめろ、ドヴァキン!」

 

 

しかしアルドゥインの悲痛の声も虚しく、断末魔を上げる暇もなく吸収されてしまった。

 

 

「……こんなものか?」

 

 

ドヴァキンは自身の身体から流れ出る力を感じていたが、そこまで驚くような感覚はなかった。

 

 

「つまり、私の力が圧倒的に上だったということかな。まあいい、この世界をぶっ壊すか」

 

 

ドヴァキンは名もなき世界から難なく脱出した。

 

 

***

 





ゴジラ、ガメラの件……

ゴジラ出したいなあ
読者のコメントでゴジラ出したい欲上がる
でもゴジラはなあ……オーバーキルだなあ
やっぱり出したいなあ
イ400潜水艦出そうな。
そーだ、昔潜水艦はドンガメとか言われてたっけ
亀だからガメラ。
ガメラガメラ……よし、ゴジラもだしちゃる
これだぁぁあああ
イマココ

すみません。
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