1人の男と武士娘の川神学園   作:龍仁

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11月もそろそろ終わりに近づいてきましたね。
続きをどうぞ


12話 悩みと別れ

「お前……泣いてたのか?」

 

「えっ…………」

 

俺の問いに清楚は思ってもみないことを聞かれたような顔をして固まってしまった。

 

その反応からすると当たりだな

 

「なんで泣いてたのか教えてくれないか?」

 

「………」

 

気まずい空気が流れている。

 

「………悪いっ!別に言いたくないならいいんだ、じゃあ、俺戻るな」

 

なんとかしたいという気持ちが自己嫌悪に陥ってしまう龍樹。龍樹がその場から離れようとすると、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……まって!、聞いてくれる?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………ああ、聞くよ」

 

俺は清楚の横に腰を落とし座る。

俺が座ると同時に彼女は口に出す。

 

 

 

 

 

「私ってほら……誰のクローンか教えてくれてないでしょ………どうして私だけなのかなって、義経ちゃんや弁慶ちゃん、与一君はわかっているのにどうして私だけなのかなって」

 

語りだされる少女の言葉に俺は静かに耳を傾け続ける

 

 

 

 

「他のクローンの子達は役割だって決まっているのにね、私だけは勉強に打ち込めって言われて」

 

「………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「どうして!……どうして私だけなの!?」

 

大きな声を出す清楚、彼女の心の声がその大きさを代弁しているように、分かるように、声が大きくなる。

 

「私っていらない子なんじゃないかって時々思うようになってきて、それに自分が自分で無くなるような気がしてならないの!まるで自分の中にもう一人誰かがいるような感じがして怖いの!

 

 

——————いつか一人になりそうな気がしてならないの!

 

 

 

「…!」

 

その言葉に俺は身体が反応してしまう。【一人】という言葉に。

 

 

 

「いつかお前なんか要らないって言われてしまいそうで、みんなと離れ離れになっちゃいそうで怖いの!そんなの嫌なの!」

 

清楚の心の内に秘められた叫びは絶叫と呼べるほど大きく叫んでいた、彼女はそれ程悩んでいたという事がわかった。

 

 

 

 

 

「ハア……」

 

清楚は吐き出したいものを全て吐き出し、溜息をつく。

 

 

 

「興奮してごめんね、でもありがとね、聞いてくれて、スッキリしたよ!」

 

 

「そうか…それはよかったよ」

 

ほんとはスッキリなんてしてないんじゃないか?

俺は唯のやせ我慢にしか思えない。抱え込みすぎていつか壊れてしまうのが目に見えている。

 

 

「清楚」

 

清楚は話してくれた心の内に秘めてた想いを、なら今俺が思っていることを伝えよう。

 

「なに?龍樹君」

 

「俺は清楚が必要ないなんて思ってねぇよ」

 

「えっ……」

 

「それにさ、みんなだってそうさ。お前ら何処にでもいる普通の子供に見えたしさ、確かにお前達は英雄のクローンだけどよ、俺はそんな気はしなかったぞ。義経はさ、なんかこう、小動物みたいな感じでさ、弁慶は川神水が大好きで面倒くさがりだし、与一は中二病だしさ、この3人はお前の事をものだなんて思ってはいないだろうし、大切だと思ってるはずさ、だから清楚が誰のクローンかなんて気にすることないと俺は思う」

 

「やめて!」

 

清楚は大きな声を出し遮る

 

「龍樹君にはわからないよ!いつか一人になっちゃいそうな私の気持ちなんてわかるわけないよ!、私はクローンで普通じゃないのに!龍樹君にわかるわけないよ!」

 

 

 

一人の辛さか....なあ...清楚...お前はわかるのか?大切な物を失った気持ちが...どうしようもない絶望感に陥ってしまったあの気持ち...言葉では言い表せない程残酷なんだぜ...

 

あんな想い...誰にもなってほしくねぇよ...

 

 

 

 

「清楚」

 

 

「大体期待されてないのならどうして!私なんか生み出したの?必要とされていないのなら私なんていない方がいいんだよ!」

 

 

「葉桜清楚‼︎」

 

清楚より更に大きな声をだし、彼女から繰り出される言葉の数々に待ったをかける。そして俺は清楚の顔を両手で掴みこっちに向けさせる、そして顔を近づける

 

「ちょっ!龍樹君!////」

 

龍樹の突然の行動に顔を真っ赤にさせる清楚

 

「何が見える?」

 

「えっ...」

 

「目の前には誰がいる?」

 

「たっ...龍樹君...」

 

「そう、俺は龍樹なんだ。他の誰でもない」

 

龍樹はそう言い、ゆっくりと自分の手を離す

 

「つまりそう言う事なんだ、俺は龍樹でお前は葉桜清楚なんだよ、他の誰でもない。」

 

「私は……清楚……他の誰でもない……」

 

清楚はゆっくりとその言葉を噛み締めながら吐き出す。

 

「それにな清楚、人間誰しも遺伝子を引き継いで生きてるんだよ。俺は親父達の遺伝子を引き継いでいる、清楚は他の誰かのクローンの遺伝子を引き継いでいるだけの話なんだよ」

 

「……うん」

 

「もし、不安ならこれから葉桜清楚になればいいんだよ、一人の人間として、一人の女の子として」

 

龍樹はそう言い優しく彼女の頭を撫でる

 

「.....ぅ.....グスッ....」

 

「お前を一人になんか絶対させない、俺が守ってやるから、安心しな。」

 

「ぅ...うああああああああん!!!」

 

泣きながら抱きついてくる清楚。

俺は優しく頭を撫でながら抱きしめ返す。

 

「ひぐ...えぐ...龍樹君...」

 

「ん?」

 

「…………ありがとう———」

 

少し嗚咽きながらも感謝の言葉をかけてくる清楚。彼女は今日の出来事を絶対忘れない。自分の心の声を聞いてくれた男の子の事を1日も忘れる事はないだろう。

 

またそれも彼も同じ————

 

 

 

どういたしまして————

 

俺はそう粒やいた

 

 

 

 

 

○○

 

清楚の悩みを聞いてから半時間ほど経った。あの後俺たちは家の中に入り眠りについた。

 

そして翌朝、いつも通りの朝がやってくる。

 

「龍樹君!おはよう」

 

元気な少女の声。暗かった表情から一変し、笑顔が似合う少女に戻っていた。よかった、清楚にはやっぱり笑顔が1番よく似合ってる。

 

「おはよう、清楚」

 

俺も挨拶に答える。

 

「おはよう龍樹君!」

「おはー」

「アニキ、おはよう」

 

そして続くクローン組———

 

「みんな、おはようさん」

「皆様、おはようございます」

「あっ、クラウディオさんおはようございます」

「ハイ、おはようございます」

 

俺たちは朝の挨拶を済ませリビングに向かう。

 

「クラウディオさん、朝ご飯作るの手伝いますよ」

「ありがとうございます、それではお願いしましょうか」

 

俺とクラウディオさんはそのままキッチンに向かった

 

○○

 

「清楚さん」

 

「ん?どうしたの?弁慶ちゃん」

 

「何かあったの?」

 

「えと...ふふふ」

 

「何がおかしいんだ?義経はわからない」

 

「?」

 

「内緒だよ♩」

 

「「「???」」」

 

清楚の言葉に訳が分からないクローン3人組

 

「ふふふ、あっ...そうだ、義経ちゃん、弁慶ちゃん」

 

「「なんだ?・なに?」」

 

 

 

 

 

 

「負けないからね———龍樹君のこと」

 

「「!!!」」

 

清楚の言葉に驚く義経と弁慶。

 

「それは...」

 

「まさか...清楚さん...」

 

「うん、私は龍樹君の事が...好きになっちゃった」

 

清楚の爆弾発言に固まる二人の少女。

沈黙の瞬間が続く中、口をようやく開く人物。その人物も心中を語る。

 

「私も...龍樹の事が...好きだよ///」

「弁慶!?」

「………」

 

一人驚く義経に対して冷静な清楚。彼女はわかっていた、弁慶が彼に、龍樹に好意を寄せていたのに気づいていた。そして————

 

 

 

「……ぅ−、よっ...義経も!た...龍樹君の事が大好きだ!///」

 

彼女もまた龍樹に恋する乙女である。

 

「うぅー///」

 

トマトのように顔を真っ赤にする義経

 

「主もなんだね...恋する主を応援してあげたいけど、今回はそれはできないな」

 

「弁慶ちゃんも義経ちゃんも、本気なんだね」

 

「「ああ・うん」」

 

そしてその様子を見ていた与一は

 

「(アニキやっぱすげー!ハンパねぇ!)」

 

アニキ(龍樹)に対するメーターがどんどん上がっていった。

 

 

○○

 

俺がこの島に来てからの過ごし方は変わらない。朝起きて義経達と飯を食べて、遊んで寝るの繰り返し、勿論鍛錬は怠ったりしてない。義経達の実力は申し分はないから言い練習相手になっている。後、クローンの子達は非常に頭がいい。英才教育なのかただ単に天才なのか、午前中はほぼ勉強時間に費やしている。俺も一様勉強させられている。俺は嫌だと言ったが無理やりさせられました。ずっと修行していた俺にとっては未知の領域で勉強の知識はほぼ皆無といっていいほどだ。最初は難しく、わからなかったがクラウディオさんやクローンの子達に教えてもらいながら段々と問題も解けるようになってきた。これはまあ、普段の生活となってきた、おかしな点はあまり無い。

 

 

あるとすれば—————

 

 

「「「龍樹君!・龍樹・龍樹君!」」」

 

クローン(主に女子組)のスキンシップが多くなったこと。

 

義経はよく頻繁に稽古をもし出てくるようになり、弁慶はよく俺によくもたれかかってくるようになったり、清楚はよく週刊や小説といった本のお誘いが多くなった。きっともっと仲良くなろうとしてくれてるんだと思う。俺もそれに答えていきたいな。

 

そして夜———

 

「ねえねえ龍樹ー」

 

当然のようにもたれ掛かってくる弁慶。風呂上がりからかシャンプーのいい香りが鼻をくすぐる。なぜか清楚と義経の視線が痛いんだが。

 

「なんだよ?」

 

「今日一緒に寝ない?」

 

「ああ、別に構わねえよ」

 

「「駄目だー!・駄目ー!」」

 

当たり前のように返した龍樹に待ったをかける義経と清楚。

 

「何を考えてるの弁慶ちゃん!」

 

「そうだぞ弁慶!それに龍樹君もそう易々と了承するのは義経は感心しないぞ!」

 

「ええ〜、いいじゃん別に」

 

『よくない!!!』

弁慶の言葉に女子二人が一喝

 

一方龍樹は————

 

えー?何をみんなして怒ってんだ?ただ一緒に寝るだけだろ?何が問題なんだ?

 

全くよくわかってない龍樹。

 

「じゃあ、みんなで一緒に寝ればいいんじゃねーか?お泊まり会みたいな感じでさ」

 

俺は与一に目配せをし助けを求める。

 

「そうだな、偶にはみんなと寝るのもいいと俺も思う」

 

話を合わせる与一。

 

「まあ、それならいいけど」

 

「義経も構わない」

 

「え〜」

 

その日は何事もなくみんな一緒に仲良く寝ました。

 

 

 

 

 

 

 

 

って事はなく、寝る時に誰が龍樹の横で寝るかで一波乱ありました。中々寝れなかったので俺と与一はクラウディオさんに耳栓を貸してもらい無事寝ることができました。

 

○○

 

それから数日が経った。楽しい時間はあっというまだ。そしてとうとう近づいてきた、俺が帰る日がいよいよ明日になった。

 

『………』

 

空気がどんよりしている、みんなの表情が暗い。

 

「どしたお前ら?」

 

「だって...龍樹君は明日帰ってしまうんだよな」

 

義経の言葉に表情が暗くなる3人

 

「そんなしけたツラすんなって、別に絶対会えないなんて事はねえんだぞ」

 

「……うん」

 

「また会えるよ、じゃあ、今度はお前らが来いよ」

 

『えっ……』

 

「この島に来てさ、お前らは色々と教えてくれた、なら今度は俺がお前らに色々と教えてやるよ、川神を案内してやるよ」

 

「っ!ああ!必ず義経は行くぞ」

 

「私もね」

 

「私も」

 

「俺も」

 

みんなの表情が明るくなる。

うん、それでいい。やっぱりみんなには笑顔でいてもらいたい

 

「さっ遊ぼうぜ」

 

『うん・ああ』

 

そして俺たちは日が暮れるまで遊んだ。

 

○○

 

そして翌日———

 

俺は今1ヶ月間過ごしてきた家の中でものふけっていた。

遂にこの日が来たかとなんて思っていると

 

「龍樹様、迎えの船が来ましたよ」

 

クラウディオさんの声が聞こえてくる

 

「そうですか、今行きます」

 

俺は自分の荷物を持ち家を出た

 

外には一隻の船が泊まっており、義経達がいた。

 

「とうとうお別れだな、楽しかったよみんな」

 

「うっ...ううー」

 

俺の言葉に義経は我慢の限界だったのか泣いてしまった

 

「あーあ、いーけないんだーいけないんだー、龍樹が主を泣かしたー」

 

などと言い茶化してくる弁慶。そう言う彼女も目が充血してるのは口にしないでおこう。

 

「義経」

 

「ううっっ...,」

 

俺はそっと義経を優しく抱き締めた。

 

「義経、言ったろ、もう会えないなんて決まったわけじゃないだろ、だから泣かないでくれ義経....会えるから...絶対に...な!」

 

俺は優しく微笑む

 

「……そっそれでも...よっ義経は寂しい」

 

「義経、俺たちが過ごしてきた日々は無駄だったと思ってるのか?俺は信用できないか?」

 

「そっ、そんな事はない!」

 

「じゃあ、信じてくれよ」

 

「そうだよ義経ちゃん、龍樹君が言った通りまた会えるよ」

 

「そうだよ、主」

 

「繋がれた糸は切れない運命にあり、引き合う運命」

 

「うん...うん!そうだな!きっとまた会える!」

 

漸く義経に笑顔が戻った、やっぱり義経には笑顔が似合う。

 

「じゃあ、そろそろ俺は行くよ」

 

「では、龍樹様こちらへ」

 

俺は船へと乗り込む、そして船にエンジンがかかり始めた。ゆっくりと岸から離れ始めた。

 

「またな!義経!弁慶!清楚!与一!」

 

「バイバイ!龍樹君!」

 

「じゃあねー!」

 

「またね!龍樹君ー!」

 

「アニキー!!」

 

手をずっと降ってくれる義経達。俺は姿が見えなくなるまでずっと手を振り返した。

 

「龍樹様」

 

「ん?なんすか?」

 

「ありがとございました、あの子達に色々と教えて下さって」

 

「こちらこそですよ、俺も彼奴らからいろんな事を教わりました」

 

「……そうですか」

 

クラウディオさんは俺の言葉に優しく笑みを浮かべてくれた。

 

 

 

 

 

 

○○

 

「はあ、やっと着いた〜」

 

俺は船から降り背伸びをする。

 

「お疲れ様でした龍樹様」

 

「いえ、こちらこそです。それでは俺は失礼します」

 

「ハイ、気おつけておかえり下さいませ」

 

クラウディオさんに軽く挨拶をし、家へと帰宅する。

 

段々と家が見えてきた、なんか久しぶりの感覚だな。まっ、そりゃそっか、1ヶ月間家にいなかったんだもんな。

 

「おっ?あれは?」

 

前方に白い何かがこっちに向かって走ってきていた。直ぐに悟った俺は両手を広げる。

 

「ワオン!ワオン!」

 

「ハクー!!!」

 

俺の胸に飛び込んでくるハク。あまりの勢いに倒れてしまう。

 

「クゥーン」

 

「はは、くすぐってぇよハク。」

 

俺の顔を舐めてくるハク。ハクも久しぶりに龍樹に会えてうれしいようだ、尻尾を勢いよく振ってる。

 

「ただいま、ハク」

 

「ワン!」

 

俺は立ち上がり歩き出す。そして玄関の前まできた。

 

そして中から出てくる人影。

 

俺の親父だ。

 

「おかえり、龍樹」

 

「ただいま、親父」

 

俺はそのまま親父に抱きついた

 

 

 

 

 

 

 

 




クローン達との出会いは一旦終わりですね。
次回も宜しければ読んでください。
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