だけど小説もテストも頑張ります
続きをどうぞ!
俺は昨日遊ぶ約束をした小雪を待っている。
だが、彼はある事を考えていた。
「小雪のやつ....まさか...考えすぎ...いやもしかすると....」
ずっと彼はこの調子だ。端から見れば「何をぶつぶつ言ってるんだ?」と思うかもしれない。そんなの今の彼にはどうでもよかった。
彼が考えた末でてきた結論は————
「虐めか...虐待...」
その二つだった。
○○
「タツキー♪」
元気に此方に向かって走ってくる少女。
だが動きが少しぎこちない……
「………」
(やっぱり....怪我をしてるのか...)
その動きを見つめながら結論を導き出す。
此方に向かって走ってくる小雪は少しだけ脚を引きずっている。それ程もしかして痛いのかもしれない。
だがなぜそこまで笑顔でなのか?
ただ笑顔が癖なだけ?いや、そんな筈ない。
いや、今は小雪と遊ぶ事を考えよう。
勿論あんまり動くことが少ない遊びをな。
「ねえねえ、今日は何して遊ぶ?」
「じゃあ、この遊び知ってるか?」
○○
小雪と遊び大分時間が経ち気づけば夕方。
「………もうそろそろ帰る時間だな」
「え?...あ...うん...そうだね」
やはり小雪表情が暗くなった
「……また明日も遊ぼうぜ!」
俺は小雪を元気付けるため約束を交わす。その言葉に小雪は
「うん♪」
「それじゃあ....また明日な」
「うん♪また明日♪」
そう言うと小雪は去っていった、ぎこちない動きで、痛痛そうに。
……当てもしないで結論を出すって馬鹿だけど...確実に小雪は確実に虐めか虐待にあっている。
それに遊んでいる途中「何で小雪、そんなに笑ってるんだ?」と聞くと—————
「………あの人が笑ってくれるから...」と答えた。
友達に"あの人"なんて少なからず云わないはずだ。
反吐が出そうな結論だが小雪は虐待を受けている!!
それにドンドン小雪の怪我は確実に増えているのがわかった。ことままだと小雪の命が危ない!
俺は急いで自分の家へと向かった。
「おっ!龍樹!おかえり!.....何かあったのか?」
親父の表情が俺の顔を見た途端に一変した。
「親父...頼みがあるんだ...」
俺は真剣の表情で親父の顔を見つめた
「………云ってみな」
「友達を...助けたいんだ!力を貸してくれ!」
○○
「ここから小雪の氣が感じる」
その場所は一軒の家。何も変哲のない普通の家だった。俺はゆっくりとベランダへと脚を忍び込ませる。そして、ゆっくりと覗き込む。
「!!!」
信じたくなかった————
その光景に————
『アンタなんか!アンタなんかさえ生まれてこなければ!』
ドガァッ!
『うぐッッ!』
一方的に母親に殴られ、蹴られている小雪の姿がそこにはあった。
「なにやってんだよ!アイツ!」
龍樹は怒りを抑えることが出来なくなっていた。彼は過去に親を失ったから、目の前で。
親と云うのは子供の成長を見守っていくんじゃないのか?守る存在ではないのか?何故傷つけるんだ!
ふざけんな!!!
「オイ...やめろ...」
○○
小雪side
「アンタなんか!アンタさえ生まれてこなければ!」
ドガァッ!
「うぐッッ!」
イタイ!イタイ!痛いよぉ...お母さん...どうして僕に痛いことするの...どうしてなの...
「アンタのせいであの人が出て行った!アンタのせいよ!アンタが!アンタが!生まれてきたせいよ!」
小雪の親は全く躊躇もせずに小雪を殴り、蹴りを繰り返している、ハッキリ云って異常だ。
「あ" あ" あ" あ" あ" あ"!!!」
腕は折れ痛々しい痣があちこちに出来てしまっている。内臓が傷つき口から血が出ていた。
「だいたい何で何時もアンタは笑顔なのよ!コッチは必死なのに何故笑顔なのよ!気味わるいのよ!」
ドガァッ!そしてまた小雪を殴る
「………」
もう...声が出ないよ...
もう小雪は限界だった、もうこのまま死んだほうが楽なのではないかと思っていた。どうしようもない絶望感が小雪の心を痛めつけている。ただ、彼女は心配かけたくなかっただけなのに...だが...その思いはもう母親には届かなかった。
「もういいわ...アンタが死ねばきっとあの人は帰ってきてくれる...きっと私の元に...だから...」
小雪の親は台所から包丁を取り出した。
「死になさい」
包丁を持ちながら小雪に近づく母親。最早母親は小雪のことを気にかけてはいない。
「(ああ...ボク殺されちゃうんだ...お母さんに...)」
もう生きることを諦めた小雪は今までの出来事を振り返る。悲しいよ...ボク...愛されてなんかいなかったんだ...
タツキ...ゴメンね...約束守れそうにないよ...もう一度タツキの声が聞きたかったよ...ボクなんかと遊んでくれてありがとう...友達になってくれて...
そして母親は包丁を小雪に向かって振り下ろした。
「オイ.....やめろ....」
「(この声...タツキ?)」
目の前には包丁を素手で受け止めている彼がいた
小雪side end
○○
「アンタ...なにやってんだよ...」
素手で受け止めた包丁から血が出ていた。手の皮膚が切れ血が出ている、刃物で切られれば痛いがそんなの気にすることなんて出来なかった。
だって、小雪の方が何倍も痛い想いをしているのだから、そんな彼女に比べたら痛いのなんて平気だ。
「あっ、あんたッ!誰よ!何処から入ってきたのよ!」
「ベランダからだよ」
「不法侵入よ!」
「……黙れよ糞ババァ...」
「ひッッッ!」
子供の声とは思えないドスの効いた声に思わず恐怖して手が離れる小雪の母親。龍樹は包丁を床に置き小雪に向かっていく。
「……小雪...大丈夫か?」
「た..タツキ..ど...どうして...ボク...なん...か...助けて...くれた...の」
振り絞りながらなんとか言葉に出す小雪は弱々しかった。
龍樹は小雪を優しく抱きしめる、痛くないように優しく。
「友達だからな」
「えっ....」
今、ボクのこと友達ってよんでくれた...
「小雪...スマン...もっと早く気付いてやれば...早く出会っていたらお前に辛い想いをさせずに済んだのに...本当に...ゴメンっっ」
どうしてタツキが泣くの...タツキは悪くないよ...タツキ...泣かないでよ...こんなボクにでも涙を流してくれる人がいるんだもの...それだけでボクは嬉しいよ...嬉しくて...ボクも涙が出ちゃうよ...
小雪はゆっくりと折れていない方の腕を動かしながらタツキの頬を撫でる、そして伝えたかった
—————ありがとうって、笑顔で言いたかった
だが、体が痛くて声も出すのが辛くて笑顔も辛くて...彼に感謝を伝えることができないのが恨めしい。
だが彼は———
「どういたしまして」
と、優しく笑顔で言ってくれた。
ああ、なんでタツキはこんなにも優しいのか、この時感謝の言葉言えないのが本当に恨めしく憎かった。
龍樹はゆっくりと小雪を下ろし母親へと向き直る。
「なっ...なんなのよアンタ!」
「俺は小雪の友達さ」
「友達?こいつの?はは!笑わせんじゃないわよ!だからなんなのよ!アンタみたいな餓鬼に何ができるっていうのよ」
「小雪を助けることができる」
「そんなの出来ないわよ!何故ならアイツは今ここで私が殺すんだから、それにアンタもこの一部始終を見を見られたからね、アンタも殺してあげるわ!」
小雪の母親は金属バットを取り出し大きく振りかぶってきた。
「死になさい!餓鬼!」
迫ってくる金属バット、俺は片手で受け止めた
「はっ!?」
まさか、受け止められると思ってなかったのか驚きの表情を見せる母親。子供と大人は体力が違う、勿論力も。いくら相手が女性でも子供を殺す力はある。
だがそれは一般的な常識にすぎない。
目の前にいるのは例外の子供。
「……どうした?俺を殺すんじゃないのか?」
「あ、アンタ、何者なの!?」
「だから小雪の友達だって言ってんだろ、耳ついてんのか?」
ほんのすこし握っているバットに力を込めた。
すると、
グシャッ!
金属バットは凹み形を変えた
「ヒッッッ!バットが!?」
「オイ...小雪の母親さんよぉ、お前...なんで小雪を傷つけた」
「そっ...ソイツが悪いのよ!ソイツの所為であの人はでて行っちゃったのよ!だからその子が原因なのよ!ソイツを殺せばあの人はきっと帰ってきてくれるのよ!」
コイツ...ふざけてんのか...それだけの理由で小雪を傷つけたのか...もっと考えないもしないで...一方的に決めつけ...痛めつけたのか...
溢れ出んばかりの殺気が辺りを埋め尽くしていく
「……ふざけんな...」
「ヒッ!」
再び子供とは思えない程の声と殺気を母親に向かってぶつける。母親は龍樹の殺気に耐えきれなくなり腰を抜かしてしまった。
「お前...本当に小雪が悪いと思ってんのかよ!考えなかったのか!自分に原因があるとか考えなかったのか!」
「あ...アンタに何がわかるって言うのよ!部外者は引っ込んでなさいよ!」
「確かにお前の言う通り俺は部外者さ、アンタとは血も繋がってもない赤の他人さ...だがな...どんな理由があろうと俺は友達を傷つけるのはゆるさねぇ!」
(タツキ...)
龍樹の言葉に小雪はまた涙を流していた...
「それに...お前は知ってんのか?小雪が何故何時も笑顔なのか」
「は?」
「小雪は...アンタに心配かけたくなかったんだよ...笑顔でいてほしかったんだよ...何故...気づかないんだよ...こんなにも優しい子を...こんなにも親を思っている優しさに...何故気づかないんだよーーーー!!!」
「………」
小雪の母親は龍樹の言葉に呆気を取られ終始無言。
「アンタはもう終わりだ...もう直ぐ此処に警察がくる」
「……ああ...」
「お前は、小雪の母親なんかじゃない」
「ああああああああああああ!!!」
小雪の母親は大きな大声を出し気を失った。
今回は此処までですね。
次回も是非読んでください