ストライクウィッチーズ~異世界から舞い降りた翼~ 作:疾風海軍陸戦隊
ED「あさきゆめみし」
ジャックザリッパーが現れたあの夜の翌日、俺とエミリアは談話室に連れてこられ、キーラ少佐に今夜についての事情徴収を受けていた。無論キーラ少佐だけではなく506のメンバーもいた。
「さて、疾風大尉にエミリア大尉。君たち二人に訊きたいことがあるが構わないかね?」
「ああ」
「ええ、こちらも構わないわ」
俺たちが頷くと、キーラ少佐が
「では単刀直入に訊こう。君たちは一体何者なのかね?」
と、そう言うと彼女の後ろにいる506メンバーも同じことを聞きたいような顔をする。そしてキーラ少佐は
「君たちはあの殺人鬼の正体を知っていた。無論、向こうも君たちのことを知っていた。しかもだ。あの殺人鬼は君たちのことを日本だとかナチスドイツだとか言っていたが、私が調べるからにはそのような国家は存在しない。他にもだ。君たちについて調べても疾風村正やエミリア・ハルトマンという人物も存在しない。もう一度訊こう。君たちは一体何者だ?まさかネウロイが人間に化けているのかな?」
と、怪しむような目で見て笑うキーラ少佐に俺とエミリアは風とため息をつき
「俺たちはこの世界の人間ではない」
「それはどういう意味ですか大尉?」
と俺がそう言うとグリュンネ少佐が首をかしげてそう言うと、ハインリーケは
「隊長。こ奴らはわらわとは違う世界から来た人間。すなわち異世界人だということじゃ」
「それはどういう意味ですか大尉?」
と俺がそう言うとグリュンネ少佐が首をかしげてそう言うと、ハインリーケは
「隊長。こ奴らはわらわとは違う世界から来た人間。すなわち異世界人だということじゃ。そうであろう大尉?」
「ああ、そうだ。因みにエミリアも俺と同じ世界の人間だ」
とそう言うと俺は頷いて答えると黒田が
「異世界?どういうことですか?もう少し簡単に説明してもらえますか?」
「私も黒田さんと同じ意見です。二人とも詳しい説明を」
「話せば長くなりますよ?」
「構わない。時間はまだあるからな」
とキーラ少佐にそう言われ俺はその場にいた10人に俺とエミリアのいた世界のこと、人間同士で起きた戦争のこと、そしてなぜかこの世界に来てしまったことなどを話した
「なるほど・・・・・信じがたい話だが、今まで二人の不明な点を考えれば納得がいく」
無表情ながらもプレディ中佐が納得したように頷く
「姫さん。疾風大尉の素性を言っていたのか?」
「まあなバーガンデール少尉。この前の夜間哨戒にな」
アイザックの言葉にハインリーケがそう言うとアドリアーナが
「ああ、あれか姫さんが一目惚れ・・・・・」
「わぁー!!それを言うなぁ!!」
と何か言おうとした時、ハインリーケは顔を真っ赤にして叫ぶ。なぜ叫んだ?アドリアーナさん何か変な事を言おうとしたのかな?俺がそう不思議に思っていると隣でエミリアが
「疾風・・・・お前と言う奴は本当に隅におけん奴だな」
とニヤニヤしてそう言う。え?なんで?俺は訳が分からず首をかしげる。
「コホン!」
キーラ少佐が咳ばらいをし、
「なるほど。君たちの正体がわかった。だがそれと同時に君たちがジャックザリッパーの仲間であるという可能性も出てきたってことだな」
「な、なにを言っているんですかキーラさん!」
「当たり前だろブランク大尉。マリア准尉・・・・いやジャックザリッパーが君たちと同じ世界に人間なら、君たち二人もあの殺人鬼の仲間って考えるのが普通だろ?」
と、そう言いキーラ少佐は俺たちに疑いのまなざしを向けると
「普通じゃないですよ!疾風大尉やエミリア大尉はいい人ですよ!!」
「そうだ!あんな殺人鬼と一緒にするな!」
「疾風大尉とエミリア大尉が殺人鬼の仲間?ジョークとしてもうけませんよ少佐」
「そうだぜ!それに疾風大尉はマリアンをあいつから助けてくれたんだぞ!!」
と全員が否定をし、ハインリーケも
「助っ人で仮の配属とはいえ、疾風大尉とエミリア大尉は我が506の一員じゃ。絶対にあり得ぬな」
とそう言うとグリュンネ少佐はキーラ少佐の方を見て
「少佐。確かに疾風大尉とエミリア大尉はあの殺人鬼と同じ世界から来た人かもしれませんが、まだ奴の仲間だという証拠はありません。ただわかっていることは疾風大尉とエミリア大尉は皆を裏切るような人じゃ決してないってことです」
と、決意と自信に満ちた目でキーラ少佐にそう言うとキーラ少佐はふっと笑い
「いや、すまない。どうも諜報部に所属していると人を疑う癖がついてしまってね。まあ確かに二人が内通者である証拠はないし・・・・・」
とそう言うとキーラ少佐は二人を見て
「それに前向きに考えれば二人はあの殺人鬼のことを良く知っているみたいだな。疾風大尉、それにエミリア大尉。あの殺人鬼のことを知っているのなら詳しく教えてもらいたい」
と、そう言うとみんなの視線がこっちへ向く。するとエミリアが
「・・・・・ウドー・マリアと名乗っている例の殺人鬼の本名はイルマ・レイナーレで私と同じナチスドイツの軍人であり同じ武装組織である武装親衛隊に所属していた奴で仲間内からのコードネームは「堕天使」またはしっつのようにターゲットを狙うことから「ターミネーター」と呼ばれていた奴だ」
「武装親衛隊とは一体何かねエミリア大尉?」
「ナチスドイツの陸海空の精鋭のさらに精鋭を集めた最強部隊で、その三軍より独立した軍隊だ。そして彼女が所属していた部隊は武装親衛隊の中で狂気と言われた第9ss暗殺師団「ラフィンコフィン」に所属していた」
「ラフィンコフィン・・・・笑う棺桶?」
「そうだ。奴らの任務は表で戦う他の部隊とは違い主に暗殺などを主体とした部隊だったのだが、連中はただ単に虐殺や殺しを楽しむだけの連中ばかりで敵は愚か味方でさえも殺し始めたんだ。私たちも軍人で人を殺す立場であったが私怨で殺したことは一切ないし、やりたくもない。だが連中はそれを無視し兵士はおろか無抵抗の市民まで殺し、それどころか戦時条約を無視した兵器を使う連中さえ出てきた。」
「それで、そのラフィンコフィンと言う部隊はどうなったんですか?」
「ああ、その部隊はあまりにもやりすぎたために総統閣下の命により粛清された。しかも当時は珍しいことに秘かに敵であった連合軍と一時休戦してな。一部の連合軍兵士とともにそいつらを討伐したんだ。そうだろ疾風?」
と、エミリアは俺を見てそう訊くと
「ああ、たったの三日だけだったがな」
と、静かに頷く。そう、あれは数年前、俺は上の連中にナチスと一緒にとある狂気な連中を倒せと命じられたことがあった。そしてその討伐の時に同じナチス武装親衛隊であったエミリアと共闘してラフコフ討伐作戦に参加したのだ。
「そして俺とエミリアはいよいよ討伐の日に、情報が漏れていたのか敵の奇襲にあってな。連中を倒しはできた物の、ナチス・連合軍の討伐に出た一個連隊で、340名が死亡、そしてラフコフは降伏し投降しないで死亡したのは480名が死亡し、計820人が犠牲になった」
「820名も・・・・・・」
ジェニファーはその言葉を聞いて両手で口を覆いショックを受けていた。そしてキーラ少佐は表情も変えずに
「・・・・・で、そのジャックザリッパー・・・・いやレイナーレと言ったか。彼女はどうなったんだ?」
「わからない。だが、逮捕され生き残った奴の中で彼女の名と姿はなく。無論粛清された奴の中で逃げのび行方知れずになった連中は一人もいなかった。だから私たちは彼女が死んだと思っていたのだが・・・・・・」
「この世界で生き延びてジャックザリッパーと名乗って殺人を犯していたと?」
「そう言うことだ。それよりもキーラ少佐。彼女がウドー・マリアとして諜報部に潜入していたのはいつからだ?」
俺がそう訊くとキーラ少佐は
「一月前だ。私がちょうど諜報部将校になった時に諜報部の見習いで私の直属の部下と言うことで配属されていたのだが、まさか彼女が例の殺人鬼だったとは諜報部も知らなかったよ」
とやれやれと言うように首を横にして言う彼女。そして
「さて、次の質問だ。レイナーレの使っていたあの技。確か、「心の一方」とか言っていたが、あれはなんだ?固有魔法ではないのか?」
と、プレディ中佐がそう訊くと
「それは俺が答える。心の一方は日本・・・・ここで言う扶桑の剣術の一つ「二階堂平法」と言う剣術技の一つだ。二階堂平法は一文字、八文字、そして十文字の三段の型で構成されその三つの型で一、八、十の字を合わせると平になるから平法と呼ばれている。その中で心の一方とは二階堂平法の奥義であり、開祖である松山主水が編み出した技で現代風に言わせれば催眠術みたいなものだ。そしてこの術にかかった者は、金縛りにあったように身動きができなくなったという」
「そんな技があるのか・・・・だが、そいつはどうやってその技を会得したんだ?」
「さあね。レイナーレ中尉はもともと謎が多い人でね。生まれはドイツ人。こっちで言うカールスラント出身と入っているけど真偽は不明ね」
「俺たちが知っているのはここまでだよ少佐殿」
「なるほど。大体理解したけど。しかし疾風大尉。君はその殺人鬼に次のターゲットとして狙われたが、大丈夫かしら?」
と、グリュンネ少佐がそう訊くと
「わからない。ただ、そう簡単にはやられないということだけ言っておく」
と、何か決意した目でそういう疾風にそばにいたエミリアは少しだけ不安そうな表情を浮かべそしてその話を聞いていたマリアンとハインリーケも同じ表情をするのであった
一方、殺人鬼ジャックザリッパー事レイナーレはとる店にいた。その店の名は「アラモ鉄砲店」と書かれていた
「・・・・・ウィンチェスター モデル1897」
とレイナーレがそう言うと店主は棚からショットガンを取り出す
「リベリオン製だ。これはいい銃だよ。他には?」
「7.62x39mm弾の弾薬を頂戴」
「オラーシャの弾薬か・・・・・だが嬢ちゃん今ならカールスラントのSTG44と7.92x33mm弾クルツ弾がおすすめだよ」
「いいのよ。この弾薬はSTGより優れた銃器に使用するのだから」
「そうかい。まあ好みは人それぞれだ・・・・・・・で、ほかに欲しいものは?」
「そうね・・・・・じゃあ、射程400のプラズマライフル」
「すまない嬢ちゃん。あいにくそれは置いてないんだ」
「・・・・・・M3グリースガンを頂戴」
「お嬢ちゃん銃に詳しいね。軍の方かな?まあどの銃も家族をネウロイから守るのに最適だ。それで?どれにするんだい?」
と店主は1897を構えるレイナーレに訊くと
「・・・・・全部よ」
と、そう言うと店主はふっと笑い
「今日は店じまいだな。今、登録書を出すから、ああそうだライフルなら直ぐに持ち帰っても大丈夫だ」
と、店主は机から書類を出す中、レイナーレは
「そうかい。それじゃあね」
と、そう言い出て行こうとするが
「ちょっと嬢ちゃん駄目だよ代金を支払わなきゃ」
と、そう言い彼女の腕を掴むのだが、レイナーレはすかさず懐に隠していたナイフを取り出し店主の喉に突き刺す
「ぐっ!!?」
いきなりのことに店主は口から血を吐き倒れ絶命する。そしてレイナーレは
「いいんだ」
と悪魔みたいな笑みを見せるのと同時にナイフに着いた血をふき取りその鉄砲店を後にするのであった。