力と耐久ないけどダンジョンにいるのは間違っているだろうか?   作:血濡れの人形

44 / 58
怪物祭(お祭りと書いてあるので、とりあえず食べ歩きですかね!)

~オラリオ 広場~

 

どうも、ナレッジです。僕は今、

 

「お、これなかなかおいしいね」

 

「こっちの味もおいしいですよ?ほら、あーん」

 

「こっちも食べなさい。折角全員別の味を注文したのだから」

 

「時々変な味があって思わず注文するか悩むくらいにはあったわね」

 

「いや、デスクリーム抹茶味とか、

 

アナゴキャラメルソフトクリームマシとかいう、

 

ゲテモノクレープに惹かれるのはどうかと思うけど・・・」

 

皆とクレープと食べながら屋台を見ています。

 

男状態なので、周りからの視線が痛いです。

 

ちなみにクレープには、他にも変な味がたくさんありました。

 

クリムゾンチキン~クリームと宇治抹茶ソフトを添えて~とか、

 

カスタードプリンと海鮮のチャーハン~ホイップ添え~とか、

 

まぁ、そんな感じのがあって、思わず全員で固まりましたね。

 

興味本位で買った人を一人だけ見ましたが、一口食べた後、

 

痙攣したと思ったら、泡を吹いて倒れてしまいました。凶悪どころではない。

 

そんなことを考えながら歩いていると、

 

「チェリーパイが売られている屋台がある」

 

まさか始めてみるパイが、チェリーパイだとは思いもしなかった。

 

『僕』が初めて食べるパイ。『俺』と『私』が結婚して初めて行った祭りで、

 

妻と共に食べていたのもまた、チェリーパイであった。

 

少し中の果実が甘く煮られ、

 

しかし、見た目からしてパイ生地はサックリとしていそうである。

 

果たして食べ歩きに向いているのかは疑問だが、とりあえず一個だけ買うことにした。

 

みんなとそんなにはなれないし、別に言わないでもいいだろう。

 

「「すみませーん、チェリーパイひと・・・つ・・・」」

 

僕の反対から出てきた人を見て、思わず固まってしまう。

 

「あ、アハハ、まさかこんなところで会うとは思ってなかったや」

 

「こちらも驚きを隠せないというか、仕事の方は大丈夫なんですか?絆様(・・)

 

「うん、とりあえず仕事終わりだよ?ドールからも許可もらってるし」

 

そう言いながら、絆は買ったチェリーパイを口の中に入れる。

 

「思ったんですが、そのお金ってどこから出てるんですか?」

 

「ん?あぁ、時々ドールがこっちに来てモンスター倒してるんだよ」

 

ほら、と、紙を見せてくる絆。そこには、ステイタスが記入されていた。

 

「レベル5・・・」

 

低い・・・のだろうか?よくわからないが、

 

確かロキファミリアの幹部たちの多くもこんなレベルだった気がする。

 

「でも、スキルが異常ですね」

 

「触れてあげないでね、いろいろと事情があるんだよ」

 

特定条件下でレベルを五上げるとか、

 

世界特攻とか、ちょっとわけのわからないものまである。

 

「おい絆、勝手に動くなといっただろう」

 

そんな話をしていたら、人ごみの中からドールが出てくる。

 

「む~、ちゃんとに私言ったし。ちょっとあっちで買い物してくるって」

 

「俺が護衛かねてるって忘れてんのか?

 

そんな俺を置いていくように全力で逃げてんなよ」

 

とりあえずそれを聞いた僕は、絆をじっと見る。

 

「にゃっはっは、ドールでは吾輩を止められないのだ~ってね」

 

愉快そうに笑う絆を見て、ドールが頬をぴくぴくさせる。

 

「ほう、よくわかったわ。今日ご飯抜きな」

 

「・・・えぇ!?」

 

「うっし、こいつに対する罰も決まったし、じゃあな、ナレッジ」

 

「ちょ、それだけは勘弁して~!」

 

そういって、二人は去っていくのだった。

 

「まるで嵐みたいでしたね」

 

「ナレッジ、とりあえず周辺の食べ物はある程度食べたから、そろそろ帰るわよ」

 

「それにしても、チェリーパイなんて懐かしいもの食べてたのね。

 

一口だけもらうわね」

 

アリスはそういうと、僕が一口だけ食べたチェリーパイを小さく食べる。

 

「味もあの時と同じとは、驚きだわ」

 

全くである。似てる、近い味、ということはあっても、

 

まったくもって同じ味というのもまた、そうあるものでもないだろう。

 

なんて考えていると、クロワッサンも横から食べる。

 

「これ、結婚した後初めて祭りで食べたチェリーパイと同じ味ね」

 

「?あ、あぁ!なんか聞き覚えのある声だと思ったら、

 

アリス様にクロワッサンお嬢様じゃないですか!

 

ということは、そちらの男性はナレッジ様ですか?」

 

「「「・・・え?」」」

 

露店でチェリーパイを売っていた女性がそう声をかけてきたことに驚き、

 

思わず固まってしまう。

 

「・・・だれ?」

 

「さぁ?」

 

「どこかで見覚えが・・・ないわね、うん」

 

「ひどい!千年前にもパイを買いに来てくれたじゃないですか!ほら、結婚式の後!」

 

結婚後、パイを買いに・・・?

 

「え?あのときの店員さん?」

 

「そうですよ?いやぁ、まさか気が付かれないのは悲しいですわ」

 

「むしろ僕としては、君がまだ生きているという現実に驚きだよ」

 

そんなことよりも、世界が違うのにいるっていうのにも驚きだけど。

 

「はは、なにせ長寿な種族なので」

 

「世界わたるのはふつう無理でしょ」

 

「あぁ、私、変な現象に巻き込まれやすいんですよ。

 

でも、私が移動したタイミングって、

 

実はナレッジ様が死んだ日ばかりなんですよねぇ」

 

不思議ですね、なんて言ってくる店員さんに、思わず頬を引き攣らせる。

 

(絶対僕の転生に巻き込まれてるよねこの人)

 

「確かに不思議ですね」

 

とりあえずごまかすことにした。正直に話すようなことでもないだろう。

 

「本当ですよね。(すみません、これ一つください)あ、はーい。

 

それでは、機会があったらまた来てくださいね」

 

そういって、店員さんは他の人の接客に戻っていくのだった。

 

「・・・帰ろうか」

 

「「「「そう(だ)ね」」」」

 

そうして、僕たちは自分たちのファミリアへと帰っていくのだった。




チェリーパイのお店の店員さん

実は店長さん。巻き込まれ+不幸体質。

店の売り上げがよくなり、評判になってきたあたりで店ごと異世界に飛ばされる。

店の営業権自体はなぜかある物の、営業開始直後、お金も使えないので、

最初からやり直しである。

それでも楽しそうなのは、本人がパイなどを作るのが好きだからだろう。

ちなみに名前は包合(ほうごう)香穂(かほ)

包み合う穂の香りという意味を込めたらしい。彼女が作るパンやパイは、

香りがとても良いと評判になる。

もっとも、そのたびにその世界から消えてしまうのだが・・・。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。