鎮守府に着任していた提督の身に起きた事件とはーーーーーー?

1 / 1
初めて書いたんでいささか読み辛い所もございますが、
なにとぞ御勘弁を(^U^)
因みに私はundertale と東方とジョジョと艦これが好きです。


提督の災難

ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ

「……ふぅ。後はこの書類に判を押して……と」

鎮守府。そこは人類の未来を脅かす「深海棲艦」

から「艦娘」と呼ばれる少女達とそれを指揮する

「提督」が常駐する日本海軍の施設だ。

そして、その中の一つ、呉鎮守府の提督は丁度

デスクワークを終わらせていた。

「あ〜やっと終わった〜……と。そういえば」

と彼は壁に取付けられた時計を見やる。

時刻は間もなく16:00を回る頃だ。

「もうそろそろ入渠した天龍達が出る頃か。

よし、呼びに行って一緒に次の作戦でも

考えて貰おうかな」

提督は席から立って一つ大きな伸びをすると

執務室のドアを開けて廊下へと出た。

正にその廊下から出た瞬間に。

「はわわわわっ!?司令官さあああん‼︎

避けて下さいなのですううううう‼︎」

「ファッ⁉︎」

少女の声と同時に、彼が目にしたのは

この鎮守府に所属している艦娘の一人、

電がこちらに向かって倒れ込みながら

バケツの中身の液体を大量に空中に

ばら撒いた所だった。

仕事終わりで気が抜けていた提督は

反応を起こすのが遅れ……

その液体をもろに全身に浴びてしまった。

「うわあああッ‼︎」

「し、司令官さん‼︎大丈夫なのですか⁉︎」

「う……あ、ああ。なんとか……な」

提督は駆け寄ってきた電に返事をして、

立ち上がろうとした、が、

何故か彼の身体から急速に力が抜けていく。

「うぐッ……なんだ……身体から急に……

力が抜けていく……あ、熱い……

燃え上がりそうな位身体が熱い……‼︎」

提督の意識が朦朧としていく。

「司令官さん!しっかりしてなのです‼︎

誰かあ‼︎早く来てほしいのです‼︎

司令官さんが……司令官が

死んじゃうのです‼︎」

提督は意識を保とうとしたが、電の

助けを求める声と彼を助けようとする

声を聞きながら深いどろりとした眠りに

飲み込まれていった……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ーーーーーーい、提督ッ!

しっかりしろッ‼︎生きてるなら

返事位しろよッ‼︎おいッ‼︎」

……提督は、誰かの呼ぶ声で目覚めた。

「……う……うう……ここは……」

「‼︎提督ッ‼︎良かった、生きてる‼︎」

彼は、ベッドに横たわっていた。

身体を起こしながら顔を右にやると、

涙で顔がぐちゃぐちゃになった電と

一緒に看病してくれたのだろう。

電程ではないものの涙で顔を汚した

天龍の姿があった。その隣には

電の姉妹に当る暁も。

「ここは船渠だ。ヒヤッとしたぜ。

提督が死んじゃうって電が騒ぐからよ。

俺もそうなっちまうじゃねぇかと

ドキドキしたぜ。全く」

「司令官なら、レディを心配させること

なんてしないで頂戴‼︎……ぐすっ」

「すまない……迷惑をかけてしまった

らしいな……ん?」

ここで提督は自身を見下ろした。

自分はこんなに小さかったか?

天龍がやけに大きく見えるのは?

自分が倒れたのは執務室の前なのに

何故一番執務室から距離がある船渠に

入れたのか?

そして……自分の声はどうしてこんなに

高く聞こえるのだろうか、と。

「ところで、ここに姿見はあるか?

少し気になることがあるのだが」

「ッ!ま、まだ提督は意識が戻った

ばかりだろ?もう少し休んだらどうだ?」

「そ、そうなのです‼︎まだ横に

なっていた方が良いのです‼︎」

(……やはり何か私に隠しているな)

提督は天龍と話を交わしながら

意識を船渠の隅々に向けた。

すると、右側の奥の壁に毛布がかけられた

何かがあった。

毛布はそれを完全には隠せておらず、

隠れていない所からは僅かながら光を反射

していた。

ーーーーーー姿見である。

「……そうか」

提督がそう言うと、天龍はホッとした様子を

見せた。

「なら自分で探すさ」

その一瞬を提督は見逃すはずがなかった。

ベッドの毛布を思い切り吹き飛ばし、

横にあったスリッパすら履かず

姿見を目指して一直線に走った。

「⁉︎しまっ……‼︎」

天龍達があっと驚く間もなく、

提督は姿見の毛布を引っぺがした。

 

姿見が写した姿は。

透明感のある白い髪が腰まで長く伸び。

その顔は男というにはあまりにも

あどけなくーーーーーー若干ながら

暁や電に似ているーーーーーー

幼い顔で。

身体の大きさもそれに比例するように

2m位の姿見の半分程しかなく。

衣服は病院の患者が着るような病衣を

纏っていたが、その胸の辺りは男で

あるならばあり得ないはずの二つの

膨らみがあった。

 

……それこそが、今の提督の姿そのもの

であった。

「……ッ⁉︎ な、なななな……⁉︎」

 

 

 

「なんなんだこの姿はあああああああああああああああッ⁉︎」

そしてその声も、今の提督の姿に

相応しい甲高い声へと変質していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……なるほど。提督がバケツの中味を

被った所、艦娘になってしまった……

つまり、そんな訳ですね?」

「ああ……そういう訳だ」

提督が自分の姿を見てからしばし。

彼……否、「彼女」は何故自分の姿が

変わってしまったのかを知るために、

工廠に来ていた。

「明石、何が原因なのかわからないか?」

明石と呼ばれた彼女は、眉間に指を当て

「もしかしたら……ですよ」と言った。

明石は艦娘の艤装の修復については

妖精以外ではたった一人、それが出来る

艦娘だ。

その為、艤装修復用の薬品などにも詳しい。

「電さん。バケツの中味はなんでしたか?」

「あっ、えっと……たしか、高速修復材を

入れてあったはずなのです」

電の説明はこうだった。

提督が執務に励んでいる間に、船渠の

高速修復材が丁度バケツ一杯分足りなく

なり、遠征組で一番出るのが早い電が

工廠から修復材を持っていく事になった。

だが、バケツ丸々一杯入った修復材は

駆逐艦の小さな身体の彼女にはとても

重労働で、なおかつ彼女は少しながら

不注意な所があった。

実は提督も電の説明で知ったのだが、

ここの鎮守府の設計上、工廠から船渠に

行くのに一番早く行けるルートが

執務室を通る形になっていたらしい。

電が執務室の所までバケツを運んで

いたが、うっかり足を滑らせて中味を

ばら撒いてしまい、そのばら撒いた瞬間に

提督が執務室から出て来た……という訳らしい。

「恐らくその修復材が原因でしょう。

薬品っていうものは安全な使い方をしないと

何があるかわかりません。

普段は船渠の湯に混ぜているから修復材も

安全だったんでしょうけど、

それを提督は原液のままで浴びてしまったから

何らかの化学変化が起きたんでしょう」

「も、戻れる方法はあるんだろうな?」

天龍が提督と明石を交互に見ながら聞く。

「……正直、調べてみないと戻れるかどうかは……」

明石が難しそうな表情を浮かべる。

「……まだわからない、か……」

提督はそう呟くと、明石に礼を述べ、

執務室に戻った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

執務室内ーーーーーー。

「ところで、提督はいつまでその服の

ままでいるの?」

暁が言うように、提督は船渠で目覚めた

時からずっと病衣のままでいた。

「私の服を貸すのです」と電。

「いや、流石に女の子の服は……」

提督は躊躇するが、

「司令官さんだって今は女の子なのです」

「ぐっ」

一瞬で論破された。

「駄目よ、電!」

そこで暁が電を制した。

「暁……」

暁は自分の心中を察してくれたのか。

「貴女、司令官より少し小さいじゃない。

貴女の服じゃ提督が窮屈よ」

 

「私の方が司令官と同じくらいの

背丈だから、私の服を貸した方がいいわ」

ぜんぜんそんなことなかった。

「確かにな。暁と提督、どっちも

背丈が一緒だ」

「じゃあ、電が服を取ってくるのです」

電が執務室の扉を開けて、トタトタと

走っていった。

「わ、私は嫌だぞ‼︎男が女の子の服を着る

なんて末代までの恥だ‼︎」

提督は服を着ることを拒否して逃げようと

したが、

「待て待て逃げるな」と天龍に後ろから

脇に手を入れて持ち上げられてしまった。

「離せ天龍‼︎離せーー‼︎」

「観念しろよ……全く。しかも今女の子だろ?

何も問題ないじゃないか」

「私がまだ覚悟出来てないんだ‼︎」

そうこうするうちに、電が暁の服を

持って戻って来てしまった。

「戻って来たのです‼︎」

「よっしゃ来たか!電、提督を押さえつけてくれ!

俺が服を脱がせる!」

「うわああああああやめろおおおお‼︎電、

押さえないでくれええええ‼︎」

電は二人から押さえろ、押さえるなの

板挟みに遭い、

「はわわわわ、はわわわわわわわ」と

慌てていた。

「暁でもいいから‼︎」

「嫌よ、なんでレディがそんなことしないと

いけないの‼︎」

「提督がレディになれなくてもいいのか?

一人前のレディが聞いて呆れるぜ」

「はあ⁉︎だったら押さえてやるわよ‼︎

提督、貴方を一人前のレディにしてあげる!」

数秒後。

「アッーーーーーーーー‼︎」という叫びが

執務室から響いた。

 

 

 

 

 

 

「(なんか三人とも子供に見えるのです……)」

 

 

 

 

 

 

 

 

数分後。

暁の服を着た提督がそこにいた。

ただし半泣きの状態で。

「じ、女性に裸を見られた……」

「泣くなよ。俺も悪かったってば」

「……司令官さん、響ちゃんに似てるのです」

「あ、本当だ‼︎響よ、響だわ!」

グスグスと泣いている提督を見て、二人が

気づく。

「雷と響は?今どこにいたかしら」

「二人なら今は部屋にいると思うのです」

「司令官を見せたらどんな反応するかしら?」

「気になるのです」

「グスッ……電、暁。二人とも何を話して……」

提督がなんとか泣き止み、二人に話しかける。

「司令官……」

「電達の部屋に一緒に来て欲しいのです」

「……えっ」

提督がその意味を解する間に暁は左腕、

電は右腕を掴んで自分達の部屋に連れて行った。

「え、え?ちょ、ちょっと待て?なんで

そうなったの?ねぇ、ちょっと⁉︎」

二人に問いかけながら引きずられてゆく

提督を見ながら、天龍はやれやれと

肩をすくめた。

「はーあ……これから提督、

どうなるんだろうなぁ……」

 

 

 

 

 

その後、提督は艦娘に「可愛い」といわれ、

響と似てる、ということで散々

「ハラショー」と言わせられたそうな。

 

 

 

 

 

 

 




2000字で終わらせるつもりでいたのですが、
1.5倍程多くなってしまいました。
これでも一応削った方なんですが……。
(全て書いていたら5000字はいっていたかも)
この小説は一応短編ですが、気が向いたら
続きを書くかもしれないです。
問題点等があれば教えて頂けると僥倖です。
次はシリーズ書きたいと思っております。


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10についてはそれぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。