″個性″という『呪縛』   作:kwhr2069

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序章ーvol.2

第二話

 

 初めは、ちょっとした憧れだった。

 

 僕を助けてくれた人。僕と少女をネイバーから守ってくれた人。

 

 

 あの日、僕と少女は今も名前の分からないボーダーの人に助けてもらった。

 その人は僕に、『男なんだからもっとシャキッとしてろ。』と言った。

 

 格好良かった。

 

 そして、その瞬間、僕は心に決めた。

 

『ボーダーに入ってこの人のようになる!』と。

 

 

 しかし、僕は父と母を亡くした。涙を枯らすほど泣いた。

 

 ただ、僕はボーダーに入って強くなるために頑張ろうと思えた。

 

 中学校までは体をつくりたかった。僕は背は低くないものの、体が細かった。

 筋トレや体幹トレーニングで体をきたえ、ご飯もたくさん食べるようにした。

 

 高校生になり、仮入隊の日。

 前日からワクワクしていた僕は、あの日助けてくれた人がいないか探していた。

 

 結局見つけられなかったけど、ボーダーには強い人がたくさんいた。

 

 その人たちを見て、よりボーダー隊員になりたい気持ちが強くなった。

 

 

 そして、現在、僕はボーダーの正式隊員となった。

 

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 今日は月曜日。高校生の僕は、普通に学校に行く。

 

 厳しい父の教えで、僕は小学生の頃から勉強をかなりさせられ、ニュースも毎日見ていた。その結果、僕は勉強は苦手ではない。むしろ得意なほうだ。

 

 まぁ、あまり好きではないのだけど。

 

 

 いつも通り登校する。が、何やら視線を感じる。

 何だろうと思いながら、教室に入る。と、

 

「おい、聞いたぞ!人見!お前、ボーダー隊員になったんだってな。」

 

「そんなこと俺たち知らなかったからよ、初めて聞いたときびっくりしちゃって。」

 

「ボーダー隊員になるんなら、教えてくれてればよかったのに。お祝いするのにさ。」

 

 

「え!?」

 矢継ぎ早に声をかけられ、驚く。情報がまわるの、早すぎやしないか??

 そんな、誰かに言って自慢したわけでもないのに。

 

 

 とりあえず、自分の席へ行く。

 途端に周りを囲まれる。

 

「なぁ!何で教えてくれなかったんだよ~!」

 

「そうだよ、同じクラスにボーダー隊員候補がいるなんて思ってなかったぜ!」

 

 

「いや、そんな、自分の口から言うことでもないし...。だって僕、目立たない方だから...。」

 

 

「そんな、目立たないやつがボーダー隊員になれるかよ!w」

 

「実際、人見、運動神経良いよな。なんか球技やってたの?」

 

 

「いや、球技はやってなかったよ。運動神経も僕よりいい人はいっぱいいるでしょ...。」

 

 

「なんでもそつなくこなす感じだよな~人見は。」

 

「そうそう。勉強もできるしさ。」

 

「ところでさ、ボーダーの試験ってどういうことするんだ?興味あるんだけど。」

 

 

「えっ、それは...。」

 

 あまりに相手が多く、困ってしまう。あぁ~、予鈴鳴らないかなぁ~。

 

 

 それからも、一躍クラスの人気者となった僕は、質問攻めにあう。

 休み時間から昼休み、そして、放課後まで。

 噂を聞きつけた他クラスの人たちまで来て、それはそれは大変だった。

 

 

「じゃあな!操志!また明日!」

 

「うん。また明日。」

 

 やっと帰れるのか。時計は6時25分。今日は本部に行って4000ポイントに到達させようと思っていたのに。計画が狂ってしまった。

 

 この感じは、今日の様子を見る限り、もう少し続きそうだ。

 当分、本部にはいけなさそうだな...。残念。

 

 

 帰りながら、周りのリアクションについて考える。

 あまりにも急変していた。あまりにも。

 あげく、早速下の名前で呼ぶ人もいた。これについては、驚きを隠せない。

 

 そんなに親しかったわけでもないのに、ここまであからさまに変わられると、むしろ清々しいと感心してしまう。

 

 別に、人と仲良くすることが嫌いとかではないのだが...。

 

 釈然としないまま、僕は家に着いた。

 まぁ、のんびりいこう。気にしすぎてもしょうがないしな。

 

 

 翌日。

 

 思っていたとおり、周りの熱は冷めなかった。

 

 話しかけてくれるのは、なんだかんだ嬉しいことではある。なのだが、彼らの中には面倒くさいお願いをしてくる者までいた。

 

 それは、トリガーを見せてほしい、とか、『トリガーオン』してほしい、とかいうものだ。

 

 言い方は悪いが、一般人にトリガーを見せるわけにはいかない。

 また、『トリガーオン』も、そんな気軽にやっていいものではない。

 

 だから断るのだが、そうすると今度は、『本当はボーダー隊員じゃないのではないか』ということを言ってくる人もいる。

 

 さらに、ほかにも厄介なものがあった。それは...嫉妬の視線である。

 

 

 それから僕は、一つの方法を発見した。

 

 僕によってくる人には、『あまり話したくないからやめてくれ』という目を向けた。

 嫉妬を浴びせてくる人には、「羨ましいならもっと頑張れ。それと、あまりこっち見るな。」という思いを込めてその人を見るようにした。

 

 すると自然と、僕を特異的な目で見てくる人はだんだんと減っていった。

 

 『目は口ほどにものを言う』という言葉があるが、それはどうやら本当のようだ。

 

 

 そして、金曜日。

 

 少しうんざりしたような心もちで学校へと向かう。

 

 

 通学路には、最近見かけていた男子の三人組が見当たらない。今日は遅いのだろうか。何はともあれ、ラッキーだ。

 

 

 教室へと入る。

 

 いつも話しかけてくるメンバーが集まって何やら話をしていたらしく、なんだか少しそわそわしているように思う。

 

 ここでも僕は話しかけられることはなかった。

 

 

 

 今、僕は本部へと向かっている。

 

 朝以降も、話しかけられることはほぼ無く、結果として、ボーダー本部に行く時間ができた。

 

 皆はもう飽きたのだろうか。

 とりあえず、今日は、時間を食われなかったことが何よりもうれしい。

 

 とはいえ、自分の心に嘘はつけないようで、気になっているのはクラスメートのことばかり。

 

 何かしたか?

 話しかけるなオーラを出したからか?

 それでも気にせず話しかけてきていたから、ほかに何か理由が?

 

「ああ、だめだ。わかんねえ...。」

 

 これはもう、思いっきり戦ってスッキリするしかない。そう思って、本部に足を踏み入れた。

 

 

 周りの様子が何やらおかしい?

 僕が仮想訓練施設に来てから、明らかにざわついているように思える。

 

 まぁ、気のせいだと思うことにし、対戦相手を選ぶ。

 しかし...

 

 

 

 どうしてだ?

 

 僕の対戦の申しこみは、ことごとくキャンセルされていた。

 

 前回勝ちっぱなしだったことが原因なのだろうか。

 それでも、それが皆に伝わるなんてことがあるのか?

 

 とにかく、このままここにいても居心地が悪い。今日は諦めて帰るか。

 

 そう考えた僕が、施設から出ようとしたその時。

 

 

「っっ!!!!!」 「わぁぁ!!!!!」

 

 

 突然入ってきた人とぶつかりそうになる。

 

 その子は、小さかった。女子だったのだが、自分の胸と同じくらいの高さの身長だった。

 

「ごめん。大丈夫だった?」と声をかけると、

 

 その子は、僕の方を見て、いきなり尋ねてきた。

 

「もしかして、あなたが噂の人見さんですか?」

 

 

 はい?噂の?どういうことですか?と聞きたくなった衝動をこらえ、ひとまず首を縦に振る。

 

 それを見た少女の顔が輝く。

 

「そうでしたか!あ、いきなりすみません。私、堺田天珠っていいます。初めてあなたの噂を聞いた時からあなたに興味があって、是非一度お会いしたいなって思ってたんですよ!」

 

 そこまで一気にまくしたてられる。

 

「僕の、噂?」

 

「はい!そうです!ってこんなお話してる場合じゃなかった!ということで、今から少し戦いませんか?」

 

「え?君も隊員なの?」

 

「失敬な!ちゃんと隊服着てるじゃないですか!」

 

「それよりも、戦う?僕と君が?」

 

「はい!ってことで、行きましょう、はやく!」

 

「う、うん。」

 

 

 

 いきなりの個人戦のお誘い。しかも、こんな小さい女の子から。噂がどうとか言ってたし...。

 

 

「ほら、はやく~!人見さ~ん!」

 

 向こうから手を振って呼んでいる。

 

 まぁ、ここは、ひとまず戦うか。詳しい話はそれからだな。

 

 

 そうして、僕はブースへと入ったのだった。

 

 

 

「(堺田天珠ちゃんか...。なんか、どっかで見た気するんだけど...気のせいかな。)」

 

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 はい!ということで第二話でした!いかがでしたか?

 

 設定上の話ですが、大規模侵攻の時期は、操志が中一の、冬頃です。

 

 え~、あと、新キャラ堺田天珠(さかいだてんじゅ)は、操志の一つ下です!

 

 詳しいプロフィール等は、後ほどということでご了承いただければと思います。

 

 

 感想のほう、どんなものでもいいのでお待ちしています!

 

 では、ここまで読んでいただきありがとうございました!




次回:あなたってもしかして...!!!

お楽しみに~笑
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