第三話
唐突だが、皆は"努力"という言葉は好きだろうか?
"努力"。
それは、成功のためには不可欠なものだ。
僕は、努力することは嫌いではない。
『努力は裏切らない』という言葉があるように、努力をすれば何事もいい方に運ぶと僕は思っているし、実際そうだからだ。
『努力なんて面倒だ』という人もときどき見かけるが、もったいないと思う。
努力しさえすればいいだけなのに、何をくだらないプライドを持っているのだろうか、とも思う。
すまない。毒を吐きすぎた。
今度は、違うことを聞こう。
では、あなたは"才能"にあこがれたことがあるだろうか?
"才能"。
それは、時に努力を凌駕する、恐ろしいものだ。
『才能がある。』『センスがいい。』
これらの賛辞の言葉で、すべての努力が無為に感じられることもある。
しかも、残念なことに、これはいくら頑張っても手に入れられないものでもある。
持つ者と持たざる者。
この差は、顕著にあらわれてしまう。
正直に言おう。
僕は、"才能"という言葉が嫌いだ。
その言葉で他人と比べられることが嫌いだ。
こんなことを言う僕は、一生"才能"に与ることはないだろうな、と思う。
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速い。
今僕の目の前には、一人の少女がいる。
名前は...堺田天珠。
女の子とは思えないほどの強さだ。
スコーピオンの両刀使いで、絶え間ない連続攻撃。
僕は、避けとガードに必死で防戦一方だ。
どうにかしなければ、と思い、とにかく一回大きく後退する。
しかし、彼女は僕を逃がしてはくれない。
常人とは思えないほどのスピードで突っ込んできた。
「(いや、ちょ、待てよ!こんなんどうやったら勝てるんだよ!)」
必死でガードしながら策をねる。
「(スコーピオンは耐久性が低い。弧月の一振りでいけるはずだ!相手は女の子だぞ!負けるわけにはいかないんだっ!)」
一度退く。
またも突っ込んできて、すぐさま連続攻撃。休む暇がない。
「(せめて、この攻撃が一度でも止まってくれれば...。)」
すると、驚いたことに隙ができた。
「(マジか!何で?とにかくチャンスだ!オラッ!)」
勝った。勝ったけど...何だろう、この頃感じる違和感は。
ブースから出る。さっきの戦いで、4100ポイントになった。B級隊員昇格だ。
思っていたより嬉しくないのは、さっきの戦いのせいだろうか。
周りがざわついている。それもそうだろう。明らかに不利だった方が突然勝ったのだから。
ここから出ることにしよう。家に着いてからいろいろ考えを整理したい。
「人見さんっ!」
声をかけられる。
顔を向けなくても分かる。天珠ちゃんだろう。
今は、話したくない。申し訳ないが、聞こえていないふりをさせてもらおう。
しかし、
「人見さん!個人戦楽しかったです!」
「わあっっっ!!!」
いきなり目の前に現れた天珠ちゃん。瞬間移動でもしたかのような速さだ。
「あっ、びっくりさせちゃいました?ごめんなさい、そんなつもりは...」
「大丈夫だよ。それで、何?」
名前をわざわざ呼んでいた理由を聞いてみる。
「あっ、それなんですけど、明日って何か用事ありますか?」
「明日?何もないけど、なんで?」
「それならよかった!明日の昼11時頃に、✕✕病院に来てくれませんか?」
「え!?病院?何で?」
「詳しいことは、そこでお話ししますから!では明日、来てくださいね!」
「え、ちょっと!待ってよ!」
声をかけるが、去っていってしまった。
沈黙が訪れる。
明日?病院?どういうことだろうか?
考えてもらちが明かない。もう、明日行ってみるしかなさそうだ。
「帰るか。」
そして、僕は帰路に着いた。
翌日、11時10分。
僕は、言われたとおり、✕✕病院にいた。
今は、検査を受けているところだ。
まだ天珠ちゃんには会っていないのだが、本当に何のために僕はここに来させられたのだろうか?
と考えている半面、実はなんとなく理由を察している自分もいたのだった。
検査が終わると、一旦解放された。
部屋を出ると、そこには天珠ちゃんが。
「こんにちは。人見さん。検査、どうでした?」
「検査は受けたけど...。ねえ、これって何の検査だったの?」
「まあ、直に分かりますから。そんなに気にしなくていいじゃないですか。」
「う~ん...。先に教えてもらってた方が気が楽なんだけど...。」
と、こんな話をしている間に、僕の名前が呼ばれる。どうやら検査結果が出たようだ。
「あの、今回の検査って、どういうことを調べるものだったんですか?」
先生と向き合い、一番気になっていたことを尋ねた。
「まあ、驚かないで聞いてほしいんだけどね。君、"個性"って知っているかな?」
「"個性"?なんですか、それ?」
唐突に知らない言葉が出てきて戸惑う。
「一種の特殊能力みたいなものなんだけどね。君は、その"個性"を所持しているようなんだ。」
は?
「"個性"は、この国にはまだ所持者が少なくて、詳しいことは分かってないんだけど...。」
おい、さっきから何を言ってるんだよ。わけ分かんねえよ。
「君、◎◎町に住んでいたことはあるかな?"個性"の所持者はそこでよく見つかっているらしいんだけど...。」
そこから先は、何を言われたのかほとんど覚えていない。
唯一耳に入ってきた言葉は、
『洗脳』と、『効果時間3分』だけだった。
衝撃を受けたまま、部屋を出た僕は、部屋の前で僕を待っていた天珠ちゃんを見た瞬間。
走って病院から飛び出した。
「人見さん!逃げないでください!」
後ろから天珠ちゃんが追いかけてくる。
『逃げるな』というのは、"個性"と向き合えという意味もあるのだろうか。
確かに、今の僕は、ついさっき知った事実から逃げている。
しかし、普通に考えて、逃げないで向き合うなんてできるはずがない。
「何でだ!逃げて何が悪い!初めて知ったんだぞ!こうなるのが当然だろ!」
必死で理屈を並べている自分。客観的に見て非常にダサいだろうと思いながらも、僕は続ける。
「大体、なんでいきなりこんなこと教えられなきゃいけないんだよ!」
と、僕の右側を風が吹き抜けていった、と思うと、そこには、
「そんなの決まってるじゃないですか!私と同じような人がいたことが嬉しかったんです!」
「っっ!!」
「人見さんは何も言ってきませんけど、"個性"持ちだったんでしょ?」
優しく聞いてくる天珠ちゃん。その瞬間、僕は救われた気がした。
「私の"個性"は、"ダッシュ"っていって、簡単に言うと、速く走れる能力です。」
今、僕と天珠ちゃんは、喫茶店で二人で話をしている。
「そうか。だからあんなに速く...。」
「人見さんは?どういう能力なんですか?」
「ごめん。説明のときにさ、ボーっとしててあまり聞いてなかったんだよね...。」
「大体の推測はついてるんじゃないですか?」
「お見通しなんだね。・・おそらく、アイコンタクトで洗脳に近いことができる、んだと思う。」
そうであれば、学校でのことや個人戦での違和感にも説明がつく。
「天珠ちゃんは、どうして僕が"個性"持ちだと思ったの?」
「C級の間で、少し噂になってたんですよ。サイドエフェクト持ちじゃないのに、とっても強い人がいるって。」
まあ、ある程度予想通りだ。
「しかも、対戦相手がどういう展開だったかあまり覚えてないなんて言うもんだから、これは明らかに"個性"が絡んでるんじゃないか、って思ったんです。」
なるほど、周りがざわついてたのはそういう理由だったのか。
戦闘中の記憶がなくなるなんて、そんなの恐怖感を感じるにきまってる。
「でも、確実な情報が欲しかったので、直接対決して、確かめさせてもらったんですよ。」
「それで確信を得て、検査を?」
「まあ、そういう流れですね。少し無理強いしちゃって、すみませんでした。」
「大丈夫。もういいって。」
謝られると、こっちが申し訳ない気持ちになる。
ちょっと気になったことを聞いてみる。
「あのさ、ボーダーには他にも"個性"持ちっているの?」
「私が知る限りでは、この二人ですよ。」
そういって、僕と自身を指さす。
そっか、二人だけか...。
「天珠ちゃんが"個性"持ちって知ってる人は?」
「う~ん...誰にも教えてないですからね...。なんとなく察してる人もいるかもしれませんし。」
「そっか。」
そこからは、僕の質問に天珠ちゃんがいろいろ答えてくれた。
そうこうしているうちに時間も経ち、僕たちは帰ることに。
「う~ん。"個性"か。これからどうやっていこうかな...。」
御手洗いに行った天珠ちゃんを待つ僕は、一人考える。
考え事をしていたため、前からくる人影に気が付かなかった。
ゴッツンン
頭と頭がぶつかる。
「「痛!!」」
目が合う。相手は、女の子だった。
「ごめん!!こっちが見てなかったばかりに!!」
すぐさま謝る。何も言われないので顔を上げると、女の子は驚きの表情で僕を見ている。
女の子が口を開いた。
「ソウ、くん...?」
ん?ソウくん?誰のこと?ひょっとして僕のこと?
過去の記憶を探る。探っていると、
「人見さ~ん。お待たせしました~。って、あれ、ナギちゃん?」
女の子に声をかける天珠ちゃん。
ナギちゃん?どっかで聞いたような...
「もしかして、天ちゃん?久しぶり~!」
天ちゃん?またも聞き覚えのあるワードだ。
次の瞬間、
思い出した!
「あーっ!!もしかして、―――。」
はい!!
というわけで、第三話終わりました!!
"個性"のいい感じの名前が思いつかないんですけど、どうしましょう?w
次の第四話で、一応序章完結となります!
感想を書いてくださると、大変うれしいです!!
P.S.原作キャラの出しどころに困ってます笑