救世ノラヴドール~俺とセクサロイドの気ままな旅~   作:こもれび

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第四話 道路はきちんと右側を歩きましょう

「なんかめっちゃ好青年でしたね! しかもイケメンでしたし、本当に世の中まちがってやすね、ご主人!」

 

「てめえ、何を人の面見て鼻で笑いながら言ってやがんだよ。自分で言うのは良いけど、人に言われんのはマジでむかつくんだよ」

 

「まあまあ、そんなに怒んないでくださいよぅ。ワッチは断然ご主人の方が好きっすから! ね! ね!」

 

「私も紋次郎の方がいいな。ううん、紋次郎じゃなきゃ嫌だよ」

 

「お、お前ら急にくっつくな! やめろよ、手のひら返すんじゃねえよ、離れろ!!」

 

 ニムとヴィエッタが俺お両サイドから組み付いてきて、ぎゅうっと潰されてる感覚になっちまった。

 それを道行く柄の悪い連中に睨まれているわけなんだが、単純に俺が力負けしているだけであって、別にお前らに見せつけてるわけでもなんでもないわけでだな!

 

「っざっけんなてめえら! 両サイドから圧し掛かってくるんじゃねえと言ってんだよ!」

 

「もう、ご主人ってば恥ずかしがり屋さん! 遠慮しなくていいんすよぅ。うふ」

 

「あ、服がゴワゴワしてた? やっぱり裸の方が良いよね? 紋次郎?」

 

「んなわけあるかーーーー! いい加減にしやがれ! 『鎧化(ド・アームド)』!」

 

「きゃっ!」「わっ!」

 

 あまりにうざかったので、俺は脳内で魔法陣のギアを一気に加速! 鈍色の金属チックな厚めの全身鎧を顕現させて密着していた二人を鎧で引き剥がした。

 まあ、ちょうどヴィエッタのおっぱいがめちゃくちゃ触れてたからな。ノルヴァニアのマナを吸収し放題だったってことはあるが、魔法を使うたびに、あのオナマス女神が感じまくってるかと思うと何か釈然としないものがあるのだが……うーむ。

 鎧の出現の勢いで弾かれた二人はそれぞれ左右に弾き飛ばされて通りの両側に今移動したわけなのだが、まったくいい加減にしろよなと嘆息していたそこに、突然それがやってきた。

 

「どけどけどけっ!!」

 

「ん?」

 

 鎧の兜越しに何かの声が聞こえたかと思いそっちへ顔を向けてみれば、そこにあったのは2頭の恐竜の顔!!

 いや、本当に理解が追い付いていなかったが、要はあれは『竜車』とかいう所謂馬車の竜版なんだろう、しかし、馬車とは違いエラク大きくて御者も全部で3人もいて並んで座ってやがったし。

 おいおいおい、これは戦車か装甲車か!?

 いや、どけと言われても、こんなデカい乗り物だし、道幅ギリギリな竜車が迫っているんだ、どけるわけがない。っていうか、こんな狭い道を暴走しているこいつらの方が悪いに決まってる。

 

 なら多少壊しても問題ねえよな。

 

 俺は思考をすぐに纏め、自分の体内でまだ回っている土のマナの残滓に集中した。

 今の一瞬で弾き飛ばしたせいで、マナ供給元のヴィエッタのおっぱいは離れてしまった。

 とはいえ、彼女の恩恵の主でもあるノルヴァニアのマナはただでなくとも膨大だ。毎回その多すぎるマナのカスが俺の体内に多少残り続けることを俺はもう知っていた。

 となれば、今はその残りカスを使うことだってできる。

 俺は今まで歩いてきたこの通りの全容をもう一度脳内に描いて、どこに人がいて、どこにどんな建物があったのか、その辺りのことを俯瞰してみた。

 そういえば、すぐ後方左側に池があった。

 なら、やることは一つだけだな。

 

 この間、ほぼ0秒。

 

 俺は手を突き出す動作さえも省略して、マナの残滓をかき集めつつ魔法を完成させた。

 

「『土壁(ド・ウォール)』‼」

 

 使いすぎてもう何一つ不安のないこの魔法。超省エネの上、効果抜群なのだから使うに決まっている。俺は目の前の地面をせり上がらせた。

 それも微妙に角度をつけつつ、高速でせまるその竜車の竜が()()()()()易い様に、なだらかででもしっかりした斜面状に。

 その俺の作ったスロープを竜は何の違和感も覚えないのか、素直に踏み込んで駆け上がり、そして……

 俺は若干だが、向かって右側の方のスロープを高くしておいたわけだが、婉曲させておいたことで勢いのついた竜はそのまま勢いに押されるように宙へと飛び上がる。当然だが、牽引されている車体も飛び上がるわけで、大きく左に傾きながら竜車は俺達の頭上を通り抜け、そして左後方の池へと墜落した。

 どっぱあああああああんと、水に何かが衝突する音がした直後に大量の水がまるで噴水の如き勢いで辺りに飛び散り始め、辺りはまるで驟雨にでも見舞われたかの様。

 

 俺はすぐさま自分の纏っていた鎧を消失させ振り返った。

 

 そこには完全に正面部分から池へと墜落して大破した、通常の馬車の3倍くらいはありそうな巨大な車両と、驚いた様子で水の中でバシャバシャと暴れる二頭の竜? というより、やっぱり巨大なトカゲなのか? がそこに居た。

 

「ふう、なんなんだよ、いったい」

 

 いきなりの展開にマジでふざんけなといきり立ちそうになったそこへ、またもや両脇から4つのおっぱいでぎゅうぎゅうに挟み込まれた。ぐえっ!

 

「もうご主人ってば本当に最高っすよー!」「紋次郎好き! 大好き!」

 

「なんなんだ! だから離れろって……」

 

「ご主人ワッチたちを助けてくれたんすよね! すごいっす! 惚れるっす! 濡れまくりっすよー! 実際全身びしょ濡れですけど」

 

「紋次郎はやっぱり私の王子様だよ。紋次郎、好き、好き好きー!」

 

「ふあっ!? ちょ、ちょっと待て、てめえら!? なんでそうなんだよ、俺は事故に遭いたくねえから避けただけであってだな」

 

「もう、そんなに恥ずかしがらなくてもいいじゃないっすか! ご主人がワッチたちのこと大事に思ってくれてるのが本当に嬉しいっす! もう今日は絶対に離れませんからね!」

 

「今日は私も絶対離れないから! トイレもお風呂も御布団も一緒だからね! 紋次郎好きー!!」

 

「いや、待て、なんでそうなるんだよ!!」

 

 理不尽である。

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