救世ノラヴドール~俺とセクサロイドの気ままな旅~   作:こもれび

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第六話 疲れマ〇?

「ニムちゃん、あれ本当に投げちゃったのかなぁ?」

 

「多分な……あいつ、注目されると浮かれちまうとこあるからな。ひょっとしたら、投げた上に、マジックショーでも始めてやがるかもな」

 

「そ、そうなんだ」

 

 ニムのマジックショーはここに来るまでの旅の道中でも何度か披露されている。正直あまりにもクオリティーが高すぎて、本当の魔法だとシシンやゴンゴウは信じていたくらいで、ヴィエッタも拍手喝采していたな。

 だが、ま、あんな状況でそれをやるとか普通は思わないから、このヴィエッタの困惑した反応も別におかしくはないわけだ。

 路地を駆けつつ、ヴィエッタとそんな話をしていたが、追手がついた様子もないことで少し気持ちに余裕も出来ていた。で、このままどこへ行こうかと思案していたわけだが、その時、急にヴィエッタの足が止まった。

 

「おい、どうした?」

 

「紋次郎、この子……」

 

 言われて見てみれば、さっきまでヴィエッタに引かれながら必死に駆けていたあの帽子の子が、ぐったりした様子で動けなくなっていた。俺はすぐに気を失っているその子の身体に触れてみるも、全身激しく痙攣しているうえに、呼吸が激しいままにチアノーゼ(紫変色)を起こしていた。

 気になって、先ほどこん棒で殴られたあたりに触れてみれば、本来肋骨があるあたりがふにゃっとへこみ、感じからして折れた肋骨が肺にでも刺さっているような感じに思えた。

 

「これはやばいな。多分肺がつぶれてやがる。こんな状態で良くここまで走ってきたよ。おいヴィエッタ? この辺に水か光の精霊はいねえか?」

 

 そう尋ねてみたのだが、彼女は辺りを見回した後で、その首をふるふると横に振った。

 

「ここにはいないよ。というか、この王都にきてから、ほとんど精霊を見かけていないの。どうする? 探す?」

 

 そう言われ、俺も少し考える。

 精霊探知機のヴィエッタが居れば、頑張れば探し出すことも可能だとは思うが、あてもないままに子供3人つれて探し歩くのはあまり良い手段とは思えない。

 

「いや、ここは一度宿に戻ろう。宿なら、マコもシオンもいるからな、あいつらにくっついてる精霊の力を拝借しよう」

 

「ニムちゃんはどうするの? 先に帰って大丈夫かな?」

 

 そんなことを言うヴィエッタに、俺は手を横に振ってから答えた。

 

「あいつは大丈夫だよ。それこそあいつなら俺とヴィエッタがどこに居ても簡単に探し出せるからな。放っておいても勝手に帰ってくるよ」

 

「うん、わかった」

 

 そう返事したヴィエッタが慎重にその帽子の子を抱きかかえた。

 小さいとはいえ、けが人一人分、かなり重いだろうにと思いかけて、そういやこいつの方が俺より断然力のアビリティ高いんだった! とそれを思い出して、なんで俺がふたりも担いでんだよ!! となにやら釈然としない思いになってしまった。

 もやっとしたままではあったが、俺たちは急いで宿へと向かった。

 

 

   ×   ×   ×

 

 

「「「おっかえりなっさーい! お兄様ぁ!!」」」

 

「う、うおっ!? な、なんだてめえらその恰好は!!」

 

 宿に帰り、宛がわれた部屋へと入ってみれば、そこに拡がっていたのは、ピンクピンクピンクなピンク色な世界!!

 カーテンが閉められたその室内には、色付きガラスの行灯が3つ置かれ、そこから漏れる灯りによって室内は桃色に染まっていた。

 そして、部屋の中央に置かれた香炉からは、なにかの香木が焚かれ煙が充満し、嗅いだだけで気持ちよくなってくるような錯覚に陥った。

 と、そんな空間に立つ、シースルーのネグリジェのみを羽織ったオーユゥーンとシオンとマコの三人の姿。

 三人は身をくねらせつつ、妖しく淫靡な眼差しを向けつつ俺へと迫ってきて……って!!

 

「ええい! お前ら、ふざけんのもいい加減にしろよ! ええい!!」

 

「な、なにをなさいますの!? お兄様!!」

 

 大急ぎで窓辺に向かってカーテンをシャッと前回にして、窓を大きく開け放ってその室内に漂っている幻惑されそうなもくもくした煙を外へと排出した。

 そして、近くに置いてあったシーツを適当に掴み上げてから、オーユゥーン達へとそれぞれ投げて渡した。

 

「何をじゃねえよ。それを言いたいのはこっちだよ。何をしようとしてたんだよ、お前らは!」

 

 そう言ってみれば三人は顔を見合わせてから、さも当然といった感じで、

 

「いえ、ここ数日旅でお疲れになられておりましたから、ここは是非お兄様を癒してさしあげようということになりまして」

「そうだよお兄さん! ほら、疲れてるときって、疲れマ〇で、一度勃〇するとちょっとやそっとじゃふにゃっとならないでしょ? だからここはいっそこっちも本気出してお兄さんを最高に気持ちよくしてあげようかなって!!」

「だからね、くそお兄ちゃんは寝むっててもいいの。疲れたらイイコイイコしてあげるし、その間ずっと入れ替わり立ち代わりでみんなでズポズポしてあげることにしたから!!」

 

 と、そんなことをシーツを巻きつつ宣う3人。ズポズポとか言うな!!

 で、ちらりと背後を振り返ってみたら、そそくさと服を脱ぎ始めていたヴィエッタの姿。おいおい何をお前も混ざろうとしてんだよ!

 

「っざっけんなよてめえら。ふざけてんじゃねえよ! っていうか、なんでこの一部屋しかねえんだよ? 男もいるんだから男部屋も確保しろよ!」

 

 そんな当たり前のことを言ったら、え? なんで? みたいな顔をされて、マジで切れそうだったんだが……

 

「お前らな……とりあえず、いいから、ちょっと力を貸してくれ」

 

 言って、宿の一階のソファーにとりあえず寝かせておいた例の3人の男の子たちをオーユゥーン達に手伝ってもらって部屋へと運んだ。

 その途中でマコに、『え? くそお兄ちゃんってそっち系だったの!? ショック!!』とか言われたんだが、はっきり言って名誉棄損甚だしすぎるからな。マジでくそムカついた。

 だが、まあそんなことを言ってる場合ではないな。

 俺が抱えていた二人は大したケガはしてないが、例の帽子の子はこのままだと命の危険もある。

 俺はとにかく急いでマコを呼び、そして案の定で胸にいる精霊を鷲掴みにして、わざとあんあん言っているマコを無視して魔法を使用した。

 

「『上位治癒(ミ・ハイヒール)』」

 

 帽子の子を青白い光に包まれると、荒かった息遣いは次第と収まりを見せ、そして苦悶に歪んでいたその表情も穏やかなモノへと変わっていった。

 とりあえず、魔法での治療は間に合ったようだ。

 

「はあ、でもまだ意識は戻らねえか。しかたねえ、ここで休ませるしかねえか。なあ、オーユゥーン? もう一部屋俺用に男部屋は借りられねえのかよ?」

 

「それが、今日はあいにく満室とのことでございまして、空いてはいないようですの」

 

 つまりもともと借りられなかったということか。

 ここ確か結構高めの高級宿だったはずだが……

 まあ、街があんな状態で治安も良くねえときてるしな、多少高くてもいいホテルにみんな集まるということか……

 

「はあ……しかたねえか。じゃあ、少しここで休ませるぞ」

 

 俺はそう言って、隅の方の大きめのベッドに三人を寝かせた。

 よく見ればまだまだ本当に幼い少年たちだった。だが、正直全員相当に服が薄汚れてしまっていた。いくらシーツがあるとは言ったって、このまま寝かせたままだとマットも毛布も汚れてしまいそうだ。

 そう思ったので、とりあえず、3人の服を適当に脱がせていたら……

 

「はぅあっ!! お、お兄さん!? や、やっぱり襲っちゃうんじゃない!! ♂×♂……しかもショタなんてもう最高……じゃなくて、不潔だよー!!」

 

 と、真っ赤になってニヤニヤしてはぁはぁしているシオンがそこにいた。

 というか、自分で性癖晒しちゃうの本当にもうやめろよな、お前ら。

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