~ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ~『若きウェルテルの悩み』より
私にとって立花洋介・・・洋介は気になる男の子、なのかな~?
初めて会ったのはママの友達の・・・えっと・・・洋介のお母さん!・・・に会った時。
その時に会ったときからそうだったけど、洋介は不思議な子だった。
何がっていうのはちょっと説明できないんだけど・・・何考えてるのかよくわからないって言えばいいのかな?
だって会った時は驚かないのに、自己紹介したらものすごくびっくりしていたから・・・私は背がちっちゃくて、女の子みたいにかわいい子だな、くらいにしか思わなかったのに。
冴子ちゃんも自己紹介をしたら驚かれたらしくて、だからこの前二人で失礼よね、って話をしていっぱい文句を言っちゃった。
あ、冴子ちゃんは洋介の友達で、今は私の大親友よ。とっても綺麗で・・・冴子ちゃんには言わないけど、ちょっとお姉ちゃんみたい。
内緒だけど、最初は洋介も背はちっちゃいのにお兄ちゃんが出来たみたいでその・・・甘えちゃいそうになった。
でも洋介のお母さんが洋介のほうが年下だって教えてくれてからはそんなことない!
私のほうがお姉さんだってママも言ってたし、面倒見てあげてねって洋介のお母さんにも私が頼まれたの!
・・・勉強は教えてもらってるけど、私のほうがお姉さんなんだから・・・面倒見てあげれるのよ・・・。
と、とにかく、会った時から洋介は変だったの!
変なこだわりみたいのをいっつも口にしている。
なんかほかの男の子と違って、変なものを拾ったり集めたりしないし、いつも清潔にしてる。かと思えば変なものを拾って来たり、食べたりしているのよね。
ドクダミとかヨモギとか洋介は言ってたけど、他にもよくわかんない草とかその辺に生えてるもの食べるんだよね・・・アリとか・・・。
少しくらい体に悪いものとか汚いものも食べないと、体に悪いからねって言うんだけど・・・体に悪いもの食べないと体に悪いの?変なの・・・。
一緒聞いてたママはとっても微妙な顔をしてた。
あとはそうね~・・・最近学校中の男子たちの間でムシのアニメが流行ったんだけど、カタツムリやバッタなんかを虫かごに気持ち悪くなるくらいいっぱい集めてる時も、洋介はカブトムシとかクワガタをちょこっと集めるだけだった。
男子は、みんな嫌がってるのに女の子に持たせようとしたり、机の上にムシがいっぱい入った虫かごを置いたりする。男子同士では何かの自慢らしいんだけど・・・何が女は弱っちいよ!あんなの気持ち悪いに決まってるじゃない!
私だって洋介と一緒に森でムシ捕まえたりしたから、ムシはそんなに苦手じゃない。けど、クモとかカタツムリを10匹も20匹も、30匹もちっちゃい虫かごに詰め込んだら気持ち悪いに決まってるじゃない!足もぽろぽろ取れるし・・・うう~~!!!
ちなみに冴子ちゃんはカタツムリは平気なんだけど、ナメクジは無理なんだって。殻しか違いが無いと思うんだけど・・・。
とにかく、男子はそういう気持ちの悪いことが好きだし、何かあるとすぐにブスとかうるさいとか言って怒鳴ってくる。私と冴子ちゃんも四年生の男子のリーダーみたいな子が、ブスって怒鳴ってくる。
気にしないふりをしてるけど、すごくいやになる。なんでそんな風に言うんだろ、洋介は絶対に言わないのに!
冴子ちゃんのとこも、私のクラスも二年生まではそんなでもなかったはずなんだけど、三年生夏休みくらいから、なんだか男子と女子が一緒に遊ばなくなってきて、四年生の今は喧嘩ばかりしてる。なんであんなにでりかしー?・・・が無いんだろう!
たまに話をする、洋介のクラスの女の子に聞いたら、洋介のクラスもなんかそんな感じだって言ってた。
でも洋介だけは、そういうところが無いんだって。
洋介はちっちゃいから整列順が前の方らしいんだけど、列の後ろの方の体の大きい子にもきちんと注意出来る子だって言ってた。
なんでもカタツムリを女の子に押し付けて泣かしちゃった男子がいたらしいんだけど、洋介ちゃんが一番体のおっきい男子の肩を叩いて、首を横に振ったら、その子が泣かした男子と一緒に「悪かったな・・・」て謝ったらしい。
うちのクラスでは男子は何があっても謝らない。なんか、女子になんか謝れるかよ!、ってよくわかんない意地張って先生にもあんまり謝ろうとしない。
お姉ちゃんとしては謝らせた事はよくやった!と思うけど、ちょっと不満だわ。
話を聞いてると、その男子たち全然謝ってる気がしてこないもの、洋介がぶん殴ってやればよかったのに!
でもちょっと気になって、洋介にどうやったのか聞いたら、宿題手伝ったとかゲームとかの話を少ししただけだって・・・。
あ、そうそう「自分の持ってるものを、売りたい相手の一番困ってる時に叩きつけてるだけだよ」ってちょっとドキッとするような笑顔で言ってた。
ドキドキが治まってからちょっと考えたけど、私もちょっとやりたくない事でも、勉強とかいろいろ助けてもらってる洋介に、頼まれると断れない・・・。
パパにそのことを言ったら「こっすい奴だな・・・麗、付き合いを考えないか?」と言ってママに睨まれてた。
でも洋介って手伝うと、こっちが、嬉しくなっちゃうくらい嬉しがるから、あんまり面倒に感じないのよね。
冴子ちゃんもおんなじこと言ってけど、ほかの子が手伝ってもちょっとはにかむくらいしかしていないのが、なんだか最近嬉しく感じる。
それに洋介はなんだかほっておけないんだよね。
なんでも自分でできそうで、実際けっこうできちゃってるみたいなんだけど・・・意外と痛いのが苦手だったり、強い匂いが苦手で、香水のきついのを匂いだりすると酔っちゃったり。
勉強は出来るけど、周りの子が盛り上がってる時でも話についていけなくて、戸惑ってることがある。
あからさまにではないけれど、ふと気が付くと洋介はそんな顔をしてる。
そういう時にしてる、あんまり気にしてなさそうだけど、ふてくされたような、寂しそうな、そんな顔を見ると・・・なんか言葉にできない・・・たまらない気持ちになる。
とにかく洋介はそんな感じで、他の男の子とは全然違う。
洋介が一年生の時からずっと一緒に遊んでるけど、いっぱいいろんなことを知ってて、変なことをいっぱいやってて、あんまり怒らないし、クラスの男子みたいに叩いてこないし・・・とにかく一緒にいて楽しいし、落ち着くんだよね・・・。
私にとって立花洋介は弟親友みたいな、見てないとちょっと危なっかしいところのある、弟みたいな。
そんな奴だ。
更衣室で着替えて冴子ちゃんと体育場に着くと、パパが槍を持って武道場とは反対側の運動場を、腕を組んで見ていた。
この総合体育館は四つの建物に分かれていて、この体育場は畳敷きの部分とそのほかボールを使わない、床競技などのためのマット敷き場所に分かれてるんだけど、洋介が今日使ってる方を見てるみたい。
そっちのほうを見てみると、洋介が2メートルほどの固いウレタンを吹き付けた壁をウォールパスで飛び越えたところだった。
洋介は飛び越えた勢いに、さらに加速しながら飛び、半ひねりし次に設定してある壁で
そのままの勢いで次の背丈ほどの障害物を、最初に飛び越した壁を壁蹴りして高さを確保して、ハンドスプリングしながら飛び越して行った。
「・・・相変わらずすごいね、あれは・・・」
しばらく三人で茫然していると、冴子ちゃんがそうコメントした・・・。
「・・・サルだってもっと人間らしく動く」
半分呆れたようにパパがそう呟くのが聞こえた。たぶん思わず言ってしまったんだと思う。
でもごめん洋介、パパの言葉に否定できないわ・・・。
洋介が言うには、あれはパルクールというフランス発祥の『障害物競争の一種』なんだとか・・・今度は抱え飛び込みの最後で蹴りながら、前に一回転して次の障害物の上に乗ってしまった。やっぱり・・・。
「「あれを障害物競走というのは無理がある(ね・な)」」
・・・。
「・・・私は何も言ってないわよ」
「顔に書いてぞ、麗」
「顔に書いてあるよ、麗ちゃん」
やっぱり飛んだり跳ねたりだ!
BGM
~Lillix
What I like about you
~Melanie Martinez(Cover)
Toxic
~Demi Lovato
LaLa Land
~Lea Michele Sarfati(Cover)
Gives you hell
~Pink
So what
~Pentatonix
Daft punk
というわけで『障害物競走』の正体はパルクールでしたwなおフランス語のパルクールを使ってますが、トリック名はフランス語調べんのめんどいのでフリーランニングで勘弁してください、無理です<(_ _)>
アサシン先生のおかげで有名になったパルクールですが、フランス軍やイギリス軍も既に取り入れていますね。ちなみに僕は『B13-U』という映画で知りました。ドラマの『チャック』では冒頭で冒頭まるパクリでしたねwミラーズエッジは酔う。
英国海兵隊の広報の動画で、ストリートファッションの若者に軍服が指導されている姿は、なんともシュールでしたw
スペツナズなんかはすごいですよね!完全に都市不正規戦闘なんかを念頭に入れてやがりますよ、あいつら・・・。
日本も都市部と山しかないんだから警察とか自衛隊で取り入れればいいのに・・・。
今回は執筆にあたり、女の子した曲(!?)ばっかり聞いてました。いつもみたいにFFDPとかマキホルとか聞きながら女の子視点は無理がありますからねw
・・・しかしこの曲選、完全に歳バレるなw
あと作中で言及している「アリ」ですが、私はクンビクンビを食って育ちました。ぶっちゃけ幼いころから汚いものを摂取したことのある(一部化学物質を除く)やつはほんと体強いです。
後なんかあったかな・・・?まあいいか。
Pentatonixは特におすすめです。ホムペでアルバム聞けるので、ぜひ聞いてみてください、気に入ったらぜひ買ってあげてください!(ステマ)