立花くんのゾンビな日々   作:昼寝猫・

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 会話って難しいです。逆に地の文で説明を延々と続けるのは楽なんですけどね~

 というわけで本作のヒロインの一人の登場です。


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 五歳になった。あと一年ほど沖縄にいて、それから小学校を本土の学校に行く予定だ。

 

 アメリカにでも行って銃を撃ちたいが、中学生になってからでも問題ないと思われるので、まだ行く気はない。むしろ中学生以下で銃を撃つ方が、問題な気がするしな。

 

 

 で、今何をしているかというと、来年から通う予定の小学校を見がてら床主市に帰ってきている。

 

 

 いくらコネがあろうと、流石にミックマップ(marine corps martial art program)なんていうまだ出来てもいないものを習う事は出来なかった。まあそれは最初からできないだろうな~、とは思っていたので、次善とばかりに沖縄の伝統武術を少しばかり齧ってみる。

 

 なんとなく興味ある!という雰囲気を出したら、情操教育の一環とでも考えたのだろう、両親はすぐに許可をくれた。

 

 

 さすがに、俺の求めていたような実践的な~というものとはなんか違う気がしたが、前世では短槍やら鉈みたいな武器使う武術なんて習ったこともなかったからこれはこれで面白い。

 

 それによくよく考えてみれば、幼年の部でそんな危険なものを教えてくれるわけない。四、五才なんて体を動かしてるだけで楽しい時期だし、スパルタになってもやめる子供しかいないだろうしな。そう考えれば、俺にはうれしくないが妥当なのだろう、現に対戦なんかはやってないし受け身とかばかりやらされる。

 

 その重要性はわかるから受け身に手は抜かないが、正直真面目にやってるのなんて俺くらいだろう。受け身なんて地味なものより、ウレタンで出来た槍の方が子供たちの人気を集めているし実際面白い。

 

 

 そうそう、両親といえば驚愕の事実が発覚した。実は、あの若い奥さん・・・旦那より年上だった・・・。

 

 

 母親は中流家庭の出身で、父親は金持ちの出身。大学受験中だった父親の家庭教師として雇われたのが一流大学生だった母の洋子で、教えているうちに線の細いイケメンだった父親の事がかわいくなって、勢い余って高校三年生にあがったばっかりの父を食べてしまったんだとか。犯罪ですよ奥さん!

 

 

 ちなみにこの話・・・のろけるように母親本人にされた話だ。

 

 ・・・・・・子供にそんな話すんなよ!!色々話の内容生々しすぎて、どう反応していいかわかんねーだろうが!

 

 

 まあ話を聞いていくと、まず親父なんだが・・・大学二年の時に出来婚、でそのことが親にバレて大ゲンカ(まず大学卒業までどうやって隠し通したんだよと突っ込みたい)。実家と絶縁した上で、大学時代の友人と会社を立ち上げて、大儲けしたらしい。

 

 母親は両親を早くに亡くしていて、親父と結婚してから面倒を見てくれていた祖父母もなくしたらしい。その辺も、親父の親が気に入らなかった原因の一つのようだ。初めは一人で育てる決意をしていたらしいのだが、親父がなんだかんだ強引に引き留め、最後はベッド交渉で母親を説得。その後、余韻冷めやらぬ母親にサインをさせて市役所に速攻提出したのだとか。

 

 

 ・・・良い話じゃんか。

 

 

 というか、親父イケメンすぎるだろ。お願いで貰ったとかどうとか思って距離を置こうと思っていたんだが、こんな良い人たちを嫌いになれるわけがない。

 

 

 今考えるとそれを含めて「都合が良い」のかもしれないが、二年近く付き合ううちに完全に親子になってしまった・・・。精神は体に依存するというが、まさにその通りで、この体になってからやたら涙もろいし味覚もお子様。

 

 知識やらなにやらは劣化するということはなかったが(むしろ記憶力なんかは良くなっている・・・?)、やたらと衝動的な感情に振り回されるようになってしまった。

 

 この前も、こけた拍子に持っていたアイスを落としてしまい大泣きをしてしまいエライ恥をかいてしまった・・・。すこし大人びたところがあるので、むしろ両親には喜ばれてしまったが俺はうれしくねえ!!

 

 まあ何が言いたいかというと、さっきも言ったが・・・俺はこの新しい両親が、すこぶるい気に入ってしまったようだ・・・。

 

 

 

 床主国際洋上空港につくと、体格のがっしりとした男と俺くらいの歳の白いワンピースを着た女の子が待っていた。

 

 

 

「おひさしぶりです!健吾さん!」

 

「やあ、立花くん!ひさしぶりだね。元気そうで何よりだ!」

 

 

 

 親父が剣道を習っていた人物らしい。健吾というその男の人と両親は、とても親しそうに話をしだした。

 

 親父はあまり剣の方は強くなかったようだが、まっすぐな性根が気に入られたようで、実家に勘当された後も親しい付き合いをしていたらしい。

 

 そのお師匠さんの温かい歓迎を受けながら話を聞いていると、この後健吾さんの車に乗ってここから移動して、いったん健吾さんの家まで行くことになっているようだ。

 

 そのことを両親と話し終ると、健吾さんは俺に

 

 

 

「少し大人同士で話があるからさえ、この子と話してをしていてもらえるかな?」

 

 

 

 と言った。

 

 別段こちらに否は無いのでとりあえず「うん、おじちゃん!」、と答えて女の子に話しかけてみた。

 

 女の子は、白いワンピースに、水色の靴下と、黄色い靴を履いていた。長くきれいな黒い髪をストレートに伸ばしていて、それが白色のワンピースと綺麗なコントラストを作っている。どことなく凛とした顔は、将来美人になることを約束しているが、いまはまだあどけない可愛らしさが残る美少女だった。

 

 

 

「はじめまして、僕は立花洋介です。君は?」

 

「・・・・・・!」

 

「こら、さえ!」

 

「あはは、洋介ちゃんにげられちゃったわね~」

 

 

 

 どうやら、恥ずかしがられてしまったようだ。

 

 これくらいの歳だと、初めて会った異性の子に気恥ずかしさを覚えやすい気がするのは俺だけだろうか?若返ってみて久しぶりに、意味もなく顔見知りするという感情を思い出し、面白ささえ感じているが・・・かわいい女の子に話しかけるのは正直、俺も少し恥ずかしい。

 

 かといって、それでコミュニケーションをないがしろにするほど、人生経験短くないので我慢して話しかけたんだが・・・さえ、と呼ばれた少女は父親の健吾さんの後ろに隠れて出てこない。

 

 何度か健吾さんが促すように呼びかけると、しぶしぶとこちらを見て

 

 

 

「・・・さえこ・・・です」

 

 

 

 と、一言だけ言うと顔を赤くしてまた隠れてしまった。

 

 

 

 

 

 

 これが、俺が後々長いこと付き合うことになる女性の一人、「毒島冴子」との出会いだった。

 




 冴子さんにもこんな時代があったんや!と思うとギャップ萌がすさまじいことになりません?異論は認めるがこんな冴子さんがいてもいいじゃない!だって幼女だもの
      ひるね


ミックマップ(MCMAP)
 米国海兵隊の統一格闘技。本土、在韓、在フィリピンや在日の米軍がそれぞれの国の格闘技に精通していてややこしい!というわけでそれぞれの格闘技をロシアのコマンドサンボよろしく混ぜた物。ロシアの軍隊格闘技は基礎、打撃系、関節系、システマと四段階くらいに分けているが、米軍の場合は基礎、格闘資格、特殊作戦従事資格と資格ごとにヤバい技を教えていく模様。 ちなみに基礎は海兵隊のホームページで無料配布している。

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