哿と婚約者   作:ホーラ

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感想たくさんもらえたのが嬉しくて、頑張って急いで書いちゃいました(銀華よりちょろい)


第17話:白銀の雪華

入学式から2日後の夕方。俺は学園島のフチにあり、東京湾を見渡せる広い広場に来ていた。学園島は構造上、人工浮島のフチまで行くとそこは絶壁となっており、下は東京湾だ。場所が場所だけにこんなところに来る人はほとんどいない。

なぜ俺がこんなところに来てるかって?俺の苦肉の策だ。

というのも、先日の事……

 

「けっ…決闘ですッ!決闘なら事故死もありえるッ!抑抑(そもそも)遠山家の安寧を確保し、もって日の本の平和に寄与するためこの決闘、(まこと)に已むを得ざるものあり!」

 

入学早々、銀華に、開戦の(みことのり)を叫んだ白雪はその後--

銀華に鬼の形相で切りかかった。

というかなんで白雪がキレたかわからん。

起こったことをまとめてみると

 

・銀華を紹介する

・白雪が銀華は俺の婚約者だということを知る

・キレた

以上。

……だめだ。わからん。白雪がこうなった理由が全くわからんっ!

まあ白雪がキレた原因は(わき)に置いとくが、銀華は白雪の怒りの斬撃を真剣白刃取りやステップなどなるべく最小限の動きでかわしていた。そのおかげで負傷者0、備品も壊れずに済んだ。バケモノかよ銀華。

もっとバケモノなのは俺たち、1-Cの担任だった強襲科の担当教師、蘭豹。あのキレた白雪を『外でやれや』と片手で制しやがった。あんなのヒステリアモードでも勝てる気しねえぞ。銀華もそれには驚いていたしな。

蘭豹に抑え込まれた白雪はその後、

『これは挨拶。後で正式な決闘を申し込むから事前には突っかけない。しばらく、残りの人生をエンジョイすればいいさ』のような捨てゼリフを吐いて、席についた。

そのセリフを銀華はあいつにとっては珍しくガン無視。そのせいで白雪が銀華を授業中睨み続ける事となったのだが、この件に対する俺の感想は、この一言に尽きる。

(怖すぎる……)

2人ともどちらかというと大人しめなタイプなので、この変化は心臓に悪い。

白雪と銀華はまさに一触即発の状態。この前の銀華は防御気味に戦っていたおかげで被害は少なかったが、もし放っておいてあのキレ銀華がでてきたら大戦争になるだろう。そしたらその被害はもう予測できん。

なのでそんな様子を見かねた俺が国連(UN)のように間に入り…平和的に解決するため、交渉のテーブルを昨日用意したのだが、交渉は決裂。結局、決闘で決めることとなってしまった。

 

武偵高では--『生徒同士の決闘は何れかのルールに基づき、あまりしない事』

という非公式の通達が入学時点で教務科(マスターズ)からなされる。

つまり、してもいいのだ。決闘を。

そもそも決闘なんて血なまぐさい行為はここ日本では違法なはずなのだが、血なまぐささに慣れておかねばならないって事で武偵中や武偵高では黙認されているのだ。

決闘で何があろうと、もちろん訴訟沙汰にならない。『決闘でやられました』と泣きついたら、みんなの笑い者になるとわかっているからな。

そして今回の決闘のスタイルは1vs1(デュエル)。タイマンで決着をつける最もオーソドックスな決闘スタイルだ。この場合、試合結果を見届けるのと過剰攻撃(オーバーアタック)による死亡事故を防ぐために証人が立てられる。この証人は公平性が求められるため決闘する2人の合意が必要、つまり今回は俺になったわけだ。

そして早く済ませたいという銀華の願いの下、早速闘技場やグラウンドなどを借りようとしたんだが、全部借りられており、人があまり来ない浮島の端の広場、つまり今俺がいるところで戦うこととなったのだ。

 

そんなわけで俺は証人としてこの広場に来ているのだが、3つも兼科しているので入学早々忙しい銀華がまだ来ていないにもかかわらず、早くも逃げ出したい気分だ。

俺の目の前で目を閉じ集中しているかのような白雪は巫女装束に、額金、たすき掛け。手には朱鞘に収められたイロカネアヤメと呼ばれる日本刀。

これは星伽巫女伝統の戦装束である。

今更だが、星伽の巫女は武装巫女だ。

どこの神社でも神主や巫女は多かれ少なかれご神体をお守りするものなのだが、白雪の実家こと星伽神社は、どうボタンを掛け間違えたか知らないがそれを武装して守っている。

その伝統衣装で来たということは、戦闘準備が整っているということだとわかる。

 

(銀華、これ大丈夫なのか…?この前の感じ、なんとかなりそうだったが、あいつ授業終わってすぐ来るんだから疲れてるんじゃないか?)

 

などと考えていると--

ざす、ざす。

広場の砂をふみ鳴らし、銀華がやって来た。

うわぁ…これは……

心配なんていらなかったな。

銀華は防弾制服姿、2丁拳銃をガンチラさせながら腰に白雪の日本刀対策か、剣を腰にさげているよ。そして一番やばいのが目。

瑠璃色と紅色のオッドアイだ。やる気十分ですねシロハサン。

 

「遅いから逃げたかと思ったよ」

「初歩的な推理だよ。勝つとわかっている試合から逃げる人はいない」

 

白雪の挑発を銀華は挑発で返す。

そんな銀華の挑発を

シャリーンッ!

腰のイロカネアヤメを抜くことで答える。

ま、まじで目が()る気だぞ。

 

「やっぱりその刀、いい刀よね。いや、私にとっては良くないか」

「銀華もその腰の剣を抜きなよ」

「じゃあ、遠慮なく」

 

そう言った銀華は、美しい装飾が施された鞘から、白雪と同じように剣を抜いた。

銀華が抜いた剣は水晶のように輝く、磨き抜かれた剣。

見とれるほど美しいその洋剣は、日本刀で言えば正宗のように一目で名刀とわかるものだ。刃渡りは70cmほどだが、やけに古い様式だな。

 

「いい剣だね。でもイロカネアヤメに斬れぬものはない」

「へー、大した自信だね。この剣の名前を実際に聞いたらビビらないものはいないと思うけど」

 

売り言葉に買い言葉。早速決闘始めようとしてるぞ…!?

 

「ち、ちょっと待ったお前たち。ルールの復習ぐらいさせろ」

 

焦る俺の言葉を聞き、2人とも構えかけていた剣をおろす。よかった…一応どちらも戦闘態勢だったとはいえ、俺の話は聞いてくれるようだな。

 

「えー、ルールの復習だ。決闘者の片方が敗北を認めるか、動けなくなったら終了。それまでは腕が飛ぼうが足が飛ぼうがTKOは無い。引き分けもない。逃亡したら敗北とみなす。勝負が決まっているのに過剰攻撃になりそうな時は俺が止める。それでいいか?」

「私の認識と同じ。私はそれでいい」

 

銀華はそう返答し、白雪は頷くことで了承の意を示している。中学時代を思い出すぜ--

いかにもうちらしいよ、こういうのは。悪い意味で。

 

「じゃあ始めてくれ」

 

白雪と、銀華は--見つめ合っている。

だが双方、すぐには仕掛けない。

決闘の開始は決闘者2人が決める。俺が決めるんじゃない。これは誰にも侵されない、2人だけの権利だ。始まるのは呼吸があった時だ。侍の立会いに近い。

今はただこの夕方に静かな時が流れているだけだ。

……すっ………

音もなく白雪が刀を構えた。

刀身を直立させ、柄を右頬まで上げたそれは八相の構え。

現代剣道では使われない古風な構えなのだが、実戦的な構えだ。柄を握る力があまりかからないので長期戦に向いているのだ。

それに対して銀華は抜身の刀を腰だめに、水平に携えている。こちらは明らかに居合の構えだ。

居合は相手に攻撃をすると悟られるのだが、悟ってしまったせいで相手はそれを考慮して動かなくてはいけなくなるので戦術の幅が狭まる。そして相手の動きの幅が狭まったら、それを推理できない銀華ではない。これが優れた推理能力を持つ銀華特有の個性(オリジナリティ)なのだろう。

 

「……」

 

刀を垂直に構える白雪、水平に構える銀華。

対照的な2人から息苦しいほどの緊張感が流れる。

近くの道を通る車が遠ざかっていき、場に静寂が訪れた瞬間、

--バッ!--

スッと体勢を低くした銀華が、気がついた時には、白雪までの8mほどあった距離を一呼吸で移動していた。まるで瞬間移動するかのように。

(……速い……!)

驚く俺の視線の先で--シュバッ!

銀華が白雪に対し居合斬りで斬りつける。

この前、入学試験で銀華が使った一瞬で距離を詰める技だな。たぶんあれはこの居合斬りの技から派生したものだろう。

そのヒステリアモードでもガードするのが精一杯だった神速の攻撃を

ギイイイイイイイン!!

白雪は上から振り下ろした刀で迎撃する。

す、すげえな、白雪。普段の俺ならあれでアウトだったぞ。ヒステリアモードですら怪しかったのに。

先制攻撃をガードされた銀華は鍔迫り合いするかと思いきや、急に力を抜き相手の力を使い……クルッと回る。あれは銀華が使う絶牢もどき…!

銀華が狙うのは、急に力を抜かれたことにより前につんのめった白雪の後頭部。得意の蹴り技で一気に決着をつける気だ。それを白雪は

バンッ!

刀の柄から左手を離し、銀華の蹴りをガードする。どうやら銀華も頭を蹴り飛ばすってことで秋水を使っていなかったらしい。キレていても意外と冷静だなあいつ。

そんな銀華を、

ゴスッ!

刀の柄で殴る。柄で殴られるとは思っていなかったようでそれをまともに腹に受けた銀華は、ごろごろと地面を転がった。

銀華が近接戦闘でダメージ負うなんて初めて見たかもしれん。いや、ナチスに襲われた時怪我してましたね。忘れたい記憶その1だから忘れてたけど。

 

転がった銀華はすぐに立ち上がったが、白雪は松明を掲げるような右片手大上段の構から銀華に斬りかかる。それをこの前のようにステップでかわすが…

ガキイイイイン!

再び剣が撃ち合う大きな音が響き渡る。

今度は銀華の剣が上、白雪の刀が下だ。

肉眼では追いきれなかったが、この状況から推測すると白雪の刀は打ち下ろしから切り上げのV字を描いている。

巌流でいう『燕返し』。その片手版ってところか。だが、その神速の攻撃も、優れた反射神経にさらにヒステリアモードで上乗せした銀華のチート反射神経でガードされた。なんだこの神速の戦いは!?

 

鍔迫り合いを嫌ったようで銀華はいなし、距離をとるが……

カツッ!再び銀華の元に白雪が駆けた。

ギンッ!ギギンッ!2人の刀剣は何度もぶつかり合い激しい音を上げる。白雪の刀、銀華の剣が触れたもの全てが嘘のように切断されていく。電灯。木。ベンチなどが。

だが唯一斬れていないものがある。

白雪の刀・イロカネアヤメと銀華のいかにも銘剣と思われる剣。

それはお互いに傷一つすら付いていない。

そんな互角に思える決闘だったが…

 

(白雪が押しているぞ…!)

 

白雪が完全に押していた。銀華は防御するのに精一杯といった感じだ。白雪は刀を使うことを小さい頃から学んでいるが、銀華は前聞いたところ刀はあまり得意ではないらしい。

いつも持っている夜用に塗装された瑠璃色のナイフならまた別だろうが、白雪用に持ってきたと思われる不慣れの剣では十全に力を発揮できないのだろうな。ヒステリアモードの反射神経でなんとかガードしているといった感じだ。

だが白雪も攻め疲れで勢いが鈍り出した。しかし、そんなのお構いなく攻める白雪の力を込めた上段からの一撃で

ガシャン!

銀華は剣を落としてしまう。

幾多に渡るガードで手に痺れが溜まり、握力が鈍ったのだろう。それを見た白雪は勝ちを確信した顔で刀を水平に振るう。

垂直に下ろしたら真剣白刃どりされると経験からその攻撃を選択したのだろうが…

 

「あは」

 

なぜか()()が勝利を確信したかのように笑う。

いや銀華あいつ、剣を落とされたんじゃない!わざと落としたんだ!

剣では勝てないと今までの戦闘から推理して、自分の得意な徒手格闘で挑むために!

銀華は水平に靡かれた刀を下から蹴り飛ばす。万全の状態ならまた違っただろうが、攻め疲れで疲労状態、下からの不意打ち、そして勝利を確信しての油断、その三つが重なったため……

バシッ!

先ほどの銀華と同じく白雪は剣を離してしまう。今度は下ではなく勢いよく上に。

そしてさっきの蹴りで逆立ちになった銀華はクロスするように両手をついてからの--

その腕のねじれを解放するようなスピニングキック。

その銀華の蹴りが剣を離してしまったことに驚いている白雪の腹に直撃し、白雪は自分と刀と同じく勢いよく吹っ飛んだ。

 

脚は(Kick)剣より(beats)強し(swords)……!」

 

そんな風に呟く銀華の視線の先では白雪がのびている。銀華もこれ以上攻撃しようというそぶりは見せていない。この決闘は銀華の勝ちだな。何も起こらず決着がついたことに、人知れずホッと一安心する俺だったが……

 

「やば!」

 

そういって銀華がいきなり勢いよく海側に駆け出した。銀華の視線を追うと

 

「……っ…!」

 

銀華に蹴り飛ばされた白雪の刀が、今まさに崖から落ちようというところだった。

あの崖の先は東京湾。もし刀が落ちてしまったら、捜索は困難だぞ!

(間に合え…!)

そう願う俺であったが、神速の銀華でも一歩届かず、手すりの隙間から落ちていった。寸前のところで間に合わなかった銀華はそこで止まるかと思いきや…お、おい…手すりを乗り越え、海に飛び込んだぞ!?

--ざぶっ!

 

「銀華ッ!?」

 

慌てて手すりに駆け寄るが銀華の姿はない。

あいつ泳げるのか?と心配する俺だったが……

ざばぁん!

銀華が水面から出てきた。その銀華の目はいつもの瑠璃色に戻っており、手には白雪の刀が握られている。そしてその刀をおーいという風に笑顔で振っているのだが、さっきまで超人バトル繰り広げてたのにのんきだなお前。

 

 

 

「ありがと」

 

俺が下ろしたワイヤー捕まって引き上げられた銀華はそうお礼を言う。海に飛び込んだ銀華は当然濡れており、なんというか…扇情的だ。白い肌がいつもより輝いて見えるし、せ、制服もところどころ透けているぞ!?

ヒス性の危険性を感じ、そんな銀華をなるべく見ないようにする俺だったが、そんな銀華は俺の視線に気づくことなく、とことこと白雪の元まで歩いていく。

 

「はい、大事なものなんでしょ」

「ど、どうして?」

「どうしてって?大事なものや人を失う痛みや恐怖は私はよくわかっているから」

 

ちらっと恐怖あたりで俺を見たが、視線を戻した銀華は遠い目をしている。

俺と会う前、そんな大事な人がいたのかも知れないな。

…………………。

……いかん!気になる!

銀華にそれって誰だって聞こうと思ったのだが…

そんなことを言われた白雪は手で顔を覆い、

ひっく、ひっく……ひんっ……と泣きだした。

 

「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい」

 

そして…いきなり何かに対して謝りだしたぞ!?何に謝ってるかさっぱりわからんし、女子が泣いてる時にどうすればいいかなんてさらにわからん。ここはコミュニケーション能力カンストの銀華に任せよう。

 

「本当はわかってたの。キンちゃんは昔と本当に変わったって。それも銀華さんのおかげっていうことも、ここ何日かで分かったよ。銀華さんとキンちゃんが深く結ばれているってことも」

 

なんか俺と関係ある話らしい。銀華が俺を変えた?そんなことはないと言いたいが、否定はできん気がする。銀華のおかげで色々な技を身につけれてるのは事実だし。

 

「キンちゃんが幸せになれるなら……銀華さんのこと好きなら……銀華さんと一緒でもよかった。でも、東京に来て、知り合いもいなくて1人で寂しくて、そしたらキンちゃんがいて、本当に嬉しくて、でもそのキンちゃんが取られるてしまうと思ったら耐えられなかった…」

 

そういって白雪は再び泣き出してしまった。

 

「わかるよ、星伽さんその気持ち」

 

そんな泣いている白雪の頭を抱きしめ、ぽんぽんとする銀華の目は……優しい。なんであいつはキレてる時と普段の時であんなに違うんだマジで。

 

「でも、一つ訂正させてもらおうかな。星伽さんは1人じゃないよ」

「え……?」

「キンジ、それに私もいるよ」

「そ、それは?」

「星伽さんは1人じゃない、()()が近くにいるよってことだよ。それも2人もね」

「ゆ、友人?」

「星伽さんは私のことどう思っているか知らないけど、私は星伽さんのこと友人だと思ってるよ」

「決闘までしたのに…?」

「この国には喧嘩するほど仲が良いって言うことわざがあるらしいんだけど、ちがうのかな?」

 

銀華にウインクしながらそう言われた白雪は、おっとりした目に涙を溜め再びポロポロと泣き出した。

今度の涙は俺にもわかる。

白雪は人見知りする性格上、学校でも友達がいなかったらしい。仲が良いのは家同士の知り合いだった俺ぐらい。今までそうだったのに、知り合いのいない東京で銀華に友人と言われ……嬉しかったんだろう。

 

喧嘩したあと友達になるとか、理にかなっていないのだが……もしかしたら、これが武偵高(うち)なりの人間関係の作り方なのかもしれないな。古くさくて、不器用な。

 

 

 

「星伽白雪です。改めましてよろしくお願いします。銀華さん、キンちゃん」

 

そういってペッコリと白雪はお辞儀をする。泣き止み今度は友人ができた嬉しさによる笑顔で。

 

「じゃあ、改めまして私も。北条銀華です。よろしくね星伽さん」

 

銀華がそう挨拶すると

 

「よろしくお願いします。銀華さんの苗字は北条……北条……キンちゃんと婚約者………あっ……!」

 

さーっと白雪の顔から血の気が引いていくのがわかる。顔が白を通り越して真っ青だ。そして巫女服の裾を広げつつ、着地と同時に土下座した。

 

「北条様とは露知らず、無礼な振る舞い…!誠に申し訳ございませんっ!」

 

取引役に無礼を働いてしまったみたいに焦りまくる白雪に……俺と銀華は目を見合わせる。銀華もこの状況がわかっていないらしい。頼んだと言う風な目線を銀華に送ると、瞬き信号で『了解(OK)』と返して来た。

 

「星伽さん顔を上げて、私もう怒ってないから。それに同級生なんだから様なんて大袈裟だよ」

「誠に申し訳ございませんっ!死んでお詫びを…」

 

とか言い出すので銀華と2人で白雪から刀を取り上げる始末、まったく…

 

「もう許したから顔あげてよ、星伽さん。私は様付けされるほどのこと何もしてないから」

「北条様の祖先には…」

「様禁止」

「…銀華さんの御祖先には星伽滅亡の危機を救ってもらったことがあるの」

 

そんな風に白雪は言うが、銀華は首をフリフリ。どうやら知らないようだ。

 

「約800年前、星伽神社は当時、源頼朝から逃げる源義経が大陸に渡るのをお手伝いしたの。ナイショで、津軽から船を出させて」

 

…お、おいおい……

白雪は胸の前で左右の人差し指をつんつんさせながらイタズラがバレた子供みたいな仕草で話すことじゃねえぞそれ……

まあ白雪らしいといえば白雪らしいんだが…

 

「それが当時の将軍、源頼朝にバレちゃってね。星伽は当時の幕府に攻め滅ぼされそうになったの。星伽は武装していてある程度戦えるとはいっても多勢に無勢で…それを救ってくれたのが銀華さんの祖先様なの」

「ていうことは…」

「そう、星伽を救ってくれたのは銀華さんの祖先で源頼朝の正室。()()()()だよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 




いやー誰にもバレなくてよかったよかった。

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