2学期が始まって少し経ち、朝夕が涼しくなる頃--
「ゴホッ……」
銀華は風邪をひいてしまった。
ここ数日、任務で雨の中犯人を追っていたらしいので、濡れた体に涼しい秋風で体が冷えたのが原因だろう。
「38度か……」
銀華の熱は38度前後を行ったり来たりしている。そんなに辛くない時もありそうだが、今はきつそうだ。白銀の雪のように真っ白な肌は発熱による赤みが目立ち、呼吸も荒い。
「……ごめんね……キンジ」
「別に謝ることねえだろ。困った時はお互い様だ」
今日は土曜日。任務も授業もない俺は同じく任務もない銀華と2人でどこかに出かけようとして、銀華の家に来たら看病することになったのだが、これは仕方がないことだろう。銀華がこんな辛そうにしてるのに、はいそうですかと言って帰るほど薄情ではない。
「何か食べたいものはあるか?」
「……うどん……」
「わかった」
うどんか…
銀華や白雪みたいにたくさんの作業を要する難しい料理は作れないが、うどんなら作れなくもなさそうだ。
(…そういや、冷蔵庫の中になにもなかったな……)
銀華は夏休みは帰省、二学期に入ってからは任務で家を空けていたことが多かったため、銀華の家の冷蔵庫には食料はおろかスポーツドリンクなども入っていなかったことは確認済みだ。さっき銀華に飲ますためのお茶を取りに行った時にも思ったが、風邪の時はスポーツドリンクの方がいいだろう。
「じゃあ、ちょっと出かけてくる。他にも欲しい物あるか?」
そう言って、銀華が寝ているベッドの側の椅子から立ち上がると……
「………だめ………」
寝ている銀華が俺の服の裾を掴んで来た。風邪のせいで俺の裾を掴む力は弱々しいが、そんな銀華の行動に俺の動きは止まってしまう。
「行かないで……」
「…と言ってもな。うどんは買いに行かなくちゃ作れないんだ」
「……それならうどんはもういいから………行かないで……」
熱のせいか銀華の甘えが普段より著しい。熱の時は弱っているせいで寂しくなると聞いたことはあるが……ここまでとはな。
買い出しは誰かに頼むか。
だが、あいにく喜んで看護しに来てくれそうな白雪は
さて…誰に頼むか…
と考えているとふと1人思いつく。俺とはそんなに仲良くはないが、銀華とは
俺がどこか行かないことをわかって、駄々をこねるのをやめ、少し大人しくなった銀華のそばで、携帯を取り出してある人物に電話をかける。忙しいだろうから出てくれるかは微妙だったが、意外なことにコールするなり出た。
「レキか?」
「はい」
俺が電話をかけた相手はレキ。こいつは珍しく銀華の言うことは聞くから、買い出し頼んだらもしかしたら言うこと聞いてくれるかもしれん。
「今お前どこだ?」
「女子寮の自室です」
「銀華が熱を出したんだが、ちょっと今俺は銀華の側から離れることはできん。買い出しを頼めるか?スポドリとうどんと何か食べるものでも」
「わかりました。19分後、銀華さんの部屋に向かいます」
「頼んだ」
そう言って通話を終了した。
俺、銀華、レキで仕事をすることが何度かあったから、銀華に『電話番号でも交換しといたら?』って言われていてよかったな。もしかしたら、これすらも推理していたのかもしれないけど。
買い物に行く必要がなくなり、再びベッドの側の椅子に腰を下ろす。
そんな俺の様子をみて、銀華は安心したようだ。
「何か他にして欲しいことあるか?」
そう俺が声をかけると銀華はちょっと恥ずかしそうに、布団を持ち上げ顔の下部を隠しながら
「………手を…繋いで欲しいな……」
そうお願いしてきた。そう言った後、可愛らしく布団から手を差し出してくるし。
ああ、もう!
そんな可愛い姿されたら断れるわけねえだろ。
「ああ」
そう言って銀華の手を握ってやる。銀華の手は高熱によって熱く、その熱が俺の手に伝わってくる。
「……ありがと、キンジ………」
俺に手を握られ安心したのと風邪で辛いのもあったのだろう。銀華はそのまま眠りに落ちた。
銀華は寝てしまったとはいえ、先ほどの銀華のお願いを無視するわけにはいかない。俺は高熱で辛そうに眠る銀華と手を繋いだまま、反対の手で映画サイトをケータイで見ていると………
「ピンポーン」
とインターホンが鳴った。せっかく寝たのに起きてしまうかと焦る俺だったが……銀華の眠りは深いようで
「すぅ……すぅ……」
寝息を立てていた。よし、しばらく起きなさそうだな。俺はそっと銀華の手を離し、玄関に向かった。インターホンは鳴ったのに玄関のドアの前に人の気配はしなかったので、覗き穴から見るとやはりレキだ。俺はレキにぶつけないようにそっとドアを開ける。
「ありがとう、レキ。金を払うからちょっと上がってくれないか?まあ…俺の部屋じゃないんだが…」
目の前に立ってるからかろうじてわかるけど、本当に気配ないなあお前。狙撃科だったらいいことなんだろうけどさ。
俺が言いながら買ってきたものを受け取るとレキは……
「…………」
そのまま黙って部屋に上がった。案外レキも銀華のこと心配してくれてるのかもな。銀華が心配されてるとわかるのは少し俺も嬉しいぞ。
2人でソファーに座り、レキが買ってきたくれたものをチェックする。
俺が頼んだスポーツドリンク、うどん。それに食うもんとしてカロリーメイトを買ってきてくれたぞ。カロリーメイトは糖質、たんぱく質、炭水化物、ビタミンの全てを一気に摂取できる食べ物。レキのやつ、何か食べるものと言ってわからなかったから、自分がよく食うカロリーメイト買ってきたんだろうが、風邪の時の食料にはうってつけだぞ。よくやったレキ。
「銀華が寝ている間に銀華の飯を作ろうと思ったんだが、お前もうどん食うか?」
と聞くとコクン、首を縦に振った。へーお前カロリーメイト以外にも食うんだな。一つ発見だ。
さてと、いつもの銀華の代わりに俺が料理をするわけだが…
銀華の家には、料理器具や調味料などは揃っている。というか、うどんなんて麺を茹でて、麺つゆを薄めればいいだけだからな。
結構使っていると思われる鍋を拝借し、麺を茹でていると……
「銀華さん」
「え?」
レキのそんな声にキッチンから顔を出すと、よろよろと危なっかしい足取りで寝室から出てきた銀華の姿があった。
「おい、銀華!?寝とけって!」
フラフラしてバランスの取れてない足取りから、調子がよくないのは明らか。急いで駆け寄ると銀華は体を俺に倒れるように寄せてきた。
「……でって言ったのに……」
「銀華?なんて?」
「いかないでって言ったのに……」
近くで俺を見上げながら、プクーと膨れる銀華は少し怒ってるみたいだ。
…だがその顔は………可愛い。本気で怒ってるわけじゃなくて、起きたら俺が近くにいなくて拗ねている感じだ。そんな子供っぽく可愛い銀華を見て、まず視覚でワンストライク。
そして腕にぃ……!し、銀華の、意外とある、柔らかい、2つの夢の惑星がッ!
足元がおぼつかない銀華は、俺の腕に倒れかかってるような体勢になっている。腕を組んで当たるってことは多々あったが、押し付けられるようにされるのは今までの事例でも数少ない。
そんな慣れない感覚、触覚でツーストライク。バッター遠山、追い込まれました。
もうヒステリアモードギリギリの線だぞ。銀華を看病してるはずなのに、このままだと俺まで看病されちまうことになるぞ。風邪が感染って。
と思いつつ銀華をベッドに戻すために大きく息を吸い込むと……高熱で上気した銀華の匂いが鼻腔に飛び込んできた。そりゃ近くに顔がありますからね。この失敗何回やるんだ俺は。
そんな匂い、嗅覚で俺はこれにて--バッターアウト。
「……キャッ……!」
俺に倒れかかってきていた銀華をお姫様抱っこしてあげる。突然お姫様抱っこをされた銀華は高熱でもともと赤かった顔を…ボンッ!と擬音語が聞こえるぐらい、さらに赤くした。
あんまりやりたくない技だが、風邪なのに言うことを聞かない悪い子にはヒステリアモードの技を使わせてもらおう。かつて兄さん、というかカナに教わった術だが--同じHSS持ちにできるだろうか。
「銀華」
声質はこんな感じで良かったはず。
落ち着けキンジ。落ち着けばできるはずだ。
「銀華。聞こえているかい。銀華」
俺は少し低い声で、銀華の心に潜り込むように語りかける。
「…うん?」
「銀華。俺はお前のことを大事にしている。この前もそう話したはずだろう?それでも、俺がどこに行ってしまうと思ったのかい?だとしたら心外だよ」
「ご、ごめん……」
「銀華は俺のことを理解してくれてると思ったけど--違ったのかな?銀華」
ヒステリアモードの甘い艶を交えた声で銀華、銀華と名前を呼ぶ。
「……う、ううん、そんな」
俺にお姫様抱っこされてる銀華の態度が従順なものに変わっていく。よし、うまく術にかかっている。
これは遠山家に伝わる『
最近は声優学校などで科学的に証明されてることだが、人は独特な声色や息遣いを交えた異性の声に弱い。
ヒステリアモードを持つ遠山家は、それを術技立てて代々伝えてるのだ。
そのノウハウによれば、女子はこういう声で自分の名前を繰り返し、耳元で優しく囁かれると…だんだん朦朧としてきてあらゆる判断を男に委ねるようになるらしい。
同じくヒステリアモードを持つ銀華に聞くかは不安だったが、どうやら銀華にも効くようだ。風邪で弱ってるのもあるけど。
「銀華。ベッドで寝ててくれるね?俺は元気な銀華が見たいんだ」
お姫様抱っこをしながら、そう耳元で囁く。
「…うん、わかったよ」
そう言った銀華をベッドの上に寝かす。やっと寝てくれるようだね。
大人しくなった銀華に背を向けて、うどんを作りを再開しようと思っていると
「…キンジ」
少し低い銀華の声がベッドから聞こえる。
「なんだい?」
「……その催眠術、私には効かないから」
俺はそれを聞いて苦笑いを浮かべることしかできない。後日、怒られるだろうなあといった確信がヒステリアモードの頭に浮かんでいた。
☆★☆★☆★☆★☆★☆★
私はキンジに言われて、大人しくベッドで寝ている…
まったく…私に寄りかかられたぐらいでHSSが発症するなんて…まあ、それはうれしくもあるんだけどさ…
あと、私が心配だからといっても、催眠術かけようとするのズルいよね。催眠術系統はヒルダの催眠術で慣れてる私だったけど、風邪で弱ってるから一瞬効きかけたよ…
まあそれにしても…ウルスの璃巫女が買いだしてきてくれるとはね。星伽、遠山、理子、私、それに来年転校してくるはずの4世。色金関係者が東京に大集合しているよ。まあ……偶然じゃないだろう。何か大きな力がかかってる。そんな気がする。
高熱のせいで朦朧とした頭の中でそんなことを考えていると
「銀華、できたよ」
といってお盆を持ったキンジが再び寝室に入ってきたよ。まだHSSは残っているみたいだね。
「…お願いがあるんだけど…」
「なんだい、言ってごらん」
自分で言い出したのにすごく言うのが恥ずかしい……でも、いつもは恥ずかしくてできないから、今日みたいな風邪の時しかできないような甘える行為を一杯するって決めたんだ。頑張れ私!
「あ、あのね。食べさせて欲しいなあ…」
自分で言っといてなんだけど…うう、恥ずかしい……
風邪の熱に加えて、恥ずかしさで熱が上がっていく感じがするよ…
「今の君は
キンジは予想通り了承してくれたけど…やっぱり恥ずかしい…
「はい、アーンして」
ふうふうと少し冷ましてから、レンゲに一口サイズのうどんの束を乗せて、私の口に差し出してくる。それを私は
--パクッ
疾風のごとき速さでうどんをたべた。
味は……わからない!恥ずかしすぎて、脳がテンパって思考が働いていないよ…
朝からこんなことばっかりしてるから、熱が下がらないのかも。
「もう一度、アーン」
そっから同じことを繰り返すことになったけど、恥ずかしすぎて味はわからなかった。
ううっ…やっぱり恥ずかしい……
キンジが風邪になった時は、今度は私が食べさせてあげるんだから!
「美味しかったかい?」
「うん、まあまあ…」
まったくわからなかったけど…
「じゃあ、よかった。口に合わないんじゃないかと思って心配していたんだ」
「…………」
まあいいか。せっかく作ってくれたんだし、まずいとか言ったら悪いしね。
「じゃあ寝ようか、銀華」
「………わかったよ………」
私は大人しく寝床についた。結構熱も辛いしね……
恥ずかしくて思考がショートしていたのもあるだろうが、布団を被った私の意識はすぐに夢の世界へ飛び立った。
☆★☆★☆★☆★☆★☆★
銀華が寝たのを見届けた俺は起こさないようにと、再びリビングに戻った。
ヒステリアモードは銀華が寝たのを見届けたらきれた。リゾナは銀華を思うヒステリアモード。リゾナ気味だった今回のヒステリアモードは銀華が寝たのを見て安心してきれたのだろう。
「……」
戻ってきたダイニングには無言のレキ。気配がなさすぎて忘れてたぞおい。
俺の声は聞こえるようだが、いつもヘッドホンしてるし、不思議なやつだ。無感情なところから、あだ名でロボット・レキと言われているのも納得だぜ。
「お前、いつもなんの音楽聴いているんだ?」
ダイニング席の向かい側に座りちょっと気になったことを聞くと、レキはヘッドホンをとった。銀華で美人は見慣れているが、こいつはこいつでCGみたいに整った顔をしているな。
「音楽ではありません」
「じゃあなんだよ?」
「『風』です」
「風…?なんだそれ。誰かのコードネームか何かか?」
「人ではありません。風は風です」
風って……
ピューっと吹く、あの風のことか?
アレは大気の流れ。自然現象だ。そんなもの聞いてるのかお前。
「私は命じらました。銀華さんを見守れと」
「それは誰にだよ」
だから今日助けてくれたのか。
「風です」
また風か…そんなものが人に命令するわけないだろ。
「なんだよ風って」
「風は風です」
……うーん
これは繰り返しても無駄なパターンだな。「なんだそれ」「風です」の無限ループになるだろこれ。
別の切り口で聞いてみるか。
「お前、前に銀華と私は似ていると言っていたよな。じゃあ銀華も風の声が聞こえているのか?」
女というところと髪がちょっと青っぽいところしか似てないのに、妙に此の前、自信持ってたんだよな。よくわからんけど。
「いえ、聞こえていません」
なんだよ。
「ですが、銀華さんは他の二つに近い」
「他ってなんだよ」
「話せません」
「おい……」
「風が教えるなと言っている」
本当に風ってなんなんだよまったく……
「お前、風の言うことならなんでも聞くのか?」
呆れてそう聞くとレキは
「--私は1発の銃弾。銃弾は人の心を持たない。故に、何も考えない」
以前聞いた、狙撃する時に呟く、まじないのような言葉を返してきた。
--何も考えない。
つまりその風さんが言うことには絶対従うって事か。引き金を引けば必ず飛ぶ、銃弾のように。
(はあ…)
何もわからんかったな結局。似ているところや風さんとやらも。
コミュニケーションが難しい子との会話で疲れてしまった俺が一つため息をつくと………
「時間です」
そう言ってレキは立ち上がった。
「帰るのか?」
「はい。この後、任務がありますので」
「ありがとうなレキ」
俺がそう言うと、こくんと縦に振った。
「銀華さんは高熱により汗をかいています。汗などで肉体が汚れるとさらに体調不良に陥ります。女性1人では届かないところもあるのでキンジさんが拭いてあげるのがよいかと」
お、おい。体を拭くって肌を丸出しにするって事だろ。それに触るなんてヒステリアモードになりにいってるじゃねえか。連続ではなりにくいといっても限界があるぞおい。
そんな悶々とする俺を尻目にレキは銀華の部屋から出ていった。
や、やっぱりこうなるのか…
起きた銀華を見にいったら、パジャマを変えたいと言われ、それじゃあと出て行こうとしたら……
「……ふ、拭いてくれない?」
「………は?」
こうなった。
「…お、お願い」
「あ、いや、その」
つまり……タオルで拭くって事ですよね?俺が。銀華の肌を。
「ま、前はわ、私が拭くから。……背中だけお願い……」
「お、おい銀華。いきなり何言い出すんだ。俺たちにはヒステリアモードがあるんだぞ…」
「……わかってるよ。でもさっきキンジHSSになったから今はなりにくいし…私はHSSにならない自信が結構ある…」
「いや、でもな…」
「……キンジ」
銀華は俺の胸元をキュッと掴むと上目遣いで聞いた。
「…婚約者にここまで言わせて拒むのキンジ?」
「………………」
それずるくねえか……
「…わかったよ」
「……ありがと」
銀華はそう言うと
しゅるっ。
俺に背中を向けて上半身の服を脱いだ。銀白の雪景色のような銀華の背中に、俺はまだ拭いてすらいないのにテンパりまくる。
と、とりあえず素数を数えるんだ俺!
(1.2.3.5.7……って1は素数じゃねえ!)
い、いかん。お互いにヒスるとやばいからって海やプールには行ったことないから、水着すら見たことなかったんだが、今上半身はそれすらつけていない状態だ。いかんでしょ。
「じ、じゃあ…よろしく…」
「は、はい」
焦りすぎて敬語になっちまったよ。銀華も顔真っ赤だし、余計に熱上がるんじゃねえかこれ。
(頑張れ、俺。なんとかヒスらないようにやり遂げろ…)
タオルを持ちながら、己の心を落ち着ける作戦を考える事しばし--思いついたぞ。
ヒス性の血流は怖さで萎えることがある。それを利用して恐怖心を敢えて高めてやり過ごす方法だ。
俺にとって一番怖いのは何か?もちろん銀華である。
普段優しい分、ベルセでキレた時の恐怖は半端ない。
前の銀華をベルセ銀華だと思おう。うん。
「じゃあ、その……拭くぞ」
「う、うん。よろしくね…」
うつ伏せになっている銀華は両頬を赤らめて目を閉じ、俺が拭くのを心待ちにしてるようなドキドキ顔だ。か、可愛い顔をするな。
そして俺の左手が脇腹に触れると
「あんっ」
びっくりしたのかそんな声を上げる。
ええい、女の声を上げるな銀華。
タオルで擦るたびに「んっ」と色っぽい声が漏れる。急いで背中を吹き終え…
「……お、終わったぞ銀華」
そんな声をかけると、今度は銀華が…
「もっと……して……」
ぎゃー!こいつヒスってやがる。さっきまでの自信はどこ行ったんだよ!
服は着ていないしもうこれ、そういう行為する前じゃねえか!
「うおおお!」
俺も甘くヒスっていた血流を活かし、カーテンの向こうへダッシュ。
そして後先考える暇もなく窓を開け、ベランダから飛び降りる。そのまま東京湾へgo!
ベランダの手すりからぶら下がったら、下の生徒に不審者に間違えられるからな。いや実際そうだが。
東京湾に浮かぶ俺だったが…
(今度は俺が風邪引くんじゃないか?…)
数日後、予想通り今度は俺が風邪をひいたのだが、それはまた別の話。
20万文字超えてまだ原作が見えない…