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僕は、神崎 湊(かんざき みなと)高校三年生だ。
「何やってんですか、先輩。」
今僕に話しかけた少女は、如月 奈央(きさらぎ なお)ちゃん。彼女は僕と同じ高校の二年生。彼女は剣道の有段者で、かなり強い。何よりすごくモテて、友達もたくさんいる学校の人気者だ。対して僕は帰宅部で、友達も少ない、彼女とは正反対の人間だ。でも、僕と彼女はある出来事から、関わりを持つようになった。
それは僕が二年生だった時。僕は昔から体が弱く、中学校の頃は学校を休みがちだった。体が弱いことを知った人達が僕にカツアゲをするようになった。最初は怖くて、僕はお金を渡すことしかできなかった。
でも、お金が底をついて、僕は勇気を出して断った。そしたら、カツアゲをしていた人達は怒って、僕に殴りかかって来た。僕は、抵抗できず、そのまま殴られ続けていた。しばらくすると、ある人が僕を殴った人達を止めて、助けてくれた。その、助けてくれた人が如月さんなんだ。
「大丈夫ですか?」
「・・・ゲホッ、ゲホッ。だ、大丈夫・・・。」
「全然、大丈夫じゃないですよ!早く保健室に行きましょう!」
そう言って彼女は、僕を保健室に連れて行ってくれた。
僕は保健室で手当てをしてもらった。
「ありがとね。えっと、如月 奈央さんだよね?」
「な、なんで私の名前知ってるんですか!?」
そう言って彼女は自分の体の前で腕をクロスし、自分の体を抱きしめるような体制になった。
「い、いや、如月さん有名人だから・・・。」
「そ、そうなんですか・・・。」
「・・・・。」
「・・・・。」
会話終了。僕、コミュニケーションスキルそんなに高くないから!!
「えっと、先輩の名前は・・・・?」
「あぁ!えっと、神崎 湊です。」
「神崎先輩ですか。あの、その、カツアゲはいつからですか?」
「えっと、二年生の三学期くらいからだから、最近からかな・・・。」
「そう、ですか・・・。」
「ごめんね。僕が不甲斐ないばかりにこんなことに巻き込んでしまって・・・。」
「い、いえ・・・。」
すると、扉が開き保健室の先生が入ってきた。
「じゃ、そろそろ最終下校だから早く帰っちゃいなさい。」
「「は、はい。」」
そして、僕たちは学校を出る。
「あれ、如月さん部活は?」
「今日は休みなんですよ。」
「へぇー。」
そう言って僕たちは同じタイミングで同じ方向で曲がった。
「あれ?如月さんこっちなの?」
「先輩もそうなんですか?」
意外だ。如月さんは部活があるから帰る時間帯がバラバラなんだろうけど。
「・・・・。」
「・・・・。」
ここは、連絡先を交換するべきなのか・・・?いや、初対面で連絡先交換しようとしたら・・・・。『先輩、何考えてるんですか、キモイです。』みたいなこと言われるんじゃないか?でも、今日会ったのは何かの縁だし・・・。嫌われるの覚悟で聞こう!
「あの・・。」
「は、はい?」
「連絡先、交換してもらってもいいですか?」
「・・・いいですよ。」
そして僕たちは連絡先を交換した。
「あ、私、この辺なんで。」
「あ、うん。」
「それでは。」
そう言って、彼女は去っていった。
僕、今、学校のアイドル的存在と一緒に帰ってたんだよね・・・。奇跡かな・・・・?
これが僕らの初めての出会いだ。
そして話は冒頭に戻る。
「いや、如月さんとの出会いを思い出してただけだよ。」
「ふーん。」
「今日、部活休みなの?」
「はい。」
「じゃ、最近できたカフェに行かない?」
「・・・いいですよ。」
そして、僕たちはカフェに向かった。
「僕は、オリジナルコーヒーで。如月さんは・・・?」
「・・・カフェオレで。」
「・・・かしこまりました。」
そして、飲み物がすぐに運ばれてくる。
彼女のカフェオレを持つ姿はとても美しい。頬杖をつき、少し遠くを見て、カフェオレを少しづつ飲む。しかも、今は夏服なので、剣道で鍛えられた腕の筋肉がうっすらと見える。
「な、なんですか。人の事をじっと見て。」
「い、いや。すごく奇麗だなって思って・・・・。」
「ぶっ!ゲホッ!ゲホッ!」
「大丈夫!?如月さん!」
僕はポケットからティッシュを取り出し、如月さんに渡す。
「先輩、ありがとうございます・・・。」
如月さんが落ち着いたのを確認して、僕は二冊の本を鞄から取り出す。
「はい、これ僕のおすすめの本。よかったら、感想聞かせてね。」
「は、はい・・・。」
実は、あの事件のあと、もっと仲良くなった理由が、好きな本が被ったことなんだ。僕は病院生活が多かったから、本を読む機会が多く、家にたくさんの本があるので、彼女におすすめの本を渡して、一緒に本を読むっていうことが多くなった。
ぺらっ。ぺらっ。という紙の音が聞こえる。ここのカフェは人が少なく、とても落ち着いた雰囲気でとても本が読みやすい。それに、如月さんと本を読むのはとても楽しい。会話が無くて気まずいと思うかもしれないけど、僕は気まずいとは思わない。如月さんがどう思っているのかわからないけど、いつも本の感想を楽しそうに言ってくれているから、きっと辛いとは思っていないと思う。まぁ、嫌だったら僕の誘いを断ると思うしね。
「じゃ、そろそろ帰ろうか。」
辺りが暗くなってきたので僕は如月さんに声をかける。
「はい。」
僕たちは帰る準備をする。
「すごく、面白かったです。」
いつも、この一言だけ。でも、この一言だけで彼女の気持ちが伝わってくる。如月さんは自分の気持ちを相手に伝えることがあまり得意ではないみたいだけど、僕はそれが彼女の魅力だと思ってる。今の言葉で言う、猫系女子?ってやつなのかな?
そして、僕らは一緒に帰り、いつもの所で別れる。
僕は彼女と一緒に過ごす、この時が好きだ。一緒にいるだけでとても楽しい。
彼女はどう思っているのだろうか。そう思う時がたまにある。
私は家に帰ってからすぐに自室に入り、ベットにダイブする。
先輩が私のこと奇麗って言ってくれた時、嬉し過ぎて心臓が止まるかと思った。先輩、自分では気づいて無いと思うけど、先輩もすごく奇麗で、女子からこっそり人気がある。女子みたいな長い髪。長いまつ毛。きれいな声。すらっとした体。高すぎず低すぎずの身長。私は、入学したときにあの先輩に一目惚れした。そして、先輩と関わってからもっと好きになった。
先輩は私の事どう思ってるんだろう。私は先輩と過ごすあの時間が好きだ。会話をしなくても楽しい。一緒にいるだけで楽しい。でも、少し不安もある。先輩は退屈ではないだろうか。先輩は楽しめているだろうか。先輩は私といる時間が好きなのだろうか。私は近くにある枕を抱きしめる。
「好きって・・・言えたらなぁ・・・・。」
私は静かにぽつりと呟いた。
軽く登場人物の紹介を。
神崎 湊・・・本作の主人公。小・中学校は病気で学校を休みがち。家族構成は父・母・湊。高校は少し無理をして来ている。髪が伸ばしっぱなしで銀髪。本当は美形。女子から少し人気があるが、本人は気づいていない。人気はあるのに名前が覚えられていない。
如月 奈央・・・本作のヒロイン。剣道部所属で剣道の有段者。ショートボブで右の眼の下にほくろがある。かなりモテる。勉強もできる完璧少女。でも、コーヒーが飲めないなどの子供っぽい一面もある。湊の事が好き。一目ぼれ。