ストライクウィッチーズ 鉄の狼の漂流記   作:深山@菊花

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というわけで、サーニャ回です!


第十七話「夜間シフトとシュミットⅡ」

ブリタニア上空、Ju52の中で坂本は仏頂面をしていた。

 

「不機嫌さが顔に出てるわよ、坂本少佐」

 

その坂本の向かい側に座るミーナが坂本を見て言う。

 

「わざわざ呼び出されて何かと思えば…予算の削減なんて聞かされたんだ。顔にも出るさ」

 

そう、二人はブリタニア上層部に呼び出されたのだ。その内容は501の予算削減の話だったのだ。

 

「彼らも焦っているのよ。いつも私達ばかりに戦果を挙げられてはね」

「連中が見てるのは自分たちの足元だけだ」

「戦争屋なんてあんなものを」

 

ミーナは話した後、少し表情を変えた。

 

「シュミットさんが言ったみたいにネウロイが現れてなかったらあの人達、今頃人間同士で戦い合っていたのでしょうね…」

「そうだな…世界大戦となっていたんだろうな…」

 

二人はそう言って次の言葉を失う。

坂本は横で外の景色を見ていた宮藤に話しかけた。

 

「悪かったな宮藤」

「え?」

 

宮藤は突然話を振られて何のことか分からず驚く。

 

「せっかくだからブリタニアの街でも見せてやろうと思ったのに」

「いえ…私は軍にもいろんな人がいるんだなって…」

 

そう話している途中で、宮藤は先ほどの坂本達の会話の気になることを聞こうとした。しかし、ここで別の声が聞こえてくる。

 

「~♪」

 

それは歌声だった。

 

「…あの、何か聞こえませんか?」

 

宮藤は坂本達に質問した。

 

「ん?ああ、これはサーニャの唄だ。基地に近づいたな」

「私達を迎えに来てくれたのよ」

 

と、ミーナが補足する。それを聞いて宮藤は輸送機の外で同行しているサーニャに向かって手を振った。

 

「ありがとう」

 

サーニャはそれを見て恥ずかしくなったのか、輸送機から離れ雲の中に入ってしまった。

 

「サーニャちゃんって、なんか照れ屋さんですよね」

「うふふ、とってもいい子よ。唄も上手でしょ?」

 

そう会話している間も、サーニャの唄声が輸送機内に流れる。と、突然その歌声がピタリと止まった。

 

「…あら?」

「どうしたサーニャ」

 

坂本がサーニャに聞く。

 

「……誰かこっちを見ています」

「報告は明瞭に、後大きな声でな」

「すみません」

 

坂本から注意され、サーニャは謝った。

 

「シリウスの方角に所属不明の飛行体、高速で接近しています」

「…ネウロイかしら?」

「はい、間違いないと思います。通常の航空機の速度ではありません」

 

それを聞いて坂本が魔眼で確認するが、彼女の目には何も見えなかった。

 

「…私には何も見えないが」

「雲の中です。目標を肉眼で確認できません」

 

それを聞いて宮藤が慌てる。

 

「ど、どうすればいいんですか?」

「どうしようもないなあ」

「悔しいけど、ストライカーが無いから仕方がないわ」

「そ、そんなぁ…」

 

と、宮藤に対して落ち着いて答える坂本とミーナ。

 

「!、まさかそれを狙って?」

「ネウロイがそんな回りくどいことなどしないさ」

「目標は依然、高速で近づいています」

 

ミーナが推測するが、坂本が否定した。その間にも、サーニャの報告ではネウロイが接近しているという情報が届いていた。

 

「サーニャさん、援護が来るまで時間を稼げればいいわ。交戦は出来るだけ避けて」

「はい」

 

ミーナの命令にサーニャは返事をし、フリーガーハマーの安全ロックを解除した。そしてそのままネウロイのいるであろう方向へ転換した。

 

「目標を引き離します」

「無理しないでね」

「…サーニャちゃんにはネウロイが何処に居るかわかるんですか?」

 

宮藤は先ほどまでのサーニャの動きを見て不思議に思い、坂本に聞いた。

 

「ああ、あいつには地平線の向こう側にある物だって見えているはずだ」

「へぇ~」

 

坂本の説明を聞いて宮藤は関心したように声を吐く。

 

「それで何時も、夜間の哨戒任務に就いてもらっているのよ」

「お前の治癒魔法みたいなもんさ。さっき唄を聞いただろ?あれもその魔法の一つだ」

「唄声でこの輸送機を誘導していたのよ」

 

ミーナと坂本が説明する中、サーニャは雲に向けてフリーガーハマーの引き金を引き、二つのロケット弾を発射した。ロケット弾はそのまま真っ直ぐ飛び、雲の中で爆発した。

 

「反撃してこない…?」

 

サーニャはネウロイからの攻撃が無いことに違和感を感じる。その間にも、輸送機はネウロイから遠ざかっていく。

 

「サーニャ、もういい。戻ってくれ」

「でも、また…」

 

サーニャは肩で息をしながらまだ戦えると言った。

 

「ありがとう、一人でよく守ってくれたわ」

 

ミーナの言葉に、ようやくサーニャも戦闘を終了した。

その頃、雲の下では基地から離陸したシュミット達が輸送機に向けて飛んでいた。

 

「ひどい雨だね。何も見えない」

「いや、あそこにいる!」

 

シュミットが強化した目で輸送機の機影を確認する。その横には、サーニャが並走していた。

それを見て、エイラが急いで駆けつけて行く。

 

「サーニャ!!」

「ちょっとエイラさん!勝手なことを…!」

「いや、いいだろう。戦闘は終わったようだ」

 

バルクホルンが輸送機の様子を見てそれを容認した。

しかし、輸送機と一緒に下りてくるサーニャの表情は暗かった。

 

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「それじゃあ、今回のネウロイはサーニャ以外誰も見ていないのか」

 

バルクホルンは雨に濡れた体を拭きながら言った。

あの後基地に帰投した後、シュミット以外のウィッチ達はシャワーを浴びた。そして休憩が終了後、今回のネウロイについてミーティングルームで話し合っていた。

 

「ずっと雲に隠れて出てこなかったからな」

「けど、何も反撃してこなかったって言うけど、そんな事あるのかな?それ本当にネウロイだったのか?」

 

そう、ハルトマンの意見は尤もである。今までのネウロイは、ウィッチの攻撃に対して反撃の行動を示していた。しかし今回のネウロイはサーニャの攻撃を受けたにもかかわらず反撃を一切してこなかったのだ。

 

「恥ずかしがり屋のネウロイ!」

「……」

「……なんてことないですよね。ごめんさない…」

 

リーネが場の空気を和ませようと言うが、全員が反応しなかったためリーネは縮こまってしまった。

 

「だとしたら、ちょうど似た者同士気でも合ったんじゃなくて?」

 

ペリーヌが紅茶を飲みながらそんなことを言うため、それを聞いたエイラが舌を出す。

 

「ネウロイとは何か。それが明確になっていない以上、この先どんなネウロイが現れても不思議ではないわ」

 

ミーナが手に持ったマグカップを回しながら言う。

 

「仕損じたネウロイが連続して出現する確率は極めて高い…」

「ということは、また現れるってことか?」

 

バルクホルンの言葉にシュミットが聞く。それをバルクホルンは頷いて返した。

 

「なににしても、しばらくは夜間戦闘を想定したシフトを敷こうと思うの」

 

ミーナの提案に、全員が賛同する。

 

「サーニャさんとシュミットさんはこれまで通りとして、宮藤さん」

「は、はい!」

「当面の間、貴方達は夜間専従班に任命します」

「えっ!?私もですか!?」

 

宮藤は突然自分が夜間専従班に任命されたことに驚く。

 

「宮藤は今回の戦闘の経験者だからな」

 

坂本が任命された理由を言うが、宮藤はそれに納得してはいなかった。

 

「そうなると、もう一人必要ね……」

 

そう、ミーナの言う通りもう一人必要になる。501では基本的に二人一組のロッテ戦術を使う。そのため、三人一組の戦術を使用しないため、一人減らすかもう一人入れるかした方がいいのである。

 

「わ、私はただ見てただけで…うわっ!?」

「はいはいはいはい!!私もやる!!」

「いいわ、じゃあエイラさんも含めて四人で」

 

と、宮藤が話しているところを頭を押さえる形でエイラが割り込む。エイラは既に夜間戦闘班のメインからは外れていたが、彼女は501にシュミットが来る前まで、501内でサーニャの次に夜間戦闘経験がある。そのためミーナはエイラの参加を許可した。

 

「すみません。私がネウロイを取り逃がしたから…」

「ううん。そんなこと言ったんじゃないから!」

「そうだサーニャ」

 

サーニャの言葉を宮藤が否定する。そして同時に、今まで黙っていたシュミットも否定した。

 

「サーニャ一人で出来ないなら、四人で戦えばいいんだから」

 

そうシュミットは優しく言った。エイラはその言葉にムッとしたが、サーニャはその言葉を聞いて少し肩の荷が下りたような感じがした。

 

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「あら、ブルーベリー。でもどうしてこんなに?」

 

翌日の朝、食堂に来たペリーヌが沢山籠に詰め込まれたブルーベリーを見てそう言った。

それをリーネがもう一つ籠を持ちながら答えた。

 

「私の実家から送られてきたんです。ブルーベリーは目にいいんですよ?」

 

テーブルの方では他の隊員が朝食後のデザートにブルーベリーを食べていた。そしてリーネの会話を聞いてバルクホルンが口を開いた。

 

「確かに、ブリタニアでは夜間飛行のパイロットがよく食べるという話を聞くが…」

「目にいいのなら、私は尚更食べないといけないな」

 

バルクホルンの言葉を横で聞いてシュミットもブルーベリーを食べ始めた。

 

「芳佳、シャーリー!ベ~して、べ~!」

「?べ~」

「?こう?」

「べ~」

 

と、三人は互いの紫色になった舌を見せ合う。それを見て笑い合う三人を見て、ペリーヌが口元を拭きながら見ていた。

 

「まったくありがちなことを……」

「お前はどうなんダ?」

 

と、後ろからそろりと近づいたエイラによって口を開かれるペリーヌ。そこは紫色に色が変わっていた。

それを見て坂本が目の前で立ち止まり「何事もほどほどにな…」と言いながら立ち去って行ったので、ペリーヌは半泣きになりながらエイラに詰め寄っていく。

 

「なんてことなさいましてエイラさん!」

「なんてことナイって」

 

その光景を見ていたシュミットは自分の口の前に手をかざして舌を見た。案の定、舌は紫色に変わっていた。その様子を見てバルクホルンが尋ねた。

 

「……どうした?」

「いや……食べすぎも注意だなと思ってな」

 

そんな感じに出来事が起きている中、サーニャは静かにブルーベリーを食べていたのだった。

 

「さて、朝食が済んだところで……」

 

食事が終了し、坂本が夜間専従班となったシュミット達に向き直った。

 

「お前たちは夜に備えて寝ろ!!」

「了解」

 

その宣言を聞いて、シュミットは了承する。宮藤は何故か分からない様子だったが。

 

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その後、シュミット以外のウィッチ達が集まっていた。

 

「さっき起きたばっかりなのに…何も部屋の中まで真っ暗にすることないよね」

「暗いのに慣れろって事ダロ」

 

宮藤は文句を言っていた。それに対してエイラが理由を説明した。

 

「ごめんね、サーニャちゃんの部屋なのにこんなにしちゃって……」

 

宮藤に声を掛けられ、サーニャは顔を上げる。

 

「別に…いつもと変わらないけど…」

「そうなんだ…でも、なんかこれお札みたい…」

「オフダ?」

 

宮藤が言う後ろでエイラが聞く。

 

「お化けとか幽霊とか入って来ませんようにっておまじない」

 

それを静かに聞いていたサーニャが口を開いた。

 

「私、よく幽霊と間違われる…」

「へ~、夜飛んでるとありそうだよね」

「ううん、飛んでなくても言われる…いるのかいないのかわからないって」

「ツンツンメガネの言う事なんか気にすんナ。暇だったらタロットでもやろう」

 

そう言って、エイラがベッドの上にタロットカードを並べる。そしてその中の一枚を宮藤が引いた。

 

「どれどれ…ふーん。よかったナ。今一番会いたい人ともうすぐ会えるって」

「えっ、そうなの!?」

 

それを聞いて宮藤が笑顔になるが、すぐに表情を暗くした。

 

「…でも、それは無理だよ」

「なんデ?」

「だって、私の会いたい人は…」

「そうか…そう言われてもナ~」

 

そう言ってベッドに寝っ転がるエイラだった。その様子を見てから宮藤はふと壁を見た。

そこにはカレンダーが掛かっており、18日に丸印が書いてあった。それを見て宮藤は「あれ?」と思った。

 

 




うーん、シュミット君やはり薄い。
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