ストライクウィッチーズ 鉄の狼の漂流記   作:深山@菊花

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次話投稿します。正直に言います。変な文章です。
と言うより、気が付いたらUAが20000を超えていてびっくりしました。皆さんありがとうございます。


第二十四話「サーニャの安堵と助言」

「シュミットさん!」

 

サーニャが叫んでシュミットのところに駆け寄っていく。その後に続いてフレイジャー兄弟も走り出す。

 

「サ、サーニャ!?」

 

エイラがこの場にサーニャがいることに驚き声を出す。他のウィッチ達もサーニャが起きていると思っておらず少なからず驚いていた。

サーニャはバルクホルンとシャーリーに担がれ医務室に向かっているシュミットを見る。

シュミットは頭から血を流し気絶していた。しかしその血はまだ傷口が開いているのか流れ続けている。また、彼は機関砲を持っておらず、代わりに彼の服には小さい金属片が刺さっていた。

ミハエルとマルクスもシュミットの容態を見て驚く。

 

「シュミット!?」

 

マルクスの声によってか、それとも痛みによってか、シュミットは唸り声を出す。

 

「ううっ……」

「シュミット…」

「宮藤、お前も同行するんだ。シュミットの治療をしろ!」

「わかりました!」

 

まだ若干の意識があるシュミットにマルクスが大事なものを触るかのようにてを伸ばす。坂本は宮藤に命令をし、宮藤が返事をする。そしてバルクホルン達についていく。残された皆はその場で運ばれていくシュミットを見ているしかできなかった。

そんなとき、ミーナが皆に声をかけた。

 

「シュミットさんが心配なのは分かるわ。でも皆とりあえず基地に戻りましょう」

 

そう言えば全員まだユニットを履いていたんだと思い、急いでそれぞれのユニットの固定台に向かったのだった。

 

-----------------------------------------------------------------------------

 

「皆注目。宮藤さんの治療のかいもあって、シュミットさんは取り敢えず命に別状はありません」

 

ミーナの言葉によって、ブリーフィングルームの張りつめた雰囲気は若干抜ける。

 

「ただ、まだ気絶した状態から目覚めていないので、今日の夜間哨戒はサーニャさん、貴方が代わりに出てください」

「わかりました…」

 

サーニャはミーナから言われ了承する。しかし、そこにあった表情はまだ若干元気が無く、返事も少し暗かった。その反応は他のウィッチ達も見てわかるほどだった。

ミーナがそんなサーニャを見て励ましの声を掛ける。

 

「大丈夫よサーニャさん。シュミットさんは疲れて眠っているだけで、大事を取って医務室で休んでいるだけだから」

 

ミーナに励ましを貰い、ようやくサーニャも安堵の息を溢す。そんなサーニャを見てミーナは少し笑顔になった後、全員に解散を言った。

そうしてそれぞれ解散していく中、ブリーフィングルームにはミーナと坂本が残る。しかし、ミーナは最後に出ていくサーニャを呼び止めた。

 

「サーニャさん」

 

突然呼ばれたサーニャは何だろうと思い振り返る。

そこには微笑をするミーナがいた。

 

「シュミットさんが気になるのね」

 

ミーナがストレートに言い放つ言葉はサーニャをドキリとさせた。横にいる坂本はなんの話だ?というような反応をしている。何故ミーナがサーニャにだけ言ったのか分からなかったようだ。

 

「一応、医務室には静かにしていれば入室していいから、出撃までなら面会してもいいわ」

 

その言葉はサーニャからしたら今一番欲しかった言葉かもしれない。サーニャはミーナにお礼を言った。

 

「ありがとうございます」

「その代わり、出撃には必ず間に合うように」

 

そうしてサーニャはブリーフィングルームを出て、そして小走りだが走り始める。そして医務室の前に到着した時、その場で立ち止まる。

サーニャは少し戸惑っていた――医務室の中に入るか入らないか。目の前にある厚さ5cmも無い扉を開ければ、その先に目的の人物がいる。しかしサーニャはその扉を開こうにも体が重く感じていた。

しかしいつまでも突っ立っているわけには居られない。サーニャは意を決して扉を押し、そして中に入った。

医務室の中には宮藤がシュミットの近くに立っていた。宮藤がサーニャに気づく。

 

「あっ、サーニャちゃん」

「芳佳ちゃん…」

 

宮藤がサーニャに気づき声を掛けるが、サーニャは今にも消えそうな小さな声で返事をする。原因はサーニャの目線の先に映るシュミットだった。

治癒を受けたシュミットは頭に包帯を巻いた状態でベットの上で眠っていた。帰還した時に服に刺さっていた破片はどうやら肉体にまで達していなかったようで、体には包帯が巻かれていなかった。

サーニャはゆっくりとシュミットに近づいていく。そしてベッドの真ん前にまで近づいた時だった。

 

「うっ…」

 

突然呻き声がする。その声に部屋にいたサーニャと宮藤が驚くと、シュミットが閉じていた瞼を少しだけ開いた。

 

「シュミットさん…!」

「シュミットさん!」

 

二人は思わずシュミットの名前を呼んだ。そしてシュミットは一度瞬きをした後、二人の方向を向いた。

 

「…サーニャに宮藤」

「シュミットさん…よかった」

 

宮藤が安堵の声を漏らす。

 

「私は…一体何があった…」

「シュミットさん、ネウロイの攻撃を受けて落とされたんです」

「私が…あぁ、あの時か」

 

シュミットは徐々にその時の記憶を思い出したのか、納得したように声を漏らしながら体を起こす。その時だった。シュミットはサーニャを見てあるもの(・・・)に気づき驚いた。

 

「サーニャ…何故泣いている(・・・)んだ?」

 

シュミットの声を聞いて宮藤もサーニャを見る。そこには目から涙を流し、そして両手で手を覆っているサーニャがいたのだ。

 

「サーニャちゃん…」

 

宮藤もそんなサーニャを見て驚くが、サーニャは静かにシュミットを見て涙を流していた。

シュミットはそんなサーニャの姿を見て少し心が痛くなってくる。そしてさらに驚くことは続いた。

今度はサーニャがシュミットに近づき、彼の手を取って握り、そして静かに涙を流した。

シュミットは自分の手をサーニャが大事そうに握っているのを見て、言葉を失った。自分が知らず知らずのうちにサーニャにこんな心配をかけてしまったことに対する罪悪感を感じたからだった。

また、その罪悪感は別のことで加速していた。シュミットからしたらサーニャは妹の面影を感じる少女でもあった。そのため、自分の妹を泣かせたような感覚までも彼に重くのしかかってきた。

しかしシュミットはここで勘違いをしていた。サーニャを心配させたのは自分が知らず知らずのうちにサーニャに心配されるほど行動に弛みが出てしまっていたのだろうと思っていた。

 

「すまないサーニャ…私の慢心のせいでこんな事故になっていまって。サーニャも怒るよな…」

 

しかしサーニャはシュミットの言葉を聞いてゆっくりと首を振った。その反応にシュミットはひょっとする。

そしてサーニャが言った次の言葉でシュミットは自分の勘違いを知った。

 

「違うんです…、シュミットさんが無事だったから嬉しくて…」

 

サーニャの突然の言葉にシュミットは目を開いて驚いた。まさかサーニャがそんな風に思って泣いているとは思っていなかったからだ。シュミットはそんなサーニャの言葉を聞いて心から温まる何かがあった。そして目元に僅かに涙を浮かべる。

 

「すまない、本当にすまないサーニャ…」

 

そして静かにシュミットも涙を流し始める。部屋の中にはサーニャとシュミット、二人の静かな鳴き声が広がった。

 

-----------------------------------------------------------------------------

 

ミハエルとマルクスは現在本来の目的であるシュミットのユニットを、501の整備兵たちと見ていた。彼らも最初こそシュミットを見てショックを受けたが、彼らは彼らなりにシュミットのために墜落原因について懸命に追及していだった。

現在ユニットは坂本からの進言でオーバーホールをしていた。勿論、昼間の戦闘で出た黒煙についてだ。今回は出撃した全員が見ていたのだ。どうあがいてもユニットの故障以外では考えられないと。

 

「……おかしい」

 

整備中のアロイスが手元を動かしながら疑問の声を漏らす。それは他の整備兵も感じていることだった。

 

「ここまで破損した部品が見つからないなんて、普通ありえない…」

 

そう、全員が整備を徹底して確認しているが、いまだに一つも破損した様子は無かった。501の整備兵は完全にこのことにお手上げな状態だった――二人を除いて。

この様子を見ていたミハエルとマルクスは、互いに顔を見合わせた。そして、頭の中である仮説を考えていた。

 

「なぁマルクス」

「なんだミハエル」

「これって、故障じゃないんじゃないか?」

「同感だ。こいつはおそらく故障じゃない」

 

その会話を聞いていた整備兵たちは一斉に「えっ!?」っと驚き作業している手を止めた。無理もないだろう。今整備しているユニットは故障じゃないと言っているのだ。

 

「どういうことですか少尉、故障じゃないと?」

 

アロイスが代表して聞いた。

 

「ああ、そうだ。こいつは故障じゃない」

「むしろ正常と言ったほうが正しいんじゃないかな」

 

マルクスの正常という言葉にさらに驚く整備兵たち。故障だと言われているユニットは正常。そんなことを言われて信じられる人はいないだろう。

 

「とりあえず、シュミットにこの事は言うべきか?」

「そりゃそうだろう。じゃなきゃシュミット、また堕ちるぞ?」

 

全く内容の分からない話をする二人に整備兵たちは困惑するが、その様子を見てマルクスが言った。

 

「一応言っておく。この件はユニットじゃなく搭乗者――つまりシュミット自身が原因だ」

「えっ?」

 

なぜ負傷したシュミットが原因なんだと考えるが、そんな整備兵たちを余所に二人は格納庫から出た。

そして二人はそのまま501の基地を歩いていた。勿論シュミットの医務室に向けてだ。

 

「しかし、シュミットはいいものだな。花のウィッチーズの周りにいつもいるわけなんだから」

「同感だミハエル。俺も同じように囲まれたいと思うよ」

 

と、他愛もないくだらない話をする二人。するとその時、二人はあることに気づいた。

 

「…なぁマルクス」

「なんだミハエル…まさか」

「そのまさかだ…」

 

そして二人は声を合わせて言った。

 

「「いったい医務室って何処だ?」」

 

なんと二人は医務室の場所を分からずに基地を歩いていたのだ。それどころか彼らは501基地の内部についても詳しく知らない。そのため現在いる位置も何処かわかっていないのだ。

しかしそんな二人に救いの手は舞い降りた。

 

「何をしているの!」

 

突然後ろから声を掛けられ二人は振り返る。振り返った先には二人の見知った顔がいた。

 

「ミーナ中佐!」

「その、シュミットのところに行こうと思っていたのですが、彼の医務室はどこかわかりますか?」

 

そう言って真面目に言う二人だが、ミーナはシュミットのいる医務室を教えようとして――そしてやめた。

今医務室にはシュミットだけでなく、治癒をしていた宮藤、そしてシュミットの下に向かったであろうサーニャがいると考えたからだ。

そのためミーナは二人に言った。

 

「貴方達がシュミットさんを大事に思っているのは分かるわ…しかし、今シュミットさんは安静にしないといけないから面会はできないの」

「そ、そうですか…」

「せっかく解決方法が分かったのに…」

 

二人はミーナの説明を聞いてがっくりと肩を落とすが、ミーナはそんな中でミハイルが言ったある言葉が気になった。

 

「解決方法?それっていったい何のこと?」

 

ミーナは二人に質問した。

 

「シュミットが落ちた原因についてです」

「あれはおそらくユニットが故障したものじゃありません」

 

それを聞いてミーナは驚いた。ミーナでさえ、墜落の原因はユニットの故障による物だと考えていたからだ。しかしこの二人はそれを否定した。

 

「…詳しく聞かせてもらえないかしら」

 

――そして、ミハエルとマルクスはミーナに説明をした。それを聞いてミーナは更に驚いたのだった。

 

-----------------------------------------------------------------------------

 

「シュミットさん、起きているかしら…」

 

そう言ってミーナは医務室に入ると、目の前の光景に少し固まった。そこにはシュミットの手を握って泣いているサーニャと、そのサーニャを見て泣いているシュミット。そんな二人を部屋の隅から見ていた宮藤は、ミーナに向けてどうしたらいいのかわからないといったような表情をしていた。

しかしシュミットがいち早く立ち直った。彼はもう片方の手で目元の涙を拭ってベッドに座りながらミーナに向き直った。

そんなシュミットを見てミーナも立ち直る。

 

「よかった、目が覚めたのねシュミットさん」

「はい、すみません中佐。心配をかけてしまって」

「それなら、シュミットさんの親友さんに言ってあげた方がいいわよ。二人共貴方のことを心配していたから」

「そうですね」

 

そう言っていつもの調子を取り戻してきたシュミット。

 

「そういえば、あの二人から伝言です」

「伝言?」

 

シュミットは何故二人から伝言が来たのかと疑問に思った。二人はまだ基地にいるのではないか?

 

「なんでも本国に戻って準備をすることがあると言って急いで帰って行ってしまったの」

「はぁ…」

 

それはなんとも二人らしい…と、シュミットは思った。

 

「そして伝言ですが、『シュミット、ユニットに魔力を流しすぎるな。もっと細かく制御をしろ』。だそうです」

「は?」

 

なんとも訳が分からないといった様子のシュミット。しかし彼の中では高速で頭が回っていた。

 

(魔力を流しすぎるな…細かく制御?どういうことだ?しかし二人が特に理由もなくそんなことを言うはずがない。ユニットに関してもあっちの方が熟知しているのは確かだ。ということはこれは助言か?)

 

懸命に考えているシュミットを見て、ミーナは忘れていた事を思い出した。

 

「そうだ、シュミットさん」

「あっ、はい」

「サーニャさんをあまり心配させないように、ね」

 

そう言って微笑した後、ミーナは医務室の外へ出て行ったのだった。




なんか自分で書いていて二人の距離は縮まっているのか分からなくなってきました。というより、芳佳ちゃん完全に凄い現場に居合わせていますねw
しかしフレイジャー兄弟、なかなかの切れ者であります。シュミット君に重要な助言を残していきました。
誤字、脱字報告お待ちしております。それでは!
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