ストライクウィッチーズ 鉄の狼の漂流記   作:深山@菊花

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CAUTION! CAUTION! この話はとてつもない甘い成分を含んでいます。
耐性の無い方、あるいはこういった話が苦手な方はブラウザバックをお勧めします。
作者は苦情は受けませんのでご了承を。
それではどうぞ!
※タイトルの話数を間違えました。訂正します


第三十三話「解散と告白と新たな決意」

謎の飛行物体が空域を離脱したのち、宮藤は拘束された。しかし、この時ミーナが撃墜せず基地に帰投したのは、彼女なりの優しさがあるのだろうか。

そして基地に帰投しようとするシュミット達だったが、滑走路に人影を見つける。

 

「あれ?誰かいるよ?」

「ん?…あの軍人は?」

 

ルッキーニの声にシュミットも見ると、滑走路には数名の兵士が居た。そしてその中央に黒い軍服の男性が立っている。

そして全員が滑走路に降りると、中心の男性はミーナに話しかけた。

 

「ご苦労だった、ミーナ中佐」

 

そう言うと同時に、シュミット達の後ろから風を切る音が鳴る。振り返って見ると、先ほど見た飛行物体が空中で反転をし、そして目の前に立つ人物の後ろに着地した。

シュミット達は驚く。

 

「さっきのだ」

「ああ…」

 

そう驚いている瞬間、周りに立っていた兵士が一斉にシュミット達を囲い、そして手に持つ銃を向けた。

その行動に更に驚くが、ミーナはいたって冷静に目の前の人物に話し始めた。

 

「まるでクーデターですね、マロニー大将」

(マロニーだって?…それじゃあこの人が!)

 

シュミットはミーナの言ったマロニーという名前を以前聞いていたので内心驚いていた。このようなクーデターまがいの事を起こした人物がまさか自分たちの上司だったのだ。

しかしマロニーはそんなミーナの言葉を特に気にするそぶりをせず、まるで当然と言わんばかりの態度をとる。

そしてマロニーは紙をミーナ達に見せた。それは配置転換の書類だった。

 

「命令に基づく正式な配置転換だよミーナ中佐。この基地はこれより私の配下である第一特殊強襲部隊――通称、『ウォーロック』が引き継ぐこととなる」

「ウォーロック…!?」

 

ウォーロックという単語はウィッチーズを困惑させた。シュミットはマロニーの後ろに聳え立つウォーロックと呼ばれた兵器を見る。

機械の体に手足が生えたような構造をしているウォーロックを見て、シュミットからはこの兵器から何かろくでもないことをしでかすのではないかと考える。

 

「…こいつがウィッチの代わりになるのか。お笑いだな」

「口を慎みたまえ、シュミット中尉」

 

ボソリと呟くシュミットにマロニーは反応をしたので、シュミットは「はいはい…」と言った様子で肩をすくめる。

そしてしばらくした後、包囲されているシュミット達の所に次々と基地で待機していた他のウィッチ達も集まってくる。

ウィッチーズが全員集まったのを見てマロニーは頷いた。

 

「ウィッチーズ全員集合かね」

 

そしてマロニーは一歩前に出た。そしてマロニーは宮藤の前に立つ。

 

「君が宮藤芳佳軍曹か」

「はい…」

 

宮藤は目の前に立つマロニーの気に押され尻すぼみな返事をする。

 

「君は軍規に背いて脱走をした。そうだな?」

「…軍規…」

 

宮藤はマロニーに言われ思い返すが、彼女は何かを思い出したのか反応する。

 

「あっ…!その後ろの…」

「ウォーロックのことかね?」

 

宮藤の反応にマロニーは自信満々そうに紹介をする。しかし宮藤はさらに続けた。

 

「私見ました。それがネウロイと同じ部屋で、実験室のような部屋で…!」

「なっ!?何を言い出すんだ君は!!」

 

宮藤の発言にマロニーはまるで動揺したように反応した。そしてその反応を見逃さない人たちが数名いた。その中にはシュミットもいた。

 

(ネウロイと同じ部屋…そして実験室。宮藤がこの兵器の開発室を見るはずが無いはず。だが反応の仕方が嘘をついているそれでは無い…)

 

シュミットは冷静に分析をしだす。そして再びウォーロックを見た。

 

「質問に答えたまえ!君は脱走した!そうだな?」

「…はい。でも…」

 

マロニーの質問に宮藤は返事をするが、追加で何かを訴えようとした。しかしマロニーはそれを聞かずにミーナを見る。

 

「中佐、私は脱走者は撃墜するように命令したはずだ」

「はい。ですが…」

「隊員は脱走を企てる。それを追うべき上官も司令部からの命令を守らない。全く残念だ…」

 

マロニーは心底失望したように言う。それを聞いてシュミットは腹が立つが何とか胸の中で抑えた。

そしてさらにマロニーは衝撃の言葉を口にした。

 

「本日只今を持って、第501統合戦闘航空団ストライクウィッチーズは解散する!」

『なっ!?』

 

マロニーの言葉に今度は全員が驚く。ブリタニアの防衛を担っているストライクウィッチーズを突然解散すると言い出すのだ。

 

「各隊員は可及的速やかに各国の原隊に復帰せよ!以上だ。分かったかね中佐」

「…了解しました」

 

ミーナは相手に悟られないように、しかしそれでもマロニーを睨みながら返事をした。

中で一番ショックを受けたのは宮藤だった。

 

「そんな…解散…ウィッチーズが…」

「君の独断専行が原因なのだよ、宮藤軍曹」

 

宮藤は解散と言う現実を受け止められなかったが、更に畳みかけるようにマロニーが言った。そしてそれにショックを受けた宮藤は気を失い倒れたのだ。

 

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「芳佳ちゃん!芳佳ちゃん!」

 

リーネの呼びかけに宮藤はベッドに眠りながら目を覚ます。そして目覚めた宮藤を見てリーネは喜ぶ。

 

「芳佳ちゃん!よかった…」

「リーネちゃん、皆…私…」

「宮藤、お前はさっき滑走路で倒れたんだ」

「蓄積した疲労とショックで意識を失ったみたいね」

 

宮藤は現状を把握できていなかったのでシュミットが説明をし、ミーナがその原因について言った。そして宮藤は徐々に思い出していき、思い出したように意識を覚醒した。

 

「そうだ!あのウォーロックって、なんかおかしい。今から皆で調べれば…」

 

そう言う宮藤だったが、全員の方向を振り向いた時にあるものが目に入った。それは彼らの足元に置かれていた大きなカバンだった。

 

「皆…それは――」

「…命令で、私達皆は今すぐここを出なくちゃいけないの」

「それじゃあ、やっぱりウィッチーズは…解散?」

 

リーネの説明を聞き宮藤は質問する。宮藤はこれが夢であってほしかった。しかし現実は非情でありリーネは「うん…」と弱々しく肯定したのだった。

それを聞いて宮藤は罪悪感に駆られた。自分の無責任な行動で、全員の居場所だった501は失われてしまったことに対してだ。

 

「ごめんなさい皆…私…ごめんなさい…私のせいで…私の…!」

「違うよ、そうじゃない…」

「芳佳、元気出せ!」

 

宮藤は目から大粒の涙を流しながら全員に謝罪した。リーネはそんな宮藤を見ていられなくなり懸命にフォローをしようとし、ルッキーニはいつもの元気で宮藤を慰める。しかしそれでも、宮藤はずっと涙を流し続けたのだった。自分の行動が証明できず、そのせいで皆に迷惑をかけてしまったことに対して。

そしてしばらく泣いた後、全員移動の支度をする。それぞれは各原隊に戻ったりするのだが、ここで困ったのはシュミットだった。

異世界から来た彼に原隊は無い。そのため他と同じように原隊復帰などできないのだ。困り果てたシュミットはミーナに聞いた。

 

「私は一体どうしたらいいんでしょうか?まさか仕事を失うとか無いですよね?」

 

ミーナに質問するシュミット。そんなシュミットを見てミーナは書類を一枚シュミットに渡した。

それを受け取ったシュミットは内容を見る。

 

「…私はここに?」

「ええ。原隊のない貴方はここに向かうように辞令が来ました」

「なるほど…しかしまた遠いな…」

 

そう言って書面を見るシュミット。軽い感じに言っているが、彼の向かう先は再び最前線、それもブリタニアからは離れた地だった。

そしてそれぞれが501を離れていくとき、シュミットはサーニャを見送りに来ていた。サーニャはエイラと共に貨物列車に便乗、そして港に着いた後スオムス方面に向かうのだ。彼女は離れ離れになった両親の手がかりを探しに行く形であり、エイラはそれについていくというのだ。

出発の時、シュミットはサーニャに言った。

 

「サーニャ…その、もしよければ手紙を書いていいかな?離れ離れになっても…その」

 

珍しく言葉を選んで赤くなりながら頬を掻くシュミット。エイラはそんなシュミットを見て突っかかる。

 

「オマエ、サーニャに何をする気だ!」

「なっ、何って手紙を書いていいか聞いているだけじゃないか…」

 

エイラがシュミットに強気で聞く。そんなエイラにシュミットは珍しく押される。

しかし、ずっと黙っていたサーニャだったが、何かを決心したように口を開いた。

 

「あの…シュミットさん」

「えっ、うん」

「手紙、私も書きます」

「っ、本当か!」

「はい」

 

それを聞いてシュミットは嬉しくなった。しかしシュミットが内心喜んでいる中、サーニャはモジモジとしながら新たに何かを言おうとする。そして再び決心をし、シュミットに話し始めた。

 

「それと…その」

「ん?」

「この間シュミットさんが私に言ったことを…」

「この間…」

 

この前と言われてシュミットは思考を振り返り、そして凍る。この前あったことと言ったら、シュミットがサーニャに告白したことだ。あの時は出撃間際だったのと、坂本が撃墜されたり宮藤が脱走したりと色々な出来事が重なり落ち着かなかったので完全に忘れていたのだ。

それを思い出しシュミットは顔が熱くなるのを感じた。心臓がバクバクと鳴る。横で聞いていたエイラは何のことか分からずサーニャを見る。サーニャも同じように頬を赤くしながら下を向いている。ますます分からなくなるエイラ。

そして、顔を赤くしながら下を向いていたサーニャがついに顔を上げて言った。

 

「私も…シュミットさんのことが好きです」

 

サーニャは告白した。それは紛れもなくこの間のシュミットの告白に対する返事だった。

シュミットは驚きで目を開く。あの時シュミットは自分が嫌われてしまったと思っていた。しかし今回手紙を書いていいか聞いて、サーニャから返事をもらったので少し心の中で喜んでいた。

しかし、今の告白はシュミットの予想外だった。サーニャが、シュミットのことを好きだと言ったのだ。この返答が来るのは予想外だった。

そして、それを聞いていたエイラだが、完全に固まっていた。それはもう、石になったと言わんばかりに。

そんなエイラを余所に、シュミットの胸の中から溢れる思いが駆け巡る。そして突然、サーニャを抱きしめた。抱きしめられたサーニャはいきなりの行動に驚くが、シュミットがその腕でサーニャのことを大切に抱きしめていたので、少しずつシュミットの体に身を委ね始める。

サーニャはシュミットに身をゆだねながら、彼の温もりを感じた。抱きしめられながらシュミットから感じる温もりを感じて心が自然と暖かくなっていく。

そしてシュミットは、そんなサーニャに抱きしめながら静かに話し始めた。

 

「サーニャ…私もサーニャが好きだ。だから、サーニャの告白が聞けて今すごく嬉しい。サーニャ、私はサーニャとずっと一緒に居たいと思っている」

 

抱きしめながら告白するシュミット。そうしてしばらくした後、シュミットは抱きしめていたサーニャの肩を掴み、ゆっくりと彼女の顔を見る。シュミットの顔の僅か10数㎝先には、頬を赤くした彼の愛した少女の顔があった。その姿は初めて会った時よりも一層美しいと言える姿で映っていた。

そして、二人の顔はゆっくりと近づいていく。ゆっくり、ゆっくりと近づいていき、そしてついに――、

 

「「んっ…」」

 

僅かな時間だが、静寂が流れる。そう、二人はキスをしたのだ。時間にして数秒だったが、二人にはとても長い時間に感じた。瞼を閉じながら、時間にして5秒ほど。そして、二人は息が苦しくなったのか、互いに唇をそっと離す。

互いの頬は真っ赤だった。しかし二人は今、とても幸せだった。

そして今、シュミットは心の中で新たな決意を固めた。

 

「サーニャ。私はネウロイを絶対に倒し、そしてサーニャの祖国を解放することを誓う。そして…ずっとサーニャを守って見せるから!」

 

そう誓いを新たに、二人の男女はここで結ばれたのだった。




ついに来ました。というか、みんなの意表を突くタイミングでぶっこみました。作者の気まぐれで。
自分で書いておきながら言いますが、とてつもなく甘く感じました。
まさか自分が恋愛話を書くとは考えもしませんでしたね。
恋愛話は今回が初(小説を書くこと自体このシリーズが初)なので、模写がかなり苦労しました。
一応忠告します。まだ一期終わっていません。あしからず。
誤字、脱字報告お待ちしております。次回どうなる!?
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