ストライクウィッチーズ 鉄の狼の漂流記   作:深山@菊花

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というわけで第六十二話です。タイトルの通り、あの人の復活です。どうぞ!


第六十二話「復活の丹頂鶴」

「マンシュタイン元帥に敬礼」

 

ラルの言葉に、全員が各国それぞれの敬礼をする。シュミットも、自分の母国空軍の敬礼をする。

502基地に帰投したウィッチーズは、すぐさまブリーフィングルームに集合させられた。そして全員が部屋に入ると、なんとそこにはラルの他にもう一人いた。

シュミットはその姿を直接見たことは無かったが、その顔はよく覚えていた。別の世界であれど、その人物はなんとマンシュタインだったからだ。

そしてマンシュタインは全員の敬礼を確認した後、すぐさま首を小さく振った。

 

「うむ、座ってくれたまえ」

 

その言葉に、ウィッチたち全員が席に着く。そしてマンシュタインは、ラルの方を向いた。

 

「突然すまないな、ラル少佐」

「いえ。それで、今日はどういった用向きで?」

 

ラルが聞くと、マンシュタインは正面を向いて説明を始めた。

 

「一部の者には内々に伝えていたが…ペテルブルグ軍集団によるグリゴーリ攻略のフレイアー作戦について、だ」

「ついに…」

 

マンシュタインの説明を聞き、ロスマンはついにと覚悟をした様子で反応した。

そんな中、ひかりはフレイアーが何のことか分からず小声でニパに聞いた。

 

「フレイアーって何ですか?」

「こっちの神様で、豊穣の女神って言われてるんだ」

 

そして、マンシュタインは続けて説明する。

 

「補給路が回復し、士気が大幅に向上したことでフレイアー作戦の発動が正式に決定した・そこで、君たち502部隊にも当作戦への参加を要請する」

「いよいよか」

 

管野はマンシュタインの説明を聞き、拳をつかみながらやる気になったように言った。

しかし、ラルは気になることがありマンシュタインに質問した。

 

「その作戦ですが、501ストライクウィッチーズがガリアを開放した例に準ずるのでしょうか?だとすれば、リスクが大きすぎると思われますが…」

 

その言葉を聞き、眉を上げたシュミット。それは昨日にラルの元へ届いた資料に記載された、ウォーロックのことを言っているのだと理解したからだ。あれを使うとなると、連合軍側への被害が来る可能性の方が高い。

それについてはマンシュタインも理解している様子であった。

 

「ウィッチは耳も早いな。安心したまえ、ネウロイのテクノロジーは我らの手に余る」

 

その言葉を聞き、シュミットは少し安心したように息を吐く。

 

「では?」

「作戦そのものはシンプルだ。現在ムルマンに集結中のペテルブルグ軍の戦力でグリゴーリを叩く。そうすることにより…」

「ネウロイの生産力を壊滅させる」

「そうだ。そして無防備になったグリゴーリ内部に侵入し、本体のコアを超大型列車砲で撃ち抜く」

 

その説明を聞き、二パと管野は考える。

 

「超大型列車砲って、この前船で運んでたやつかな?」

「つーか、コアをぶち抜くったって、どうやってコアの位置を見つけるつもり…」

「あっ!!」

『!!』

 

ニパと管野はコア特定方法を考え、ある答えにたどり着いた。そして同時に、502のウィッチたち全員も何かを理解した。ただ一人、ひかりだけは理解していない様子であった。

 

「なお、グリゴーリのコアを見つける魔眼持ちウィッチも、既に選定済みである」

 

そしてマンシュタインの言葉を聞き、真っ先に立ち上がったのは管野とニパだった。

 

「ちょっと待て!まさか、ひかりにそんな危ねえ真似させるつもりかよ!?」

「駄目です!駄目駄目!」

「えっ、私?」

 

ひかりは分かった様子で無かったが、管野と二パはあまりにも危険すぎる内容に抗議をした。

他のウィッチたちも、三人の方向を向いていた。

 

「ついにバレちゃったか…」

「落ち着きなさい。管野さん、ニパさん」

「けどよ先生!こんなひよっこがネウロイの巣に突っ込んで無事で済むと思ってんのかよ!?」

 

管野は指を指しながら言う。シュミットも黙ってはいたが頷いていた。いくらロスマンの指導があったひかりであるが、接触魔眼は元々危険なうえに、ネウロイの巣はさらに激戦区となる。そんなところに新人のひかりを突っ込ませるなど正気の沙汰ではない。

 

「作戦開始まであと1ヵ月あります。その間に、私がひかりさんを育て上げれば何も問題はありません」

「残念だが、作戦決行は、これより7日後だ」

 

ロスマンがそう説明した時だった。マンシュタインから信じられない言葉が出たのは。

 

「はあ!?」

「7日後!?」

 

7日後という言葉に、管野とニパはありえないと言った様子で目を見開く。

ラルはおかしいと思い質問した。

 

「どういうことでしょうか?内示によれば作戦は1ヵ月後だったはずでは?」

「グリゴーリが動き出した」

「なっ!?」

「グリゴーリが…」

「動き出した…!?」

 

そしてさらに告げられた真実は、ウィッチーズ全員を動揺させた。今までネウロイの巣は停止している者ばかりであり、巣そのものが動き出した例など無かったからだ。

 

「再び補給路を失えば戦線は一気に瓦解する。もはや悠長に1ヵ月も待っていられない。今しかないのだよ」

 

それを聞き、全員が黙ってしまった。

 

「あ、あの…」

「ふざけんな!」

 

ひかりが何か言おうとした時だった。管野は大声で怒鳴った。

 

「やめろ!管野」

「いいや、やめないね!隊長こそ、ひかりをみすみす死なせるようなこんな命令断っちまえよ!」

「管野さん…」

 

大声で抗議する管野に同調するように、他のウィッチたちも反対する。

 

「私も反対!仲間を危険な目になんて合わせられないよ!」

「第一、ひかりの力ではとても成功には程遠い作戦だ。ほかに作戦は無かったのか?」

「他に何か手は無いのですか?」

 

ニパ、シュミット、サーシャが言う。

 

「子猫ちゃんを一人で行かせるわけにはいかないよね」

「どうしても、と言うのでしたら…」

「私たちも一緒に行きます」

「お前ら…」

「みなさん…」

 

クルピンスキー、下原、ジョゼも言う。ウィッチたち全員の総意に、管野とひかりは思わず驚く。

そして、ひかりは立ち上がった。

 

「私やります!やって見せます!」

「バカかてめえ!何言って…」

「君たちは何か勘違いしてるようだが。この作戦、雁淵軍曹を使うつもりなどない」

『えっ!?』

 

ひかりの言葉に管野は止めようとするが、ここでマンシュタインは新たに告げる。すると、ウィッチーズ全員がまるで予測していなかった言葉に驚く。

そしてマンシュタインは手元の時計を見る。

 

「そろそろか…」

 

そう言って、マンシュタインはブリーフィングルームの窓から外を見た。すると、窓の外から飛行音がしてくる。それは徐々に基地の方へと近づいてきていた。

 

「来たか」

「来たって…」

「ムルマンからここまで時間通り。流石と言うべきだな」

 

マンシュタインは満足したようにいった。そしてシュミット達は席を立ち、窓辺に立って外を見た。すると突然、謎の飛行物体が窓の目の前を通り過ぎて行くでは無いか。

 

「何?今の…」

「ウィッチ…だよね?」

 

ウィッチの姿に全員がその人物を探る。しかし、()()()()()()()()()()()()人たちからは、その飛行は見覚えのある物であった。

 

「あれは…!」

 

管野は気づいたように反応した。その時だった。

ひかりはまるで嬉しそうに顔を笑顔にしながら走り出した。

 

「ひかり?」

「ひかりさん?」

 

皆が何事かと思いひかりの名を呼ぶが、ひかりはそれを聞かずに無我夢中でブリーフィングルームを出て行く。

そして部屋にいたマンシュタインは、ラルに向けて言った。

 

「これで502も正しい形となるだろう。これまで現場の判断でよく頑張ってくれたな、ラル少佐」

「…恐縮です」

「では、失礼する」

 

そう言って、マンシュタインも部屋を出ていった。

そして部屋に残ったラルの横に、ロスマンとシュミットが来る。

 

「とんだタヌキジジイだ」

「隊長の独断でひかりさんを502に引き留めた件は、お咎め無しのようですね」

「代わりに、少しばかり面倒なことになりそうだがな」

 

そしてシュミットがラルに質問した。

 

「雁淵の反応と言い、今来たのって…」

「ああ、あいつだ」

「なるほど」

 

ラルの言葉に、シュミットも納得したように頷いた。

そして基地の外、滑走路では今まさに、ひかりが空を見ながら走っていた。

 

「間違いない!あれは…あれは…お姉ちゃん!」

 

ひかりは喜びながら走る。自分の憧れのであり、いつか共に飛びたいと願っていた姉が、負傷から帰ってきたからだ。

そしてひかりは、姉の着陸した場所へ到着する。

 

「お姉ちゃん」

 

ひかりは自分の姉、孝美を呼ぶ。孝美は振り返りひかりを見た。

しかしその表情は、まるでひかりをこれから叱ると言った表情をしていた。そして、孝美はキツイ声で話し始めた。

 

「ひかり」

「お、お姉ちゃん…?」

「どうしてあなたがここに居るの?」

「えっ?」

 

ひかりはまるで驚いた様子で孝美を見る。

 

「あなたの本来の任地はカウハバ基地だったはずよ。それが何故ここに居るの?」

「そ、それは…」

 

ひかりは答えることができなかった。ひかりは負傷した孝美の代わりに502に来たことを、自分の口から言う事が出来なかった。

そして、孝美はさらに言った。

 

「ひかり。ここはあなたが居ていい場所ではないわ」

「お姉ちゃん…で、でも!私、扶桑にいた時より強くなったんだよ!チドリだってちゃんと乗れるようになったんだよ!」

「誰もそんなこと聞いてないわ」

 

そして孝美は、ひかりの横を通り過ぎて行く。

 

「すぐに荷物をまとめてカウハバに行きなさい。これは正式な辞令よ」

「そんな!」

 

ひかりは振り返るが、孝美はそんなひかりに振り返ることなく、そのまま502基地へと行ってしまった。

 

「お姉ちゃん…」

 

残されたひかりは、ただ呆然と突っ立っていることしかできなかった。

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

「孝美!やっと来たな。待たせやがって、コノヤロウ」

 

孝美が格納庫にユニットを止めると、502のウィッチたちは格納庫にやってきた。

管野は孝美にそう言うと、孝美は管野の様子を見て微笑んだ。

 

「相変わらずのようね、管野さん」

「ふん、そうそう変わるかよ。けど、お前の妹はなかなかやるようになったと思うぜ」

 

管野の口からひかりのことを言われ、孝美は下を向いて黙ってしまう。

 

「…孝美?」

「いえ、なんでもないわ…」

 

管野が気にするが、孝美はなんでもないと振り切って、ラルに話しかけた。

 

「本日をもって、502統合戦闘航空団に着任しました、雁淵孝美中尉です。リバウ以来ですね、ラル隊長」

「ああ。久しぶりだな、孝美」

「本当に復帰できたんだ…」

「良かったね、ジョゼ」

 

孝美に言われて、ラルは返事をする。ジョゼは自分の治癒魔法で回復できなかった孝美が復帰をして502に来てくれたことに涙を浮かべ、その様子に下原はよかったと言った様子でジョゼに言った。

全員が新たにやってきたウィッチである孝美に向いている中、管野はひかりが居ないことに気づいた。

 

「あ…そういやひかりの奴は?」

 

そして管野はニパと共にひかりを探しに行く。そして、格納庫の外で滑走路の先で突っ立っているひかりを見つけた。

 

「居た居た、ひかり~」

 

ニパが声を掛けて駆け寄っていく。

 

「どうしたのさ?こんなところで」

「待ちに待ってた孝美が復帰したってのによ」

 

管野がそう言うが、ひかりは振り返らなかった。その様子に気づき、管野は歩いてひかりの正面に立つ。

 

「ひかり?あっ…」

 

そこにあったひかりの表情を見て、管野は気づいた。その表情は、先ほど孝美がひかりの話を聞いたときにしていたのと同じものだったからだ。




というわけで、孝美ちゃん復活!何故ブレイブウィッチーズ編の主人公を文章でひかりと書いていたかと言うと、姉と混ざってしまうからですね。
誤字、脱字報告お待ちしております。それでは次回!
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