バーサーカーしかいねえ!   作:安珍

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前回のFGO!

「ますたぁが私と同じ夢を! もうこれは結婚するしかないのでは!?」
「それはそれとして、勝手に寝室に入ってきた罰をしないとね。マシュさん、お願いします」
「はい、先輩」
「あ、ちょっ、ちょっと待ってくださいまし。それはさすがに乙女には、あっ、あ、あーーーっ!!」





第十二話「王様が言うことは」

 

 

「なぁなぁご主人。ここに割り箸があるのだが」

「え、あぁうん。そうだね」

「じゃあ王様ゲームするぞー」

「前振りを面倒くさがるのそろそろやめない?」

 

いつものようにダンプカーの如く唐突に物事を起こすキャットの提案で、立香たちは集められた。

 

「汝よ、王様ゲームとは何だ」

「えーと、人数分の割り箸に王様とその他に1からの数字を入れてくじ引きをするんだ。王様を引いた人は王様もしくは数字を言って、命令を下せる。まぁ程度にもよるけど不可能じゃないなら絶対に遂行させなくちゃいけないゲームだよ」

「…………つまり、王様になったらますたぁと、いえ、王様になったますたぁから命令を、も悪くありませんわね」

 

じゅるりと、隣に座る、と言うか寄りかかってくる清姫の口から変な音が聞こえてくるがスルーした。

 

「ふむ、であれば吾が引いて何番かにお菓子を作れと言うのもアリか……」

「あ、王様はご主人固定だワン」

「にゃんとぉ!?」

「あの、それはゲームとして機能しているんでしょうか?」

「ご心配には必要ないマシュ嬢よ。本来ご主人はマスターで我々はサーヴァント。即ち必然的に命令を下せる立場になるのは当然である」

 

キャットルールに、茨木はグググと唸りを上げる。そんなにお菓子が食べたかったのか。

 

そんな折、キャットが立香以外を集めてヒソヒソと話し始めた。

 

「まぁまぁ聞いて驚け。ご主人から合法的に命令されるのであるぞ? つまりはだ、ご主人からのお願いを十二分に達成すればーー」

 

ピキンと、三人の頭脳が閃く。

(ますたぁからの命令……上手くいけば褒めてくれる。上手くいかなくても……あぁ、そんな、はしたない。けれど……!)

(先輩からのお願い……より一層指示を受け取りやすくするためには必要かもしれない。何より先輩はレイシフトの疲れが溜まっているはず。癒すのも後輩の役目ですよね、先輩)

(お菓子)

 

各々想いを馳せながら乗り気になる。キャットはそれに満足しながらーーニヤリと笑う。

 

「では、ここからは運との勝負である。誰が当たっても恨んでくれるな」

「もちろんです。クジを引いてから命令を受ける。これでイカサマも不可能でしょう。それでよろしいでしょうか?」

 

清姫の提案に皆が頷く。

と、キャットは思い出したかのようにポンと手を叩いた。

 

「ご主人、命令は全部一つの数字の者からご主人にするされることで頼むぞ。でないと我々が面白くないからな!」

「これもう王様ゲームじゃなくて違う何かだよね……まぁいいけど、どうしようかな」

「では考えておくとよろしい。じゃあ行くぞーー」

 

キャットが持つ割り箸にマシュ、清姫、茨木が手をつける。

 

「奴隷はだーれだ!」

「何その掛け声」

 

立香の無粋なツッコミにも聞く耳を持たずクジは四つに分かれる。

皆自分のクジをちらりと見ると、立香に視線が集中した。

 

「んー……そーだなー……じゃあ、二番が俺の膝に座る、とか?」

「うぐ」

 

立香がそう答えたとき、誰かの変な声が出る。皆の視線は一様に二番の者へと移った。

そこには茨木が震える手で二番と書かれた割り箸を掲げている。

 

「むぅ、ますたぁ、三番でも良かったのですよ?」

「王様の言うことは絶対、である」

「むぐぐぐ、はぁ〜〜〜っ……ほれ、汝よ膝を開けろ」

「はい、おいで」

「優しげな声を出すな気色悪い……んっ」

 

ポスっ……と茨城は小さく立香の膝上を独占した。居心地が悪そうにモゾモゾとする茨木の頭を撫でながら、立香は満足そうな顔をする。

 

「むぅぅ、さぁもう一回ですわよ!」

「合点である! ではもう一度割り箸を繰り直して……よし、では引けぃ奴隷どもよ!」

「その呼び方どうにかならないのですかキャットさん……」

「ん……」

「じゃあ、奴隷はだーれだ!」

 

各々もう一度割り箸を取る。ちゃんと立香は目をそらして茨木の数字を見ないようにしている。

 

「じゃあ、一番の人が……犬耳セーラー服を着て語尾に『ワン』を付けること!」

「…………ふぇ?」

 

一番、清姫が顔を赤くして反応した。

 

「そ、そそそそんなはしたない格好と言動……!」

「おいご主人! それはキャットとだだ被りだな!? アタシに当たったらどうする気だったんだ!」

「というかどこからそんな衣装が……」

「おい、あんまり興奮するなマスター。グラグラする」

 

その後ダ・ヴィンチちゃんが持っていたコスプレ衣装を借り、清姫は着替えてきた。もちろん犬耳、そして本人たっての希望で首輪付きだ。

 

「ど、どうですかワン? ますたぁ、め、めす、雌犬清姫の姿は」

「…………」

「おい」ドスっ

「ぐふっ……た、助かった茨木。呼吸が止まってた」

「先輩最低です……」

「これにはさすがのアタシもご立腹であるぞご主人! それともメス猫ではダメなのかー!?」

 

仕切り直して、三回目。

 

「んーと、そうだな……じゃあ四番の人に、ちょっと水頼んでもいいかな。喉乾いちゃって」

「何ゆえそういう無難な頼み事の時にキャットを引くのだー! ちくしょう水だな頼まれたー!!」

 

ダダダと泣きながら走っていくキャットを残ったメンバーは気の毒そうに見ていた。

戻ったキャットの持ってきた水を飲みながら、四回目のゲームが始まる。

 

「奴隷はだーれだ!」

「じゃあ……三番の人が抱きつく!」

「ぬぁ!?」

 

今度もまた、立香の膝に座っている茨木が悲鳴をあげた。

そしてぎこちなく立香の正面に向き直ると、まるで油の切れたロボットのようにギギギとその腕を立香の首から背中に回して頭を預ける。

 

「…………これで満足か、愚か者め」

「あぁ! 先輩の呼吸がまた止まっています!」

「何で茨木さんはこんなに肉体的接触が多いのですかワン! はしたない羨ましい!」

 

茨木の角で立香を突き、正気に戻して五回目。

 

「奴隷はだーれだ!!」

「二番が背中に寄り添ってくれる!」

「わ、私ですか……。よろしくお願いします、先輩」

 

マシュが立香の背中に回りそっと体を寄せる。

 

「(……なんだかますたぁのテンションが異常なような……ここまで欲望をあらわにするお方ではなかったはずですが)」

「(にゃっふっふ……仕込みは上々である)」

「(貴女まさか……盛りました!?)」

「(左様。あまりにもご主人が遠慮がちな命令が多かったであるからな。少しばかりアルコールを……)」

 

続く六回目。

右腕に引っ付くことと、キャットが命じられた。

 

キャットは喜んで立香の右腕に縋り付く。

 

そして七回目を待たずに清姫が名指しで左腕へと命じられた。

四人全てが立香に触れ合う体勢である。

 

「おいこれはいつまで続ければいいんだ」

「無論、ご主人が飽くまでである」

「先輩の背中あったかいです……眠ってしまいそう」

「ますたぁ……」

 

結局のところ、アルコールによってもたらされた眠気によって立香はダウン。お開きとなった。

翌日になると立香はキャットの持ってきた水を飲んだ後の記憶はなく、マシュによって奴隷ゲームは禁止となった。

 

「ところで清姫さんはいつまでその格好をしているんですか?」

「もちろん、ますたぁが飽きるまでですよ」

「……ちょっと先輩、お話があります」

 

ダ・ヴィンチちゃんのコスプレ衣装はマシュによって全チェックされ、数多の衣装が封印される事態となった。





キャッツ!(挨拶)

意外とネタが枯渇気味である。もう四章まで飛ばしてしまおうか。
フランちゃんうふふ。

あー、清姫の犬耳セーラー服とか絶対嫁にするんだよなぁ。
水着イベはやく来ないかなぁ。

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