バーサーカーしかいねえ!   作:安珍

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前回のFGO!
10連回したら一発で星4サーヴァントが来たよ!でもバーサーカーだったよ!そして人嫌いそうな鬼だったよ!やったねマシュ!胃痛が増えるよ!
命が一個しかない藤丸立香くんはちゃんとパーフェクトコミュニケーションできるかな?


第二話「コミュニケーション・ブレイクダンス」

第一特異点に行く前にサーヴァントと親交を深めてみようということで、立香は茨木童子の元へと向かった。

いくらバーサーカーと言えども自分のサーヴァントだ。恐れてはいけないという心意気で彼女の部屋をノックする。一応菓子折りは持って来たけども。

 

「…………誰だ」

 

中から不機嫌そうな低い声で問われる。内心少し怯えながらも、自身がマスターであること言う。

 

「ふん、何の用だ」

「ちょっと話にね。俺のサーヴァントなんだし挨拶くらいはしておこうと思って」

「挨拶ならしたではないか。藤丸立香、汝の名前であろう。それくらい知っている、それ以上何か必要か?」

 

茨木童子は全く立香に興味を示していないかのように拒絶する。

 

「まぁそう言わないで……お菓子持って来たけど、食べ「それを早く言わぬか馬鹿者め!!」るーー?」

 

突如として茨木童子が部屋の扉を開けて食いついてくる。立香は混乱しながらも、ほぼ茨木童子に引っ張られるようにして部屋の中に入った。

 

「菓子はなんだ? 煎餅か? 饅頭か? もしや洋菓子ではないだろうな!?」

「えっと……大福だよ。餡子の」

「ふむふむ、良いではないか。しかし汝よ、次持ってくるときは洋菓子を頼む。和菓子は食い尽くしたのだ。吾が大江山にいた時代は洋菓子が今ほど普及していなかったからな! 吾、ちょこれいと(・・・・・・)とか、ましゅまろ(・・・・・)が食べたいぞ!」

 

先ほどの威圧的な態度とは打って変わり、今は見た目通り子供のようにはしゃぐ立香はなんだか微笑ましくなってつい微笑んだ。

 

「あぁ、分かったよ。ロマンに頼んでみる。他にも何か欲しいものはある?」

「そうだなぁ……あ! あいすだ! 冷たくて甘いのであろう? 食べてみたいぞ!」

「了解。それも頼んでみる。……なんだ、甘いものが好きなの?」

「む、悪いか。鬼は嗜好品は大好物だ。特に娯楽が好きでな、こと旨いものにおいては吾は酒呑よりも貪欲であった。酒は酒呑の方が好きであったが」

「酒呑?」

「酒呑童子、吾の友人だ。大江山で一緒に過ごしていた。マイペースな奴であったが、吾にとって親友だったのだ」

 

酒呑童子の話になると、茨木童子は少し声のトーンを下げた。事情は立香には分からなかったが、なんとなく、本当につい、茨木童子の頭を撫でた。

 

「……む?」

「あ、えっと……ごめん、嫌だったかな」

「……ふん、人ごときが鬼の頭を撫ぜるなど、貴様は余程の大バカものか、それとも度胸のある者か。その顔はどうやら前者らしいな、マスター?」

 

確かに立香は、茨木童子のことを鬼だと思って接してはいない。実感が湧かないのだ。茨木童子は鼻をもう一つ鳴らし、立香の手を払いのけた。

 

「人は脆い。少し弾けばすぐさまバラバラになる。吾をあまり舐めてかかるでないぞ」

「あ、あぁ……」

 

素直に取れば脅しとも取れる言葉だが、裏を返せばそれは。

 

「(俺の身を案じてくれたんだろうか……今のは)」

 

やはり、どうしても立香にはそれが人の敵であると言うことは思わなかった。

 

「……そういえば、ここは呪いによって吾のようなバーサーカーしか来ぬのであったな」

「あ、うん。っとそうだ、酒呑って子のクラスは分かるかな? もしかしたら呼べるかもしれない」

「さぁな……酒呑は鬼だが無鉄砲に暴れるような奴ではなかった。気品に溢れ、人を甘くは見ても油断はせんかった……あの最期以外はな。吾と同じバーサーカーとは思えんがな」

「……そっか」

「ふん……お前が気に病むことではない。世界を旅するのであろう。どこかで巡り会えるとも。吾と酒呑の絆は呪いなどで妨げられるほど脆いものではないからな」

 

口ではそう言うが、茨木童子の横顔は少し寂しげだった。

立香は一つ頷くと、もう一度茨木童子の頭の上に手を置く。

 

「む、だから吾に触れるなと」

「茨木童子、今はまだ無理かもしれないけど……だけど俺、頑張るから」

「む?」

「俺だってバーサーカーばっかりじゃ難しい。だから絶対呪いを解く方法を解明して、酒呑って子を呼んで見せるよ。約束だ」

 

立香の唐突な宣言に茨木童子は目をパチクリとさせて、次の瞬間堰が切れたように大笑いし始めた。

 

「ふふ、フハハハハハ! ハハハ! ハハハハハハハハ!! これはいい、傑作だ! さすがは吾のマスターだ! 鬼と約束を交わすなど、並大抵の人ではできまい!」

「え、えと……」

「ククク……いいか、マスター。鬼は嘘が嫌いだ。よって、その約束を破った場合、吾は汝を殺すことに決めた」

「!」

「どうした、怖気ついたか? 今ならまだ撤回できるやも知れぬぞ?」

 

ニタニタとこちら眺める茨木童子に、立香は強い眼差しで返す。

 

「撤回は、しない。約束だ。きっと酒呑童子をここに呼んで見せる。俺は、君のマスターだから」

「ふむ、良かろう! その約束が履行されるまで、汝を吾の主と認めてやる。鬼の主となるのだ。生半可な覚悟で吾の手綱を握れると思うなよ」

「元より、そのつもりだ」

 

ククク、と茨木童子は笑いながら残りのお菓子に手をつけ始める。

 

そう、この時藤丸立香はまだ知らなかったーー

 

もし、召喚器が直ったとしても、酒呑童子が現れるのにはーー

 

 

ーー大量の犠牲が必要なのだと。

 





サブタイトル詐欺

早くも立香くんの命は風前の灯火。
何故なら酒呑童子が来ることはないから(ネタバレ

うちにも来なかったし……

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