バーサーカーしかいねえ!   作:安珍

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イバラギン「唸れ! 羅生門大怨起ぃぃぃぃ!!」
邪ンヌ「ぐああああああ!!」




第四話「襲来! 隣の晩御飯(ますたぁ)」

 

藤丸立香は枕を涙で濡らしていた。

その理由は先ほどの特異点オルレアンで出会った英霊、マリー・アントワネットに想いを馳せているからである。

 

「うわああああああああんマリイイイイイイイイイイイイ!!!! あ"い"だ"い"よ"お"お"お"お"ぉ"ぉ"ぉ"!!!」

 

しかしバーサーカーしか来ない。

現実は非情である。

 

「エリちゃああああああああんんん!!! あの歌を……あー……それはいいや」

 

さすがに無理である。

 

「はぁ〜〜〜っ、ほれ、マスター。気落ちしていないでゲームをするぞ。最近はずっとフランスにいたからな」

「ぐすん……そうだね。来ないものは仕方ないよね……」

「まったく……ほら、涙を拭け。顔が大変なことになっているぞ。あーあー鼻水も、ほれ目を閉じていろ、拭くぞ」

 

ぐしぐしとティッシュで立香の顔を拭く。

 

「ほれ、チーンしろ」

「うぅ、ズズ……チーン! ……ありがと、茨木」

「情けないぞマスター。吾の主たるものもっとしっかりしておれ。この間の意気はどこへ行った」

「ごめんよぉ……不甲斐ないマスターでごめんよぉ」

「あぁもう泣くな泣くな、ちり紙が何枚あっても足りぬではないか」

 

その後立香は茨木に慰めてもらい、ようやく落ち着いた。

オルレアンの旅を経て、茨木との仲はかなり良好になった。マシュがふくれっ面になるほどだ。

しかしマシュの功績も凄まじいものである。彼女のスキルがなければバーサーカーである茨木一人では辛い戦いになっていただろう。そう考えると、いつまでも落ち込んではいられないと立香は奮い立った。

 

「明日にはマシュへのお礼のためにクッキーでも作ろうか。あんまり上手くはないけど」

「む、それは吾への分もあるのだろうな?」

「もちろん、茨木にも頑張ってもらったしね」

「うむうむ、貢ぎ物はとくと用意せよ。吾への感謝の褒美を忘れぬとは汝も出来るようになったな」

「はは、じゃあゲームを始めようか」

 

そう言ってコントローラーを手にした瞬間、部屋の扉がノックされた。

 

「む、間の悪い客だな」

「茨木は先に進めてて。はーい」

 

返事をし、扉を開ける。

そこには、見覚えのある顔が立っていた。

 

「先ほどぶりです、ますたぁ。あなた様の清姫ですよ」

「き、き、きよひー!?」

 

きよひーこと、清姫。

先のオルレアンで仲間として行動を共にしたサーヴァントの一人である。

立香のことを安珍という彼女の逸話の重要人物の生まれ変わりだと思い込み、そして慕っている少女だ。ちなみに歳は数えで13歳、つまり12歳。なのにかなり身体は……その、なんというか、素晴らしいですはい。

 

「はい、今お時間よろしいですか?」

「あ、うん。というかどうしてカルデアに? ってあぁそういえば攻略サイトに書いてあったっけ。バーサーカーだから来れたのか……」

「はい! バーサーカーしか召喚できないという呪い、しかしそれは私にとっては無に等しいのですよ、ますたぁ。いえ、どちらかといえば好都合。なんということでしょう、やはり私とあなた様は運命で繋がっているのです! これはもう結婚するしかありません!」

「ははは、嬉しいけど今の日本じゃ俺も清姫もまだ結婚できないんだ……あれ俺って何歳だっけ……まぁいいや」

「あぁ……私にまだ待てをされるのですね。ですが良いでしょう、私はますたぁの忠実な下僕。ますたぁが待てとおっしゃるのならば10年20年いえ100年でも待ちましょう……でも、私はますたぁの愛が欲しいのです。手始めにまず頭なでなでから……」

「今は茨木とゲームしようとしてるから後でで良いかな? あ、きよひーもする?」

「……………………はい?」

 

きよひーが固まる。すると部屋の奥から茨木が「おーい、話はまだ終わらんのかー」と声をかけていた。その声によってきよひーの雰囲気がどんどんと黒い靄のようなものを噴出し始め、ぎぎぎと部屋の中を覗き込んだ。

愛しの旦那様の部屋で、オルレアンでいたパツキン鬼が寛いでいるではないか。

 

これは浮気ですか? はい、ばっちり見ちゃいました。

 

「燃やさなくては……」

「え!? うわっダメだよきよひー! 室内で炎は厳禁だってば!」

「ますたぁ? 私を置いて他の女と室内で何をしていたのです? ……もし嘘を吐こうものなら……」

「えっと……今からゲームしようとしてた、かな」

「ゲームとはなんですか!? いけない遊びですか!? こう、くんずほぐれつイチャイチャ遊戯ですか!?」

「そんなんじゃないよ!?」

「……むぅ、エステでもしているか。吾に似せようとするにはやはりこのデューマンでなければならぬか……」

 

茨木は画面に映るキャラクターを自分に似せようと頑張っていた。

ツノが細くて不服らしい。

 

「……本当に、いやらしいことはしてないと?」

「当たり前じゃないか。きよひーもやってみようよ、人数は多いほうがいいしね」

「え、えぇはい。……では、私もやってみます」

 

清姫の部屋の中に招き入れ、自分のコントローラーを手渡した。3人でやるならもう一台ハードとモニターがいるなと考えながら、清姫にキャラクリエイトをさせる。

 

「どうすればよろしいんでしょうか?」

「自分の分身を作ってみようか。細かく設定できるから、出来るだけ似せてみよう」

 

操作に四苦八苦しながら、数時間。ようやく清姫に似たキャラクターになった。

 

「へぇ……現代の遊戯は凄いんですね……わぁ……」

「喜んでくれて何よりだよ。茨木、きよひーに操作させるから色々と頼める?」

「仕方ない、吾についてこい」

 

きよひーのクラスはフォースとなり、武器は自分のボックスの中に確か扇があったので、それを目指すことにした。さすがに清姫の衣装は似たものがなかったので着物を着せている。

 

こうしてまた一人、カルデア内に娯楽者が生まれることになる。

だが忘れないでいただきたい。彼らはちゃんと世界を救っていることを。

 

そして一番の娯楽者はここのトップのドクターロマンであることを。

 




第一章でマリーと叫んだ人間は俺と握手。
そして一章する前の星4鯖配布でエリちゃんを選んだ人間は俺とフレンドになってください。

今回のゲームは某オンラインゲーム。今はしてない。
キャストでアタランテを作ったのはいい思い出。

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