バーサーカーしかいねえ! 作:安珍
ぐだ「呪いを解け! レフ!」
レフ「ふははは! 良かろう! ならば私を倒して見せるのだな!」
アルテラ「フォ『の小説にはバーサーカーしか出ない』トンレイ!」
レフ「ぐああああああああああ!!!」
ぐだ「れ、レフダイーーーン!!」
マスターである立香が部屋に閉じこもったまま出て来ない日々が続いた。
理由は簡単、呪いが解けなかったせいで二章クリアで送られるママ、ブーディカが訪れなかったせいである。
この事態を重く見たカルデア組織内はすぐさまマスター慰安会と称し、サーヴァントたちに立香を慰めるよう提案した。
だがしかし、マスター世話係筆頭のマシュの励ましは先輩としての尊厳のために立香はこれを拒否! 流石に恥ずかしかったらしく強がっていた。マシュはショックで寝込んだ。
そして続く清姫はその幼くも隠しきれない母性は案外いけるかと思いきや、泣きじゃくる立香を前に鼻血を噴出、再起不能である。
というわけで茨木童子に最後の希望が託された。
「吾ヤダ」
にべもなかった。
茨木は自室で漫画を読みながら菓子を貪っていた。
「…………」
漫画の内容は地獄の鬼が面白おかしくたまに皮肉りながら地獄の紹介などをする漫画で、茨木は割とお気に入りであったが、今はあまり楽しめなかった。
お菓子は美味しいし、何も問題はない。しかし、どうにもモヤモヤするというかイライラするというか、茨木は次第に不機嫌になっていく。
「…………マスターのところで違う漫画を借りてくるか」
そう呟くと、漫画を閉じ立ち上がった。
立香の私室の前、 ノックもせずに開けようとし、先ほどの話を思い出す。
「……ふん、情けない」
扉を開ける。
「お、マカライト鉱石ゲットだぜ!」
「おい」
立香はモンスターをハントするゲームで鉱石集めをしていた。
さすがの茨木もこれには低い声を出す。
「ん? 茨木もする?」
「いや待て、何だ、汝は無様にも落ち込んでいたのではないのか!」
「あはは、そうだけど……恥ずかしながらね。でもちょっと寝て、マシュのご飯食べたらいつまでもしょげてられないと思って」
「何だそれは!」
「そりゃ一日経ったら気分転換もするさ」
「一日って…………一日?」
茨木は言葉を反芻し、時計を見る。
時刻はもう丑三つ時。集中できないと思いきや結構な時間漫画を読み耽っていたらしい。
「あ、あー……つまり吾の心配は杞憂だったわけか」
「心配してくれたの?」
「なっ!? すす、するわけなかろう! 誰が汝の心配をするというのだ、吾は別に、ただ汝が吾との約束を反故したと思い、怯えているのではないかと楽しみにしていただけだ!」
「あー……そうだね。その通りだ。……残念だけど、酒呑童子を呼ぶことは、できないみたい」
マスターは気まずそうに茨木から目を背ける。その様子に、茨木は重いため息を吐いた。そして、唐突にベットに向かい、その上で正座をする。
「おい、おいマスター。こっちに来い」
「茨木?」
「ふん、鬼の気まぐれは多いが長くは続かん。気が変わる前に早く来い」
太ももあたりをタシタシと叩きながら、茨木は立香を呼んだ。恐る恐るといった形で、立花は近づいていく。
「寝転べ」
「え」
「早くしろ。それとも力づくでされたいか」
「はい……」
戸惑いならも、誘われたように、立香は茨木の太ももを枕にして寝転がった。
茨木は立夏の頭を粗雑に、しかし優しく撫でながら、不機嫌そうに低く唸る。
「……昔、吾がまだ幼い時、母上にこうやって慰められたことがある。吾はこうされるのが好きでな。……そうだな、甘えん坊というものだったのだろう」
「…………」
「吾は……あー、幼い時はあまり鬼らしくない鬼であった。闘争ごとは苦手であったし、人はともかく動物を殺すのも、酒呑がやっていて母上にやれと言われたから、というのがあったからかもしれん。クク……あの頃から酒呑とは親友であった」
茨木の顔を盗み見ようとも、頭を撫でられている手がこっちを見るなというように力がこもる。
「ともかく、あまり鬼らしくもない吾は皆とのズレを矯正するために母上の教えに従った。あの頃は、いや今でも、真似事をしている気しかせぬ。首魁になってからも手下の鬼たちとはどこか隔意があったように感じる。まぁ鬼は細かいことは気にせぬ故、気づかれることもなかったがな」
クハハ! と彼女は高笑いした。
やはり、どこか無理して出したもののように聞こえた。
「……だが、酒呑は気付いていた。あいつは鋭く聡明であったからな。吾のことなど御見通しで、そしてーーそして吾はそれに強がった」
「茨木……」
「逃げたのだ。酒呑に嫌われるのではないかと、本音を隠した。人間と争わずに逃げようなどと、鬼としては失格以下だ。極刑ものだ。だから吾はそれを恐れ、より一層となりきった。おままごとを続けたのだ。酒呑はそれ以上何も言わず……吾の仮面を裂くようなことはしなかった」
「……どうして、その話を俺に?」
「ふん……寝物語のようなものだ。いや……重なって見えたのかも知れぬ。汝が、吾と」
「重なって?」
「……吾はどうしようもなく臆病で、どうしようもなく欠けていた。汝は……無謀なほど勇敢で、愚直なまでに気丈だ。だがそれでも、汝は人だ。脆く、弱い人間なのだ。昔と違い今は命のやり取りが日本では少ないと知った。汝が闘争や、殺しに慣れていないことはすぐに気付いた」
「そう、だね……ここに来る前はそういうのと無縁だった。死ぬなんて考えられなくて、程遠かった」
「そんな人間に人類を救えだなど、あまりにも狂った話ではないか。だが、汝は今もそれに立ち向かっている。強大な敵に、人類の存亡の責任に。何故だ、何故そうまでに強く振る舞える。汝は、何故立ち上がれるのだ」
「それはーー」
決まっている。
簡単な話だ。
彼女は強がった。親友はいても同類はいなかったのだ。だから孤独と立ち向かった。
「それはーー君たちがいるからだ。茨木」
「……吾、らか?」
「あぁ、俺は弱い。だけど、心強い仲間がいる。マシュやサーヴァントのみんなや、カルデアの人たちがいる。もちろん、茨木もね」
「…………」
「一人じゃどうしようもないかもしれない。でもみんなとなら立ち向かえる。立ち上がれる勇気をくれる。君だってそうだろう?」
「……さぁな」
「茨木は自信が無かっただけだ。でも、今は違う。俺は知ってる。茨木が勇敢で、高貴な存在だということを」
「……そうだろうか」
「一緒に戦ってきたんだ。それくらいは分かるさ。仲間のために体を張り、俺を引っ張ってくれている。それがどうして、君を否定することができるか」
そうだ、茨木は臆病ではあるが、決して逃げるような者では無かった。
仲間を見捨てず、自分も生きることを諦めない。それが間違っているなど、誰にも言わせない。
「それに、茨木が慎重なのは結構知ってるし」
「……なに?」
「だってゲームとかでもボスになったらヒット&アウェー戦法で回復重視、敵の動きを観察するために序盤はあんまり攻撃しないじゃん」
「む、む……」
無意識に図星だったのか、茨木は返答に窮した。
彼女は臆病だが、良い意味で慎重な性格であり、観察眼も高い能力がある。
「……そうか、もう知られていたのか。幻滅したであろう。こんなものが鬼などと」
「全然、むしろ助かってるよ。茨木は茨木だ。人間にだって色んな人間がいる。それと何も変わらないさ」
「…………マスター、酒呑の件だが」
「なに?」
「いや……諦めるなよ。吾との約束を破れば、わかっているな?」
「あぁ、必ず果たしてみせるよ」
立香がそう答えると、茨木はどこか安心したように笑った。
それから、立香が寝るまで茨木は黙って頭を撫で続けていた。そして寝たことを確認すると、小声でボソリと言う。
「……酒呑がおらずとも、汝がいてくれれば……なんて、莫迦げた話だな」
夜は更け、鬼は終ぞ眠らず主君を見ていた。
文字数3000オーバー
唐突なシリアス
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感想20件到達
総合評価550突破
え、なにこれは(困惑
ありがとうございます(土下座
最初イバラギンにバブみを求める話が何故かこうなりました何故だ私にもわからん。サブタイトルなんか「ママを求めて三千里」とかいうふざけた感じだったのに。
修正後のサブタイトルは分かる人には分かる。分かったら握手。
アガルタの女クリアしました。
ネタバレは控えますがとにかくママと叫びましょう。
新しいバーサーカーが追加されましたね! うちに来るかな!
……扱いきれるかな。
たくさんの感想ありがとうございます。大雑把ながらに返信していますが、これからもどしどし待ってます。
あと誤字修正もありがとうございます。日本語技能高めなくちゃね、ごめんね。
あとがきが長い。まだなんか言うことある気がするけど後の話で書きます多分。
やっぱりあった追記:
なんか日刊9位になってるうううううううううううう!!!