テイルズオブベルセリア 〜争いを好まぬ者〜 【完結】 作:スルタン
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設営された聖寮のキャンプで一通りの準備をし、山道の入り口へ向かう途中エレノアがテレサに改めて話しかける
「テレサ・・・久しぶりですね」
「会うのは御座以来になりますか。ですが、それほど久しぶりとも思えません。裏切り者エレノア・ヒュームの情報は、よく耳に入ってきましたから」
テレサの鋭い言葉にエレノアが表情を暗くするがそれをすぐにやめテレサの体調を確認する
「・・・懐賊病は大丈夫ですか?」
「問題ありません。サレトーマはちゃんと飲みました」
「相変わらずひどい味だったでしょう?新人対魔士の歓迎会で飲まされたことを思い出しますね」
エレノアが昔の事を思い出しているとテレサが単刀直入に質問する
「なぜ聖寮を裏切ったのですか?巡察官という重職を任されていたのに。本当なら巡察官にはオスカーがなるはずだった。内示だって出ていたのに」
ほぼ決定されていたオスカーの職務を自らが横取りしていた事実にエレノアが驚く
「あなたが強く希望したせいで、優しいあの子は役目を譲ったのです」
「知らなかった。オスカーに内定していたなんて・・・」
公に発表する前の事前通達である以上知らないのは仕方のない事だ。だがエレノアは知らなかったとはいえそれを奪った事に表情を暗くする
「その結果、オスカーは危険な監獄島へまわり、あんな大怪我を負ってしまった。そして今、あなたはオスカーを倒した敵の元にいる。私には理由を知る権利があるはずです」
テレサとしては裏切ってまでエレノアがベルベット達といる理由を知りたいのだろう。現にここまでしているなら答えるのが筋というものだ
「人々を救いたいという想いは今も変わりません。ただ、私は聖寮とは別の道を見つけたいんです」
「・・・許せる理由ではありませんね」
「許してもらえるとは思っていません。あなたが、オスカーの事で妥協しない人なのは、よくわかっています」
「・・・その通り。私がそういう人間であることを仲間によく伝えておいてください。オスカーを守るためには、あなた方に信用してもらう必要がありますから。話すことは、それだけです」
テレサは先に歩き出す
「・・・わかりました」
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一行は山道を進み、上り切った所で開けた場所にでる。ベイルド沼野、そこは広大な湿地帯で、湖や岸には巨大な柱や建物の残骸があちこちにありかつてそこには大いなる文明があったことが伺える。だがそれも今は名残を残すのみとなり、今では罪人の流刑地などと噂される程に落ちぶれた地となっている。オスカーがいる喰魔の拘留場所まで道半ばに差し掛かろうとした時、ふとライフィセットが樹木の方へ視線を向けると何かに気づく
「あ・・・!!」
ライフィセットが樹木に近づく、その視線の先に幹にくっついている一匹の虫がいた。二股の牙の先が外側に向いている変わった昆虫だった、それを獲ろうと手を伸ばすが高い位置にあるので届かない。しょんぼりしていると後ろからテレサが歩いて来た
「クワガタですね」
「は、はい。リオネルイカヅチオオクワガタ・・・です」
「呪文のような変な名前」
テレサに変な名前と言われ、彼の中にヒビが入ったような音がする
「格好いい・・・と思うけど・・・」
またもションボリするライフィセットを見かねたのかテレサがクワガタに手を伸ばす。テレサの方が背が大きいので余裕で届いた
「まったく・・・なぜ男の子はこんなものを好きなのかしら」
そういいながらクワガタをライフィセットに差し出す
「え・・・?」
「なんです?欲しかったのでしょう?」
テレサの意外な行動に戸惑いながらもライフィセットはクワガタを受け取る
「あ、ありがとう・・・」
クワガタをしまうライフィセットを見た後視線を外しどこか遠い目をして話し出す
「小さい頃のオスカーも、虫を探してよく森を駆け回っていました。夢中になって、すぐに怪我をしないか心配で・・・」
今もやってる
「とってあげたの?」
「気持ち悪かったけれど、その頃は、私の方がずっと背が高かったから。お礼だと言って、蝉の抜け殻をたくさんくれた時は、悲鳴を上げてしまいましたが」
それを聞いたライフィセットが口を開く
「・・・自分の気持ちを伝えたかったんだと思う」
テレサが僅かに驚いた表情でライフィセットを見る。当時のオスカーはそれが自分ができる精いっぱいの表現だったのだろうが本人からすると流石に御免こうむりたいのだろう
「僕も、そうだから・・・」
少し引きながらもライフィセットが答える。僅かに間を置いたあとテレサが口を開く
「おかしな聖隷ですね。そんなことを思うなんて」
「思うけど・・・難しい・・・です」
テレサはそれを聞いて自身の耳に指を当てる
「・・・人間も同じね。ひどく難しいのに、諦めることもできない・・・結局、自分の信じるものを不器用にぶつけるしかないのでしょう」
「信じるものを・・・」
ライフィセットがテレサの言った言葉を復唱する、その時少し離れた所からベルベットの声が響く
「フィー、遅れないで!」
ライフィセットが慌ててベルベットの方へ走る、テレサもそちらの方へ歩いて向かっていった
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「ライフィセット、新しいクワガタを見つけたんだって?」
「うん、テレサ様に採ってくれたんだ」
ロクロウに新種のクワガタについて聞かれ、ライフィセットが懐から取り出す
「ほほう・・・鋭い鋏。アイゼン、こいつは間違いなく完璧にクワガタだぞ!」
「・・・いいや。新種の“二本角カブト”の可能性もある」
アイゼンが屁理屈じみた事をいうがこれが仮にカブトだとしたらクワガタもカブトも同一種というぐらいの暴挙である。前もってライフィセットがケンに確かめてもらいクワガタの特徴と一致しているのでクワガタで間違っていない
「二人とも。喧嘩するなら、この虫を“新種のカナブン”ってことにしちゃうよ」
「おっと!そいつは勘弁」
「ライフィセットに一本取られたな」
「ふふふ!」
三人の様子を見ていたテレサがエレノアに近寄り質問する
「エレノア・・・あれは、あなたが言わせているのではないのですか?」
「いいえ。私はライフィセットと器の契約をしましたが、使役はしていません」
「聖隷が、まるで人間みたいに・・・」
経験したことのない風景に戸惑うテレサ
「私も聖寮にいた時には思いもしなかった。聖隷にも人と同じ心があるなんて。でも、ライフィセットやアイゼンと出会って、知ったんです。彼らもうれしい時には笑い、哀しい時には涙を流すと。お腹だって鳴るんですよ」
「お腹が・・・?」
「今では聖隷だけでなく、業魔や喰魔にも心があると自然に思えるのです」
それを聞いていたテレサがエレノアに反論する
「あなたは業魔を憎んでいたはずです」
「もちろん、憎しみがなくなったわけじゃない。けど、憎しみだけじゃなくなったんです」
「聖隷の心・・・業魔や喰魔の心・・・」
聖隷だから、業魔だから、種族の違いで分けるのは正しくない
「テレサも、ライフィセットに心を感じたからクワガタを獲ってあげたのではないですか?喜んだあの子の笑顔は、幼い頃のオスカーと変わらなかったでしょう?」
「・・・一緒にしないでください」
最後の言葉にテレサは否定をした
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(“あの術”には命の危険がある・・・絶対にオスカーに使わせてはいけない)
「テレサ様、具合が悪いの?」
テレサは歩きながらオスカーをどう助けるかを思案していた。そこにライフィセットが近づいてくる。表情が思わしくなかったのが体調不良だと思ったようだ
「いえ、問題ありません」
「でも今、すごく辛そうな顔をしてたよ」
「あ・・・それは少し考え事を・・・」
「懐賊病が治ってすぐに出発したし、無理はしないでね。テレサ様は自分にも厳しい人だから・・・」
それを聞いたテレサが口を挟む
「・・・『他人にはもっと厳しい』というわけですね?」
「そ、そう意味じゃないです・・・」
「構いません。冷酷な女だと自覚しています。ですが、『器の心、聖隷知らず』ですね」
その言葉にライフィセットが首を傾げる
「私は、あなたがこっそり出歩いたり書庫に入ったりするのを見逃してあげていたのですよ?」
「知ってたんですか!?」
ライフィセット本人はうまくやってたつもりだが周りからはバレバレだったのだろう
「当然でしょう。放し飼いの子犬と同じと思って放置していただけです。一号の方は、ほとんど動かないでじっとしていたのになぜこうも違うのかしら」
「・・・ごめんなさい」
「まあ、“男の子らしい”ということなんでしょうけど。あのまま勝手を続けるようならお仕置きをするつもりでしたよ」
「どんな・・・?」
ライフィセットがおそるおそる聞いてみる
「それは、聞かない方がいいでしょう。多分、あなたの具合が悪くなってしまいますから」
「テレサ様・・・」
「ふふふ」
びくついてるライフィセットだがテレサの表情から見てほぼ冗談だろう。その様子を見ていたマギルゥがベルベット、アイゼンに話しかける
「随分打ち解けたようじゃのう。本当に協力すると見るかえ?」
「全てが嘘とは思えんが、全部正直に話しているとは、もっと思えん。ベルベット、わかっているとは思うが・・・」
「ええ、油断しないわ、妙な動きをすれば殺す。対魔士じゃないなら、簡単な事よ」
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沼地の奥へあと少しへと近づいたところでベルベットが足を止めテレサの方を向く
「テレサ。敵陣に乗り込む前に、策戦を確認しておくわ」
「・・・はい」
「あたしたちは、あんたを人質にして、オスカーの武装と聖隷を解除させる。オスカーを拘束して喰魔を回収した後、港まで撤退。喰魔を船に乗せ、出航準備が整った時点であんたを開放する。後は好きにしなさい」
「結構。ですが、ひとつだけ約束してください。決してオスカーを傷つけない、と」
約束を取り付けるテレサにベルベットは間をおいて答える
「・・・それはオスカーの出方次第よ。約束はできない」
「・・・」
「ベルベット」
「私からも頼みます、テレサの願いを・・・」
ライフィセットとエレノアがベルベットに懇願する
「オスカーを助けたいなら、テレサ、あんたが死ぬ気で説得しなさい。弟を守るのは、姉の役目なんだから」
「・・・ええ、必ず守ります。私の命に代えても・・・」
その後、地脈点に到着した一行の前にあたり一面花が咲いている場所にオスカーが剣を地面に立て、その眼前に一体の業魔が倒れていた。恐らく喰魔だオスカーは背後から近づいてくる気配に閉じていた眼を開ける
「来たな、喰魔ベルベット」
オスカーがこちらを振り向いたと同時にベルベットが刺突刃をテレサの首筋に添える
「姉上!?」
「見ての通りよ。剣を捨てて、聖隷を話しなさい。さもないと、こいつを殺す」
「卑怯な・・・!」
身内を人質を取るベルベット達に憎悪の視線を向けるオスカー、だが義姉の命を握られている以上むやみに動けない
「見逃してください、オスカー。私は聖寮が語る“理”の本当の意味を見極めたいのです」
「人質を取って脅すのが君の“理”だというのか!」
エレノアの説得を聞こうとしないオスカーにテレサが謝る
「ごめんなさい・・・足手まといになってしまった」
「そんな・・・姉上は・・・わかった。武装を解除する」
オスカーは人質の安全を優先したのだろうゆっくりと武器を地面に置こうと片膝を着く、剣を地面に置こうとした瞬間オスカーが剣をベルベットに向かって投げつけてきた
「!」
ベルベットは直ぐ様反応し刺突刃で剣を弾き飛ばす。が、その隙を突かれテレサが走り出す
「ちっ!!」
「下がっていてください!」
テレサがオスカーの元へ走りきりオスカーが義姉を自分の後方へ下がらせる。家族の安全を確保したオスカーがベルベット達の方を睨むとテレサが彼の後頭部を杖で殴る
「!!?」
そのまま意識を失うオスカーにテレサが謝る
「許して・・・あなたを救うにはこうするしかないのです」
「・・・約束を守ったわね。そいつを連れて消えなさい」
予定が狂ったが目的を達成したベルベットはテレサにそう言い放つ
「それはできません。この子の失点になってしまう」
「テレサ様!?」
突然の発言にライフィセットが驚愕する
「どうしようっていうの?ただの人間が」
「・・・そう。私は力も才能もない人間です」
そこに丁度倒れていた喰魔が目を覚ましたのか起き上がる。テレサがその喰魔に近づいていく
「でも“あの方”が教えてくれた!私の体は、カノヌシの力に適合すると。こうすれば、すべてを守れると!!」
喰魔の前に立ちベルベット達の方へ向き直る。直後喰魔がテレサの首元へ噛みついた
「あああ・・・っ!!」
一瞬瘴気に包まれた後喰魔の姿が消えそこにはテレサだけがいた。姿が完全に変わっていた
「喰魔になった!?」
「違う、融合したんじゃ」
喰魔を融合したテレサが目を開きベルベット達を射抜く
「・・・全員殺します。オスカーの為に!」
喰魔となったテレサが禍々しい羽で宙に浮きながらベルベットに向かって突進し、杖から槍に変わった黒い刃を振りかぶる。ベルベットはすかさず刺突刃で攻撃を受け止める。喰魔となったテレサの力は予想以上で圧が圧し掛かる
「ぐっ!!自分を喰魔に・・・ここまでやるのか!」
「ふふ、あの子の為なら」
テレサが横から向かってくるエレノア達の方へ左腕を向ける。それには手がなく代わりに砲のように口を開けていた。そこから火が揺らめきそれが強くなる
「なんでもないわっ!」
テレサがベルベットを弾き飛ばしそれと同時に火球が発射される。
「させるかよっ!!ストーンエッジ!」
アイゼンが危険を察知し聖隷術で石柱を出現させる。火球がそれに接触した瞬間大爆発を起こし石柱が粉微塵に消し飛ぶ
「うおおおっ!?」
「きゃあああっ!!」
「これをまともに喰らったら肉片一つ残らんぞ!!」
強烈な爆風に皆が驚愕するがロクロウとアイゼンが爆風に紛れながらテレサに向かって走り出す
「だが、これほどの威力を出せるということは連射はできないはずだ!!そこを突く!」
「そういうことだ!間合いに気をつけろ!」
二人が左右に分かれ挟み撃ちを仕掛ける
「テレサ様・・・!!漆黒渦巻き軟泥捉えよ!ヴォイドラグーン!」
テレサの足元から漆黒の腕が伸び拘束する
「こちとらやられるワケにはいかねえんだよ!蜃気楼!」
アイゼンがスウェイからの高熱フックがテレサの顎目掛けて振るわれる
「邪魔をするなぁ!」
槍を振り回しその風圧がアイゼンを吹き飛ばす。その余波でライフィセットの術も解けてしまう
「ぐおおっ!!」
「駄目!食い止められない」
「ならばその前に仕留める!!」
テレサが上空へ舞い上がりロクロウが枯れた木を駆け上がり食らいつく
「斬り捨て御免!」
「跳べるだけで飛べる者にかなうと思うか!」
「やってみなければ分からん!!」
ロクロウが一回転して勢いをつけ縦に小太刀を一閃する
「破ぁ!!翠波活殺!」
真空波がテレサに向かって飛ぶ。攻撃が迫る中テレサが左腕を突き出す
「何!?」
「連発ができないなど誰が言った!」
火球が放たれ真空波とぶつかり爆発する。爆風でロクロウが体勢を崩す、その瞬間頭上にテレサが現れる
「ぬうう!!」
「業魔は地面に這いつくばっていなさい!」
「それはお互い様だろう!」
テレサはロクロウに高速で突っ込み踏みつけるのを小太刀で受け止める
「ぐうう!」
ロクロウを踏みつけたまま地面へと急降下しロクロウの背が地面に叩きつけられる
「ぐはあっ!」
地面に叩きつけられた衝撃とダメージで意識が朦朧とするロクロウにテレサが止めを刺そうと喉元に槍を突き立てる
「させない!!」
エレノアが槍を振るいながら接近しテレサが反応して同じくの柄で攻撃を防ぐエレノアが押し込んでロクロウから引き離す
「お願いテレサ!こんなこともう止めて!!」
「黙れ!死地に向かうあの子を止めることもできない気持ちがわかるかぁ!!」
「それは・・・」
テレサがエレノアの槍を弾き反撃を開始する
「たった一人の家族を!!大切な弟を失うかもしれない私の気持ちをわかってたまるかぁ!」
「くっ!うぅ!」
エレノアも槍を振るうが喰魔と融合し増大したテレサの力に次第に打ち負けていく
「だあぁ!!」
「ああっ!」
猛攻に耐えられなくなったエレノアの槍が弾き飛ばされ地面に転がってゆく。間を置くことなくエレノアに槍を振りかぶる
「ふううっ!」
「ふんっ!」
そこにケンがテレサの腕を掴み合気の要領で投げ飛ばす。
「この死にぞこないが!」
「ええ、確かに自分は死にぞこないです」
空中で体勢を立て直したテレサがケンを睨む。ケンの後ろでライフィセットが聖隷術を唱える
「シェイドブライト!」
ケンの横を二色の螺旋の光弾が飛来する。テレサがそれを武器で弾き少し後方へ下がる
「小癪な!」
「気合い入れんと皆殺しじゃからな!小癪結構ブレイズスウォーム!」
丁度死角になっていたマギルゥが聖隷術を発動させる。僅かな隙を突かれたテレサに炎の奔流が襲う
「うううっ!」
「こっちもなりふり構ってられないのよ!!」
背後からベルベットが迫る。テレサが右腕を構えたが偶然かオスカーが倒れている方向だった
「っ・・・!ぐああ!」
動揺している僅かな瞬間にベルベットの蹴りが腹に突き刺さる。
「くっ・・・この!」
「こっちも忘れてもらっちゃ困るな」
声の方向からアイゼンが術を発動している
「ちぃ!」
「冷気の渦よ凍結しろ!フリジットフォトン」
テレサが右腕から火球を発射するのと同時にアイゼンが氷塊を繰り出す。双方がぶつかり、熱気と冷気が入り混じり水蒸気が広がる
「しまった!どこに!」
「こっちよ!!」
敵を見失ったベルベットが霧の中から飛びだし刺突刃で斬りかかる。不意を突かれ槍で弾くも対処が間に合わない。横なぎと切り上げの連撃で武器が勝ちあげられ
「ぐっ!!」
「ロクロウ!!」
「応!!」
飛び上がり攻撃を逃れたテレサの背後にロクロウがいた
「今度はこっちの番だ!!」
「しまっ・・・!」
ロクロウが印を切り小太刀を構える
「伍の型・斑裂!!」
圧縮した空気を放ちテレサを巻き込み地面に向かって突き落とす。テレサはもがくがそれ以上に圧が強くそのまま地面に叩きつけられた
「ああああっ!!!」
土煙を上げながらテレサの悲鳴が響く。皆が集まりお互いの無事を確認しながらもテレサを警戒する
「負け・・・ない・・・負けるわけには・・・」
「テレサ・・・様・・・」
テレサが尚も戦おうと顔を上げ此方を睨む、ライフィセットが悲痛な表情で見つめるがベルベットは非情に徹する
「これ以上抵抗するなら、手足を喰い千切って大人しくさせる。!?」
双方の間から人影が現れる。ベルベットが気づくを意識を取り戻したオスカーがテレサにゆっくりと歩み寄り膝を着く
「もういいのですよ、姉上・・・」
「見ないで・・・こんな醜い姿・・・」
テレサが懇願し顔を伏せる、オスカーは静かにテレサの右手に自身の手を添える
「ドラゴニアの家では、父上も母上も跡継ぎである兄しか見ていなかった。でも、貴女だけは、ずっと僕を見てくれた。案じて、励まして、微笑んでくれた」
オスカーがテレサの頬に手を添えて、顔を合わせる。中世貴族では家督は基本長男が継ぐので次男以降は替え玉としか見られない非情な現実がある。お互いが心の支えだったのだろう
「・・・ずっとありがとう、姉上」
「ああ・・・オス・・・カー・・・」
オスカーが手を放し立ち上がる
「ここで見ていてください。貴女が見守ってくれれば、僕は・・・世界を滅ぼす魔王にだって勝てる!」
オスカーがベルベット達の方を向き使役する聖隷を出す
「見せてやる!我が神衣を!!」
オスカーの体が光り始めそれと同時に聖隷が彼の体内に入ってゆく
「ぐうう・・・あああああっ!!」
一層光り輝き、それが収まった時オスカーの背中には三対の金属で出来た刃のような翼が現れる。風の神衣を纏ったオスカーが声を上げる
「いざ参る!」
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第39話終わり
如何でしたでしょうか。今年中には完結させると明言しましたがちょっと怪しくなってきましたが頑張ります