テイルズオブベルセリア 〜争いを好まぬ者〜 【完結】   作:スルタン

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今回は短めです


第46話

 

「いやあ、いい修行になったが、神依と聖主とドラゴンにぶつかって生き残るなんて奇跡だな」

 

カドニクス港に着いたザビーダの船からロクロウが先に降りボラードにロープを巻き付ける

 

「・・・フィーのおかげよ」

「まだ眠っています。力も気力も振り絞ったのでしょうね」

 

エレノアは前もってライフィセット達を宿へ移す為に甲板に連れてきていた。まだ寝息を立てている

 

「穢れを焼く炎・・・とんでもない力をもっておるのう」

「この子がカノヌシの一部だから?」

「じゃろうな。最高の切り札じゃが、同時に・・・」

「・・・」

 

マギルゥは言葉に出すことはなったが言わずともわかるだろうとベルベットに視線を合わせる

 

「なんでもいいが、儲け損ねたわい。賭けは儂が勝つはずじゃったのにー」

「どーでもいいでしょ、100ガルドぐらい」

 

雰囲気を変える為か、マギルゥが話題を変え未だに拘る賭けの話になる

 

「ちぃ~~~ともよくない!100ガルドを笑う者は1000ガルドで大爆笑!!この恨みは深いぞよ~・・・」

「・・・で、次はどうするんだ?」

 

船止めを終えたロクロウがベルベットに今後の方針を聞く

 

「変わらないわ。カノヌシを封じてアルトリウスを討つ。カノヌシが覚醒したということは、封印する方法もあるはずよ」

「やはり手掛かりはグリモワールの古文書ですね。ベンウィックたちと合流しましょう」

「・・・いいのね?」

「正解かどうかは、わかりません・・・でも、アルトリウス様が必要とする犠牲を『仕方ない』と済ませることもできない。だから、自分の心に従って戦います。例え間違っても、後悔しないように」

「とことん面倒くさい性格ね」

「あなたに言われるのは心外です」

 

聖寮の命令にただ従っていたあの時から、ありとあらゆる矛盾を見てきたエレノア。アルトリウスの理想に疑問を持っている今、真実を確かめるまで止まることはないだろう。その真っ直ぐな意志にベルベットも呆れているが表情はどことなく柔らかい

 

「アイゼン、ベンウィックたちへの連絡を頼む」

「やはり、あの業魔は・・・」

「アイゼン?」

 

ロクロウはアイゼンに連絡を頼んだが当の本人は独り言を呟いている。ロクロウが再度声を掛け気づいたアイゼンは独り言を切り上げる

 

「・・・まずは休息をすべきだ。かなりの連戦だったからな、あいつもかなりつらいはずだ」

 

アイゼンが目を向ける先にボラードに腰掛けながら休んでいるケンの姿が見える。倒れた後一時間ほどで目を覚まし港に着いた後アイゼンは休むように指示を出していた

 

「じゃの。坊もザビーダも聖隷達も起きんしのー」

「今日は宿で休みましょう。エレノア、ライフィセットをお願い」

「あなたが背負ってあげたら?ライフィセットは、あなたの為に――」

 

エレノアがそう言いかけた時ベルベットから黒い靄が湧き出てくる。それがどういう意味かベルベット自身がよく知っている

 

「お願い」

「・・・わかりました」

 

エレノアもそれを察し、承諾しエレノアから踵を返す。ロクロウはそんなベルベットにエレノアの隣まで歩いてきた

 

「おぶってやればいいのに。つれない奴だなぁ」

「・・・逆ですよ」

 

エレノアはロクロウの言葉に一人呟いた。その後エレノアがライフィセットを、アイゼンが女性の聖隷を、体力が少し戻ったケンがザビーダを背負いシルバを抱きかかえ港にある宿に向かった。宿に着き男性女性でそれぞれ別部屋を取り、それぞれ自由時間となった

 

 

ベルベットはあの時と同様に真っ白な空間にいた。椅子に座り長机の向こうにはシアリーズが座っている

 

「お姉ちゃん・・・って呼んでいいんだよね?」

 

ベルベットはシアリーズにそう語りかけるが、彼女は首を横に振る

 

「私は聖隷シアリーズよ。セリカの記憶を受け継いだだけ」

「それは、同じ人ってことじゃないの?」

「なにをもって“同じ人というのかしら?姿や記憶が同じでも・・・」

 

記憶はあくまでも記憶でしかなく姿を似せても完全に他者に成り代わる事はできない

 

「そうね。心が変わってしまえば、それはもう同じ人じゃ・・・」

「もし私がセリカだとしても、姉と呼ばれる資格はないわ。アルトリウスの命ずるままに、妹と弟を生贄にしてしまったんだもの」

 

自らを卑下するシアリーズをベルベットが止める

 

「あたしこそ・・・あなたを食べちゃった。あたしに責める資格なんて・・・」

「あれは私が望んだことよ、ベルベット。あの時無事に済んでも、いずれああするつもりだった。私の力を、あなたに与えるために」

「どうして・・・?」

「降臨の日の直後・・・私にセリカの記憶が戻ったの」

 

シアリーズがその時セリカの姿に変わる

 

「!!」

「わかってしまったの。自分が何をしたのか、あの優しかったアーサーが・・・」

 

次の瞬間セリカからシアリーズに変わる

 

「冷酷なアルトリウスに変わってしまったことが」

「なぜ記憶が?」

「わからない。転生した聖隷には、ごく稀にそういうことがあるらしいけど・・・ううん・・・これはきっとあなたたちを苦しめた罰ね。だって、アーサーを愛しく思うほど、アルトリウスが許せなくなるんだもの・・・あの人を憎んでしまう私は、セリカじゃないのよ。シアリーズでは、あの人をアーサーには戻せない。かといってアルトリウスを倒すこともできない。でも、あなたなら!私の力を完全に身に着けた喰魔のあなたなら、導師アルトリウスを・・・!」

「わかったわ。必ず」

 

アーサーとアルトリウス、ベルベット達にとっての家族はアーサーであり、緋の夜でアーサーは死にアルトリウスとなった。あの時何もわからず命令されるがまま二人を傷つけた自分を許せず、だが自分自身では戦うことすらできない情けなさ、そしてその決着を他人に託さなければならない残酷な運命。自身を責めても責めても責め切れぬだろう

 

「ごめんね、ベルベット。自分の憎しみの決着をあなたに押し付けちゃった。最後のお別れに・・・謝りたかったの・・・」

 

シアリーズの謝罪にベルベットが首を横に振る

 

「あなたに会えてよかった。あたしは、ラフィのお姉ちゃんで・・・セリカお姉ちゃんとアーサー義兄さんの妹で・・・幸せだったよ」

 

その言葉をきいたシアリーズ/セリカは穏やかな笑みを浮かべながら消失していった

 

 

ベルベットはその後目を覚まし、宿から外に出る。夜も更け寝静まった港には波と風の音しか聞こえない

 

「・・・」

「ベルベット」

 

ベルベットは右手を上げ何かに気付くがその時後ろから足音が聞こえた。振り向くとライフィセットが歩いてきた

 

「もう起きて平気なの?」

「うん。それより――」

 

ライフィセットが近づこうしたがベルベットが身を引いて止める

 

「危ないわよ」

「あ・・・!」

 

ライフィセットはベルベットからあふれ出ている穢れに気付く

 

「とうとうこんなになっちゃった、当然よね。平穏な世界より、自分の復讐を願ったんだから。災禍の顕主なんて呼ばれても、言い訳できないわ」

 

ベルベットは自嘲気味に笑うが構わずライフィセットが歩み寄る

 

「人間でも業魔でも魔王でもベルベットは・・・」

 

ライフィセットは櫛を取り出しベルベットに差し出す

 

「ベルベットの髪は奇麗だよ」

 

ライフィセットから櫛を受け取ったベルベットはそれを大事そうに両手で持つ

 

「昔ね・・・ラフィも同じことを言ってこの櫛をくれたの」

「胸が・・・痛いね・・・」

 

ベルベットは海の方を向き直る

 

「うん・・・それでも・・・ううん、だからあたしは決めたのアルトリウスとカノヌシと“決着”をつけるって。あたし自身と――あたしが大好きだった人たちのために」

「僕もだよ。羅針盤がなくても・・・進む方向は自分で決める」

 

あの時羅針盤を盾にしたのはライフィセット自身の成長の証ともいえた

 

(アルトリウスは、あたしが倒す。けど・・・カノヌシを殺したら、ライフィセットと、あたし達喰魔は・・・)

 

その後ろでケンを除いた四人がその姿を見守っていた

 

「羅針盤・・・か・・・」

 

アイゼンが静かに呟いた

 

 

その後ベルベットとライフィセットは宿屋に戻りそれぞれの部屋に分かれようとしたがエレノアに呼び止められ男性陣の部屋に皆が集まっているということで皆が集まる。ちなみにアイゼン達は一足先に戻っていた

 

「どうかしたの?みんな集まって」

「ああ、ケンのことについて、な」

 

ロクロウの視線の先にはベッドに眠っているケンがいる

 

「地脈でカノヌシとやり合った時奴が気になることを言っていた『どこの世界からやってきた』ってな」

「ああ、ケンに向かって言ってたからな、間違いない」

 

椅子に座ったアイゼンと壁に寄り掛かるロクロウ

 

「私も聞こえました。呑み込まれないように必死でしたけど確かに」

 

エレノアも頷く

 

「まあ、それどころじゃなかっけどあたしも微かに聞こえてた。あんな誰も近づかないようなタイタニアでばったり出くわしたもの異海からやって来たのなら知らないで当然だけれど雰囲気でわかるはずだし」

「ぼくもカノヌシがそういってたのも聞こえたよ。大地の記憶を覗いたけどケンだけの過去の物がないって」

 

ベルベットもなんとなくであるが気づいていたようだ。当の本人から聞き出してもよいが深く眠っている様で起きる気配がない、だからと言って無理矢理起こすわけにもいかない

 

「本人に直接聞いてもいいがこんな状態だからな。正直今じゃなくても問題はない。こいつが回復してからでもいい」

「儂はそこにいなかったから知らなんだが、カノヌシの言いぐさはちと気になるの~」

 

机に肘を着いていたマギルゥが前髪を弄りながら疑問を呈す

 

「気になる?」

「大地の記憶は過去の全てを記録し聖主であるならば余すことなく見ることができるはずじゃ。それがケンだけ全くないなんておかしいじゃろ。ましてや監獄島からしか記憶がないのでは魔訶不自然じゃ」

 

マギルゥの言う通り人や自然の営みを記録するはずの大地の記憶が抜け落ちることなど万一にもありえない

 

「もし本当に異世界から来たとなればそこには第三者の力が働いているはずだ。こいつ自身の力では此処に来れるとは思えないしな」

「ですが、一体何のためにその誰かがケンを此処に連れてきたのですか?理由がわかりません」

 

アイゼンが顎に手を当て推理するなかエレノアもアイゼンの仮説を元に思考する

 

「監獄島が最初っていうならあたしと初めて出会う直前・・・船で流れついたとか言ってたけど、まあ出来すぎだとは思うけど」

「ベルベットがいた独房に行く通路は一本、それまでに他の囚人のいる独房を通らにゃならんし警備もある。その場しのぎの嘘だってのは薄々気づいてはいたけどな」

 

ベルベットに続いてロクロウもケンに付いての感想を述べる。謎が深まり議論が平行線を辿ろうとしたその時、窓の方から声が聞こえた

 

「なら、私が代わりに説明しよう」

「「「「!!!」」」」

 

全員が声のした方向を向くと窓際のスペースにルシフェルが脚を組みながら座っていた。ベルベット達は驚愕していた、音もなく気配も感じなかった。その時点でこの人物は只者ではないと理解した

 

「てめぇ・・・なにもんだ」

 

アイゼンが椅子から立ち上がりルシフェルに質問する。ベルベット達も警戒を解くことなく身構えているが当の本人は特に気にすることなく淡々と答える

 

「私の名はルシフェル。まあ形式的に言えばケンの上司って所かな」

「上司だと?」

「ああ、かなり無茶をして彼はこんな状態だし、君達も気になるんだろう?何故彼がこの世界に来たのか、そして何故私が此処にいるのか」

「・・・・」

 

ベルベット達は黙ったままだが、その様子から肯定と受け取ったのかルシフェルが話を続ける

 

「まず最初に彼についてだ。彼はこの世界の人間じゃない。君達も感づいているだろう?」

「そんなことはわかっている。問題はなぜあいつがこの世界に来ることになったのか。お前は何か知っているのか?」

「知っているさ。なんせ私が彼をこの世界に連れてきたのだからね」

「なに?」

 

ロクロウはルシフェルの発言に反応する

 

「ケンは以前いた世界で事故により死亡した。だがそれは偶然起こったことなんだ」

「偶然?」

「本来であれば彼は寿命で人生を終えるはずだった。だが稀に・・・所謂輪廻というやつかな、それから外れる魂があるんだよ。そういう時は私や部下がその魂を導き新しく生まれ変わらせるのが通常なんだがね、だが」

 

ルシフェルが言い終わる前にアイゼンが口を開く

 

「だがあいつは違った。曲がりに曲がって輪廻から外れた挙句元居た世界で生まれ変わることができなくなったということか」

 

「察しがいいんだな、まさしくその通り。これは私でも予測できなかった初めての事だったからな。彼の魂ははじき出されそれを神が掬い上げた」

「神・・・聖主ではないのですか?」

 

エレノアはルシフェルの神というフレーズに疑問を感じた

 

「君達にとっては聖主と思ってくれればいいさ。神はケンの魂を私に預けた、神は君達がいるこの世界の声・・・まぁ意志といった方がいいか。その声を神が聞き届けそれに応えるためにケンを鍛えたのさ。理不尽かもしれないが私がいる所には一部人間に寛容じゃない奴らがいるからな。そこにケンを連れてくればどうなるか、大体想像つくだろう?」

「あんたの言う神はこの世界を護るためとケンを守るために此処に連れてきたってこと?」

「簡単にいえばそうなるな」

 

ベルベットの問いに携帯を弄りながら返答をする

 

「さて、これで大体の説明は済んだ。私は失礼するとするよ」

「失礼するって言っても、何処に行く気なんじゃ?もう夜じゃし心水でも飲むのかえ」

 

窓際から立ち上がり携帯をしまいながら部屋の扉へ向かうルシフェルにマギルゥが質問する

 

「なに、私の心配をする必要はない。こう見えても今仕事中なんだ、他に聞きたいなら彼に聞いてくれ、それじゃ」

 

ルシフェルは扉を開けるまでもなくすり抜けるようにして消えていった

 

「な・・・」

「消えた・・・!?」

「瞬間移動?いやでも気配はあったし・・・」

「まさかとは思いますけど、幽霊?」

「んなことあるかい!」

 

マギルゥはエレノアにツッコミを入れると改めてルシフェルが座っていた場所を見る

 

「はぁ・・・ま、ケンも変わっておるならあやつもまた変わっておるわい。今日は摩訶不思議な事が多すぎて流石の儂も疲れたわ、先に寝るぞえ~」

 

マギルゥは伸びをしながら部屋へと戻ろうとする

 

「まだ情報の整理が必要だが。今日は流石に疲れた」

「・・・そうだな、マギルゥの言う通り詮索は後回しにする。今日はもう休むぞ。いいな」

「そうですね。かなり気になりますけど今考えても仕方ないですし」

「わかったわ」

「応」

「それじゃ、お休みなさい」

 

アイゼンの号令で女性陣は自分の部屋に戻っていった。三人は床に入った後。暫くしてエレノアが呟く

 

「ケンは・・・今までそんな事一言も言っていませんでしたね・・・」

「・・・気にするほどのことじゃないでしょ」

 

隣の寝台に眠るベルベットが寝返りをしながら答える

 

「そんなに気になるなら直接あやつに聞けばよかろう。ふぁ~」

「それは、そうですけど・・・」

「あいつがこの世界に来たのは、少なくとも自分の意志ならそれでいいじゃない。知りたいなら直接相手に聞きなさい」

 

ベルベットは目を閉じそれを最後に寝息を立てはじめる。マギルゥは既に夢の中である、エレノアは窓から夜空を見上げた

 

 

次の日の朝ケンは小鳥の朝の囀りに目を覚ます。寝台から上半身を起こし部屋を見渡すが皆の姿はない

 

「・・・どうやら結構な時間眠っていたようだ。こんなに長い時間寝たのは久しぶりだな」

 

寝台から立ち上がり体の調子を確認する為腕や足、胴体捻りながら動かす

 

「疲労は大丈夫そうだ。昨日の過労が嘘みたいだ、さて・・・」

 

手早く準備を済ませてベルベット達がいるであろう一階に向かおうと扉の方を向いた時、そこからライフィセットが顔を出す

 

「あ、ケン。おはよう。体は大丈夫なの?」

 

ライフィセットが歩み寄る。ケンは軽くストレッチをして大丈夫であることを証明する

 

「ちゃんと休めたから問題ないよ。ベルベットさん達は?」

「下にいるよ、こっちも準備できたから起こしに来たんだ」

「ならこうしちゃいられない。待たせるわけにはいかないね、直ぐに行こう」

 

ケンはライフィセットに続いて一階へと降りて行った。外に出ると全員いたのだがアイゼンとザビーダが向かい合って険悪な雰囲気を出していた

 

「アイゼン!てめぇ、なんで黙ってやがった!」

「・・・」

「落ち着け!お前が気絶してたからだろう」

 

アイゼンに詰め寄るザビーダをロクロウが止める

 

「ちっ、俺は行くぜ!〝あいつを”止める!」

 

あいつとは角の業魔、その正体は誰だかはもうわかっているのだろう。ザビーダはシルバの方へ歩みより膝を着き目線を合わせる。そこにケンを呼び寄せる

 

「何事ですか?」

 

エレノアが事の次第をアイゼンに質問する

 

「・・・バンエルティア号から連絡が届いた」

「よかった。みんな無事?」

「今は、まだな」

「?」

 

ライフィセットがそれを聞いて一安心したようだがアイゼンの表情は優れない。代わりにロクロウが説明する

 

「ベンウィック達は、逃げる途中でアイフリードがエンドガンド領にいるという情報を掴んだらしい。リオネル島で合流しようと伝えてきたんだ」

「その情報って・・・」

 

あまりに都合の良すぎる事の運びにベルベットが眉を上げる

 

「罠だ。仕掛けたのは、あの大角の業魔・・・おそらくアイフリード自身だ」

「あの業魔がアイフリード!?」

「マジなのかえ?」

「‶おそらく”だ」

 

おそらくと言葉を濁したがアイゼンの表情と口振りからして本人であることは間違いないだろう。業魔と化したアイフリードが船員に被害を与えるのは何としても阻止しなければならない

 

「リオネル島に向かうわよ相手が誰だろうと、手掛かりとバンエルティアを失うわけにはいかない」

「足はどうする?ここへ来た船はザビーダが乗って行ったぞ?」

 

ベルベット達がこれからの行動を検討している間ザビーダがケンにシルバと聖隷の女性を託し港の方へ向かって行った。船は使われただろう

 

「港で適当なのを奪う"災禍”というにはセコイけどね」

「ベルベットさん、お待たせしました」

 

そこにケンが二人を連れて戻ってきた

 

「その様子だと二人を任されたみたいだな。どうする」

「できればどこか安全な場所にと考えているんですが。心当たりがありませんからね・・・」

 

ロクロウがケンに質問する、大方頼まれて断り切れなかったのだろう。頭を掻きながら困っていると後ろから声が聞こえた

 

「なら、私が連れて行こう」

「ルシフェルさん。人前に出るつもりはなかったはずでは」

 

ベンチに座っていたルシフェルが立ち上がりこちらに向かって歩いてくる

 

「そのつもりだったんだがね、君が休んでいる間に君自身の話題が上がったから疑問を解消してあげるために出てきたのさ」

「連れていくと言っていましたが、安全な場所があるのですか?」

 

エレノアの質問にルシフェルが聖隷の二人を観察しながら答える

 

「とある場所に聖隷達が暮らす隠れ里があってね。そこなら保護してくれるだろう、それまでこの二人は私が預かるよ」

「・・・わかりました。ベルベットさん、これからの予定は」

「港で船を奪ってエンドガンドまで行く。そこにベンウィック達がいる、あの大角の業魔がアイフリードの可能性が出てきていても立ってもいられなくなったみたい」

「それでしたら自分の技で」

 

ケンはあの時の様にルナポーションで瞬間移動しようと提案したがアイゼンがそれを制する

 

「待て、いくら少人数と言え体力の消耗は抑えるべきだ。万が一の為だ」

「・・・でしたら自分に考えがあります時間をください。アイゼンさん、ある所に連絡をお願いしたいのですが」

「なんだ」

「船を奪うとなれば騒ぎになりますから、伝手があります。ではルシフェルさん、よろしくお願いします」

 

ケンはアイゼンに説明し連絡の準備をしてもらうことにした。それと同時に港の方へ向かっていった

 

「さて、私たちも行くとしようか。準備はいいか?」

「あの」

 

ルシフェルがケン達の後ろ姿を見ながら残された二人に合図を送る、その時シルバがルシフェルに声を掛ける

 

「ん?どうした」

「貴方は?聖主?」

 

シルバのそんな質問にルシフェルが応える

 

「少なくとも私は聖主じゃない、それに聖隷でもないんだが・・・似たような物さ、さ、行くぞ」

 

ルシフェルが指を鳴らした時三人の姿はそこにはなかった

 

 

 

第46話 終わり

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