テイルズオブベルセリア 〜争いを好まぬ者〜 【完結】 作:スルタン
ちなみにマギルゥの行為は遊びでしただけです。
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マギルゥと出会った後。
「背後をとられた。あいつは・・・?」
「僕は前ととられましたけどね・・・」「あんたがボケっとしてるからよ」「へい・・・」
「やはりここは特別監獄。囚人ひとりとて油断はできませんね。”大魔法使い”と、名乗っていましたが」
「・・・あいつ、聖隷を使役してた?」
「いいえ、聖隷の気配はありませんでした。ただの人間・・・のはずです」
「なら、魔法使いじゃなくて奇術師ね。次に仕掛けてきたらタネごと潰す。それで終わりよ」
~
3人は独房区画を抜け監視塔を探す。だがとある区画の一角に差し掛かったところで金属がぶつかる音が聞こえた。3人は止まり、顔を合わせる。そのまま音を立てないように角から覗こうとした時ひと際大きな金属音が響いたその瞬間、角の向こうから対魔士が飛んできた。急いで抜けるとそこには数体の業魔と数人の対魔士が倒れていた。その倒れてる先には一人の男が背中を向けて立っている。その男は黒い髪を後ろで結っており服装はどことなく侍の恰好に似ていた。
その男は背を向けたまま喋る。
「新手か・・・」そう言い、振り向く
振り向いた瞬間右目は髪で隠れているがその奥で赤い光が灯っている。
「この物は・・・業魔!」シアリーズが喋る。
業魔と呼ばれた男はニヤリと笑うと懐から一対の短剣を抜き、構える。嬉しそうな表情を浮かべる。強い者と戦える喜びだろうか。
「来る!」ベルべットが告げる、3人は構える。
「ハアッ!」「甘い!」ベルべットが刺突刃で切りかかるが男は短剣で防ぐ。金属同士の嫌な音が響く。男はそのまま地面擦れ擦れの足蹴りを繰り出しベルべットの足を蹴る。「うあっ!?」ベルべットは支えを失くし、宙を浮く。
「もらったあ!!」男はそのまま宙に浮いて身動きのできないベルべットに切りかかるが。「させません!!」シアリーズが炎を繰り出し攻撃を妨害する。
「ちい!!」舌打ちをしながら後ろに下がる。その隙にベルべットが手を床に着けそのまま回る様にして勢いを付け男の腹に回し蹴りを叩きこむ。だがその蹴りは掠っただけだ。ベルべットは急いで立ち上がる。
「どうやら人間じゃないようだな」
「あんたもね!」
「はは、違いない!」男は”二人”を見る、案の定ケンは無視である。
戦闘狂なのか笑みを浮かべて2人に接近。ベルべットとシアリーズが構えようとした瞬間男の姿が消える。2人が一瞬困惑した時にはベルべットの目の前に短剣が迫る。「くうぅっ!!」バク転で何とか躱すが次の瞬間ベルべットの背中に蹴りが当たる。「ぐっ!?」そう、回避させた攻撃は囮で本命はこれだった。
「危ない!!」シアリーズが助けに入ろうとしたが瞬時に男の顔がシアリーズに迫る、まるで獲物を喰らうと言わんばかりの顔だ。完全に懐に入られ、短剣がシアリーズの腹部に迫る!「うっ!!」シアリーズは痛みに備えた。だがいつまでたっても激痛は訪れない。シアリーズが顔を上げると短剣を持つ男の両手首を”片手”で纏めて掴んでいるケンの姿があった。
「ほう、やるな。てっきり荷物持ちかと思ったぞ。」「その言葉前にも聞いた気がしました」そのまま引っ張り手首を捻り小手返しをする。
「おおっと!」男は驚きながらも華麗に受け身を取り様に短剣で下から上に斬りつける。「・・・」ケンの左腕が斬られて出血する。服にジワリと血が広がる。
「ふん、かなり深く斬ったつもりなんだが顔色一つ変えないとはな。面白いやつだな」
「・・・まあ、あの人に比べればこんなの擦り傷にもならないですから・・・」もちろん師匠のことだが。その隙にベルべットがケンの肩に足を乗せ跳躍、そのまま男に蹴りを放つ
「お返し!」「ぐお!」男の腹に蹴りが入り数歩下がるがその顔は嬉しそうだ。ベルべットはそのまま走り、跳躍、刺突刃で切りかかる。男は蹴りにも意を介さず構えて迎撃する。刃と刃がぶつかる「はああっ!」「ふん!」一段と高い金属音が響いた。その瞬間二人は少し跳躍して距離をとる。
「・・・強い・・・」ベルべットが呟く
「これしきで刃こぼれするか。対魔士のナイフもナマクラだな。早く號嵐を取り返さないと」ひとりごちる
「ゴウラン・・・あの太刀のこと・・・?」それを聞いて男の表情が変わる。短剣を放り投げると男はベルべットにむかって走り両腕を掴む。
「號嵐をみたのか!?どこで?頼む、教えてくれ!!」男は急かすように聞いてくる。ベルべットはきょとんとしながらも
「地下の・・・倉庫みたいな部屋」
「地下だな!かたじけない!!」そういい走り出す
「・・・変な業魔」
シアリーズとケンの横を通り抜けるときに男は声をかける。
「おまえ!強いんだな。またどこかであったら手合わせしてくれよな!」ケンは呆気にとられながらも後姿が見えなくなるまで見つめていた。
(あの荷物持ち、只者ではないな。これで楽しみが増えた)
「騒ぎが収まったら隙はなくなる。急ぐわよ」そう言うとベルベットは先に進む。二人も後に続く。
歩きながらシアリーズがケンに話しかける。
「先ほどは助けていただきありがとうございました。ですがそのせいで怪我を・・・私の術で・・・」
「え?ああ大丈夫ですよ。気にしないでください」ケンは歩きながらリュックから医薬品を取り出し、切り口に消毒液と止血剤を使い血を止める、そこに糸を通し、器用に縫っていく。痛いのは嫌でもなれた。
「ですが・・・」それでも心配そうに話す。
「こんな怪我一度や二度じゃないですから。平気ですよ」最後に包帯を巻いて手当が終わった。本当に一度や二度じゃないです。
「なにしてんの。早く行くわよ荷物持ち」
「僕いつの間に荷物持ちに?」ケンはベルベットに追いつくよう歩を早める。シアリーズも少し俯きながらもすぐに顔を上げ二人の後を追う。
〜シアリーズ視点
私はあの時死を覚悟しました。目の前に迫る短刀。それが近づくごとに恐怖に耐えられなくなり。私は動けなくなった。ですがいつまでたっても痛みが来ない、恐る恐る目を開けたらケンさんが男の両手首を掴み。攻撃を止めていたのです。ケンさんが男を投げ飛ばしますがその時反撃にあったのか左腕を斬りつけられていました。その後ベルベットさんが男に太刀のことを話し、そのまま走り去って行きました。私は術での治療を申し出ましたがケンさんは気にしなくていいとおっしゃいました・・・なぜ彼はこんなに優しいのですか?その優しさはどこから?
私は顔を上げ二人を追いかけます。
〜
しばらく進むとふとシアリーズが呟く
「"號嵐"・・・まさか、あの業魔は・・・」
「なに?」
「いえ、あの剣士の業魔に少し驚いただけです。もの凄い殺気だったのに、太刀の話が出た途端、別人のようになったものですから」
「確かに変わった人でしたね」
「真面目に考えても仕方ないでしょ。業魔のことなんか」
「それにしても風変りな囚人ばかりですね」
それを聞いてベルベットが睨む
「あ・・・あなたのことでは・・・」「べつにいいわ。聖隷なんかにどう思われようとね」
道中業魔が徘徊しており、ベルベット達を見つけると襲い掛かってきた。
ベルベットが刺突刃と蹴りで、シアリーズは炎で片付けて行く。ベルベットが業魔を喰らう。そんな戦闘が何度かあった。
区画を走り続けると高い建物が見えた。
「監視塔は、この先のはずです」「わかった」「はい」
階段を駆け上がる。少し広めの部屋に出る、その隅に上に行くための梯子がある。
「あれね、行くわよ」そう言うと梯子に手を掛けようとした、が。
「暴動はほぼ鎮圧した!お前も逃がさん!」対魔士が警備兵を二人引き連れて襲い掛かってきた。
「くそっ!こっちは急いでんだ!」
「あちらは3人こちらも別れて個別に戦いましょう」
「分かりました」
ベルベットは対魔士に向かって走る、シアリーズめ警備兵に向かって走る。ケンは構え、敵が攻撃してくるのにそなえる。
ベルベットは刺突刃を出し、素早く横に切る。対魔士は盾を構えて防ぐ。
「だああ!」「ぐう!!」対魔士がよろける。
「遅い!」素早くベルベットは蹴りを叩き込む。鞭のようにしなる蹴りを盾で何発かわ防げていた対魔士だったが。
「ふん!」「ぐああっ!」遂に盾を弾き飛ばられ。腹に蹴りと刺突刃の斬撃が襲う。対魔士は倒れるかと思われたが
「負けるわけには・・・」「?」「業魔に負けるわけにはいかん!」
対魔士は瀕死にも関わらず剣で斬りかかる。
「そう・・・」ベルベットは剣を躱し、業魔手で対魔士の顔を掴む。
「ガハッ!」「あたしにはそんなのどうでもいい」ギリギリと音がする
「ぐああああ!!」対魔士はもがくがやがて手足が垂れる。ベルベットは放り投げ。そのままベルベットはケンの戦い方を見る。
〜ベルベット視点
対魔士を片付けたあたしはふと気になりあいつの方をみた。戦い方が気になったからだ。あいつの戦いは防御に徹した物だと言うのはわかってる。
でもあたしはあいつの戦いが気に入らない。あいつとあたしでは戦い方が正反対だ。どうしても時間もかかる。あたしは苛立ちながら援護に向かう。
〜
その後ベルベットがケンの援護に向かい追っ手を撃退する。
「囚人たちはもう・・・」
「時間がない。この塔から外周道に出るわよ」
ベルベットが数歩進むが足を止め、ケンを見る。
「おまえ、なんでそんな戦い方しかしない。おまえほどならあんな奴らなんて一人で十分だろう」
「・・・」シアリーズは黙って聞いている。
「・・・」「あれだけの力があればアイツだって「僕は、力だけでは駄目だと思うんです」ッ!」
ケンが言う。
「確かに力があれば敵を倒せるでしょう。ですが倒すことだけが全てではない。僕にとって。[倒す]は最後の手段なんです。どうかそれだけはわかってほしいんです。」
ベルベットはしばらく黙る。
「それに」ケンが続けて言う。
「僕が敵を抑えていれば態勢もたてなおせるでしょう?」
「・・・わかったわよ。あんたのやり方には黙っといてあげる。その代わりちゃんと壁にはなりなさいよ」
ベルベットはそれだけ言うと梯子を登り始める。
「私は、あなたの考えも間違ってはいないと思います」シアリーズもそれだけ言う。梯子を登る。
ケンは二人が登り切るまで敵が来ないか確認しつつ。自分も後に続く。
〜
梯子を登り塔の屋上に出る。外は夜、更に雨も降っている。視界は悪いがその分見つかりにくい。ケンも少し遅れて上がってくる。
3人は塔の隅まで行く。
「ちっ・・・!」ベルベットが舌打ちをする。
「道が崩れてしまっている。これではロープも役には・・・」
下に道が見えるがかなりの高さだ、地下で手に入れたロープでもこれでは無理だ。だがベルベットは左腕を変化させる。腕を見て縁石の上に立つ。
「まさか・・・!?いくらあなたでもーー」シアリーズが止めようとする
「[あの子]が落とされた祠ほどじゃない」(あの子?言い方から身内・・・)言い終わった瞬間に飛び降りる
「!!」「おお・・・」
「はああっ!」ベルベットは落ちる最中近くの岩肌に強引に業魔手を引っ掛ける。滑るようにして速度は幾分落とすがそれでもかなり早い。地面が近づき手を離し飛び降りるが速度が速すぎてバランスを崩し。右肩から地面に激突し滑りながらもなんとか止まる。
「う・・・くぅ・・・」ヨロヨロと立ち上がり右腕をおさえる。脱臼したようだ。
「あなたは、これほどまで・・・」「先に行ってください」「ですが」
シアリーズの言葉に察したケンが彼女を促す。
「大丈夫です。これならなんとか行けますから。早くベルベットさんの所へ」
「・・・はい!」その瞬間シアリーズの体が炎に包まれ消える。ベルベットの元へ移動したのだ。
「さて・・・」ケンは後ろに下がる。
「はぁ・・・はぁ・・・」ベルベットは近くの岩に近づく。
「ぐうう・・・ッ!!」右腕を岩に思い切り打ち付けはめ直す。痛みに耐えながらも腕の感触を確かめる。そこにシアリーズが炎を上げ現れそのままベルベットの右肩に手を当てる、その手から青白い光が灯り治療術をかける。
「・・・強いのですね。まるで"誓約"のよう」その言葉にベルベットはシアリーズの顔を見る。
「自身の言動に枷をかけて、特別な力を得る儀式のことです厳しい枷で縛るほど、強い力が手に入る。その誓いは、ある意味ーー」
「"呪い"ね」ベルベットが後ろを向く「それをかけたのは、あんたたちでしょう」妬ましく言葉に出す。
「・・・わかっています。たからこそ、あなたを・・・」
〜
「それで、あいつは?」ベルベットがケンの事を聞く
「先に行ってくれと言われましたが・・・」シアリーズが答える
だが彼の姿はない、まだ塔にいるのだろうか。
「全く・・・なにして・・・」その時とてつもなく大きな地面にぶつかる音が響く。
「なっ!?」「一体!?」
土埃が辺りに舞う中その中央に人影、そう、ケンだ。ケンはあろうことかそのまま飛び降りて地面に着地したのだ。地面はへこみ、辺りに地割れが走っている。
「お待たせしました。ベルベットさんかなり派手に落ちましたが、大丈夫ですか?」まるで何事もなかったかのように歩いてくる。
「「・・・」」二人は黙ったままだ。
「あれ?どうしました?」ケンは首を傾げる
「おまえ本当に人間か?」ベルベットは呆れたように言う
「え?あ、はい人間ですよ?」
「怪我はありませんか!?」シアリーズが心配そうに話しかける。
「ああ、大丈夫ですよ。さ、先をを急ぎましょう。」ケンは促す
「・・・全く調子狂うわ・・・」「無理はしないでくださいね」
「あれ?僕なにかしたかな?」ぼやきつつその先の扉をくぐる。
〜
「このまま進むと表の港に出てしまいますが・・・」シアリーズが聞く
「侵入を察知された以上、あんたの船は見つかったと考えるべきよ。ここは裏をかいて表を抜く!いくわよ!」「はい」「分かりました」
3人は表の港に向かい、走り出した。
第4話 おわり
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